2014年11月26日水曜日

回転窓/まち・ひと・しごと

 ある地方の街を所用で訪ねた。東京都心から電車を乗り継いで2時間余。駅を出ると、土曜の昼下がりというのにほとんど人の姿がない。人待ち顔のタクシーが2台ばかり。駅前広場に面した店舗はすべてシャッターを下ろし、駅前通りも絵に描いたような「シャッター通り」である▼「店があるのはバイパス沿いだけ。駅前は土地も動かない」と地元の不動産屋。通りの所々に歯が抜けたようにある空き地の雑草が晩秋の斜光を浴びて痛々しい▼地方の至る所でこうした光景が見られるようになって久しい。再生がさんざん叫ばれながら衰退に歯止めが掛からないのは、政策が間違っているのか、それとも衰退・消滅が避けられない運命なのか▼衆院が解散した先週末、地方創生関連法が駆け込みで成立した。「まち・ひと・しごと創生法」。地方の駅前から失われたものをその名に並べたこの新法が再生の切り札になるのかどうか▼用を終えて戻った東京は数時間前に見た光景とは打って変わって人、人、人の波。選挙で政権がどう変わろうと、地方再生の重要性は変わるまい。今必要なのは理念より実行だろう。

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