2015年1月30日金曜日

凜/東京・葛飾区都市整備部・目黒朋子さん/調整が多いほどやりがいある

工業高校で学んだことを生かすため、東京・葛飾区に入庁したのは20年前。6年目までは都市整備部営繕課で、学校などの施設の改修設計・監理に携わった。
 現場監督として関わった双葉中学校の門扉の改修工事では、自分が指示を出す前に施工者の現場代理人などが先に作業を進めていたため、力不足を痛感したという。「知識と現場経験を積み重ね、先回りして指示を出せるようになりたいと強く思った」と振り返る。
 こうした経験をばねに夜間の専門学校で猛勉強し、1級建築士の資格を取った。「終業後、『そろそろ学校の時間だよ』と声を掛けてくれる同僚もいた。仕事と勉強を両立できたのは、上司や同僚の後押しがあったから」。
 現在は営繕課を離れ、街づくり調整課で、区内の複数の地域に絶対高さ制限を導入する検討を進めている。日々の仕事に励みながら、朝の出勤前に管理職試験などの勉強をしている。「短い時間でもやれる範囲で時間を作る」。休日には趣味のジョギングの時間を設け、リフレッシュも忘れない。
 営繕課も街づくり調整課も、区民や企業、関係機関などと協議・協力する場面が多く、プロジェクトを完成するまでに調整が多ければ多いほどやりがいを感じるという。「今後も勉強とさまざまな方との協力を大切にして、区政に貢献できるよう努力したい」。(街づくり調整課街づくり計画担当係主査、めぐろ・ともこ)

高橋裕氏が日本国際賞受賞/国際科学技術財団、4月23日に表彰式

 河川工学が専門の高橋裕東大名誉教授が、国際科学技術財団(矢崎義雄理事長)主催の15年(第31回)日本国際賞を受賞した。業績は「流域管理の革新的概念の創出と水災害軽減への貢献」。堤防やダムなど構造物だけに頼る治水政策を転換し、雨水貯留や浸透技術なども組み合わせたシステムとして流域治水を提唱。海外でも施策が展開され、各国の水害軽減に貢献したと評された。土木分野からの受賞は初めて。
 日本国際賞(JAPAN PRIZE)は、世界の科学技術者の中から、独創的な研究で科学技術の進歩に寄与し、人類の平和と繁栄に著しく貢献した人物と業績を顕彰する。「国際社会への恩返しの意味で日本にノーベル賞並みの世界的な賞を作ってはどうか」との政府の構想に、松下幸之助(同財団初代会長)が寄付で応え、1985年に創設された。14年(第30回)までに13カ国の83人が受賞している。
 高橋氏は「資源、エネルギー、社会基盤」分野で受賞。このほか「医学、薬学」分野で2人の科学技術者が選ばれた。4月21日に東京都文京区の東京大学で記念講演会、23日に東京都千代田区の東京国際フォーラムで授賞式が行われる。
 29日に都内で記者会見した高橋氏は「『流域管理』という抽象的な概念を取り上げていただいたことに大変感謝し、感動もしている。国内外でさまざまな水害調査を重ねた結果、(河川は)上流から中流、下流、河口、沿岸部まで流域全体を一体で考えなくてはいけないという概念にたどり着いた」と自身の研究を振り返り、「工学や技術だけでなく行政も河川を一元的に捉えることで水害を減らすことができる。この概念はアジアモンスーン地帯では普及してきた。今後も世界に普及してほしい」と期待を語った。

伊良部大橋(沖縄県宮古島市)、1月30日開通/国内最長の無料橋

 沖縄県の宮古島と伊良部島を結ぶ国内最長の無料橋「伊良部大橋」(宮古島市、全長4・3キロ)が完成し、31日に伊良部島側で開通式が行われる。伊良部大橋を介して下地島、伊良部島、宮古島が結ばれ、利便性が大きく向上する。
 取り付け道路を含めた施工延長は6500メートル(本橋部3540メートル、海中道路部600メートル、取り付け橋梁170メートル、取り付け道路2190メートル)。施工は主に下部工を県内企業、上部工を全国展開する橋梁メーカーやゼネコンが担当した。総事業費は約395億円。

One Step/三井不「日本橋再生計画」/「江戸下町」のにぎわいを

 ◇歴史・文化生かし街を進化  三井不動産が東京の日本橋・八重洲一帯で進める「日本橋再生計画」。昨年10月に完成した日本橋室町東地区に続く第2ステージを指揮する新原昇平日本橋街づくり推進部長は「歴史、文化、コミュニティーなどを生かした街に進化させる」と意気込みを語る。  三井不は昨年、32年ぶりの公募増資で3000億円超を調達。国家戦略特区制度を活用した首都改造戦略を「都心創生」の好機と捉え、開発事業に積極的に投資する。  中でも重点エリアと位置付ける日本橋の再生計画の第2ステージは、東京五輪が開かれる2020年を一つの目標に8地区の再開発を並行して進め、最大で総延べ約200万平方メートルの施設群を誕生させる。  モデルとなるのは、東京メトロ銀座線三越前駅に近接した五つの街区を一体開発した室町東地区だ。江戸の下町のにぎわい創出を商業施設部分(COREDO室町)のコンセプトにした再開発施設は「日本橋を金融や医薬などのビジネス街としてだけでなく、歴史・文化・コミュニティーといった魅力と強みを生かした街に進化させる先導的なプロジェクトだ」と高く評価する。  人気スポットになった室町東地区の開発で「第2ステージで開発する地域の人々が将来の街をイメージしやすくなった」。室町東地区の姿を実際に見てもらうことで、権利者の合意形成を円滑化し、事業を加速させる。「面的な街づくりの観点から各地区の機能や役割を相互に補完・連携させ、全体の活性化を図りたい」。  第2ステージで先行するのは、高島屋日本橋店を含む複数街区を一体開発する「日本橋二丁目地区」(全体竣工予定18年度)、武田薬品工業などと共同開発する「日本橋本町二丁目特定街区」(同17年10月)、三井別館などを再整備する「日本橋室町三丁目地区」(同19年3月)。東京駅前の八重洲では三井不も複数の再開発事業の参加組合員として事業化に向けた検討を進めている。  「特に企業の成長をサポートする機能や、観光需要を取り込む仕掛けなどに知恵を絞り、地域の人やビジネス街の人たちと一緒になって街を盛り上げていきたい」。世界に誇れる都心の創生に向けた挑戦が始まる。


「コレド室町が再開発モデル」と語る新原部長

2015年1月29日木曜日

日本工営創業者の偉業描く短編映画完成/久保田豊氏の半生紹介/都内で試写会開く

 ◇企画・脚本の緒方英樹氏「多くの日本人に見てほしい」
 土木技術者で日本工営を創業した久保田豊(1890~1986年)の半生を紹介する短編映画が完成した。27日に都内で試写会が開かれ=写真、企画・脚本を担当した緒方英樹全国建設研修センター事業推進室講習部長、監修した高橋裕東大名誉教授ら制作関係者のほか、日本工営の廣瀬典昭会長や有元龍一社長らが出席。久保田の偉業をあらためて振り返った。
 タイトルは「夢は世界をかけめぐる―海外技術協力のパイオニア」(21分)。土木学会が企画・協力、日本工営が特別協力した。制作は虫プロダクションが担当した。学校や図書館、企業などに販売し、授業や研修に活用してもらう。英語字幕版も作り、海外にも広めていく計画だ。
 試写会で、緒方氏は「ダイナミックに世界的に活躍した人を20分にまとめるのは大変だった。これからいかに見てもらうかが大事だ。子どもから大人までたくさんの方に見てほしい」と話した。高橋氏は「グローバル化という言葉がない時代に世界を駆け巡り、至る所で素晴らしい仕事をしてきた。真の土木技術者ということをあらためて感じた。この映画を通して土木関係者だけでなく多くの日本人に偉業を知ってもらいたい」と期待を寄せた。

首都高速会社/中央環状線のカウントダウンセレモニー開く/3月7日に全線開通

 首都高速道路会社は27日、3月7日に全線開通する「中央環状線」(全長47キロ)のカウントダウンセレモニーを東京都目黒区で建設中の中央環状品川線大橋ジャンクション(JCT)内で開いた。
 式典に出席した菅原秀夫社長は「(中央環状線は)1963年の構想から、約50年の時を経て全線が開通する長い事業だった。首都圏3環状道路の最初のリングが完成する」と述べ、アクセスの向上や渋滞緩和などの整備効果に期待を示した=写真。
 品川線は、高速湾岸線の大井JCT(品川区八潮)と中央環状線の大橋JCT(目黒区青葉台)を結ぶ区間。既に開通している中央環状新宿線との接合によりトンネルは全長18・2キロとなり、トンネルとしては国内最長、世界では第2位の長さになる。総事業費は約3100億円。

回転窓/野球で途上国支援

 途上国支援の一環で、国際協力機構(JICA)と読売巨人軍が野球を通じたボランティア事業に関する業務協力協定を結んだ。球団が持つ指導・育成ノウハウを活用し、現地での野球の普及・振興と併せ、青少年の健全な育成を支援することが目的だ▼初弾としてジャイアンツアカデミーが行う少年野球教室の指導者を中米・コスタリカに来月下旬に派遣。専用の指導テキストが中南米で広く活用できるよう、スペイン語への翻訳も行うという▼JICAはこれまでに累計300人近い野球ボランティアをアフリカやアジアなどに派遣し、礼儀を重んじる「日本式野球」の普及活動を推進してきた。野球指導を通じて途上国の人材育成を支援する活動だ▼政府はインフラ整備などによる途上国支援と併せ、日本企業の海外進出に力を入れる。人材育成のような地道な国際貢献は、こうした流れを後押しすることになるだろう▼今回の巨人軍との協力は、東京五輪が開かれる2020年まで続けられるそうだ。五輪といえば日本チームの活躍が期待されるのが野球。競技種目への復活の後押しになることも期待したい。

2015年1月28日水曜日

日建連/完全週休2日制導入へ、国交省に対応申し入れ/工期設定の留意事項提示

 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、完全週休2日制の導入に向けた取り組みを国土交通省にあらためて申し入れた。意識改革と併せ、「完全週休2日現場閉所モデル工事」の試行・全国展開、契約条件での義務化、休日を確保できる工期設定、積算の見直しを要望。発注者・設計者・施工者による3者会議の定期開催、工事関係書類の簡素化、施工の合理化も求めた。
 申し入れでは、若い担い手を確保するために受発注者と元下請が一体となった取り組みの必要性を強調。完全週休2日制達成現場に対する工事成績評定での加点と違反現場へのペナルティーを対策に挙げた。週休2日にはきめ細かい施工計画の実行が欠かせないため、発注平準化や国庫債務負担行為を活用した無理のない工期設定を要望。工期設定に当たっての「留意事項」も示した。
 日常業務の改善と生産性向上も必要なため、工事関係書類の削減・簡素化、受発注者双方の事務負担軽減に加え、機械化、プレキャスト化、情報化施工、コンストラクション・インフォメーション・モデリング(CIM)の推進も必要と指摘。設計労務単価、共通仮設費、現場管理費、一般管理費の引き上げといった積算見直しも求めた。
 日建連が、公共積算委員会施工部会の構成企業が施工している11現場を対象に行ったアンケートによると、4週4休が6現場、4週5休が3現場、4週6休が2現場で、4週7休・8休を行っている現場はなかった。受注者に責任のない工事の一時中止で工程の遅れを取り戻す必要があったり、工期短縮への強い要望が発注者からあった影響という。日給制の多い技能者の所得確保を理由に挙げた回答もあった。
 11現場のうち10現場は土日閉所、1現場は4週8休(土日を問わない)を望んでいた。土日閉所については「会社とのスケジュール調整が行いやすい」「家族の休暇に合わせやすい」とメリットを指摘する声や、「若者の傾向を考慮すると、土日一斉休暇取得が望ましい」との意見が寄せられたという。日建連は今後、国交省と行っている意見交換会フォローアップ会議で協議していく。

回転窓/失敗から生まれるもの

 「払拭(ふっしょく)したかった」。25日に開かれた大阪国際女子マラソンで日本勢最高の3位に入賞した重友梨佐さん(天満屋)がそう語った▼払拭したかったのは、前回大会で64位に終わった失敗。12年大会では優勝し、ロンドン五輪代表になった力のある選手だけに、前回の成績によほど悔しい思いがあったのだろう▼失敗には「よい失敗」と「悪い失敗」の2種類がある-。工学者の畑村洋太郎氏が、ベストセラーとなった自著『失敗学のすすめ』(講談社文庫)にそう書いている。個人の無知やミスが原因で起きた失敗でも、その人の成長過程で必ず通過しなければならない失敗なら「よい失敗」と認めるべきだという▼どんな仕事にも失敗は伴う。重要なのは小さな失敗経験を知識化し、どう大きな失敗を防ぐか。本紙インタビューで聞く会社役員の話からも、若手時代の苦い経験がいかに大きな糧となっているかがよく分かる▼「絶対に粘れると思った」「やっと自分の殻を破ることができた」とレース後の重友さん。周りの人の協力を得られたとしても、失敗にめげることなく自分の背中を押すのは自分でしかない。

北海道商議所連ら3団体/中高生の母親と懇談/「建設業のイメージ変わった」

 北海道商工会議所連合会、北海道建設業協会、建設産業専門団体北海道地区連合会は23日、札幌市中央区の北海道建材センターで、建設業の人材確保に向けた懇談会を開いた=写真。中学生や高校生の子どもを持つ母親7人と、若年者の入職促進や建設業のイメージアップの方策などについて意見を交換。参加した母親たちは「建設業に対するイメージが変わった」と話し、労働環境改善の取り組みの積極的なPRや小学生などを対象にした職業体験の場づくりなど、建設業の情報に触れる機会を増やす必要性を指摘した。  昨年10月に制作、発表した漫画冊子に続く、3団体合同による人材確保に向けた取り組みの一環として開いた。  北海道建協傘下の札幌建設業協会が昨年度に札幌工業高校生を対象に行ったアンケートで、「建設業に魅力を感じる」との回答は7割に上ったが、一方で就職希望者は3割にとどまり、その理由として「体力的にきつい」「危険」といったイメージが影響していることが分かった。  さらに高校生の進路相談の相手では、母親が最も多い3割を占めたことから、子どもの進路決定に強い影響力を持っている母親を招き、建設業に対するイメージや要望などを聞く場として懇談会を企画した。  懇談会では、北海道建協の牧野光博専務理事や建専連北海道の熊谷誠一副会長、札幌建協の野村幹男労務委員長らが、暮らしに密接した社会基盤の重要性や、その整備を担う建設業の役割、総合建設業と26職種の専門工事業から成る建設業の仕組みなどを紹介。また、北海道建設部と教育委員会の担当者が、建設産業の概況や建設業に対する支援施策などを説明し、意見交換した。  参加した母親は一様に「建設業は体力的にきつく、冬場は仕事がなく雇用保険をもらっているイメージだった」と、マイナスイメージの強さが目立っていた。しかし、懇談後には「建設業の仕組みも理解でき、もっと話を聞きたいと思った」「マイナスイメージが独り歩きしていたことが分かった。何よりこうした場を持とうとすること自体に、良い印象を受けた」と印象が変わった様子だった。  入職促進、イメージアップに向けた取り組みについては「親が子どもの就職先に求めるのは安定性。通年雇用の取り組みを進めてほしい」「就労環境などを変えようとしていることが分かった。取り組もうとする現状だけではなく、その取り組みの成果をもっとPRすべきではないか」といった意見や、「高校生では既に進路のイメージが決まっている。小学生など、小さいうちに親子で職業体験できる機会があれば、就職先としての意識もわくのではないか」とのアドバイスも寄せられた。  3団体では今回の意見を踏まえ、親子現場見学会と組み合わせるなど、2回目以降の懇談会の開催を検討する方針だ。

2015年1月27日火曜日

設備女子会/都内で講演会・交流会開く/50人が参加、講師に田辺新一氏

 建築設備技術者協会(JABMEE)の「設備女子会」(設女会、徳弘洋子会長)は22日、東京・西早稲田の早稲田大学西早稲田キャンパスで講演会と交流会を開いた=写真。設計事務所やゼネコン、設備工事会社などで活躍する女性約50人が参加し、交流を深めた。  講演会を行ったのは初めて。JABMEE会長の田辺新一早大教授が「これからの建築設備―省エネと快適性」をテーマに国内外の先進的な設備技術や制度を紹介し、「仕事が嫌になることもあると思うが、いつか充実した時が来る。ぜひ続けていってほしい」とエールを送った。  講演会後には第6回交流会も行われ、参加者同士で職場での悩みや家庭と仕事の両立などについて意見を交わしながら親交を深めた。  設女会は13年11月18日の「建築設備士の日」に発足した。女性技術者が情報交換・発信を行い、活躍の場を広げることで社会に一層貢献していくことが目的。賛同する女性であれば、JABMEEの会員・非会員を問わず入会できる。1月現在、300人以上が参加している。

ゼネコン女性交流会/外環道工事現場で見学会開く/会社の枠超え交流深める

ゼネコンなどに勤務する女性社員の有志で運営するゼネコン女性交流会は23日、東京外かく環状道路(外環道)のうち千葉県市川市内の工事現場で、作業所見学会を開いた。施工を担当する安藤ハザマが幹事となり24社から67人が参加。会社の枠を超えて交流を深めた。同交流会は11年から半年に一度のペースでイベントを開催。ダイバーシティー(人材の多様化)が産業界全体で注目される中、女性同士のつながりを深める機会として交流会の役割は大きくなっている。
 見学会を開いた現場は、国土交通省関東地方整備局首都国道事務所が発注し、安藤ハザマが施工する「北国分地区函渠その2工事」。外環道千葉県内区間のうち北国分地区(市川市北国分1丁目~堀の内2丁目)の工事で、半地下・トンネル部の道路を築造する。掘削延長690メートル、掘削深さ4・2~13・9メートル、掘削土量12万1300立方メートルで、工期は12年9月~15年5月。
 参加者は、関東整備局と東日本高速道路関東支社が運営する外環松戸相談所で工事概要の説明を受けた後、5班に分かれ、担当者から説明を受けながら現場を見学した。見学会の準備でリーダー役を務めた安藤ハザマ建築事業本部技術統括部構造設計部の大島実穂さんは「ゼネコンに勤務する女性の多くは男性と同じように仕事がしたいと思っている。決して特殊な存在ではない」とした上で、「交流会を通じて若い世代が先輩の仕事ぶりを見て、考え方を聞くことで自身の将来を考えるきっかけになればいいのでは」と話す。
 見学者を迎えた安藤ハザマ関東土木支店の丸木敬一北国分作業所長は「今後、建設現場でも女性や外国人が活躍する機会は増えるはず。女性技術者は男性よりも『頑張ろう』という気持ちが強いと感じる」と指摘。女性社員の活躍の場を広げる取り組みが建設業界で活発化していることを踏まえ、「今はまだ女性だと意識とすることが多いと思うが、周囲に惑わされず、近い将来、現場所長として活躍することを期待している」と目を細めた。
 ゼネコン女性交流会は、形式にとらわれず緩やかに連携しながら、今後も見学会などを通じて交流を深めるきっかけを提供していく。入社1年目で同作業所に配属され、技術者として現場に立つ安藤ハザマの伊集院かおりさんは「初めて現場に足を踏み入れた時、スケールの大きさに圧倒された。見学会で多くの女性に現場を見てもらったことで、赴任当時の感情を思い出した」と話していた。

日建連/「けんせつ小町」のロゴ決定/女性の活躍さらに促進

 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、女性技術者・技能者の愛称として昨年決めた「けんせつ小町」のロゴマークを作り、22日に東京都内で開いた新春懇談会で披露した。品質(Q)、費用(C)、工程(D)、安全(S)、環境(E)という建設業の五つの重要なキーワードを意識し、ヘルメットに見立てた五つの花びらが映えるデザイン。色は、茜(あかね)染めのうち黄色がかった緋(ひ)色に近い「鮮やかな赤」を採用した。ヘルメットや名刺などに貼るシールを作り、会員に配布する。
 ロゴマークは、宮下正裕広報委員長と、小早川泉さん(竹中工務店技術部生産支援グループ長)ら分科会のメンバーが発表した。小早川さんは、「建設業には女性が力を発揮できる仕事が多くあり、多くの女性が活躍しているのを知っていただきたいと思ってロゴマークを作成した。けんせつ小町が親しみやすく、世の中に浸透しやすくなることを期待しています」とあいさつした。
 宮下委員長は、女性技能者が働きやすい環境整備などの取り組みをまとめた「女性技能労働者活用のためのアクションプラン」(14年3月)の策定や、女性が中心となって施工を担う「なでしこ工事チーム」の登録(現在23者)などこれまでの取り組みを説明。「けんせつ小町とロゴマークを積極的にPRして普及、定着を図り、女性のさらなる活躍を促進したい」と抱負を述べた。
 懇談会には会員会社の首脳が多数出席。ロゴマークが披露されると歓声と拍手が沸いた。
 日建連は、ロゴマークをホームページに公開し、自由に使ってもらえるようにする。カラー設定は、▽プロセス4色=M95Y95▽特色候補1=DIC156▽特色候補2=PANTONE1795。

2015年1月26日月曜日

駆け出しのころ/前田建設代表取締役副社長経営管掌兼安全管掌・福田幸二郎氏

 ◇どれだけの引き出しを持てるか  前田建設に就職することが決まり、私は関西にいたので大阪あたりに配属されると思っていました。ですから入社前に会社から東京へ荷物を送るよう連絡があった時も、何で研修のためだけに送るのかと不思議だったのを覚えています。入社して配属されたのは東京の本店経理部。東京のことをほとんど知らず、最初のころは何かと大変でした。  当時は支店や現場には電算が入っていましたが、一番遅れていたのが本店でした。そろばんがなかなかできずに苦労しました。会社の重鎮で経理部長の岩井吉之助取締役(当時)をはじめ、上司からは経理の厳しさをたたき込まれました。  本店での勤務を経て、78年に大阪支店経理部に異動します。ここで初めて現場との関わりを持つようになり、原価管理のことを学びました。上司から言われたのは、現場からの相談によく乗ること。経理が現場から信頼されていないと相談になど来てくれません。相談に来るのは何か困ったことがあるからで、それに対しアドバイスできるようにするためには、自分がいろんな引き出しを持っていることが大切です。  本店と支店で経理を10年担当し、ひと通りの仕事はできるようになったという思いもあったので、入社11年目に海外の現場へ行くようにと話があった時は意外でした。赴任先はマレーシアのバタンアイダム建設工事。初めての現場勤務でもありました。所長は「ダムの神様」と呼ばれていた間宮達男取締役(当時)です。素晴らしい方で、現場で利益を創出するにはどうしたらよいかを学ばせていただきました。  例えば、お客さんが乗った車であろうと何であろうと、ダンプを少しでも止めたら職員は怒られました。現場では重機が一番に優先されるものだからです。この現場には小原好一社長もいました。大変に厳しい現場でしたが、間宮所長でなければ皆が付いていかなかったと思います。そしてここでの経験がなければ、今の私はいなかったかもしれません。  経理の担当者には、判断を誤らず、自分の信念を持って「これは駄目だ」と言える人間になってほしいと思います。それぞれの年代に応じた自分の器量を持つことも大切です。それは自分で培うもので、年代が上がるにつれて大きくなっていきます。何でも聞いているばかりでは駄目です。経理の本筋を曲げてはいけませんが、自分の器量で逃げずにできる範囲のことをやるのが重要であり、「評論家には絶対になるな」と言っています。  (ふくた・こうじろう)1973年関西大経済学部卒、前田建設入社。本店経理(現財務)部長、取締役常務執行役員、同専務執行役員経営管理本部長兼調達本部長、同執行役員副社長、代表取締役執行役員副社長などを経て14年4月から現職。鳥取県出身、64歳。
マレーシアでの現場勤務を終えて帰国する際、会計事務所が開いてくれた送別会で記念品を手に

サークル/フジタ書道部/「OB・OG社員も参加し和気あいあい」

 発足から40年余りの歴史を持つ会社公認の老舗クラブ。首都圏で勤務する社員のほか、グループ会社の社員、会社を退職したOB・OGも活動に参加する。モットーは「よく学び、よく遊び、健康第一」。世代の垣根を越えて和気あいあいと書を学んでいる。
 週1回、OBが務める先生の下で、漢字や仮名、実用書、ペン字などを練習。書道雑誌の競書課題に毎月応募しているほか、年2回の昇段級試験にも挑戦している。メンバーの中には師範に上りつめた人もいるという。
 部員は約20人。若手を中心に勧誘活動も続ける。管理本部情報システム部に勤務する部員の加藤範子さんは「書道を新しく始めるにも、久しぶりに再開するにも会社の部活動は良い機会です。現役社員は仕事の都合で活動に参加できないこともありますが、それぞれのペースで続けています」。外部の展覧会に作品を出す部員も多い。3月には春の昇段級試験が控えており、それぞれの目標に向けて練習にも力が入る。
 現役とOB・OGの社員が自然と交流できる貴重な機会を提供する役割も果たしている。部員の中には創部以来所属し続けている生き字引のような存在の人も。練習はもちろんだが、忘年会や新年会、食事会などの開催も重要な活動の一つ。「酒道部」という別名もあるとかないとか…。

中堅世代-それぞれの建設業・79/居心地の良い地域の中で

歩切りをすれば利益が損なわれるのはわかっているが…
 「定時とはいかないが、そう遅くない時間に家に帰れる。夕飯は早く帰った方が作る。きょうも嫁ではなくて俺かな」。
 桜井朋彦さん(仮名)は、大卒で入社した電気設備工事会社を7年で退職した後、地方都市の市役所に勤める公務員だ。技術系の職員として採用され、上水道や教育施設の修繕、工事計画などを担当。即戦力として重宝され、今はここ数年の投資的経費の大半が投じられている大型施設の大規模更新を任されている。
 「民間企業で課長になった同級生は忙しそうにしている。仕事してから結婚式に来たり、平日に予定していたゴルフの予定を直前で延期したり。出張で各地を飛び回っているやつもいる。俺は…まぁ、今のままでいいかな」
 受注者との協議や、地元住民への説明などで慌ただしい日常を送ってはいるが、連日の夜勤や長期間休みがなかった前の仕事に比べれば、自分の時間は劇的に増えた。趣味を通じて、妻になる行動的な女性とも出会えた。「休みがなく、遊びにも実家にも行けなかった。今より15キロもやせていたな。転職して良かったよ」。そう言い切れるようになった。
 総合評価方式の入札拡大、改正公共工事品質確保促進法の成立、積算単価の是正…。発注実務に携わる中で、最近は国土交通省や総務省の政策と指示への対応に追われている。「歩切り? やったよ」。結果として1社応札になったある大型工事の発注では、県の単価やメーカーの見積もりなどを参考に丁寧に積算したが、最終的な予定価格は、1割とはいかないまでも数億円切り下げた。
 建設会社に勤務していたから、歩切りをすれば企業の利益が損なわれるのは知っている。下請企業に少なからずしわ寄せが行くことも分かっている。だが、「適正価格って何だ。民間が受注したい価格のことか? この工事から相手はいくら利益を得るのか、こっちは分からない。予算に余裕はないが、修繕したい学校や橋は多い。歩切りは駄目といっても、受注してくれたのだから、互いに許される範囲だったんだろう」と割り切った。
 契約書には、結果として設計変更が難しくなるような文言が並ぶ。「もちろん相手に問題がなく、突発的事象が理由ならスライドや設計変更には応じる。でも基本的に応じる気はない、と先方には伝えてある」。
 空調機をメーカーから仕入れ、取り付ける一人親方の父の背中を見て育った。長男だが家業は継がなかった。エアコンだと家電量販店の取り付け費込みの売価が、父の仕入れ価格を下回る時代になってしまった。父はひいきの住宅メーカーから仕事を得ているが、引退を前にして趣味のような位置付けで仕事をしている。父のような一人親方の有り様、子どものころとは大きく変わった。
 社会保険加入が一人親方を直撃する問題だと分かっていることもあって、建設産業は転換期に来ているとみている。「建設専門紙、読んでるよ。地域向けの小さい工事が載る新聞と全国紙。前の会社の記事も載るしな」。業界の情報は熱心に仕入れている。
 父の背中、社会人として歩み始めた民間企業での経験、そして発注者という今の立場。同僚になった中学の同級生、電気設備の修繕で訪れた学校で旧交を温めることになった中学時代の体育教師、水道の漏水を止めた際にねぎらってくれた同級生の母…。経験を生かしながら、居心地の良い地域の中で、家族や仲間と触れ合える時間を大切に、目の前の仕事を淡々と片付けていこうと考えている。

2015年1月23日金曜日

望月義夫環境相/大成建設ZEB棟(横浜市鶴見区)視察/「世界が注目、期待」

説明を受ける望月環境相(中央)
 望月義夫環境相が22日、大成建設が横浜市戸塚区の技術センターに建設した「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)実証棟」を視察した。外壁の有機薄膜太陽光発電、先端省エネ照明・空調システム、自然光採光装置などのゼロエネルギー実現技術や、超高強度鉄筋コンクリート柱、免震装置などを約1時間かけて見て回った。
 市原博文代表取締役副社長らが説明に当たった。望月環境相は視察後、「未来はこうあるべきだという勉強をさせていただいた。こうした先端的な建築物は世界各国が注目し、期待している。環境省としても応援していきたい」と述べた。
 ZEB実証棟は、都市部で建物のゼロ・エネルギー化を目指した都市型ZEBのモデル建物。年間のエネルギー消費量を一般のオフィスビルと比べ75%削減し、太陽光発電などの創エネ技術で25%を賄うことで年間のエネルギー収支をゼロにする。昨年末には「地球温暖化防止活動環境大臣表彰(対策技術先進導入部門)」も受賞している。

東急不ら/東急プラザ渋谷にタイムスリップギャラリー開設/渋谷の変遷たどる

 東急不動産と東急不動産SCマネジメント(東京都渋谷区、土屋光夫社長)は、3月22日で閉館するJR渋谷駅前の商業施設「東急プラザ渋谷」(東京都渋谷区道玄坂1の2の2)の6階に同館の歴史を回顧する「タイムスリップギャラリー」を開設した=写真。閉館後の再開発を前に、1965年の開業当初から現在までの渋谷の街の変遷をパネルなどで紹介する。60年代の渋谷駅周辺のジオラマや当時使われた鉄道標識も展示している。
 閉館後は、「道玄坂一丁目駅前地区市街地再開発組合」が計画している再開発事業用地とするため、4月に建物の解体工事に入る。隣接する街区と一体とした敷地(3330平方メートル)に、地下4階地上18階建て延べ5万8900平方メートル規模の再開発ビルを建設する。特定業務代行者の清水建設が既存建物を解体し、再開発ビルの建設も行う。16年1月に本体着工し、19年3月の完成を目指す。
 再開発に当たって東急不動産の三枝利行社長は「(再開発ビルの)1階部分に空港からのリムジンバスの発着所(の設置)が予定されている。アクセスが向上すれば、さらにたくさんの訪日外国人が楽しめる国際ターミナル渋谷として、新たな東京の玄関口になれる」と話している。

2015年1月22日木曜日

建設コンサル各社/働き方改革進む/職場環境改善、人事評価制度も相次ぎ見直し

 長時間労働の解消などが長年の懸案事項になっている建設コンサルタント業界で、職場環境の改善や人事制度の改革に取り組む動きが活発化している。市場環境は比較的安定し経営状態も好調な一方で、各社の技術部門は消化しきれないほどの仕事を抱え、労働環境の悪化は深刻な状況。20~30代の離職に歯止めが掛からない中、各社はオフィスの移転や改装による環境改善、人事評価制度の見直し、多様な働き方を可能にする社員制度の導入などを進めている。
 職場環境の改善を図る動きでは、最大手の日本工営が東京・四谷にある本社ビルの建て替えを計画している。周辺に分散するオフィスを集約し、業務効率を高めることが最大の目的だが、築後30年余り経過して老朽化が進む現在のビルを建て替えることで規模を拡大。社員一人一人の執務スペースを広げ、快適なオフィスを提供する狙いもある。
 長大は、東京・日本橋蛎殻町にある本社ビルの全館改装を昨年末から進めている。一足先に東京支社の移転を実行しており、勝ちどき地区の隅田川沿いにあるオフィスは、環境の良さが勤務する社員に好評という。
 社員制度では、建設技術研究所や国際航業、エイト日本技術開発、オリエンタルコンサルタンツなど多くの企業が、地域限定社員の導入などを検討している。
 パシフィックコンサルタンツは、オフィスの使い方や生産体制をどうするかなど、働き方の改革に取り組む。3月をめどに人材マネジメントの全体像と具体策を盛り込んだ計画を立案する方針だ。
 女性社員の活躍の場を広げる制度、60歳を超えても豊富な知識や経験を第一線で発揮し続けられる制度など、各社は持続的な成長を支えるための改革に力を注ぐ。
 業界の受注環境は、東日本大震災の復興関連や国土強靱(きょうじん)化、既存インフラの維持管理などを背景に、ここ数年は追い風が吹く。技術者単価の見直しもあり、受注だけでなく利益水準も上昇基調にある。ただ震災関連業務の受注はピークを超え、現状を踊り場と見る経営トップは多い。
 事業領域の拡大、海外展開の加速などは、各社に共通する事業戦略のキーワード。もう一段階上のレベルに事業展開を引き上げるには、より多様な人材を確保・育成することが不可欠で、現状に危機感を募らせる声は強い。年度末に成果品の納期が集中し、極端な繁忙に追い込まれる状況は、社員のワークライフバランス(仕事と家庭の調和)を考える上でも問題で、改善の重要性が増している。
 新年度の予算執行が始まる4月以降、どのような施策が講じられるのか、各社の動向を注視する必要がありそうだ。

戸田建設ら3社/高性能小型集じん装置開発/粉じん・溶接煙を除去

 ◇新東工業が製造、大同機械が販売・リース  戸田建設は、機械装置メーカーの新東工業、建設資材リースの大同機械(東京都墨田区、落合康全社長)と共同で、建設現場向けの高性能小型集じん装置「STDコレクタ」を開発した。コンクリートのはつり作業や鉄筋の溶接などで発生する粉じんや煙(ヒューム)を吸い込み、二重の不織布フィルターと電気集じんユニットで浄化。閉鎖空間内の労働環境を大きく改善する。大同機械が窓口となり、2月1日に販売とリースを開始する。  STDコレクタは、集じん機と溶接煙除去装置を1台にまとめた高性能小型集じん装置。幅890ミリ、高さ706ミリ、奥行き520ミリのサイズで重量は70キロ。一般的な100ボルト電源で稼働し、24時間運転のコストは約61円で済む。ファンと本体が分割でき、現場条件で移動に昇降機が使えない場合でも人力で運搬できる。  ポリエステルなどでできた二重の不織布フィルターで5ミクロンまでの大きさのほこりを空気から99%以上除去。サムスン電子製の電気集じんユニットで0・3ミクロンの微粒子を90%以上取り除き、現場内の環境を改善する。不織布フィルターと電気集じんユニットは水洗いして繰り返し使える。  処理風量は1分当たり10立方メートル。粉じん量などによって異なるが、100立方メートルの空間に1台が使用の目安となる。既存建築物の改修や耐震補強など、工事区画を仕切って閉鎖空間内で行う作業で効果を発揮。ファンと電気集じんユニットの電源をオン・オフするだけの簡単な操作で使用でき、細かい風量設定など面倒な手間は不要という。  新東工業が月産40台のペースで製造を担当。大同機械は販売と自社でのリースを手掛け、3年以内には月産120台の水準まで販売・リース規模を拡大したい考え。定価は70万円を想定しているが、コストダウンなどによって60万円を切る水準まで引き下げるという。リース料は月間2300~2500円を計画している。  電気集じんユニットは、戸田建設がサムスン電子と契約を結び、国内展開を独占的に行っている。病院や住宅向けの空調に組み込んだり、空気清浄器を開発したりなど実用化を進めている。今回は建築現場での使用を前提としているが、土木現場向けの装置も開発中。異業種連携による新しい取り組みとして、ビジネスモデルの開拓を進めていく。

2015年1月21日水曜日

相鉄アーバンクリエイツら/世界初3DCGホログラフィック専用劇場建設

 ◇横浜駅西口に、15年春オープンめざす
 相鉄グループの相鉄アーバンクリエイツは、横浜駅西口に世界初の3次元コンピューターグラフィックス(3DCG)専用エンターテインメント劇場=完成イメージ=を建設する。15年春のオープンを目指す。
 建設地は横浜市西区南幸2の1の5。施設はS造平屋約800平方メートル。定員は約400人を予定している。設計・施工はTSP太陽が担当している。
 施設は最新の「デジタルサイネージ」技術により、15年時点で世界最高のホログラフィック演出を可能にするシステムを導入するとしている。原則、舞台上に生身の人間は登場せず、CGだけの中長期な公演を想定している。プロジェクトの企画運営はZeppホールネットワーク、ローソンHMVエンタテイメント、ワイドワイヤワークスとの共同で行う。

福島県/建築文化賞受賞作品決定/大賞に「猪苗代のギャラリー」

大賞を受賞した「猪苗代のギャラリー」
 福島県土木部建築住宅課は23日、「第31回福島県建築文化賞」の表彰式と講演会を福島市の杉妻会館で開く。大賞に輝いた「猪苗代のギャラリー」(設計=柴崎恭秀、施工=会津土建)や、優秀賞の「いわき芸術文化交流館アリオス」(設計=清水建設・佐藤尚巳建築研究所・永田音響設計・シアターワークショップ設計JV、施工=清水建設・常磐開発・福浜大一建設・カヤバシステムマシナリー・丸茂電機・ヤマハサウンドテックJV)など10作品の製作者が表彰を受ける。
 福島県建築文化賞は県内の優れた設計作品を表彰する制度。東日本大震災で2年間中断したが、昨年度から再開し、今回は再開後2度目の実施となる。
 今回の応募作品は合計30件で、公共建築物と民間建築物がそれぞれ15件。用途別では学校教育施設が8件、文化・スポーツ施設、商業施設が各5件などで、民間の学校教育施設の応募が増える傾向にあるという。
 表彰式の前に、松本英夫土木部長による審査の経過報告や、審査委員長を務めた教育環境研究所の長澤悟所長による講評などが行われる。
 表彰式後に行われる講演の講師は、大賞受賞作品を設計した柴崎恭秀氏(会津大学短期大学部・元株式会社柴崎アーキテクツ一級建築士事務所)が務める。演題は「オーラル・ヒストリーを建築、まちの形に」。問い合わせは同課(電話024・521・7986)。

首都高中央環状線、3月7日に全線開通/品川線が完成

 東京の首都高速道路中央環状線が3月7日に全線開通することが決まった。首都圏中央連絡自動車道(圏央道)、東京外かく環状道路(外環道)を合わせた「首都圏3環状道路」の中で最も内側のリングが最初に出来上がることになる。  中央環状線のうち、首都高速道路会社と東京都が共同で建設中の3号渋谷線(大橋ジャンクション、目黒区)~湾岸線(大井ジャンクション、品川区)間の延長約9・4キロ(品川線)が完成し、全線がつながる。品川線は大半がトンネル。同日に現地で開通式典が開かれ、午後4時に供用を開始する。品川線は全長約47キロの中央環状線の南端に位置する。事業費は約3100億円。


2015年1月20日火曜日

岩手県/東日本大震災復興事業の記録『復興の歩み』作成/建協らが写真提供

 岩手県は、東日本大震災の発生直後から14年までに取り組んできた復興事業や経済再生などの取り組みをまとめた冊子「いわて復興の歩み」=写真=を作製した。震災の被害と教訓を風化させないようにするための取り組みの一環。冊子はA4判25ページ(オールカラー)で、震災の被害状況や復興工事の進ちょく、地域経済を再生するための取り組みなどを紹介している。
 日本語版5万部と英語版5000部を刷り、県内外の復興関連イベントなどで配布する。
 11年3月から14年11月までに行われた復興事業や式典、法改正などの歩みを一覧表にまとめたほか、復興事業の進ちょくを交通、観光、雇用、医療などの分野ごとに示した。東北地方整備局や岩手県建設業協会などが写真を提供した。
 3月に仙台市などで開かれる国連防災世界会議でも冊子を配布する予定。問い合わせは復興局復興推進課(電話019・629・6945)まで。

東急建設/技研で親子向けイベント開く/乗っても壊れない紙の橋製作

 東急建設は17日、相模原市中央区の技術研究所で親子向けの体験イベントを行った。東京急行電鉄グループが実施している「とうきゅうキッズプログラム」の一環。10組20人の親子が参加し、壊れにくい橋を紙で作ったり、実験室に入ったりした。  冒頭、小林昭人取締役兼常務執行役員管理本部長は「(イベントを通じて)東急グループへの関心と、建設業やものづくりへの興味を持っていただきたい。この中から東急建設に入社したいという子が出てくるとうれしい」とあいさつした。  参加した親子は、ミニカーやペットボトルを載せるため、形や強度を変えながら紙の橋を製作=写真。最後には子どもが乗れる紙の橋を完成させた。風洞実験室、人工気象室、音響実験室も見学。風速11メートルの風を体験したほか、残響室と無響室で音の違いについて学習した。人工気象室では、クイズで日本の最低・最高気温を確認した上で、41度の室内に入った。無線操作による工事体験では、タワークレーンを使ってブロックを積み上げ、東京・渋谷の渋谷ヒカリエの模型などを完成させた。  最後に沼上清執行役員技術研究所長は「将来の建設マン、建設ウーマンに出会えたかもしれない。ぜひ東急ファンになってほしい」と呼び掛けた。

2015年1月19日月曜日

凛/三井不動産商業施設本部・荒井みゆきさん/ママ目線でこだわりの空間

世の中の役に立っていることを実感できる仕事がしたい-。
 就職活動ではその思いを胸に、最終的に総合デベロッパーを選んだ。「顧客のビジネスや地域の人たちの暮らしを側面的に支援し、さまざまな仕事と人が結び付く不動産業に魅力を感じた」。
 入社後は住宅、商業施設部門を中心に開発事業に関わってきた。提供する不動産や空間を通じてユーザーの日常と非日常をどう彩れるか。商業施設も行くだけでみんなが楽しく過ごせる機能や仕掛けをつくり込む。
 こだわりの施設づくりを進める上で、2年前の出産が大きな転機となった。育児休業中に息子を連れてショッピングセンターやアミューズメント施設を巡り、商業施設も「まだまだ快適に、楽しくなる可能性がある」と再確認。「ママ目線」を積極的に取り込んだ施設・空間を具体化しようと構想を練った。復帰後、会社に提案した企画「ママwithららぽーと」が採用された。
 社内のママ社員が集まり、子育て世帯が抱える悩みやニーズについて意見を出し合いながら、プロジェクトリーダーとして施設の機能や魅力を高める施策をまとめる。子供を産んで主婦の大変さをあらためて実感した。「子育てに追われるママが少しでもハレ感を味わえる施設を提供したい」。
 育児と仕事の両立に悩みながらも、ママに寄り添う商業施設の開発に奔走する毎日だ。(商業施設営業部営業グループ主事、あらい・みゆき)

サークル/五洋建設華道部/「四季折々、季節感を楽しみながら学ぶ」

 五洋建設の公認部活動の一つである華道部。その歴史は古く、代表を務める経営企画部秘書グループの河村淳子さんは「記録に残っていないので正確には分からないのですが、昭和50年代中ごろから活動しています。社員の行儀、作法の向上を目指してスタートしたようです」と創部の背景を説明する。
 現在、部員は7人(14年10月時点)。活動は月3回の稽古が中心で、社外から先生を招き、雑談も交えながら和気あいあいと生け花に取り組んでいるという。「お花に触れることで、四季折々の季節感も堪能でき、楽しみながら学んでいます」(河村さん)。
 春と秋の年2回、本社ビルのロビーで展示会を開いている。昨年12月には、クリスマス花材を使った稽古や正月花材による生け方講習を企画するなど、季節のイベントに応じて活動内容にも変化を持たせている。
 稽古で生けた花は社内各所に飾っており、社員から感想を寄せられることも多い。稽古がない週には「お花がないと寂しいね」と声を掛けてもらうこともあり、部員の励みになっているという。
 部員は随時募集中。「生け花に関心はあっても、なかなか入部するまでには至らない」(河村さん)のが悩みの種で、男女問わず積極的な参加を呼び掛けている。

中堅世代-それぞれの建設業・78/しつこくても言い続けて守る

現場では危険に慣れてしまうことが怖い
 「まさか俺が…」。
 道路の区画線や標識など交通安全施設の工事を手掛ける建設会社に勤めて20年になる亀田清二さん(仮名)は、その瞬間のことを忘れることができない。
 道路のセンターラインを機械で引いている時だった。塗料と一緒に散布するガラスビーズのことが気になった。よく見ようと前かがみになった時、いきなり大きな衝撃を受けて体が飛ばされた。自分では気が付かずに体を反対車線に出してしまい、走ってきた車にはねられたのだ。
 不幸中の幸いで大事には至らなかったが、後からもし当たり所が悪かったらと思うたびに冷や汗が流れた。この経験は会社で管理職となった今も大きな教訓にしているという。
 亀田さんは大学を卒業後、塗料メーカーに就職した。配属されたのは建築塗料を販売する部署。代理店ではなくエンドユーザーの建築塗装会社とじかに接しているうちに、職人の世界に興味を持つようになった。一念発起して転職することを決心し、それまで顧客だった建築塗装会社に頼んで修行を始めた。大学を卒業してもう4年がたっていた。
 ところが、大学を出てメーカーに数年勤務してから職人を目指し始めた自分と、10代から修行を積んできた職人との腕の差はあまりに大きかった。しかも景気低迷で仕事は激減し、1週間も現場に出ないことも珍しくなくなっていた。ちょうど結婚を考えていたころでもあり、収入の落ち込みに悩む日々が続いた。
 そんな時、塗料メーカーで一緒に働いた同期のS氏から声が掛かった。「親父(おやじ)が経営する会社にいずれ俺も戻るから、先に入っていてくれ」。
 この会社が現在の勤め先だ。以前から二人は「一緒に何かをやろう」と話していた仲だった。
 「会社の主要業務である道路区画線の施工は、現場が毎日変わり、仕事の手離れがいい。この目まぐるしさが、もともとも飽きっぽい性格の自分には合っていたと思う」
 先代社長は区画線の施工機械を使い勝手も考えて自作するなど開発精神に富んだ経営者だった。この社長の後を継いだのがS氏。同期の間柄ということもあって「最初は社長として敬う気持ちは薄かったかも」と亀田さんは振り返るが、「経営者としての働きぶりはすごい」と素直に感じている。
 会社の事業は順調に推移している。だが、利益が上がらない厳しい時期もあった。区画線に使う新塗料が発注機関の積算単価と合わず、施工すればするほど持ち出しが増えていった時は「さすがに先が見えなかった」という。
 亀田さんは現場に出る社員に、安全管理を徹底することだけは口を酸っぱくして言っている。供用している道路での仕事はすぐ横を車が高速で走り、常に危険を伴う。いつ後方から車に追突されるかも分からない。しかし現場で作業をしているとその状況に慣れてしまい、さらに疲れてくると注意散漫になりがちだ。
 「現場で頑張っている皆に小言など言いたくないが、安全管理についてはしつこく言ってやらないと分からない」
 会社でS社長を支える番頭役の亀田さん。現場で事故を経験した唯一の社員としても、「引き締めるべき時は引き締める」ことが会社での役割だと考えている。

駆け出しのころ/西松建設執行役員土木事業本部副本部長・梅田一成氏

 ◇先輩から受け継いだ技術を伝承  小学5年生の時、社会科見学で球磨川水系の荒瀬ダム(熊本県)に行きました。このダムの施工者は西松建設で、他にも球磨川水系で多くのダムを施工していると聞き、将来はこういう仕事をしてみたいと思うようになりました。  そうして大学で土木工学を学び、入社試験は西松建設だけを受けました。入社できてすぐに配属されたのは、小学生の時に憧れたダム現場。ですが、本体工事ではなく原石山の工区でした。  続いて担当したトンネル工事では、掘削後に地山の変位が収束しないため、基準点が移動してしまい、毎日がセンター測量の連続でした。これには大変苦労しました。後で知ったのですが、全国でも珍しいトンネルで、今後こういったことはないからと教えられました。  それから本社の土木設計部に配属されたのですが、海外の地下鉄工事が最盛期になるということで、その現場に赴任して設計を担当しました。  地山が悪いため、坑内から薬液注入を行って掘削するトンネル工事で、私がその地盤改良の設計をしました。ところが順調に掘削が進んでいたある日、路面電車も走る地上のメーン道路が陥没する事故を起こしました。幸い、けがをされた方はおらず、すぐに復旧できたのですが、道路や電車を利用されている方々や事業者に多大な迷惑を掛けてしまいました。  陥没の原因を調べてみると、潮の干満が影響していたことが分かりました。大潮の日、地盤に注入した薬液も流れてしまっていたのです。トンネルは海岸線からかなり離れており、もともと干満の差があまりないところでもあったため、そこまでは考えが及びませんでした。土木構造物は自然状況をよく把握し、施工面のことも十分に考えて設計しなければならない。それを大きな教訓として学びました。  これまで多くの先輩から仕事のやり方や安全管理などについていろいろなことを教えてもらってきました。何か起きた時にどう対処するかも含め、今後も社内の施工技術委員会を構成するダム、トンネル、シールド、明かりの4委員会などを活用し、若い人たちに技術を伝統として引き継いでいきたいと考えています。  現場の職員は大変忙しく、人手が足りない状態です。検討事項だけでなく情報量も多く、以前とは異なる質の高さが求められています。だからこそ、基本に沿った安全と品質の管理を行うことが必要なのです。  (うめだ・かずなり)1979年中央大理工学部土木工学科卒、西松建設入社。06年中国支店次長、08年横浜支店次長、10年関東土木支社副支社長、12年土木事業本部副本部長、13年執行役員。熊本県出身、60歳。
最初に配属された現場で、近くの猟師が射止めたクマと(後列中央が梅田氏)

2015年1月16日金曜日

仙台市でどんと祭開く/ゼネコンら各社参加

 宮城県など東北各県の神社で小正月に行われる恒例の伝統行事「どんと祭」が14日に開かれ、仙台市に事業所を構える多くのゼネコンや設備会社などが参加した。
 無病息災や家内安全などの願いを成就させようと、白い鉢巻にさらしを巻いた半裸姿の参加者らが冬の寒空の下、市内を行進。県内最大規模となる大崎八幡宮(仙台市青葉区)の境内にたかれた御神火を目指し、黙々と歩を進めた。

鹿島/協力会社の技術者・技能者の処遇改善策を拡充/マイスター認定制度新設

スーパーマイスターのヘルメット
 鹿島は、協力会社の技術者・技能労働者の処遇改善に向けた取り組みを拡充した。同社の建設現場で働く優秀職長を「鹿島マイスター」に認定し、1日1000円の日当を別途支給する。15年度に約500人を認定する。16年度にマイスターの中からさらに優秀な職長約100人を「スーパーマイスター」に認定し、日当を3000円上積みする。既存の報奨金制度も見直し、対象をベテランから若手に拡大。毎年度約200人を選定し、10万円を支給する。
 マイスター制度の対象は、主要職種であるとび工、土工、型枠大工、鉄筋工、左官と一部重機土工の職長。現場所長の推薦に基づき各地域の支店長が認定する。一度認定されると特段の事情がない限り、満60歳の定年を迎えるまで手当の支給を継続する。認定者は現場で着用するヘルメットにそれぞれ専用のステッカーを貼る。
 将来のマイスターを目指してもらうため、優秀技術・技能者報奨金制度「E(エクセレント)賞」を見直した。「新E賞」は、対象を主要職種の若手と内装仕上げ、設備、専門工事の職長とした。E賞は99年の創設から14年間で延べ8604人(実人数4380人)が選ばれているという。
 協力会社の採用活動の支援ツールとして、昨年4月に作成した仕事内容を職種別に紹介するDVD(6枚)のダイジェスト版、建設現場で働く女性技能労働者7人が登場するDVDも新たに作った。

新潟県/建設業新分野進出優良事業で馬場工務店表彰/菓子類の製造販売展開



高橋部長から賞状を受ける馬場社長(右)
 新分野に進出し優れた成果を収めている地元建設企業をたたえる新潟県の「建設業新分野進出優良事業表彰制度」の14年度表彰式が15日、庁内で行われた。受賞者は菓子類の製造販売を手掛ける馬場工務店(新発田市)。式典で高橋猛土木部長は「新事業のさらなる売り上げアップと地域の雇用創出に期待しています」と述べ、馬場亨社長に賞状を贈呈した。
 同制度は13年度に創設、表彰は今回が2回目。馬場工務店は、10年に株式会社しばうま本舗を設立して、手作りのカステラやドーナツなどの製造販売を開始した。聖籠町の自社店舗や県内スーパーのほか、高速道路のパーキングエリアや東京都渋谷区の表参道新潟館ネスパスでも販売中。新潟県内大手スーパーのウオロクではほとんどの店舗で売られている。
 主力商品のカステラは、低価格でおやつ感覚で味わえるものを多数用意。県特産のイチゴ、越後姫や洋なしのレクチェを加えた新製品を開発・販売したところ、新たな新潟名物として好評を得ている。しばうま本舗の本年度の売上高は1億円を超える見込み。新分野進出により、自社のリクルート活動にも好影響が現れているという。

2015年1月15日木曜日

文科省/ナショナルトレーニングセンター(東京都北区)拡充整備/新施設設計へ

 文部科学省は、2020年東京五輪に向けて国内トップ選手の強化拠点となる「ナショナルトレーニングセンター(NTC)」の拡充に乗りだす。既設のNTC(東京都北区)に隣接する都有地を活用し、五輪とパラリンピックの出場を目指すトップ選手の共同利用を基本とした新NTCを増設する方針。14日に閣議決定した15年度予算案に同事業の基本設計費などに1億円を計上した。施設内容や規模などの詳細は未定で、スポーツ団体など関係先の意見を踏まえながら今後詰めていく。
 文科省は、各種スポーツの競技レベル向上の一環で、NTCや国立スポーツ科学センター(JISS)など、トップアスリートの強化・研究活動拠点のあり方を検討する有識者会議を14年5月に設置。9日に開いた3回目の会合で最終報告案をまとめた。
 同案では、北区西が丘3丁目付近にある既設NTCに隣接する都立産業技術研究センター別館跡地(敷地面積約1・3ヘクタール)を活用してNTCを拡充整備することを「選択肢の一つ」と明示した上で、既存施設の有効活用の可能性などを考慮する必要性を指摘した。これを受け、文科省は14年度末をめどに既存施設を有効活用するケースとの比較検討を行った上で、増設する新NTCの設計作業に15年度から入る予定。用地取得に向けた都との交渉も同年度から本格的に始める見通しだ。
 既設のNTCは、屋内トレーニング場(延べ2万9000平方メートル)、屋内テニスコート(敷地面積3400平方メートル)、陸上トレーニング場(同2万2000平方メートル)、宿泊施設(延べ1万8000平方メートル)などで構成している。

TOTO/日本在住外国人にトイレアンケート実施/洋式化や操作性の向上求める

 TOTOは、日本在住の外国人600人(10カ国・地域)を対象に、トイレに関するアンケートを実施した。それによると、日本の公共トイレで洋式トイレを選択すると回答した割合が83%に達し、日本の公共トイレで困ったことの1位が「和式トイレの使い方が分からなかった」。外国人が多く訪れる2020年東京五輪開催を控え、トイレの洋式化の必要性があらためて浮き彫りとなったとしている。
 洋式トイレを選んだ理由として、3割以上に当たる32%が「温水洗浄便座がある」と回答。同社の主力商品であるウォシュレットを含む温水洗浄便座への支持が外国人の間でも広がっていることが分かった。一方で、「さまざまな操作ボタンの役割が分からなかった」と表記の不備を指摘する声も多く、外国人の使用も想定した操作性の向上が求められていることも明らかになった。
 同社はアンケート結果を受け、「洋式化」「操作性の向上」「ウォシュレット(温水洗浄便座)完備」が日本の公共トイレに求められていると結論付けている。

NIPPO/HPに特集「道づくり進化させる特殊機械」

 NIPPOは、同社ホームページ(http://www.nippo-c.co.jp/)の「ビジュアル特集」第3弾として、「道づくりを進化させるNIPPOの特殊機械~機械エンジニアの機械開発への情熱~」を15日からアップした。同社が挑んできた「機械化施工」の取り組みと機械エンジニアの「情熱」を紹介。過酷な状況を乗り越え、道を切り開いてきた先人たちの努力を、今後の業務展開やモチベーション向上に役立てる。  特集には、▽軟弱な地盤との「苦闘」▽経済大国・日本への「使命感」▽強靱(きょうじん)なコンクリート舗装への「執念」▽円滑な道路交通を支える技術の「探求」▽地球との共生はNIPPOの「真髄」▽無限に広がる機械エンジニアの「創意工夫」―の六つのエピソードを掲載。特殊機械誕生の背景やポイント、関連機械などを多くの写真やイラストを使って分かりやすく解説している。  企画・制作に約1年を費やした。「(開発当時の)機械エンジニアはいろいろな特殊機械を試行錯誤し築き上げてきたが、若い社員はできたものを使うユーザー感覚になっている。先人たちの努力や、確かなものづくりを広く知ってほしい」(総合技術部)。  ビジュアル特集は、11年7月に第1弾「環境に優しく、災害に強い道づくり・まちづくり」、12年5月に第2弾「日本の道づくりとNIPPO」を掲載。道はどうあるべきか、同社が何をしてきたかをイラストや年表などで紹介している。

2015年1月14日水曜日

新潟建産連/白山神社で工始祭開く/工事安全と業界安泰祈願

 新潟県建設産業団体連合会(新潟県建産連、本間達郎会長)は13日、一年間の工事の安全と建物が永遠に栄えることを祈念する年頭恒例の「工始祭・匠始(たくみはじめ)の儀式」を、新潟市の白山神社で開いた。
 新潟県建設業協会の幹部や、新潟県建産連加盟の各建設産業団体の代表、来賓の高橋猛新潟県土木部長、梅澤眞一新潟労働局長代理の長谷川文雄労働基準部健康安全課課長らが、この一年の建設工事の安全と業界の安泰を祈願した。
 神社本殿で行われた祭事では、神官によるおはらい、祝詞奏上の後、古式ゆかしい装束をまとった新潟市建築組合連合会の会員8人による匠始の儀式が行われた。
 長さ3メートル余りの白木の神木に鋸(のこぎり)をひく「鋸の儀」、神木の両側に分かれて墨を指し、墨付けを行う「墨指し、墨付けの儀」に続いて、神木を整える「釿打(ちょうなうち)の儀」を行った。この後、若手の氏子が神木に鉋(かんな)を引く「鉋の儀」を行い、工始祭・匠始の儀式を無事終えた。工始祭は、匠始の儀式として同連合会が数十年来絶えることなく続けている古式ゆかしい新年の祭事。

福岡ソフトバンクホークス/ファーム本拠地球場新築(福岡県筑後市)が起工

 福岡ソフトバンクホークスは、「ファーム本拠地球場(仮称)新築工事」の建設に着手した。9日に福岡県筑後市津島の現地で安全祈願祭が行われ、事業者、設計者、施工者の関係者多数が出席し、工事の安全を祈願した。設計・監理は久米設計と大成建設、施工は大成建設が担当。16年春(一部は16年6月)の竣工を目指す。
 式典では、刈初之儀を王貞治福岡ソフトバンクホークス取締役会長、穿初之儀を安東直久米設計常務執行役員設計本部設計長、杭打之儀を繁治義信大成建設常務執行役員がそれぞれ行った。
 ファーム本拠地球場(約7・2ヘクタール)は、プロ野球の福岡ソフトバンクホークスが選手を育成するためのファーム専用球場(2軍)で、メーンスタジアムとサブスタジアムの野球場、屋内練習場、クラブハウス、選手寮で構成。施設は3階建てで、最高高さはスタジアムが16・2メートル、屋内練習場が23・0メートル。
 メーンスタジアム(約1・3ヘクタール)、サブスタジアム(約1・1ヘクタール)は、両翼部が長さ99メートル、センター部が長さ122メートル。メーンスタジアムの座席数は約3000席、照明灯6基を備える。メーンスタジアムは16年3月中旬、サブスタジアムは同6月の完成を予定している。クラブハウスは延べ2070平方メートル、選手寮(合宿所)は延べ1924平方メートル、室内練習場は延べ5806平方メートル。いずれも16年2月の竣工を目指す。

無電柱化民間プロジェクト実行委/公式キャラクターの名称決定

 無電柱化を推進する無電柱化民間プロジェクト実行委員会(絹谷幸二代表理事)は、公式キャラクターの名称を「無柱(むちゅう)君」に決定した。一般公募で寄せられた3254件の中から選んだ。

「無柱(むちゅう)君」
無電柱化を進めていることが分かりやすく、「むちゅう」が誰からも愛される愛嬌(あいきょう)のある響きを持っているというのが選考理由。無柱君は今後、実行委のホームページなどで活躍していく予定。

2015年1月13日火曜日

清水建設/初釜茶会と書き初め開く/CSR活動、鎌倉女子大が協力

 清水建設は6日、横浜市西区のみなとみらい21(MM21)地区で運営するオフィスビル「横浜アイマークプレイス」の1階エントランスロビーで初釜茶会と書道パフォーマンスを開いた。同社の展開するCSR活動の一環。テナント入居者やMM21地区の来訪者に、季節感あふれるイベントでおもてなしを演出する企画。昨年のクリスマスには演奏会を開いた。  この日は鎌倉女子大学の協力で、生徒が新年らしく初釜と書き初めを披露した。参加したのは茶道部9人と書道同好会5人。書道パフォーマンスでは縦1・4メートル、横5メートルの紙に、大きな筆を駆使して楷書や篆書(てんしょ)など複数の書体で干支やMM21地区にちなんだ文字を書き上げた=写真。初釜茶会では見物客も参加し、和服姿の茶道部員がお点前を披露した。清水建設は今後も、季節に合わせたイベントを企画する考えだ。

今年に節目迎える企業/ナカノフドーと植木組が創業130周年

 ◇三機工業は90周年  2015年も、建設業界では多くの企業が創業や設立からの節目を迎える。ナカノフドー建設と植木組は共に1885(明治18)年の創業で、今年が130周年。関東大震災の2年後、1925(大正14)年創業の三機工業は4月に90周年を迎える。道路舗装会社や専門工事会社、建設コンサルタントなどでも、節目を迎える企業は少なくない。市場環境の変化が激しい中、各社はそれぞれの節目を機に次への飛躍を目指す。  民間信用調査会社の帝国データバンクがまとめた「周年記念企業調査」によると、15年に10年刻みで節目を迎える企業は全国で約15万社に達する。建設業では10周年が5042社、50周年が8669社、100周年が94社などとなっており、商業施設の物件開発が主力で、1875年のガラス商創業を祖とするスペースは、140周年を迎える。  ゼネコンのうちナカノフドー建設は1885年に中野喜三郎氏が石材工事業「中野組」を東京で創業。稲田御影と呼ばれた白御影石を使い、日本橋や国会議事堂、旧帝国劇場など数多くの著名なプロジェクトに関わった。植木組は植木亀之助氏が土木建築請負業として会社を創業したのが、中野組と同じ1885年だった。  設備工事会社では、4月に90周年を迎える三機工業が、1925年に旧三井物産機械部を母体として産声を上げた。当時の日本は建物の近代化が進み、空調や給排水、電気など建築設備の需要が増加。工事技術の進歩も目まぐるしく、創業から6年後の1931年には東京・有楽町に建設された三信ビルディングに本社を移し、その地下には同社が開発した「三機式ビル用焼却炉」が日本で初めて設置されたという。  建設コンサルタント業界では、エイト日本技術開発が創業60周年、三井共同建設コンサルタントが同50周年を迎える。エイト日技は1955(昭和30)年に松江市で八雲測量社の社名で創業。三井共同は三井グループ20社の共同出資で1965(昭和40)年に創設された。  このほか、前田道路は前身の高野組が1930(昭和5)年に創業してから85年となり、前橋市を拠点に空調設備工事業を展開するヤマトは10月、1945(昭和20)年の創業から70周年を迎える。  建設関連業以外で周年記念を迎える企業のうち、最も長い歴史を持つのは室町時代に起きた応仁の乱の2年前、1465年に創業した本家尾張屋(京都市中京区)。菓子屋として商いを始め、江戸時代中期にそば屋も営み、現在までに16代続く日本有数の老舗企業だ。創業250年のエスエス製薬(1765年)、同170年の日本紙パルプ商事(1845年)なども周年記念企業に名を連ねている。

2015年1月9日金曜日

日鳶連/国交大臣室で「祝い木遣り」披露

 日本鳶工業連合会(日鳶連、永井克弘会長)は8日、太田昭宏国土交通相を新年のあいさつで訪ね、大臣室で伝統の労働唄「祝い木遣り」を披露した=写真。
 木遣りは、建設機械がなかった時代に大勢の労働者が資材を人力で運ぶ際、力を一つに結集させ士気を高めるための「呼び声」として1200年代に始まったとされる。
 木遣りを披露したのは、日鳶連の地方組織に当たる神奈川県鳶工業連合会文化部に所属する木遣り師。張りのある伸びやかな声で歌い上げた。
 あいさつした永井会長は、国交省が力を入れる技能労働者の処遇改善の取り組みに謝意を示した上で、今年で設立から50周年を迎える日鳶連の今後の活動への協力を求めた。
 太田国交相は「建設産業は現場の力が一番大事だ。皆さんには大変期待しているので、今年も連携していい仕事をしていきたい」と激励した。

宮城県女川町/女川駅周辺地区、3月21日に街開き/JR石巻線も運転再開

建設中の「女川温泉ゆぽっぽ」
 宮城県女川町は、3月21日にJR女川駅周辺地区の街開きを行う。同日に、駅舎との合築で建設を進めている温泉温浴施設「女川温泉ゆぽっぽ」がオープンし、JR東日本もJR石巻線の浦宿~女川間の運転を再開させる。東日本大震災で甚大な被害を受けた同駅周辺地区では、復興土地区画整理事業が進められており、その中で初弾の街開きとなる。記念式典や女川町復幸祭の実施が予定されている。
 同町は、女川駅周辺地区を町の中心市街地として位置付けており、駅前広場から海へとつながるプロムナードをシンボル空間として整備する。来年秋にはプロムナードの供用が開始され、駅前商業エリアもオープンする予定。水産業体験施設や、地域交流センター、テナント型商店街などの整備も進められる。
 基盤整備に当たっては、都市再生機構が支援を実施。CM(コンストラクション・マネジメント)方式により受託した鹿島・オオバJVが調査・設計・施工などを一体的に手掛けている。女川温泉ゆぽっぽは、設計は坂茂建築設計が、施工は戸田建設がそれぞれ担当している。
 JR東日本は、東日本大震災で被災して不通となっていた浦宿~女川間の復旧を、復興まちづくりと一体的に進めてきた。同区間の運転が始まることで、石巻線は全線再開となる。

JIA関東甲信越ら/法相に要望書提出/旧豊多摩監獄正門(東京都)の保存を

 日本建築家協会(JIA)関東甲信越支部(上浪寛支部長)と同保存問題委員会(安達文宏委員長)、同中野地域会(安達治雄代表)は、「旧豊多摩監獄正門」(東京都中野区)=写真=の保存を求める要望書を上川陽子法相に提出した。旧豊多摩監獄は、旧司法省に在籍した建築家・後藤慶二(1883~1919年)が設計した。1915年の竣工当時からあるれんが造の正門は、小ぶりだが細部まで作り込まれた作品で、要望書は「日本の近代建築史にとって、最も重要な遺産の一つと言っても過言ではない」としている。
 後藤は35歳で死去し、旧豊多摩監獄正門が唯一の現存作品。1983年に刑務所が閉鎖された際、日本建築学会などの要望により、正門だけが保存された。
 旧豊多摩監獄の敷地には現在、法務省矯正研修所東京支所が建設されており、17年までに都内にある法務省関連施設と共に立川基地跡地昭島地区(東京都立川市、昭島市)に移転・集約する計画だ。移転後の跡地は中野区に売却。区は小学校を建設する予定だ。
 法務省は正門の保存について検討中としており、要望書では、中野区と共に具体的な保存方法を検討するよう求めている。

2015年1月8日木曜日

国交省/離島定住人口増加へ有識者懇設置/1月16日に初会合、有効な施策検討

 国土交通省は7日、離島の定住人口を増やすために有効な施策について有識者から意見を聞く懇談会を16日に発足させると発表した。
 ハード関連では官民双方の投資による交通インフラ施設や空き家を活用した住宅の整備が柱になる見通し。懇談会の設置期間は定めていないが、2023年3月末までの時限立法として改正された離島振興法に基づいて自治体が策定した計画の目標を達成できるような施策を検討し、展開する考えだ。
 新設する懇談会は「離島の定住環境に関する有識者懇談会」。座長には観光地域づくりプラットフォーム推進機構の清水愼一会長が就く。
 国交省によると、全国の人口は1955年から98年までに約4割増えたが、離島の人口は半分以上減っている。こうした傾向に歯止めを掛けるため、懇談会を設けて定住人口の増加につなげる施策の検討に参考となる意見を聞くことにした。
 離島の定住人口の増加は、昨夏に策定された国交省版の「まち・ひと・しごと創生対策」にも位置付けられ、定住を促す支援制度を創設することが盛り込まれている。

三機工業/15年版カレンダーが全国カレンダー展で金賞など受賞

 三機工業が制作した15年版カレンダー「Growing Mother Tree 伸びゆく実りの大樹」=写真=が、日本印刷産業連合会(日印産連、稲木歳明会長)などが主催する第66回全国カレンダー展で、部門金賞と日印産連会長賞をダブル受賞した。  4月に迎える創立90周年をコンセプトに、樹齢90年の大樹が次の100年に向けて枝葉をさらに茂らせるイメージを表現。日本画家の野地美樹子さんと、グラフィックアーティストの谷口広樹さんのコラボレーションで作品を完成させた。印刷は大日本印刷が担当した。  全国カレンダー展は1950年に始まり、民間企業や印刷会社、出版社が制作するカレンダーの中から、企画力やデザイン力、印刷技術に優れた作品を選んでいる。今回は658点の応募があり73点が入賞。特別賞として経済産業大臣賞や文部科学大臣賞、同社が受賞した日印産連会長賞などの受賞作品が選ばれている。  入賞作品を一般公開する展示会は、13~17日に東京都中央区の東京銀座画廊美術館で、21~29日には大阪市中央区のペーパーボイス大阪でそれぞれ開かれる。

アサノ大成基礎エンジ/越ホーチミン工科大と技術交流/就業体験受け入れも

 ACKグループの事業会社で地盤調査や解体工事などを手掛けるアサノ大成基礎エンジニアリング(東京都台東区、重松伸也社長)は、ベトナム・ホーチミン工科大学と技術交流を実施する。ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国と日本の大学が連携し、社会・経済発展に貢献できる工学系人材を育成する「ASEAN工学系高等教育ネットワーク」の枠組みを生かし協力関係を構築。今後5年間にわたって技術交流を行う同意書と、インターンシップ(就業体験)実施の覚書(MOU)を昨年末に交わした。  技術交流では、同大学の研究者とアサノ大成基礎エンジの技術者が参加する交換プログラムをまず5月に実施する。同時期にワークショップも開催。共同研究や学術文書、論文の情報交換なども進める。同大学の学生がアサノ大成基礎エンジでインターンシップを行う取り組みは来月の実施を予定している。  同ネットワークは01年4月に設立された。2年間の準備期間を経て国際協力機構も支援する形で留学や共同研究などのプログラムが実行されている。アサノ大成基礎エンジによると、同プログラムの枠組みを活用し、大学と民間企業がMOUを交わしたのは今回が初めてという。

2015年1月7日水曜日

日建連/一般向けにパンフレット作成/環境への取り組みPR

 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)は、建設会社が行っている環境関連の取り組みを一般の人に知ってもらうためのパンフレットを作成した=写真。「建設業の環境への取組み」と題し、二酸化炭素(CO2)排出量の削減、建設廃棄物の削減、生物多様性の保全の三つを柱に、さまざまな活動・対応を紹介している。
 一般を対象に環境関連の取り組みを総合的に盛り込んだパンフレットを作成したのは初めてという。5000部発行し、3000部は昨年の環境関連のイベントで配布した。
 建設業の役割として、ダムや橋、超高層ビル、港湾・空港などの建設や津波対策などを紹介。その上で、重機の省燃費運転、ゼロ・エネルギー・ビルの建設、廃棄物の発生抑制・再使用・再資源化、自然環境への配慮などを写真入りで分かりやすく説明している。
 近く会員企業に配布し、イベントや教育研修などで配布・利用してもらいたいという。
 問い合わせは日建連環境部(電話03・3551・1119)へ。

国交省/1月16日から下水熱ワークショップ/利用促進へ全国3カ所で

 国土交通省は、下水道に潜在する熱エネルギー「下水熱」の利用を民間都市開発事業者に促すワークショップ(WS)を1月に全国3カ所で開く。下水熱利用の導入事例や事業採算性の試算についての報告や意見交換が行われる。16日に愛知県豊田市(ホテルトヨタキャッスル華の間)、20日に大阪市(トラストシティカンファレンス新大阪)、22日に千葉県浦安市(浦安市民プラザWave101大ホール)で開かれる。
 一般の参加も可能。大阪、浦安両会場への参加応募は事務局の三菱総合研究所のホームページで13日まで、豊田会場への参加応募は事務局の豊田市のホームページで7日まで受け付ける。いずれも参加は無料。大阪、浦安両会場の募集は会場の定員に達した時点で締め切る。豊田会場は応募者多数の場合、抽選を行う。
 下水熱は、1500万世帯分の冷暖房を1年間動かせる潜在量があるとされる。今後、都市部のビルでは、新設・改修に合わせて冷暖房などの熱源として下水熱の利用が増加すると国交省はみている。従来は必要な情報が不足していたため利用実績がほとんどなかったが、同省は利用可能量を表示する地図や利用の手引の作成などに取り組んでいる。

東京都/浜離宮庭園に迎賓館復元へ/15年度予算案に調査・設計費計上

正面から見た「延遼館」(当時)
東京都は、来年度から都立浜離宮恩賜庭園(中央区)で日本式の迎賓館の復元作業に入る。明治時代に存在した迎賓館「延遼館(えんりょうかん)」を復元し、外国からの要人などをもてなす宿泊施設として活用する。舛添要一知事は6日の定例会見で「15年度予算案に延遼館跡での測量や発掘調査、建物の設計費用として約1億円を計上する」と発表した。着工時期は未定だが、2020年までに完成させる見通し。
 延遼館は木造平屋1430平方メートルの建物で、1869年に国内初の迎賓館として竣工。1879年にアメリカのグラント大統領が滞在するなど、海外からの多くの賓客をもてなす際に使われたが、1889年に老朽化によって解体された。
 都内には、国が管理する洋風建築の「迎賓館赤坂離宮」(港区)があるが、舛添知事は昨年3月の都議会で「外国の方々をおもてなしできるような伝統的な日本的な迎賓館があることが望ましい」と表明。2020年の東京五輪で使う競技場が多く建設される臨海部に近く、日本庭園がある浜離宮庭園内に新たに迎賓館を整備することを決めた。
 舛添知事は6日の定例会見で「浜離宮庭園は良い立地にある。東京五輪大会中に臨海部で競技を観戦した方を船でお連れすることも可能だ」と説明。基本的に外国からの要人の宿泊施設として活用することを想定しているが、都民への貸し出しなども検討するとした。

2015年1月6日火曜日

建設11団体が賀詞交歓会/日建連・中村満義会長「成果出す1年に」

新年の決意を表明する中村日建連会長
 日本建設業連合会(日建連、中村満義会長)、全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)など建設業関係11団体主催の新春賀詞交歓会が5日、東京都港区の東京プリンスホテルで開かれた。業界団体幹部、来賓の太田昭宏国土交通相、竹下亘復興相ら約1300人が出席。中村日建連会長は「防災・減災、技能労働者の処遇改善、担い手確保・育成に向け業界が一丸となる年だ。一致協力して諸課題に取り組み、しっかり成果を出す1年にしたい」と決意を示した。
 中村会長は、太田国交相が昨年末の第3次安倍内閣発足後の記者会見で、国土強靱(きょうじん)化や防災・減災の必要性を強調したことに触れ、業界として協力する考えをあらためて表明。その上で「国民生活の安全と経済活動の基盤となる社会資本の着実な整備のため、適切、安定的な公共事業予算の確保を」と要望した。
 太田国交相は「2020年の後も見通しが利くような予算編成に取り組み、皆さんが後輩を育て、頑張っていただける環境の整備に全力を挙げたい。現場で汗を流す人が尊いという日本をつくっていかねばならない」と語った。竹下復興相は「東京五輪の聖火ランナーが東日本大震災の被災地を走る。東北、日本の底力を世界に発信しないといけない」とあいさつした。
 乾杯の音頭を取った近藤全建会長は「昨年は将来に向けた具体的な活動を開始した1年だった。今年はその活動を推進、加速することが大事だ」と述べた。

15年仕事始め、各社トップあいさつ/追い風受け積極姿勢/存在価値高めよう

 2015年の仕事始めを迎えた5日、建設業界各社のトップは社員に年頭のあいさつを行った。国土強靱(きょうじん)化やインフラ更新、2020年東京五輪に向けた大型事業や都市開発など追い風が吹く中での新年のスタート。一方で、技能労働者不足や資機材の高騰など課題も多い。各社には、多様化する顧客や社会の要請に応えつつ企業を成長軌道に乗せ、業界を魅力ある産業にする努力も求められる。=4、5面に各社トップのあいさつ一覧  東京五輪のメーン会場となる新国立競技場本体工事の施工予定者となった大成建設の山内隆司社長は「スタジアムの完成に向け、持てる力を存分に発揮する」と決意を表明。同じく施工予定者となった竹中工務店の宮下正裕社長は「好調に見える今だからこそ、いま一度気を引き締めなければならない」と覚悟を語った。  4月に新中期経営計画をスタートさせる大林組の白石達社長は「新たな課題にチャレンジし続け、一人一人が誇りを持って仕事に当たってほしい」と呼び掛け、収益基盤の強化を誓った。清水建設の宮本洋一社長は「事業環境の向上に甘んじることなく、謙虚に着実に仕事を遂行していくことが肝要だ」と訴えた。鹿島の中村満義社長は「技術力とノウハウを生かし、質の高い仕事に取り組んで着実に成果を出す年にしよう」と強調した。  戸田建設の今井雅則社長は「業務改革を推進し、組織力と個人の力を着実に高める」と目標を設定した。昨年6月に就任した五洋建設の清水琢三社長は「事業拡大と経営基盤の強化に取り組み、名実ともに臨海部ナンバーワン企業を目指す」と表明。同じ昨年6月に就任した鉄建の林康雄社長は「建設業界になくてはならない企業へ存在価値を高めよう」と訓示した。  建築設計界では、1日付で就任した日建設計の亀井忠夫社長が「プレ・ポスト東京五輪の機会を捉え、質の高いパブリックスペースづくりを社会に提案していきたい」と宣言。日本設計の千鳥義典社長は「外部環境の変化に新しい視点で立ち向かい、自らの力で明るい未来を切り開こう」と呼び掛けた。  建設コンサルタント業界では、日本工営の有元龍一社長が、7月に始動する次期中期経営計画に向け、「技術と『人財』を成長のエンジンに位置付け、進化を目指す」と意気込みを語った。パシフィックコンサルタンツの高木茂知社長は「堅固な土台を築き、次の飛躍のための基盤を構築する1年として行動する」と事業拡大への積極姿勢を示した。  設備工事業界では、関電工の水江博社長が今年を「100年企業に向けていかに地位を確立していくかという課題に道筋をつける大切な年」と位置付けた。日比谷総合設備の野村春紀社長は「自信を持ってさまざまな困難に立ち向かい、着実に成果を上げていきたい」と抱負を語った。
社員に年頭の挨拶をする戸田建設の今井社長

2015年1月5日月曜日

土木学会/『行動する技術者たち』発刊/創立100周年記念で

 土木学会は、創立100周年記念事業の一環として『行動する技術者たち-行動と思考の軌跡-』(丸善出版)を発刊した。55人の技術者たちが事業を進める上で直面した課題にどう対応し、どう地域に貢献したかなどがつづられている。同学会教育企画・人材育成委員会「行動する技術者たち」小委員会(委員長・塚田幸広土木研究所研究調整監)が編集を担当した。
 技術者たちは、各種事業を進める上で、さまざまな課題に直面する。例えば交通手段としての自動車依存の割合を減らすにはどうすればよいのか。名古屋大学の森川高行教授は自治体やNPOなどと共同で「交通エコポイント」を創設した。本書ではこうした土木工学が本来持つ「市民のための総合工学」を実践している人たちの考え方やその施策の展開方法などが紹介されている。
 掲載されている55人は土木学会誌や土木学会WEBで紹介された人たち。この中には土木技術者ではないが、地域のまちづくりや環境保全などに腕を振るった中貝宗治豊岡市長や石見利勝姫路市長らも含まれている。
 A5判245ページ。定価は1296円(税込み、会員は1170円、送料別)。問い合わせは同学会出版事業課(電話03・3355・3445)へ。

鹿島道路/イメージキャラ愛称「かじまる」に決定/販促や地域貢献活動に登場

 鹿島道路のイメージキャラクター=イラスト=の愛称が「かじまる」に決まった。昨年10月に社名の一字「鹿」をイメージしたキャラクターを制作。愛称を役員・社員とその家族から募り、425通の応募の中から「かじまる」が選ばれた。今後、販売促進や地域貢献活動などに登場し、同社の魅力や特色をPR。さらなるメージアップを図っていく。

若年就業者の割合増加/29歳以下、14年は10・9%に上昇/総務省調査から

 ◇官民の取り組み奏功  若年層の建設就業者が16年ぶりに増加したことが、総務省が毎月発表する労働力調査で明らかになった。14年12月26日に同省が発表した11月の労働力調査のデータから国土交通省が暦年の建設業就業者の年齢構成(平均値)を算出したところ、平均就業者数503万人のうち、15~29歳は55万人で全体の10・9%と13年(10・2%)を0・7ポイント上回った。逆に55歳以上は171万人で34・1%となり、13年(34・3%)を0・2ポイント下回っている。  全産業では、55歳以上の割合が28・9%(13年平均は28・6%)、29歳以下は16・4%(16・6%)で、建設業とは逆に人材の高齢化が進んでいる。  建設業で29歳以下の就業者数をさらに細かくみると、14年1~11月の平均は、15~19歳が5万人(13年平均4万人)、20~24歳が20万人(17万人)、25~29歳が30万人(30万人)。20~24歳の階層は、12年の19万人も上回った。  若年層の割合が回復傾向となった背景には、建設投資が堅調なことに加え、国土交通省が13年4月と14年2月の2度にわたって公共工事設計労務単価を大幅に引き上げるなど技能労働者の賃金が改善していることもあるとみられる。  工業高校生を対象とした出前講座を実施するなど官民一体で若年入職者の確保に取り組んだことも奏功。「3K」(きつい、汚い、危険)など負のイメージがつきまとう建設業の魅力向上につながったようだ。  今年は4月に、昨年の通常国会で成立した「担い手3法」が全面施行されるなど、建設産業の担い手確保・育成の取り組みが本格的に実行に移される年になる。3法に沿った活動が定着することで、将来を担う若者の入職が一段と進むと期待する声も出ている。

2015年1月1日木曜日

鹿島/「輝ける旬の女性たち」紹介/『月報KAJIMA』特別版が好評

 鹿島が毎月発行している社内報・広報誌『月報KAJIMA』の6月号で同社の女性社員の活躍にスポットを当てた特集「輝ける旬の女性たち」が好評を集め、この特集だけを別刷りにした特別版=写真=が人気を呼んでいる。同社の現場で施工管理を担う技術職や研究職、営業職など12人をピックアップし、1日の仕事の流れや社内でのこれまでの歩みなどを紹介している。仕事と家庭を両立する秘けつなども語られており、建設業を志す女性にとっても役に立つ情報が満載だ。  6月号の特集では、「建築系現場監督」「営業ウーマン×設計グループ長」「開発事業を支える女性」「医療福祉に取り組む女性」「仕事・家庭を両立する女性」「夢の扉を開く研究者」「グローバルウーマン」「ダイバーシティ推進担当」のワークシーン別に計12人が登場する。  建築系現場監督では、東京都内の現場で働く若手3人の仕事に密着。営業ウーマン×設計グループ長では、中国支店で建築営業と建築設計をそれぞれ手掛けるベテランコンビの仕事の極意に焦点を当てた。一人一人に上司や取引先のコメントも付けられ、人物性がよく伝わる内容となっている。  特集抜刷は15ページ立て。3000冊を発行し、得意先をはじめ、国土交通省、内閣府、日本建設業連合会(日建連)などに幅広く配布した。日建連は、女性技術者・技能者の愛称を「けんせつ小町」に決定したほか、各社の現場で働く女性で組織する「なでしこ工事チーム」の登録も増えつつある。  女性の活躍に一段と期待が高まる中、特集抜刷は彼女たちの後に続く女性にとって新たなバイブルの一つとなりそうだ。