2015年2月24日火曜日

回転窓/しょせんは虫のまね

 ヒトのつくり出すものに真に独創的なものはほとんど存在しない。いずれも過去に存在したものの焼き直しであり、大なり小なり模倣である-。昆虫学者の丸山宗利さんが近著『昆虫はすごい』(光文社新書)にそう書いている▼昆虫は地球上に人類が誕生するはるか昔から繁栄してきた。だから、人間のやることなすことのほとんどは昆虫が先にやっているらしい。狩猟採集から農業、牧畜、建築、戦争も▼建設関連だとこんな例が挙げてあった。工事現場で危険箇所に張る「虎ロープ」。黒色に黄色や赤色模様で捕食者に有毒性を知らせるのは、昆虫界では定番中の定番だそうで、それを利用したのが虎ロープという。確かに、恐ろしいスズメバチの胴体の色を見れば納得がいく▼昨年、昆虫のクローズアップ写真で知られた小学生向けの「ジャポニカ学習帳」の表紙から昆虫が消えたと話題になった。「気持ち悪い」と苦情が相次いだためという。大先輩である昆虫に随分と失礼な話ではないか▼「万物の霊長」などと威張っていても、内実は虫のまね。そう考えれば、人間ももう少しは謙虚になれると思うが。

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