2015年3月25日水曜日

鉄道駅で進むホームドア整備/山積する課題への対応が普及拡大の鍵

東京メトロ東西線の妙典駅(千葉県市川市)で実証実験
が行われた「二重引き戸式大開口ホームドア」
大都市を中心に整備が進むホームドア。プラットホームからの転落や列車との接触を防ぎ、安全性を高める目的で普及が拡大している。2020年に五輪開催を控えた東京では、JR東日本と東京メトロがメーン会場となる国立競技場(東京都新宿区)の最寄り駅であるJR中央線の千駄ヶ谷駅と信濃町駅、東京メトロ銀座線の外苑前駅でホームドアの設置に着手する。国土交通省の調査によると、ホームドアは14年9月末時点で全国593駅に設置済みだという。安全対策の切り札ともいえるホームドアだが、設置を進める上では課題も残されている。
 ホームドアは、駅利用者の安全を確保し事故防止に貢献するだけでなく、列車の定時運行にも役立つ。ただホーム側のドア位置が固定されているため、車両の種類が異なる場合は運用が難しい上、車両の停止位置をホームドアと正確に合わせることも必要になる。新線の開通に合わせてホームドアを設置するのはハードルが低い一方で、既存駅に設置する場合、プラットホームを拡張したり、ドアの重さに耐えられる補強をしたりなど、時間とコストも想像以上に掛かる。
 国交省は、乗降客数が多い駅を中心に数値目標を設定してホームドアの設置を促す取り組みを推進。新しいホームドアを開発する動きも目立つようになっている。
 例えば神戸製鋼所は東京大学生産技術研究所と連携し、車両の長さやドア数に関係なく設置が可能な「乗車位置可変型ホームドア」の開発を実施。西武新宿線の新所沢駅で13年に実証実験を行った後、現在は「実用化に向けて耐久性やコストダウンなどの研究を進めている」(神戸製鋼所秘書広報部広報グループ)という。
 東京メトロも車両のドア位置や幅が異なる列車が複数運行している路線に対応した「二重引き戸式大開口ホームドア」の実用化を目指している。一般的なホームドアよりも開口幅を1メートル広くしているいのが特徴。東西線妙典駅で実証実験を行い、実用化に必要なデータを集めて、設備の改良・改善を進めるとしている。
 東京では、今後10年間で1日の利用者数が10万人を超える駅を優先し、ホームドアの整備を進める方針が打ち出されている。行政と鉄道事業者、そしてメーカーが連携を深め知恵を出し合いながら課題をどう克服していくのか、取り組みに注目したい。

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