2015年3月18日水曜日

建設産業で広がるUAV活用/現場管理やインフラ点検など用途探る/米国では飛行に規制の動きも

インフラ点検や現場管理などで活用が期待されている
 小型無人航空機(UAV)の活用が建設産業で広がっている。ラジコンヘリに比べて操縦が容易で安定性も高く、自らのタイミングで安価に空撮が可能なことなどが、普及を後押ししている。ゼネコンや建設コンサルタントが日常業務にUAVを活用。現場向け情報通信技術(ICT)ソリューションにUAVを組み込み、ビジネス展開を狙う企業もある。その一方で、無秩序な運用による事故や事件の発生を懸念し、米国では一定のルールを設ける動きも出始めている。
 建設業界の利用では、竹中工務店が16日、大阪府吹田市で施工中の大規模建築現場にUAVを導入し、工事記録映像の撮影や作業員への注意喚起に活用していると発表。今後、活用の水平展開を図るとしている。
 建設コンサルタントでは、ラジコンヘリの代替としてUAVを利用している。既にパシフィックコンサルタンツは、優れたホバリング性能を利用し「橋梁の三次元モデルを作るための撮影などに使っている」。応用地質は「昔は気球を使っていた空撮がラジコンヘリに代わり、今度はUAVになりつつある」と現状を説明する。ラジコンヘリに比べて操縦が容易な上、高速無線通信や高解像度画像撮影などの技術がめざましく進歩する中で、「UAVは大きな可能性を秘めている」と見る業界関係者は少なくない。
 現時点でUAVを飛ばすことに法規制はない。自主的に安全弁を設ける意味で「内規を設けて運用している」(パシコン)。その一方で「本当は都市部で使いたいが、絶対に落ちないとは言い切れないので、現時点では安全面で心配がない郊外での利用に限定している」という企業もある。商業利用を進める場合、操縦者の技術水準の確保、異常挙動などを防ぐ電波障害対策の確立、航続距離の延長や信頼性が高い自動飛行技術の開発などが当面の課題になる。
 政府は17日、大久保勉参院議員が提出したUAVに関する質問への答弁書を公表した。米国連邦航空局が2月にまとめたUAVに関する規制案を踏まえ、政府は「運用実態の把握を進め、公的な機関が関与するルールの必要性や関係法令なども含め、検討を進めていく」と説明。現時点で取り組みは緒に就いたばかりとの印象を受ける。
 米国連邦航空局が2月に公表した規制案は▽操縦者の視野内での飛行▽高度500フィート(約152メートル)未満での飛行▽夜間飛行の禁止▽プロジェクト関係者以外の頭上の飛行禁止―などが柱。この案に対し、米国では「商業利用を促進する立場から規制が厳しい」などの意見が出ているという。
 国際的な動向を受け、UAVの優れた点を生かすために日本で政府や民間企業がどのような動きを見せるのか、新しい産業育成や技術開発の側面からも注目する必要がありそうだ。

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