2015年4月2日木曜日

【回転窓】平等の難しさ


 東日本大震災の被災者と「平等って何だろう」という話になった。相手は狭い仮設住宅に家族4人で暮らしている。上の娘が小学6年生になり、思春期に入ってきたが、プライベートな空間を与えられない▼「仮設住宅内に空き部屋があるので使わせてもらえないか」。市役所に相談したが、答えはNO。基準にのっとると、子どもが中学生になるまでは広い場所には移れないという▼同じ広さの仮設住宅に一人で暮らす高齢者もいる。ルールの大切さは理解しており、部屋が全て埋まっているなら我慢するのだが…。息苦しそうな娘や空き部屋を見ていると何ともやりきれない▼仮設住宅を出る選択肢もあるが、いったん離れると元の街には戻らないかもしれない。復興街づくりに関わってきただけに、別の場所に移ることにはためらいがあるが、今のままが良いとも思えない。どうすれば-。そんな迷いの中にいるそうだ▼税金で運営する以上、一定の線引きの下で一律の対応が求められるのは当然。だが、それが本質的な平等につながらないこともある。それぞれ悩みを抱えながら被災地は5年目の春を迎えた。

仮設住宅のあり方を話し合う住民の方々

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