2015年4月6日月曜日

【駆け出しのころ】鉄建取締役専務執行役員土木本部長・大和修二氏


 ◇いくつもの達成感が自信生む◇

 大学4年の時です。同じ大学の大先輩が鉄建建設に常務取締役でおられ、その方から大学に、「翌年退社するので、後輩を一人採用したい」というお話がありました。私は就職活動に出遅れていたのですが、大学に来られた大先輩に教授の部屋で面接を受け、会社に入ることができました。  入社して、よみうりランド(東京)で行われた1週間の新入社員研修を終え、横浜支店に配属となりました。初日に支店長と昼食をご一緒し、これから勤務する現場の所長が迎えにきてくれました。当時は社員の平均年齢が27歳くらい。その所長も31歳と若かったのですが、大規模な現場を指揮する大所長でした。
 この現場は径2300ミリの水道管を埋設するシールド工事です。昼夜交代で稼働する現場の夜番を担当しました。機電屋さんとのペアとはいえ、夜番の土木は私だけ。今でも所長がそうした仕事をよく新人に任せてくれたと思っています。  夜番に体が慣れるまでは大変でした。仕事中につい眠くなって持っているペンを何本も落としたこともあります。一人で不安な時もありましたが、延長1100メートルのシールド工事をやり遂げることができた達成感は非常に大きかったです。それに私は結婚が入社2年目の春と早かったため、とにかくどうやって生活していくかで無我夢中に仕事をしていたように思います。
 20代後半には山岳トンネルの工事現場に配属されました。延長800メートルほどのトンネルです。一人で路線測量からすべてに携わりましたので、さすがに到達の1週間ほど前から胸がドキドキし、前の日は一睡もできなかったのを覚えています。到達した時は涙が出ました。そうした感動を味わっていくうちに、自分は建設業でやっていけるという自信にもつながっていきました。
 建設現場の仕事は長くても2、3年ほどで竣工という区切りを迎え、また次の工事へと移っていきます。同じ人と同じ内容の仕事をずっと続けていくのとは違います。現場が変わればまた新しい人と出会えます。
 もの造りは簡単ではなく、苦しいこともあります。失敗することもあります。しかし、若い人には完成した時の達成感と満足感をぜひ経験してほしいと考えます。一生懸命にやっていくうちに、いろいろなことを覚えて成果も出てくる。そして達成感を得て自信も出てくる。建設業の仕事というのはその積み重ねです。
 (やまと・しゅうじ)1974年金沢大工学部卒、鉄建建設入社。執行役員土木本部副本部長兼土木企画部長、同東京鉄道支店副支店長兼土木営業部長、常務執行役員東北支店長、取締役常務執行役員土木本部長などを経て、15年4月から現職。富山県出身、63歳。

「MM21横浜駅作業所」は約30年に渡る現場勤務の集大成。
(2003年2月)

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