2015年6月11日木曜日

【回転窓】復興後への説明責任

 劇作家の故井上ひさしさんの代表作の一つ『吉里吉里人』は、東北地方の一地域が日本から独立するという物語である▼卑わいな言葉が乱発される場面も多いが、地方のいら立ちから、独立の具体的手法まで、綿密な設計図の基に描かれている。状況は異なるが、東日本大震災からの復興と、本当の意味での持続的な地域への再生が求められている現在の東北と重なる部分を感じる▼被災3県で、16年度以降の復興財源のあり方に関する意見交換会が開かれた。福島県での会合後、内堀雅雄知事が「国としてどう対応していったらいいのか模索しているという実感を受けた」と話したのが印象的だった▼「福島の皆さんが『これなら復興できる』、全国の皆さんも『これなら支援しよう』と言ってもらえる案へ知恵を尽くしたい」とは浜田昌良復興副大臣の言葉▼井上さんの創作活動のモットーは「難しいことを易しく、易しいことを深く、深いことを面白く」だった。ユーモアを交えるような問題ではないが、集中復興期間後の東北により一層の関心が集まり、国民が積極的に動く。政府にはそんな発信を望みたい。


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