2015年8月10日月曜日

【回転窓】沖縄の戦禍と交通事情

 沖縄唯一の鉄道である都市モノレールが開業したのは、12年前のきょう10日。本土とは異なる食文化や風土を体験できる沖縄は、国内でも人気の観光スポットだが、モノレールが走るのは那覇空港~首里間のみ。ほかは鉄道が未整備なため、観光客は主にタクシーかレンタカー、バスで移動することに▼困るのは渋滞だ。沖縄の混雑時の車の時速は約13キロと3大都市圏より遅い。このため現在、那覇市~名護市間を1時間で結ぶ高速鉄道の検討が進む。実現すれば、県内の交流人口の増加に加え、名護市を中心とする北部圏域の活性化が期待できる▼地元の期待度も高く、沖縄県がパブリック・インボルブメントを実施したところ、県民から1万件を超える意見が。今後、沖縄の将来像を見据え、ルートを絞り込むという▼かつて沖縄には、総延長48キロの本格的な鉄道が存在した。1914(大正3)年に開業した沖縄県軽便鉄道で、那覇を中心に与那原、嘉手納、糸満をつなぐ3路線が運行していた。年間300万人を超す利用者があったが、あの戦争で壊滅した▼終戦から70年。沖縄の傷はいまだに癒えていない。


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