2015年9月14日月曜日

【回転窓】とどのつまり

 行き着くところを表す言葉に〈とどのつまり〉がある。いろいろと議論したが、結局白紙になったとか、中止になったとか、悪い結果の場合によく使う▼この〈とど〉は魚のボラのこと。ボラはクロダイやスズキなどと同じく、成長とともに名前を変える出世魚。幼魚はオボコやスバシリ、川に上るころはイナ、海に戻ったのをボラ、大きな成魚をトドという。成長して最後はトドになり、これ以上大きくならないというのがとどのつまりの語源という▼行き着くところという意味であれば、〈スズキのつまり〉でも〈ブリのつまり〉でもよさそうなものだが、あえて〈とど〉になったのは、江戸時代、庶民の食卓にボラが並び、親しみのある魚だったからという説がある。ただ、悪い結果に使われることを考えると、喜んで食べたかどうか▼ボラは秋の季語である。この時期、夕凪の水面を銀白色の腹を見せながら飛び跳ねるボラの姿をよく見かける。〈鰡ぼらの飛ぶ夕潮の真ッ平かな〉河東碧梧桐▼暑かった夏も終わり、秋も間もなく本番に。季節は確実に変わりつつあるが、列島を痛め付ける異常気象が気に掛かる。


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