2015年9月24日木曜日

【回転窓】シリア難民と安全保障

 「アレッポの石鹸」を愛用している。オリーブと月桂樹のオイルだけで作られていて、汚れはしっかり落とすが、洗った後も肌が突っ張らない。乾燥肌には持ってこいの自然由来の製品だ▼生産地は、内戦が続くシリア北部のアレッポ。西部をアサド政権軍が、東部を反体制派が支配していて、先日も反体制派のロケット弾による攻撃で多くの市民が犠牲になった▼大規模な反政府運動が起きて以降、情勢悪化に歯止めが掛からず、既に400万人を超える人々がシリアを脱出して欧州などへ。欧州連合(EU)加盟国は対応に苦慮しているようだが、難民として祖国を捨てざるを得ない人々の思いはいかばかりか▼「アレッポの石鹸」は、1000年以上前から特産品として輸出されてきた。製造方法は昔ながらの釜だきで、1~2年も熟成させるが、見た目は武骨で飾り気がない。生産するシリアの人々も、多くは伝統文化を大切にする素朴な人たちであろう▼こうした人々に救いの手を差しのべることこそ、世界の安全保障につながるのではなかろうか。集団的自衛権をちらつかせ、武力を抑止力とするよりも-。


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