2015年10月30日金曜日

【お菓子をくれなきゃ…】ハッピーハロウィンで、国交省がPR企画

愛知水と緑の公社の作品。
バイオマスパークで収穫したトマトでピザを作り、汚泥
肥料で育てたサヤエンドウなどで飾り付けた
 下水道とハロウィンがコラボレーション-。国土交通省は下水道ビジネスの多様化を図る一環として、民間事業者と共同で31日のハロウィンにちなんだ初のPR企画を開催した。下水道に含まれるリンや処理過程で出る汚泥などの資源を活用して栽培したカボチャの料理などの「ビストロ写真コンテスト」を企画したところ、29日までに計11作品が集まり、同日公表した。今後はパネル展の開催や書籍化などを検討。「食」の分野での下水道資源の普及拡大を目指す。

 11件の中には、水ingが神戸市などと共同で応募した「スイートコーン大収穫!」がある。カボチャと並びハロウィンを彩る代表的な食物のトウモロコシをリンを活用して栽培。その収穫祭やPRイベントの様子を収めた写真が応募された。

 このほかにも、下水汚泥を使って栽培された多種多様なカボチャ料理の写真が多数応募された。国交省は来年度以降もより広く周知されるようなバージョンアップを視野に、下水道ビジネスの多様化をPRするハロウィンとのコラボ企画を継続する方針だ。

【名付け親、急募!!】関東整備局が新ターミナルの名称募集中

16年春に開業する新宿南口交通ターミナルの完成イメージ

 日本一の乗降客数を誇る新宿駅。この巨大ターミナルの南口、国道を挟んで線路の真上で駅ビルやバスターミナルを整備するプロジェクトが進行している。鉄道と長距離・高速バスの乗り換えが楽になる「新宿南口交通ターミナル」は16年春誕生予定。事業を管轄する国土交通省関東地方整備局の東京国道事務所が現在、このターミナルの名付け親を募集しているのをご存じだろうか。

 最優秀賞に選ばれれば、あなたの付けた名前が地図に載ってしまう特典付き!!!!!日本一のバスターミナルの名付け親になれるチャンスは今回限り(かも)。

 応募方法は、東京国道事務所が配布しているチラシに付いているはがきを切り離し、必要事項を記入してポストに投函するだけ。チラシをFAXしても応募可能。チラシのダウンロードはこちらからどーぞ。

 真面目にいくか、ひねりを効かすか、はたまは別の路線を採るか…。どんな名前を応募するかはあなたのセンス次第!!!国内在住者であれば年齢や性別、国籍は一切不問。入賞者が決まるのは12月中旬。名付け親に決まれば、ターミナルのオープニングイベントに招待客として参加できる。人名や会社名はNGなのでご注意あれ。

 さて、どんな名前で応募するか…。たった今から、このイベントではブログ管理人と読者のみなさんはライバルです。

【回転窓】建設産業による地域振興


 2016年のNHK大河ドラマは、戦国時代最後の名将といわれる真田幸村を描いた「真田丸」。幸村の兄で初代沼田城主の真田信之は、城郭の大改修を手掛け、五層の天守閣を建造したことで知られる▼関東で五層の天守閣を持つのは江戸城と沼田城だけ。1682年に幕府の命で取り壊されるまで、天下の名城としてその威容を誇った▼群馬県沼田市では来年3月から市の中心部で「大河ドラマ展」が開かれる。市観光協会は、真田家の歴史や沼田城跡に整備された沼田城址公園、市の中心部を紹介するガイドを作成し、大河ドラマと併せた地域振興に力を注ぐ▼その沼田市に来春、建設職人を育成する訓練校が開校する。05年2月に合併した旧利根村の廃校を活用。短期実践型の研修を行い、若者が入職してもすぐに辞めてしまう現状を改めたいという。28日に現地で開かれた運営母体の会議は、担い手確保・育成に取り組もうと集まった同士たちの熱意にあふれていた▼大河ドラマと職人育成で、全国から注目される沼田市。建設産業による地域振興策が全国に水平展開できる取り組みになることを期待する。

【明るくポジティブに】建築家・遠藤秀平氏が国内初の個展、大阪で11月に

遠藤氏が提案した「新国立競技場Ⅱ」
 建築家で神戸大教授の遠藤秀平氏=写真上=の自作と世界中の建築ミニチュア、そして新提案「新国立競技場II」などを展示する「ENDO SHUHEI ワールド・ミニチュア・ワールド展」が、11月14~22日に大阪市北区中之島5の「de sign de >」で開かれる。遠藤氏の個人展はわが国では初めて。イタリアの出版社の招きで昨年6月、ミラノで開催された建築作品展はドイツ、フランス、英国などを巡回、今回がい旋帰国する。時間は午前11時から午後7時まで。

イタリア・ミラノで開催した展覧会
 会場で開くイベントとして13日、「みんなが知らない遠藤秀平を探す」をテーマに建築家の倉方俊輔大阪市立大准教授と遠藤氏が対談。21日には「建築家の対話-ミニチュア、住宅、ワールドをめぐって」について倉方准教授と建築家・島田陽氏、遠藤氏が語り合う。時間はいずれも午後6時から。



 遠藤氏は「より多くの人たちに建築に関心を持ってもらいたいと考え展示会を企画した」と開催目的を説明。「新国立競技場II」については「建築がわが国や世界に役に立てるチャンスなのに、ネガティブに語られすぎている。こういう時だからこそポジティブな提案を行うべきだと考え、自ら実践してみた」と語っていた。

【フタと侮るなかれ】大阪府がマンホールデザインコン!ネット投票受付中!!


 大阪府は、流域下水道事業着手50周年事業として、大阪府広報担当副知事「もずやん」とコラボした新マンホールふたのデザインを一般公募したところ、全国から208作品が集まり、優秀9作品を候補に選んだ。候補から最優秀作品を決定するインターネットなどの投票は、11月15日まで受け付ける。最優秀作品は16年1月ごろに発表する。

 デザイン公募は、下水道の役割の重要性や必要性を、より多くの人たちに知ってもらおうと企画。投票は誰でもできる。府下水道室HPにある「インターネット投票はこちら」をクリックし投票画面に移動、最優秀にふさわしい優秀作番号を選び投票する。下水道室事業課計画グループや3流域下水道事務所でも同13日まで投票用紙で投票できる。

【行ってみたいな】鉄道建築協会賞、作品部門最優秀賞は「北陸新幹線富山駅」

最優秀賞に選ばれた北陸新幹線富山駅
 鹿島を代表とするJVが施工した「北陸新幹線富山駅」が、鉄道建築協会(藤井隆文会長)が主催する第60回鉄道建築協会賞の作品部門(国土交通省後援)で最優秀協会賞に選ばれた。「明るく開放的な外観や立山杉をモチーフとした上家柱は、地元要望の駅舎コンセプト『立山あおぎ 心ときめく 光の舞台』を表現している。内装は地元の八尾和紙を使った光壁など、伝統工芸・材料を生かしたぬくもりのあるものとなっている」などと審査委員から評価を集めた。

 鉄道建築協会賞は、鉄道建築のデザインと技術向上に貢献したと認められる建築作品と論文業績が対象。作品部門には今回、81件の応募があり、審査の結果、最優秀協会賞1件、停車場建築賞1件、入選7件、佳作8件、推薦6件となった。

 最優秀協会賞に輝いた北陸新幹線富山駅は、鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部が工事を発注。設計はジェイアール西日本コンサルタンツ、施工は鹿島・佐藤工業・大鉄工業・日本海建興JVが担当し、北陸新幹線長野駅~金沢駅間延伸で3月14日に開業した。

 北陸新幹線ではほかに、金沢駅(施工=清水建設・大鉄工業・表組JV)が入選、飯山駅(施工=鹿島・りんかい日産建設・北條組JV)と新高岡駅(施工=佐藤工業・竹中土木・砺波工業JV)が佳作にそれぞれ選ばれた。

【何カ所行った?】寝心地がいいのは良い空港の証!?/空港情報サイトがランキング発表

海外の地方空港の〝のどかさ〟はそれでそれでいいのだが・・・
(写真と本文は関係ありません)
 みなさんは空港で一晩過ごしたことはありますか?世界で最も居心地がいいベスト空港はシンガポール・チャンギ国際空港、反対に最悪の一晩が過ごせそうなワースト空港はナイジェリアのポートハーコート国際空港―。世界の空港情報を掲載するウェブサイト「SleepingInAirports」が読者投票をもとに決定した2015年の世界ベスト/ワースト空港ランキングを発表した。

 空港ランキングは数多く存在するが、このサイトが特徴的なのは「寝心地」が評価ポイントに入っていること。レイオーバーのため空港ターミナルで夜を明かす経験の多い世界のバックパッカーお墨付き空港&絶対に利用してはいけない空港が掲載されている。ちなみに3位に羽田、17位に関空と日本勢も健闘している。

大林組が参画する「チャンギ空港複合施設」完成イメージ
 1位のチャンギ空港は各種空港ランキングの上位常連。サウナにジム、植物園や無料映画館・・・とにかくアトラクションが豊富で「12時間のトランジット待ち時間があっても退屈しない」とはある利用者のコメント。

 2位は韓国・仁川国際空港。無料シャワーに無料超高速Wifiなど旅行者の必須アイテムはもちろん、特に評価が高いのが熟睡できそうな巨大なリクライニングチェアーやリラクゼーションルームだとか。

 3位の羽田は空港設備の清潔さや都心からのアクセスのよさなど総合的に高評価だったようだ。ランキングを見ると、上位はアジアの空港が多い。台湾(4位)や香港(5位)、関空など東アジアに加え、マレーシア・クアラルンプールも9位だった。

 ワーストランキングを見ると、1位のナイジェリア・ポートハーコート国際空港は到着ロビーがテントで、「ターミナルすら存在しない」という。2位のキング・アブドゥルアズィーズ国際空港(サウジアラビア)、建物はきれいだが、「入国審査の行列が最悪!」とのコメント。3位ネパール・カトマンズのトリブバン国際空港は、「トイレに行かなくてすむように水分を控えた」とコメントがついていた・・・

空港を楽しむのも、海外旅行の醍醐味の一つ
(写真と本文は菅家ありません)
  アジアの空港がいかに恵まれているかが分かる結果だったが、旅行者の評価を見ていて感じたのは、建物や設備などハード面だけでなくスタッフが親切かどうかや入国審査やバゲッジクレームといったサービス面での満足度が旅行体験を大きく左右するということだ。

 日本企業による空港設備やターミナル、サービスのパッケージ輸出には大きなチャンスがありそうだ。

【バージョンアップでますます便利に】国交省、ETC2・0普及に本腰/東京モーターショーで来場者に積極PR

東京モーターショーの「ETC2・0 PRブース」=東京・有明の東京ビッグサイト
 国土交通省は30日から一般公開される第44回東京モーターショー2015(主催・日本自動車工業会)で、ノンストップ料金収受システム(ETC)の新バージョン「ETC2・0」の普及に向けたPRを本格化する。社会資本整備審議会(国交相の諮問機関)の道路分科会国土幹線道路部会が7月30日に中間答申した「高速道路を中心とした『道路を賢く使う取組み』」に基づき、その必需品となるETC2・0を来場者にPRする。東京モーターショーは11月8日まで、東京・有明の東京国際展示場(ビッグサイト)で開かれる。

 従来のETCが高速道路の料金収受を主目的としていたのに対し、ETC2・0は高速道路上に設置されたITSスポットと双方向に信号を送受信し、高速道路以外も含めた利用経路・時間・速度・加減速データの把握といった情報をやり取りする。ETC2・0をベースに同省が目指すのは、中間答申の表題にも明記した「道路を賢く使う」。渋滞路を迂回して走行したドライバーを優遇するサービスや、商用車の運行管理支援なども展開する考えだ。

経路情報を活用したサービスのイメージ図
ITSスポットの双方向通信機能はさまざまなサービスを生む可能瀬がある
ETC総合情報ポータルサイトより)
 たとえば、同一起終点区間に首都高速道路経由と、東京外郭環状道路経由の2ルートがある場合、都心を抜ける首都高ルートの方が料金は割安になっている。同省担当者は「ETC2・0は走行履歴からルートが把握できるので、混雑する都心ルートを走行しなくても、都心ルートと同じ料金に下げることもできる」と、混雑緩和に協力した場合の優遇措置に活用するという。

 将来的には政策的な料金体系として、「混雑しないルートの料金を引き下げることにつなげることも可能だ」(同)という。また同省のまとめでは、高速道路上で100キロ以上にわたってガソリンスタンドのない区間が全国で83カ所以上あるという。ETC2・0を使えば、給油のためにいったんに高速道路をおり、ガソリンスタンドを利用してもらって再び高速道路に戻っても料金が高くならない仕組みも可能だ。



「渋滞回避支援サービス」では、交通渋滞のリアルタイム情報を
使い、渋滞回避の最適ルートが選択できるようになる
(簡易図形㊤と静止画のイメージ、ETC総合情報ポータルサイトより)
 このほか渋滞回避(広域かつ高精度な渋滞情報)、安全運転(落下物や渋滞末尾、前方の気象事象)、災害時(通行止め時の適切な情報提供)といった情報をドライバーに適宜に提供するサービスもできるという。

 従来はDSRC(専用狭域通信)と呼ばれる通信技術で高速道路の料金収受システムを行っていたが、ことし8月から「ETC2・0」という名称の使用を開始。知名度アップを図るとともに、システムの普及を目指す。ただ、ETC2・0は従来のETCカード読み取り装置(車載器)を交換する必要するがある。価格は2~4万円と、従来のETC車載器の数千円と比べると高価だ。ETC2・0のデータを画面で表示させるには、カーナビゲーションシステムも対応させなければならない。古いナビゲーションシステムの場合、音声だけの案内になるという。

 ETC2・0の設置車両は今ところ60万台と、自動車保有台数の0・7%程度。同省では、「ETCも、休日上限1000円のような割引制度をきっかけに飛躍的に普及した」(同)と振り返るとともに、「価格が下がれば、普及も進む」(同)とし、自動車に関心の高い来場者が集まる東京モーターショーでの浸透に期待を寄せる。

2015年10月29日木曜日

【ひと】飛田鉄筋工業・松田優作さん「精度と品質を重視」


 ◇全国鉄筋技能大会初代日本一に◇

 「鉄筋を組み上げた後、15分間しっかりと見直しを行った。速さよりも精度や品質が重要だと思っていましたから。それが評価されたのではないですか」。10月17日に富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で行われた第1回全国鉄筋技能大会で、初代日本一に輝いた。
 
 幼いころの夢は自動車整備士になること。16歳で鉄筋工になったのは、整備士の専門学校に通う資金を稼ぐため。鉄筋工だった父親と一緒に現場に行き、こつこつとお金を貯めることだけを考えていた。

 親方や先輩から指示を受けながら少しずつ仕事を覚えていく。そのうち「鉄筋工で頑張ってみようかな」という気持ちが芽生えた。現場に出始めて2年過ぎた18歳の時だ。父親に相談すると、「この業界は厳しいからよく考えろ」と言われたが、気持ちは変わらなかった。ひたすら鉄筋を組み、24歳で職長に。「上司が担当していた班(職人5人で構成)を引き継いだのですが、プレッシャーでした。早く人から認められる仕事をしたいという気持ちでいっぱいでした」。

 優勝後にうれしいことがあった。久しぶりに担当現場に行くと、仲間たちが自分の指示通りに複雑な鉄筋を組んでくれていた。「どこの班にも負けない品質の良いものを提供するというのが今の一番の目標です。それを後輩にも伝え、自分の後輩が日本一になれるよう指導していきたい」。

 (まつだ・ゆうさく、埼玉県出身。32歳)


 

【1533億ドル=18・5兆円】英保険ロイズが災害経済損失推計、東京は…


 2025年までの10年間に、自然災害などが東京に与える経済損失は1532・8億ドル(約18・4兆円)-。このような推計が英保険市場ロイズの「シティー・リスク・インデックス2015-2025」で明らかになった。国内総生産(GDP)のうち災害で失われるとされる金額で都市リスクを評価したところ、東京は世界301都市の中で2番目に高かった。1位は台北の1812億ドル。大阪は793・2億ドルで8位だった。

 地震や洪水、暴風雨などの自然災害と、テロやパンデミック(感染症の流行)、サイバーアタックといった発生の予想ができない人的災害を加えた18種類のリスク要因ごとに損失額を算出した。301都市を合計すると、今後10年間の予想GDP373兆ドルのうち、損失額は4・6兆ドル。損失が大きいリスク要因は市場の暴落(1兆ドル)、パンデミック(5918億ドル)、暴風雨(5865億ドル)の順だった。

ビルが林立する東京都心部。経済損失の最大要因は「暴風雨」という
 ロイズは東京の経済損失について、年平均GDPの約1割がリスクにさらされていると分析。最も影響の大きい要因は暴風雨(290億ドル)だとしている。東京は、地震(188億ドル)や洪水(177億ドル)などを含む自然災害リスクの占める割合が大きいものの、市場暴落(229億ドル)など人的災害にも警戒が必要だとした。調査対象となった日本の13都市の損失額を合計すると3266億ドルだった。

 ロイズのインガ・ビール最高経営責任者(CEO)は報告書の中で、「今回発表したリスク指数を活用し、保険業界や各国政府、企業はレジリエンスの強化やリスク低減、インフラの保護につながる議論を始めてほしい」と話している。

【本番さながら】東京メトロが異常時総合訓練、190人参加

訓練には「お客様モニター」も参加。避難誘導訓練に取り組んだ

 東京メトロは28日、異常時総合想定訓練を東京都北区の南北線王子車両基地構内で実施した。同社社員と「お客様モニター」、東京消防庁の関係者ら約190人が参加。地下倉庫で実際のトンネル内に近い状況下で、大地震発生後の初動対応などを確認した。今回は初めてレール交換訓練も行なった。

 訓練の冒頭、安全統括管理者の山村明義専務鉄道本部長が「近年、気象災害の甚大化が目立ってきた。お客さまの安全を守ることが大きな使命であり、訓練を通して頭で理解し、体で覚え込ませ、暗く、狭い中でも確実に行動できるようにしてもらいたい」と参加者らに呼び掛けた。

損傷レールの交換訓練は今回初めて行われた
訓練では、走行中の列車が地震で脱線したと想定。事故発生時の負傷者の応急救護、避難誘導時の関係部門の連携対応、復旧処置のための点検作業などを実施。お客様モニター約40人も加わり、より実践的な訓練で社員の異常時対応能力の向上を図った。

【回転窓】民意の行き先


 居酒屋で隣り合わせた客と政治の話になった。安保法制のごたごたを例に「政治が有権者の声を聞いていない」というのが相手の主張。ちょっと違和感を覚えた。少なくとも今年は統一地方選の年。その結果が最も優先されるべき民意というのが日本の仕組みだ▼東日本大震災の影響で東北地方の被災地では地方選が続いている。先週末には宮城県議選があり、共産党の躍進が話題となった。ただ、過半数は割ったものの、自民党が圧倒的多数を占める状況は変わらない▼今回はむしろ、過去最低を記録した投票率にこそ、民意の本音が表れているようだ。さらに、もっと気になることがある。選択肢が狭いことである▼今月、宮城県女川町や岩手県釜石市の首長が無投票で再選された。両首長とも復興にリーダーシップを発揮しており、その手腕が認められての再選ではあろう。とはいえ被災地は将来の道筋を定める渦中にある▼何事もライバルがいてこそ質が高まる。現職が勝つにせよ、選挙戦を通じ議論が盛り上がる方がより良い方向へつながるだろう。選択肢があった上で勝つべき人が勝つ。そうあってほしい。

【変わる就活】学生、企業に新たな動き/遠方移動増加で交通費がネックに

合同企業説明会に参加する就活生

 学生が就職活動を行う範囲が広がっている。地方の大学に通う学生が首都圏で就活をしたり、首都圏の学生がUターンなどで地方の就職先を探したりするのは、交通費が重い負担になるが、遠方で就活をする学生に交通費を支援する大学や航空会社が現れ始めた。遠方の地域にある企業が、学生にとっては就職先として新たな選択肢となり、企業側にとっても採用選考する人材を多様化できるメリットがある。建設業界の人材確保にも影響が出てきそうだ。

 ◇学生の就活範囲、拡大傾向◇

 16年春の新卒採用に向けた企業による就職説明会が解禁された今年3月。東京都港区にあるホテルのホールには、リクルートスーツに身を包んだ50人ほどの学生が集まっていた。彼らは広島工業大学の建築工学科の3年生。東京で開かれる大規模な合同企業説明会に参加するため、団体で東京を訪れた「東京フライト」の一行だ。

 広島工業大では毎年、東京で開かれる就職説明会に建設系学科の学生がまとまって参加する東京フライトを実施している。交通費や旅費の一部を大学が負担。就職説明会の後には、宿泊するホテルでゼネコンなどの建設業界で働く卒業生を交えた懇親会があり、学生には人気のイベントになっているという。

 学生が東京フライトに参加する動機はさまざま。「ランドマークになるような建築物に携わりたいので、必然的に東京や大阪に本社がある大手ゼネコンを目指している」という大手志向の学生もいれば、「広島には企業が少ないので、東京で開かれる大規模な合同説明会でいろんな企業の話を聞きたい」という学生もいる。

 ◇地方大学、首都圏説明会に交通費◇

 地方の大学から、本社を東京や大阪などに置く大手企業への就職を目指す学生は少なくない。学生が首都圏で開かれる合同就職説明会に参加するために交通費などを支援する取り組みは、広島工業大のほかにも複数の地方大学で行われている。

 こうした支援の取り組みには、学生の負担を軽減することに加えて、就活意欲を高めてもらいたいという大学側の狙いもある。地方大学の学生は「首都圏の学生と比べて就活に動きだすのが遅い傾向がある」(地方中堅ゼネコン採用担当)ともいわれる。首都圏の就活生と一緒に説明会に参加させることで、地方学生の就活意欲に火をつけたいというわけだ。

 就活生の交通費負担を減らそうと、支援を行っているのは大学だけではない。札幌市に本社を置く航空会社のエア・ドゥは、就活生向けに独自の割引運賃を設定している。14年に始めたのが、北海道内の就活生を対象とした「就活支援割引運賃」。割り引くのは、東京(羽田)~札幌(新千歳)間など8路線で、東京~札幌間の運賃は、通常運賃のほぼ半額となる1万2000円。区間によっては、最大で69%と7割近い割引になる路線もある。

 就活生の支援を目的に運賃割引を行うのは、全国の航空会社の中でも同社が初めてだ。運賃割引は、大学が申請手続きを取れば、学生の利用が可能。14年は、就職説明会が集中する2~3月に割引を行った。

 同社の営業担当者によると、割引運賃は好評で、学生からは継続を希望する声が上がっているという。道内のある工業大学の就職課の担当者は「道内には理系学生が専門知識を生かせる就職口が少なく、道外での就職を望む学生は多い。運賃割引は学生の負担軽減になる」と歓迎する。

 ◇航空会社、両方向で割引運賃設定◇

 エア・ドゥでは、地方学生の首都圏での就活を支援すると同時に、首都圏などから地方に戻って就職先を探すUターン就職も支援しようと、15年度は割引運賃の対象を道外の就航地にある学校にまで拡大した。15年度の申請学校数は、道外が39校、道内が51校。割引運賃の適用期間を4月1日~6月30日とし、約7800席の利用実績があったという。

 Uターン就職に対する支援は北海道と連携した取り組みだ。人材を道外からも積極的に呼び込み、定住を促進することで道内の活性化を狙う。エア・ドゥの担当者は「交通費の負担が重いことを理由に道内への就職を視野に入れていなかった学生にとって、運賃割引は就活の視野を広げるきっかけになったのでは」と見る。

 徳島県では、新たな入札契約制度でUターン就職を促す。17年度からの入札参加資格の格付けでは、Uターン就職など、県外の学校を卒業した人を社員として採用した建設会社を加算評価する予定だ。こうした取り組みと併せて県は、地元企業へのUターン就職を支援する目的で、首都圏で県主催による県内企業の合同企業説明会などを開催している。

2015年10月28日水曜日

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)=日越共同で下水道整備セミナー

 建設省技術インフラ局は16日にハノイ市内で、日本の国土交通省と共に下水道整備に関するセミナーを開いた=写真。下水道分野の人材育成のほか、最新の下水処理技術や下水道整備のためのファイナンス・事業化手法などがテーマ。日本からは国交省下水道部や日本下水道事業団の幹部らが参加した。セミナーでは、両国の専門家らが事例を紹介した上で、人材育成方法や官民連携(PPP)の導入などで意見交換した。(10月18日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)=鋼構造ワークショップ開く

 国立土木工学大学(NUCE)の越日土木技術者協力推進センターは21日、ハノイ市の同大学で鋼構造物に関するワークショップを開いた。JFEスチールとの共催で、ベトナム建設科学技術院(IBST)が協力。両国から多数の政府関係者や研究者、建設関連企業が参加した。  ファム・クアン・ズンNUCE副学長は冒頭のあいさつで、「ベトナムは工業化・近代化に向けて重要な歩みを進めている。持続的な経済成長と社会発展を確実なものとするためには、最新のインフラを戦略的に整備する必要がある」と述べた。那須七信JFEスチール常務執行役員建材センター長は「これまでの経験や技術を生かし、ベトナムの建設・インフラセクターへ貢献したい」とあいさつした=写真。  JFEスチールは、ラックフェン港やホーチミンメトロなどベトナムでも多くのインフラ事業に関わっている。同社はこのほど、台湾企業がハティン省で実施する製鉄所プロジェクトに参画した。将来は、建設業界も鋼材分野で恩恵を受けることが期待されている。  NUCEはこれまで、同社と共同研究などを進めてきた。ワークショップは、両者の協力事業の一環として行われた。(10月22日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)=ハノイ市浄水場増強に着工

 ハノイ市人民委員会とハノイ・クリーン・ウオーター・サプライ社は22日、同市ドンアン郡のバクタンロン・バンチー浄水場の能力増強工事に着手した=写真。日本の政府開発援助(ODA)で建設された同浄水場は地下水を利用しており、主に紅河北部地区に供給している。今回の工事で、1日の処理能力を5万m3に増強する。  工事は16年上半期に完了し、同年夏には新たな水源からの供給を開始する。供給水量が増加すれば周辺地域の水不足が解消するほか、ハノイ市経済発展計画に沿って建設されている5号線沿いの導水パイプラインへの連結管としても機能する。(10月23日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)=外国客船向けふ頭強化

 韓国政府は今年の外国客船の観光誘致目標を120万人と設定し、2020年までに全国9港湾に専用ふ頭13隻分を確保するなどして大型クルーズ客船の誘致を積極的に進めている。しかし、既存ふ頭をクルーズ船向けに活用する際の接岸能力の算定をめぐり安全性の問題が提起されている。クルーズ船は容積トン基準であるのに対し、国内のふ頭は重量トン基準で設計されているためだ。  実際には接岸可能なクルーズ船の規模を臨時に設定して運営しているが、クルーズ船の搭乗人員があまりにも多いため、接岸過程で問題が発生すると大事故につながりかねないと懸念されている。  海洋水産部関係者は「クルーズ船はますます大型化する状況にあり、安全な接岸施設を確保することが外国クルーズ船の寄港を拡大する先決条件だ」とした。  海洋水産部は今後、全国のふ頭の実際の接岸能力をクルーズ船基準で公式算定し、これを基に係留施設などを補強・改善してふ頭の能力を向上させる計画だ。(10月13日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)=放射能セメ疑惑に業界困惑

 チャン・ハナ議員と市民団体が放射能検査結果を偽造した日本産廃棄物の輸入中断を促す記者会見を行ったことを受け、再び浮上した「放射能セメント」疑惑にセメント業界がため息をついている。疑惑の原因は、議員側に提出された放射能非汚染証明書と別途に出力された証明書の日付が漏落した単純なミスだったと判明している。  議員らはまた、国内で発生する石炭がらなどの廃棄物は、費用をかけて埋め立て・焼却する一方で、外国から同じ廃棄物を輸入するという不合理を改善するために、リサイクル可能な廃棄物の埋め立て・焼却の際に負担金を賦課する内容の資源循環法改正を要求した。セメント業界も資源循環法改正要求には共感している。追加の運搬費を自ら負担しなければならない国内廃棄物より、支援金をもらえる日本産を選択するほかはない境遇に置かれているからだ。  関係者は「セメント業界が韓国内の廃棄物などをより積極的にリサイクルして、将来世代の負担まで減らさなければならない」と強調した。(10月15日)

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)=系列会社間債務保証が減少

 公正取引委員会は15年の大企業グループ系列会社間の債務保証金額を発表し、前年から20.5%減少して7グループ・4628億ウォンだったと明らかにした。海外建設関連の債務保証は、海外受注不振の影響が大きく778億ウォンで前年比30.7%減だった。  一方、公共事業の債務保証は前年より6.4%増加して514億ウォンとなり、4年ぶりに増加に転じた。  大企業グループの系列会社間の債務保証は原則として禁止されているが、国家競争力強化や産業合理化などに関連した事業に対しては例外的に認められている。(10月19日)

【回転窓】農業の未来は

 北陸地方の農家から収穫したばかりのコシヒカリを頂いた。この秋は刈り入れ前の天候不良の影響で白く濁った粒が混じるなど「満足のいく出来ではない」という。お天気相手の商売の苦労を思う。それでも炊きたての新米の味わいは格別。香り、つや、弾力が違う▼環太平洋経済連携協定(TPP)で大筋合意した関税分野の全容が先に政府から公表された。日本の農林水産物の関税撤廃率は81%。守るはずだったコメなど重要5項目でも3割の品目は関税がなくなるという。農業者らの不安は当然だろう▼食料品が安く買えると期待する声も聞くが、口に入るものである。安ければよいという単純な話ではない。ただでさえ低い食料自給率はどうなるのか。農業は国土保全にも深く関わるだけに、安全上の問題も軽視できまい▼政府は、TPP対策を盛り込む15年度補正予算案の検討を始めた。来夏の参院選をにらんだばらまきにならないか、早くも心配する声が出ているようだ▼農業は担い手不足と高齢化が建設業以上に深刻。まじめに努力した農業者が報われる政策を取らなければ、流れは変わらないだろう。

【現場の即戦力を確保】外国人建設就労者、15年度受け入れ500人突破

 今年4月に始まった国土交通省の「外国人建設就労者受け入れ事業」で、同省が認定した企業の受け入れ計画を集計した結果、27日時点で本年度内に受け入れる予定の外国人技能者が500人を超えたことが分かった。計画の認定申請は増えており、本年度内の受け入れ予定人数も今後さらに膨らむ見通しだ。  受け入れ人数や賃金水準などを盛り込んだ適正監理計画は同日までに103社分が国交省から認定された。計画ベースで本年度から就労する外国人技能者は501人に達した。  16年度以降の就労者を計画に盛り込んでいる企業もあり、新制度を計画的に活用し、現場の即戦力を確保する動きも出てきた。  実際に入国(技能実習からの継続を含む)した外国人就労者はこれまでに98人。内訳は中国が76人と最も多く、ベトナム12人、フィリピン5人、ラオス3人、インドネシア2人と続く。  受け入れ規模は企業によって幅があり、多いケースでは数十人規模、少ないケースでは1~2人。地域別では、首都圏の企業が全体の4割程度を占める。  19日には、フィリピンから初めての入国者があった。5人の技能者が鉄筋組み立て作業に従事する。フィリピン政府は今回の受け入れ事業に対応したガイドラインを今夏に策定しており、今後は同国からの入国が増える見通しだ。  全体としても10月以降は計画の認定申請件数が増えており、国交省は「制度が浸透してきた」(建設市場整備課)と見ている。

【仕事と子育て両立支援】応用地質が次世代認定マークを取得

 応用地質は、次世代育成支援に積極的に取り組む企業として、厚生労働省東京労働局から次世代育成支援対策推進法に基づく「基準適合一般事業主」の認定と「次世代認定マーク」(愛称・くるみん)を取得した。認定日は9月24日。  同社は13年4月から15年3月までの期間、職員が仕事と子育てを両立しながら、その能力を十分に発揮できる雇用環境の整備を目指し、「一般事業主行動計画(第3次)」を策定し、実行してきた。今回はその取り組みが評価された。  2年間で実施した取り組みは、▽子どもの看護、子育てのための休暇取得制度の定着▽育児・介護休業法に基づく育児休業マニュアルの充実と、各事業所のワーク・ライフ・バランス窓口職員による説明や社内ネットワーク掲示を通じての産前産後休業などの各制度の周知▽男性の育児休業取得を促進するため、社内ネットワークを通じた取得事例の紹介と、さらなる制度の周知▽衛生委員会を通じた有給休暇の取得促進活動-の4点。  同社は活動のさらなる充実を図るため、「一般事業主行動計画(第4次)」を策定。15年4月1日から17年3月31日までの新たな取り組みとして、インターネットの交流サイト(SNS)を活用した社内育児コミュニティーネットワークを構築し、育児休業中の職員の支援体制を整備。期間中に2人の男性の育児休業の取得達成を目指す。  現在、役職員で組織する「ワーク・ライフ・バランス向上委員会」を立ち上げ、意識改革、就労継続、能力発揮の観点から働きやすい職場環境づくりを推進している。

2015年10月27日火曜日

【建設業の仕事が好き】東北建協連が建設業の魅力発信DVD

4人の女性が自らの言葉で、建設業の魅力を語りかける
 東北建設業協会連合会(東北建協連、佐藤博俊会長)は、建設業の役割などを広くPRするためのDVD「東北の明日へ~地域を守り、はぐくむ建設業~」=写真=を作成した。

 地域の建設会社で働く技術者らが仕事のやりがいなどを生の声で伝える内容。6000部用意し、東北6県の図書館や学校などへ配布を始めた。今後も広報活動に活用していく。

 DVDに登場するのは藤田建設工業の松浦有香里さん、庄司建設工業の黒川佳純さん、和賀組の菅原菜々美さん、大坂組の福士拓馬さんと嶋中章行さん。地域に根差した建設業の魅力をそれぞれの言葉で紹介している。

 重機のオペレーターをしている菅原さんは、完成した道路を通行した時に得られる大きな達成感を挙げ、「きついとかいう固定概念は無くして、楽しく仕事してほしい。(建設業の仕事が)好き」と笑顔で語る。

 福士さんは「地域の人からありがとうございますと言われた時にやりがいを感じる」と、仕事の充実感を伝えている。

【回転窓】IoTが導く未来は


 映画や漫画に描かれた未来の世界はどれだけ実現しているか。先週、1985年に公開された「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」(BTTFII)に登場した「2015年10月21日」が到来。多くのメディアが、あれは実現した、これは駄目だったと検証記事を書いていた▼空中道路に秒単位の天気予報、廃棄物で走る自動車…。空想の世界であるにもかかわらず、現時点で実現できた、あるいは実現できそうな事柄は意外なほど多い▼自動車の自動運転は開発が進んでいるし、暮らしに関連する技術でも、過去に想像できなかったことがこれからたくさん現実になるだろう▼26日付本紙が、民間企業600社が参画して「IoT推進コンソーシアム」が設立されたと報じていた。IoTとは、さまざまなものに通信機能を付け、自動制御や遠隔計測などを行うシステム。建設業界でもインフラ維持管理などへの活用が期待されている▼ちなみに、BTTFIIの前年公開の「ターミネーター」では、高度に発達した人工知能が世界を支配し、2029年に人類は絶滅の危機に-。IoTが明るい未来を導きますよう。

【地域支える仕事だよ】戦略的広報推進協、さいたま市内の小学校でキャラバン

模型を使い土砂災害を再現する藤井氏
 建設産業の社会的役割を工業高校以外の生徒・児童たちにも広く知ってもらおうと、官民協働の新たな試み(小中学校キャラバン)が始動した。国土交通省が建設業団体などと組織する建設産業戦略的広報推進協議会は26日、小学生向けの初の体験学習をさいたま市岩槻区の市立新和小学校で行った。6年生27人が参加。9月の関東・東北豪雨の体験談を聞いた児童からは「被災地に出動した建設業関係者はどれくらいですか」と、地域を縁の下で支える大人の仕事に関心を寄せる声が上がった。

 体験学習では、官民それぞれの立場で建設業に携わる専門家が小中学校に直接赴き、授業を実施する。建設業が地域の安全・安心の確保などにどう貢献しているのかを間近で伝えるのが狙いだ。

子どもたちから質問を受ける松縄氏
 この日、「建設業では、どんな人たちが働いているか」をテーマに授業を行ったのは、建設業振興基金経営基盤整備支援センター人材育成支援課の松縄修主任。松縄氏は、建設会社はものをつくるだけでなく、降雪時には道路の除雪作業に従事することなども伝えた。

 土木学会を代表して講師を務めた藤井俊逸藤井基礎設計事務所専務は「今回の体験学習で得た知識を家族や友人にも伝え、土砂災害に対する正しい知識を広めてもらいたい」と強調。土砂崩れの種類や発生メカニズム、その対策工法の考え方などを模型実験を通じて丁寧に説明していた。

 児童たちは、今年の修学旅行で栃木県日光市へ行った経験を基に、途中で通った高速道路や、山間部にあった砂防堰堤などの役割について、自分なりの考えも発表した。国交省関東地方整備局建政部の下岡壽建設産業調整官は「自分たちが住んでいる地域にどんなものがあるのかをよく観察し、その役割を考えるきっかけにしてください」と呼び掛けた。

 31日には、同市見沼区の市立春里中学校で同様のキャラバンが開かれる。小学生以上に将来の職業に対する関心が強い中学生に、どれだけ建設業の魅力を伝えられるか、関係者は工夫を思案している。

【記者手帖】ギャップを感じる時節

5月から単身赴任で東京に勤務している。月に数回の帰省では、取材先からそのまま羽田空港に向かい、札幌へ。少し前までは新千歳空港を出ると心地よい涼しさを感じていたが、10月に入ってからは飛行機を降りた途端に寒さが肌にしみる。本格的な冬を前に、東京とのギャップを強く感じる瞬間だ◆仕事でも感じるギャップは大きい。担当している東京都では、10億、20億円規模の工事が毎月、定期的に発注される。100億、200億円の案件もあり、桁を間違えたかと、ゼロを何度も数え直すことも。一方、4月まで担当した北海道は、冬季の施工が難しいこともあって上期に発注が集中。9月以降は発注が減る「秋枯れ」状態で、補正予算の編成要望が強くなる時期だ◆人材不足は全国共通の課題だが、首都圏の課題は事業量をこなすための人材確保。地方が欲するのは企業、業界を維持するための人材。人材を呼び込むための事業量の確保こそ喫緊の課題だ◆全国建設業協会が開催中のブロック会議でも、各地で予算確保への要望が強い。業界が冬の時代に逆戻りしないよう、地方への投資を急ぐべきだ。(堀)

【最前線で何が起きているのか】建設業「命」の現場で・7/第2章・住まいに明かりを-降り掛かる条件変更

宮城県女川町の「鷲神浜工区」。左がこれから掘削が本格化する堀切山
 東日本大震災の被災地では、被災者に1日でも早く住まいを届けようと奮闘が続く。宮城県女川町から、その一端を見ていく。

続きはHPで…

  (毎週火曜日掲載。ご意見・ご感想をメールでお寄せ下さい。東北支社・牧野洋久、mak@decn.co.jp)

2015年10月26日月曜日

【回転窓】温暖化対策で斬新な提案を


 地球温暖化問題が叫ばれて久しい。問題の大きさは分かっていても、その具体的な対策となると、それぞれの思惑が絡み、効果的な対策を取るのは難しい▼温暖化対策の国際的な枠組みを議論する国連の作業部会が先週、ドイツで始まった。報道によると、次期枠組みの骨格となる合意案からは、従来の先進国と途上国の二つに分けた表現が消え、すべての国が「国情に合わせて対応する」と書かれていた。これに途上国が反発。結局、従来通りの先進国、途上国の表現が復活したという▼温室効果ガス削減目標の設定は、自国の経済活動に大きな影響を与えるため、各国とも慎重にならざるを得ない。ただ、経済を優先させるあまり削減対策を先延ばしすれば、将来に大きなつけを回すことになる▼米国ではIT企業などを中心に再生可能エネルギーの調達を拡大する動きが相次ぐ。ハワイ州は全米で初めて2045年までに再生可能エネルギー比率を100%にする方針を決めた。こうした動きが着実に広がることが重要だろう▼環境対策は建設業界も大いに貢献できる分野。技術開発と斬新な提案を期待したい。

【ママ、だいじょうぶ?】NPO匠の右腕、仙台市で「ママと大工の秋祭り」開く



 宮城県などで大工の育成に取り組むNPO法人「匠(たくみ)の右腕」(代表理事・高橋渉栗駒建業社長)らによるイベント「ママと大工の秋祭り」が、14日に仙台市泉区のクリナップ東北支店前で開かれた。

 母と子で大工職人の指導を得ながらのこぎりで木を切ったり、かんな削りを体験したりしてもらうことで、大工仕事や職人を身近に感じてもらおうと企画した。初めての試みだったが、約170組の親子連れが訪れる盛況ぶりで、イメージアップにもつながったようだ。

 子育て世代の母親を支援するNPO「チルドリン」らを含めた実行委員会が主催した。

 近年は、女性の間でも日曜大工で家具などを作る「DIY」がブームになっており、母親も喜んで手を動かしていた。母子を対象としたイベントは、ネイルアートやアクセサリー作りなど女児向けになっているケースも多く、今回は木製のミニカーづくりも行うなど「男の子が楽しめるイベントになっていて良かったという感想も聞かれた」(高橋氏)という。

 次回は、11月24日に宮城県富谷町の成田公民館で同様のイベントを開く。1000人規模の参加を見込んでいるという。高橋氏は「職人の仕事はなかなか知られていない。大工のイメージアップになるよう活動を続けたい」と話している。

【BIM、ますます進化中】竹中工務店が鉄筋工事用ソフト開発

柱・梁接合部の鉄筋3Dモデル
 竹中工務店は、設計者から施工管理技術者、協力会社の鉄筋技能者までが活用できる鉄筋工事専用ソフト「鉄筋工事BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフト」を開発し、大阪・京都・神戸の教育施設や事務所、医療施設など9プロジェクトで適用した。設計段階で柱・梁接合部の鉄筋の納まりを3次元モデルで確認し施工計画を検討できるため、手戻りなどを防止できる。同ソフトの活用により、同規模・同種施設で比較すると鉄筋工事の生産効率を5~10%向上できたという。

 同ソフトは、同社が開発を進める「RC一貫生産支援システム」(RCS)の鉄筋工事分野を担う。従来、鉄筋工事の納まりの検討は、2次元CADで行っていたが、複雑な配筋ルールの反映、設計図やコンクリート施工図との調整など、完成までに多くの手間がかかっていた。加工図は、手描きや2次元CADで主に鉄筋工事協力会社が作成するため、鉄筋工事の職長に負荷がかかっていた。

 これまで構造計算時に作成するデータを活用した3次元での鉄筋納まり検討や、施工用の加工図作成などを簡単な操作で対応できるBIMソフトはなかったため、同社は2010年にソフト開発に着手した。

 新ソフトでは、構造計算時に作成する鉄筋の径や本数などデータを使い、設計段階では柱と梁の接合部納まりを3次元モデルで確認できるようにした。施工段階では、工事担当者がコンクリート施工図を確認し、鉄筋納まり検討図の作成と鉄筋工事施工計画を容易に検討できるようになった。

 さらに鉄筋工事協力会社の職長らは、システムを活用し、鉄筋1本ごとの継ぎ方や長さ、形状などを示した加工図と加工帳(集計表)を作成できるようになり、施工現場でも、データをタブレット端末やプリントアウトした図面で確認するようになった。

 このソフトの稼働で、データ入力の間違いによる手戻りを防ぐことができ、鉄筋工事の納まり検討、加工図の作成などの業務効率化を実現した。3次元で可視化できるようになったため、設計者と施工者の合意形成もスピードアップ。品質も向上できたという。今後、全国の同社設計・施工案件で本格的に適用していく。

 技能者が不足する中、同社では鉄筋工事協力会社と連携しソフト開発を推進し、さらに生産性の向上を目指す。将来的には、CAM(コンピューター支援製造)による自動加工への展開や設計監理者の検査業務への活用、鉄筋工事BIMソフトと設備BIMソフトと連携した梁貫通スリーブ位置の検討も視野に入れて研究を進める方針だ。

【凛】日比谷総合設備E&Sビジネス推進本部主任・根本由香さん


 ◇いつか唯一無二の存在に◇

 環境・エネルギー分野で、新たなビジネスモデルを模索する「E&Sビジネス推進本部」に所属している。建物の規模や築年数などの情報を入力すると、同種の建物とのエネルギー消費量の比較や設備の更新時期が分かる簡易診断ツールの製作に携わるなど、同社が目指す「ライフサイクル(LC)トータルソリューションの実現」に欠かせない存在になりつつある。

 入社12年目。さまざまな部署を渡り歩く中で、「提案営業の面白さ」に気付いたという。顧客のリアルな声を聞こうと、環境ソリューション分野で営業の最前線にいたころは積極的に客先に赴いていた。現在は、「一歩引いて、広い視野を持って建物のLCを考えることができている」と自己評価する。

 課題は、「論理的に考え、人に伝える技術の向上」。顧客が求めているもの、伝えたいことは何なのか。難しいことでも、筋道を立てて話すことを心掛けている。環境・省エネの分野はトレンドが刻々と変化するため、「国の政策には常に注意を払っている」とも。

 将来の目標は、「顧客にとって最適な提案を行うため、自身の経験値を上げる」こと。省エネニーズは顧客によって多様化しており、アプローチの仕方もさまざま。スキルアップには努力が必要だが、「自分がいないと仕事が回らないような存在になりたい」と目を輝かせる。

 (ねもと・ゆか)

【中堅世代】それぞれの建設業・114

苦労が多い分、やり甲斐も大きい
 ◇入社27年、仕事への冷めない情熱◇

 今の若手技術者は仕事に夢を抱けているか-。

 1988年に入社以来、主に産業空調の設計業務に携わってきた舘博史さん(仮名)。部下を束ねる立場になった今、入社当時、自らが抱いていたのと同じような仕事への情熱を若手にも持ってもらうためにどうすべきか悩んでいる。

 産業空調の仕事に就いたのは、バブル経済が崩壊する前後のことだった。他の産業の勢いが衰えていく中、元気があったのが半導体分野。製造設備の現場で技術とノウハウを磨いた。「案件が多すぎて家に帰れず、事務所に寝泊まりする日々が続いたこともあった」と当時を振り返る。

 ターニングポイントとなったのは、産業空調の設計業務に就いて最初に扱った案件だ。ある地方都市の半導体工場の立ち上げで、空調設備に加え、電気、給排水、内装など、建物本体以外すべての工事を請け負った。「ジャンルを問わずほとんどの仕事を請け負ったため、かけずり回って仕事をしていた。必死だった」。

 半導体工場に不可欠なクリーンルームを構築する際には、顧客の要求を満たすために材料を自分で吟味して調達し、工法も自分で考えて対応した。この案件が縁となり、同じ顧客から仕事をもらうこともあった。仕事で認められることの喜びを知った瞬間でもあった。

 日本の半導体景気が落ち着いた後は、海外の仕事も豊富に経験した。「言葉は通じなくても技術は万国共通」と信じ、中国、韓国、台湾と各地を渡り歩いてきた。「時代は違うが、今と比べると何もかもスピードが違った。特に、現場で経験値を積む速度は比べものにならない」。激動の時代を生き抜いたことが、現在の地位につながっていると思っている。

 今の若手技術者には、自分が歩んだような厳しい現場で学んでほしいと願うが、一方で「厳しすぎれば辞めてしまうこともある。根性論は通用しない」とも思う。仕事に苦労は付きものだが、「人を見て、どのタイミングで、どのぐらいの重みを与えるかを判断する必要がある」。

 やる気のある部下も多くいるが、「技術的に素晴らしいものを考案したとしても、コストや工期など多角的な視野がなければ、顧客を満足させることはできない。いずれ心が折れないか心配になる」とも。

 自分の入社当時を振り返ると、「携わる技術は新しいもの、初めてのものが多かった。それがモチベーションにつながっていた部分もあった」。

 そこで若手技術者には、「チャレンジ」させることを心掛けるようになった。若手のうちに、顧客との接点を多く持たせたり、海外拠点で働けるよう打診したり。「何かをやる前に物おじするのではなく、やった後に失敗してもそこから学べる人に育ってほしい」と思うからだ。

 「まだまだ若者に負けない気持ちはある。今から現場に出ろと言われたら、喜んで行くよ」。自身の仕事への情熱は、入社から27年たった今でも冷めてはいない。

【サークル】コベルコ建機 茶道部


 ◇相手を思いやり、どんな時も動じない心を養う◇

 コベルコ建機の前身である油谷重工時代の1960年、従業員が趣味を持つようにしようという声が上がり、茶道部が発足した。

 以来、半世紀以上の歴史を誇る伝統のサークルで、今年8月時点で12人の部員が在籍している。

 茶道の心得を示す「和敬清寂」をモットーとして、相手への思いやりや、どんな時にも動じない心を、お茶の稽古を通して身に付けている。「日々の業務が忙しい中でも活動に参加してもらい、『癒しの時間』を提供できるように務めている」と代表の水野里美さん(GEC企画部知的財産グループ)は話す。

 グローバルエンジニアリングセンター(広島市佐伯区)内にある茶室で毎週稽古を行っているほか、年始めには「初釜」を開催し、濃茶とぜんざいを楽しむのが毎年の恒例行事だ。五日市工場(同)敷地内で開かれるコベルコ感謝祭では、お茶席を設けて部活を紹介し、来場者にもお茶を振る舞う。

 業務優先のため、部員全員が顔をそろえることがなかなかできないのが悩み。

 「長い歴史のある茶道部を存続させるためにも、女子力アップや男子力アップを誘い文句に、部員の拡大を図っていきたい」(水野さん)という。

【駆け出しのころ】五洋建設取締役常務執行役員建築部門建築営業本部長・中満祐二氏


 ◇目標に向けどれだけ努力できたか◇

 就職活動では、大学の担当教授に「海外で仕事をしたい」と相談したところ、海外で多くのプロジェクトに参画している五洋建設を紹介していただきました。建築分野を伸ばしていく方針であることも伺い、「五洋建設でチャレンジしたい」と考えたのが入社のきっかけです。

 入社して最初は東京支店の建築現場に配属されました。約500床の病院を建設する工事です。新入社員でほとんど何も分からず、どんなことでも納得できるまで聞くようにしていたため、先輩からは「なぜなぜ兄ちゃん」と呼ばれていました。それだけ仕事を早く覚えたいと一生懸命だったのだと思います。

 国内の現場を5年ほど経験してから、香港で五洋建設が初めて手掛ける建築プロジェクトの「ラマダルネッサンスホテル建築工事」の担当となりました。当時はまだ、はだしで働く職人さんもいて、私たちの安全管理や工程管理、品質管理のやり方を伝えるのに苦労しました。同時に、言葉が通じなくても気持ちを伝えるコミュニケーションの重要性を学びました。

 香港で二つ目となる現場で所長を務めた後、帰国して技術研究所を移転するプロジェクトや、当社開発の全天候型自動化施工システムを初めて適用した日本橋浜町での建築工事などに携わりました。この工事では現場に近い商店の方から朝に「また一つ上がったね」などと言ってもらえるのが、近隣の皆さんにも応援されているようでうれしかったものです。建物が最高点に達してから、元旦に屋上で初日の出を拝みました。一緒に苦労してきた皆で見た日の出は、これからも忘れることはありません。

 入社して3カ月ほどたったころ、現場でこんなことがありました。雨の日の夕方、一人で外の掃除をしていると、それまでほとんど話したことのなかった所長が傘を差して出てこられ、私に「辞めんなよ。おもしろい仕事ができるようになるから」とひと言掛けてくれたのです。

 最初のころは、実はこのままでいいのかと悩んでいた時期でした。実際にこの言葉があったから、私は会社を辞めず、その後に国内外でいろいろ貴重な経験をさせてもらえることになったのだと思います。

 若い人たちには、ぜひとも明確な目標を立てて業務に取り組んでほしいと思います。たとえ結果が100%満足できるものでなかったとしても、目標の達成に向けてどれだけ努力できたかが大事です。それから、現場でも営業でも相手の話をうまく引き出すことが大切です。日ごろから意識して、質問力、会話力のアップに努めてください。

 (なかみつ・ゆうじ)1981年九州大工学部建築学科卒、五洋建設入社。建築部門建築本部建築部長、同建築本部副本部長兼建築企画部長、執行役員東京建築支店副支店長、取締役執行役員建築部門建築本部長兼安全品質環境担当などを経て、14年4月から現職。鹿児島県出身、57歳。

所長を務めた香港「シェル石油プラント工事」の地鎮祭で(中央)


2015年10月23日金曜日

【とことん応援します】国交省、女性活躍応援で新サイト


 国土交通省は、女性も働きやすい就労環境の実践事例などを大手ゼネコンから中小建設会社まで幅広く集めた「建設業女性の活躍応援ケースブック」として、23日から建設産業戦略的広報推進協議会のホームページ「建設現場へGO!」で公開した。

 ケースブックは「ヨコのつながりをつくろう」「働き方を応援しよう」「働きやすい現場をつくろう」「女性のキャリアを応援しよう」の四つに分類。同省の担当者が自ら取材した社内外の女性交流会、女性の活躍を応援する社内制度、女性専用トイレなど現場環境の改善、資格取得や管理職登用によるキャリア応援といった23事例を集めた。

 国交省は14年8月、5年で女性を倍増させる目標を掲げた「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を業界団体と共同で策定。これをきっかけに女性活躍を推進する機運が業界内では高まっている。ただ、「具体的に何をすればよいか分からない」といった声もあり、広く展開できそうな事例をケースブックで紹介。女性活躍の推進に向けた活動の参考にしてもらうことにした。

【頑丈なのさ】竹中グループ3社が「土木の日」見学会


 竹中工務店、竹中土木、竹中道路の3社は22日、土木学会関東支部との共催で、土木の日(11月18日)にちなんだ竹中技術研究所(千葉県印西市)の見学会を開いた。地元の印西市立原山小学校の5年生38人が研究所を訪れ、緊急地震速報の可視化や、れんがアーチ橋の製作などを体験した。

 小学生を招いた見学会は今年で22回目。冒頭、東野雅彦技術研究所長が「ここでは橋や建物を造るためにいろいろな研究をしています。きょうはれんがで橋を造ったり、実験室を見学したりして楽しんで下さい」とあいさつし、土木の日の由来を説明した。

 緊急地震速報の可視化体験では、重りとばねを使った実験装置で地震発生時に最初に観測されるP波と、P波が継続する中で観測されるS波の揺れの違いを体験。緊急地震速報の仕組みも学んだ。

 れんがアーチ橋作りにも挑戦。型枠の上にれんがを等間隔で並べ、その間に砂を詰めて長さ1・3メートル、幅0・4メートルの橋を作った。児童たちは完成した橋の上を歩いて出来栄えを確かめた。

 このほか、無響室と残響室で音の反射の違いを体験。風洞実験室では風速10メートルの風を体感した。

【観光シーズンだもんね、楽しまなきゃ】新潟県がダム周遊マップ作成


 新潟県魚沼地域振興局は、ダムマニア向けの観光地図「うおぬまダム周遊MAP」=写真=を作成した。魚沼市内にある七つのダムの諸元や撮影おすすめスポット、ダムライターの宮島咲氏執筆の「ダムの見どころ」のほか、周辺のガソリンスタンド、コンビニエンスストア、主要な観光施設や日帰り温泉などの情報をダム愛好家ならではの目線でまとめた内容になっている。

 七つのダムは、広神ダム(管理者・新潟県)、薮神ダム(東北電力)、黒又ダム(同)、黒又川第一ダム(電源開発)、黒又川第二ダム(同)、破間川ダム(新潟県)、奥只見ダム(電源開発)。

 管理者が自身のダムを紹介するパンフレットを作成した例は数ある。だが、異なる管理者のダムをまとめた観光マップは全国的に見ても極めて珍しい。

 ダム周遊MAPは2000部印刷。道の駅ゆのたに(魚沼市吉田1148)、道の駅いりひろせ(魚沼市大栃山356の2)、電源開発小出電力所(魚沼市小出島889)、東北電力長岡技術センター(長岡市美沢4の79の9)、魚沼市役所各庁舎、魚沼地域振興局(魚沼市大塚新田91の4)で配布している。郵送サービスは行わない。問い合わせは同振興局企画振興部(電話025・792・1303)へ。

【着々】リニア新幹線品川駅、南工区は大林組JVに

品川駅新設工事の施工位置図
JR東海は、リニア中央新幹線(東京・品川~名古屋間)の東京側のターミナル駅となる品川駅(港区港南)の新設工事で、南工区の施工者を大林組・東亜建設工業・熊谷組JVに決めた。指名見積もり方式で選定手続きを進め、21日付で契約を交わした。金額は非公表。先月16日に契約した北工区(施工者=清水建設・名工建設・三井住友建設JV)と同様に土留め壁構築と掘削工事までを行い、工程全体の前半部分を担当する。工期は21年2月10日まで。

 同社は品川ターミナル駅の工事発注に当たり、工事規模や施工難易度の高さ、長期にわたる工事期間中に想定されるリスクなどを総合的に勘案し、工期・工区を分けて契約することにした。

 柘植康英社長は22日の記者会見で「北工区と同様に東海道新幹線の直下で、工事の段取りが複雑で工期も長期にわたることから、契約に向けた協議に相当な時間を要した」と説明。2027年の開業に向けて「余裕のない厳しい工程の中で、引き続き工事の安全と地域に十分配慮しながら計画を着実に進める」と意気込みを述べた。

工事の施工フロー
品川ターミナル駅の工事範囲は既存の東海道新幹線品川駅の直下(対象エリア長さ約450メートル×幅約60メートル、敷地面積約3・5ヘクタール)。2工区の長さは南工区が約300メートル、北工区が約150メートル。地上からホーム階の深さは約40メートルとしている。

 新駅整備では、開削工法で新幹線駅を支える形で地下に構築するため、段階的に工事を進める。新駅両側に山留め壁を構築した後、東海道新幹線を通常運行させながら躯体部分の受け替え工事を行う。並行して重機で土砂を掘削・搬出しながら新駅の地下構造物を上から下に順次構築していく。構造物の完成後、掘り起こした部分の地盤を埋め戻す。

 品川ターミナル駅工事で残る構造物受け替え工事、掘削・区体構築・設備工事については両工区とも今後、別途発注する。発注方法(一括・分割)は未定。

 名古屋ターミナル駅については準備工事と併せ、本体工事の発注手続き(指名見積もり方式)を進めており、本年度中の施工者決定を目指している。

【回転窓】何をする1億総活躍相


 取材先で、第3次安倍改造内閣で新設された「1億総活躍担当大臣」は何をするのかと問われ、答えに窮した▼加藤勝信担当相も就任時、「具体策は走りながら固める」と話していたが、検討課題に挙げた項目は、子育て支援の充実、地方活性化、女性の活躍促進など。厚生労働相、地方創生相、女性活躍相と役割が重複し、身内の与党からも疑問が出ている▼「1億総活躍社会づくりは最初から設計図があるような簡単な課題ではない」とは発案した安倍晋三首相。今月末に設置する国民会議に具体策の検討を委ね、年明けに報告を求めるそうだ。議論を任される民間委員も戸惑っているのではないか▼最初に示される条件があいまいでは、無駄な手間や時間ばかりかかって良いものができないのは、建設工事でも同じである。発注者は、設計者や施工者に対して条件をきっちりと明示することが欠かせない▼国の先行きを左右する重大事としながら、何を行うか不明瞭なまま民間に丸投げし、検討期間がわずか2カ月とは。一強多弱、党内にも批判勢力がない中で、政権運営のたがが緩んできたようにも見えるが。

2015年10月22日木曜日

【いいなー、これ】マニア垂涎、ダム系グッズのネット限定販売開始

 手ぬぐいにタオル、カードホルダーにアルミボトル…。このキーワードを見て「あれか!!」と気が付いた方は、かなりのマニアとお見受けする。
 
 さてさて今日は、新しいダム関連グッズの発売開始をご案内。輸入・卸売業などを営むROOX(東京都新宿区、高方順代表取締役)とBAD_ON(バドン)氏が主宰するブランド「マニアパレル」がコラボし、22日からダム設計図面をデザインした「ダム設計図面手ぬぐい」など4点を、マニアパレルダム関連グッズ2015のサイトで限定発売した。


 どの商品も販売数に限りがあるレアものばかり。ダム設計図面手ぬぐいは、青と紺の2色を用意した。素材は100%綿。職人さんが手作業で一枚一枚染める丁寧な仕事のため、「プリントもののように、裏面が白くぼけてしまうことはない」という。サイズは35×90㎝で、価格は1296円。各色25枚を用意している。

「ダムタオル」で汗を拭き
ダムカードを「ホルダー」に収めて
「アルミボトル」でのどを潤す
ダムタオル、ダムカードコレクションホルダー、ダム目的記号|P【発電用水】アルミボトルも販売数に限り有り。在庫がなくなり次第販売終了で、再販は未定とのことなので興味のある方はぜひぜひ、サイトにアクセスを。

 ROOXが運営するマニアック・アイテム販売サイト「マニアックス・マニファクチャリング」には、ダム関連グッズ以外にもガントリークレーン手ぬぐいやスコップスプーンなどなどの商品がいっぱい。やっぱり建設関連の素材は面白いなぁ~と、興味をそそられる。