2015年10月26日月曜日

【駆け出しのころ】五洋建設取締役常務執行役員建築部門建築営業本部長・中満祐二氏


 ◇目標に向けどれだけ努力できたか◇

 就職活動では、大学の担当教授に「海外で仕事をしたい」と相談したところ、海外で多くのプロジェクトに参画している五洋建設を紹介していただきました。建築分野を伸ばしていく方針であることも伺い、「五洋建設でチャレンジしたい」と考えたのが入社のきっかけです。

 入社して最初は東京支店の建築現場に配属されました。約500床の病院を建設する工事です。新入社員でほとんど何も分からず、どんなことでも納得できるまで聞くようにしていたため、先輩からは「なぜなぜ兄ちゃん」と呼ばれていました。それだけ仕事を早く覚えたいと一生懸命だったのだと思います。

 国内の現場を5年ほど経験してから、香港で五洋建設が初めて手掛ける建築プロジェクトの「ラマダルネッサンスホテル建築工事」の担当となりました。当時はまだ、はだしで働く職人さんもいて、私たちの安全管理や工程管理、品質管理のやり方を伝えるのに苦労しました。同時に、言葉が通じなくても気持ちを伝えるコミュニケーションの重要性を学びました。

 香港で二つ目となる現場で所長を務めた後、帰国して技術研究所を移転するプロジェクトや、当社開発の全天候型自動化施工システムを初めて適用した日本橋浜町での建築工事などに携わりました。この工事では現場に近い商店の方から朝に「また一つ上がったね」などと言ってもらえるのが、近隣の皆さんにも応援されているようでうれしかったものです。建物が最高点に達してから、元旦に屋上で初日の出を拝みました。一緒に苦労してきた皆で見た日の出は、これからも忘れることはありません。

 入社して3カ月ほどたったころ、現場でこんなことがありました。雨の日の夕方、一人で外の掃除をしていると、それまでほとんど話したことのなかった所長が傘を差して出てこられ、私に「辞めんなよ。おもしろい仕事ができるようになるから」とひと言掛けてくれたのです。

 最初のころは、実はこのままでいいのかと悩んでいた時期でした。実際にこの言葉があったから、私は会社を辞めず、その後に国内外でいろいろ貴重な経験をさせてもらえることになったのだと思います。

 若い人たちには、ぜひとも明確な目標を立てて業務に取り組んでほしいと思います。たとえ結果が100%満足できるものでなかったとしても、目標の達成に向けてどれだけ努力できたかが大事です。それから、現場でも営業でも相手の話をうまく引き出すことが大切です。日ごろから意識して、質問力、会話力のアップに努めてください。

 (なかみつ・ゆうじ)1981年九州大工学部建築学科卒、五洋建設入社。建築部門建築本部建築部長、同建築本部副本部長兼建築企画部長、執行役員東京建築支店副支店長、取締役執行役員建築部門建築本部長兼安全品質環境担当などを経て、14年4月から現職。鹿児島県出身、57歳。

所長を務めた香港「シェル石油プラント工事」の地鎮祭で(中央)


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