2015年11月10日火曜日

【市場は順調なのか…】銀行114行の建設業向け貸出金1・0%増/東商リサーチ調べ


 民間信用調査会社の東京商工リサーチが10日に発表した銀行114行の「建設業向け貸出金残高」調査結果によると、15年3月期末時点の貸出金残高は11兆2201億円となり、14年3月期末に比べ1・0%増加した。114行のうち72行が残高を伸ばした。増加額が最も多かったのは京葉銀行の171・2億円。次いで七十七銀行の150・9億円、北海道銀行(単体)の135・5億円、みずほ銀行の124億円の順となっている。

 建設業向けの貸出金残高が増加した要因について、東京商工リサーチは「東京五輪関連など将来の需要増を見込んで設備投資を増やしているとの見方がある」と分析。一方で「公共事業の一巡による受注量の減少や地域間格差の拡大が懸念される」とし、「銀行の貸し出しが本格的に復調するか、今後の推移を見守る必要がある」と指摘している。

 114行の総貸出金残高は15年3月期末で433兆0207億円。14年3月期に対し2・3%増となっており、建設業向けの増加率よりも高い水準を記録した。建設業向けの貸出金残高の動向は、地域によってバラツキが大きく、「右肩上がりで拡大するかは不透明さが残る」(同社)と見ている。

 建設業向け貸出金残高の増加率は、長崎銀行(単体)の28・2%がトップ。佐賀銀行(17・1%増)、愛媛銀行(15・7%)、東日本銀行(14・8%増)が続く。減少額の最大は北洋銀行(単体)の334・7億円、減少率が最も大きかったのはみずほ信託銀行の18・4%だった。

 貸出金に占める建設業の割合は、15年3月期で平均2・59%。個別銀行は福岡中央銀行(単体)の11・2%が最も高く、神奈川銀行(10・5%)、筑邦銀行(10・4%)、東北銀行(8・4%)の順となっている。建設業の出資比率が低かったのは、新生銀行の0・2%、東京スター銀行の0・3%、スルガ銀行の0・7%、あおぞら銀行の0・9%などだった。

 本店所在地の地域別動向は、全国10地区のうち北海道、中部、北陸をのぞく7地区で貸出金が前年同期を上回った。増加率は東北15行の4・1%増が目立ち、九州21行が2・6%増と中国9行が2・5%増と、2地区で2%台の伸びを記録した。貸出金が前年同期を割り込んだ3地区は北海道2行が5・5%減、中部14行が2・1%減、北陸6行が0・2%減となっている。

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