2015年11月24日火曜日

【回転窓】根堀り葉堀りの功罪


 本格的な冬を前に友人が庭にある空木(ウツギ)を移植した。思っていたよりも根が張っていて難儀したという▼植物はわれわれの知らないところでどんどん根を張る。低木だからと油断していると土の中はとんでもないことになっている。木の周りに優しく鍬を入れ、根を傷めないようにと思うのだが、最後は根負けして根の大半を切ることになる▼世間では何かと「根」の話に持っていく人がいる。評論家や解説者に多く、「根源に戻らないといけない」「禍根を残してはならない」「物事の根本を極めなければならない」などと何が起きてもこれを決め言葉のように言う。確かに花の美しさや実のおいしさだけに気を取られることなく、養分を吸収する根の様子もしっかり見てやらなければならない▼ただ、移植すると分かるのだが、植物は必ずしも日当たりの良い場所に植え替えてやろうというこちらの気持ちを望んではいない。今のままそっとしておいてくれということの方が多い▼われわれの仕事は「根堀り葉堀り」聞くことだが、大事な根を傷めるぐらいなら、そっとしておくこともあってよいのでは。

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