2015年12月1日火曜日

【記者手帖】転勤してこそ一人前か

「遠方への転勤についてどう思います?」。取材で会った建設系学科に通う学生に聞いてみた。「地元を離れて就職するので、勤務地はどこでもいい」「転勤して全国の現場を回りたい」。技術者を目指すだけあり、転勤に抵抗がない学生が多数を占める中、「地元がこっち(首都圏)なので、地方はちょっと…」という声も一部で聞いた◆「技術職が転勤を嫌がるようでは駄目」と言い切るのは、ある大手ゼネコンの採用担当者。転勤を嫌う学生は、貪欲に技術者としての経験を積もうという意欲や積極性に欠ける-。そんなイメージだろうか◆転勤自体は新鮮な発見に満ちた得難い経験だ。この春、東京の本社から地方に転勤した身としてそう思う。「地方はちょっと」と戸惑いを見せたあの学生には、新しい環境に飛び込むことを不安に感じているのならもったいないと伝えたい◆しかし、共働きで育児や介護を分担するこの時代、各社員の家庭事情が多様化しているのも事実。転勤で生じる家族の負担に目を向けず、「転勤してこそ一人前」のイメージを持ち続けることには疑問も残る。(ゆ

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