2015年12月10日木曜日

【日本勢が活躍】JICA、インドネシア鉄道整備支援強化

MRT南北線Ⅰ期事業・6工区の施工イメージ
(枠内は施工者)
 国際協力機構(JICA)は、インドネシア政府が進めるジャカルタ都市高速鉄道システム事業(MRT)への支援を強化する。建設中のMRT南北線と今後事業に着手する同東西線の2件を対象に、総額771億3700万円を限度とする円借款を供与する契約をこのほど同国政府と交わした。中国などとの受注競争が激化する中、日本の建設技術の優位性をアピールし、インドネシアへのインフラシステム輸出で巻き返しを狙う。

 ◇MRT南北・東西線、円借款771億円供与◇

 15年1月に公表された同国の「国家中期開発計画2015~2019」では、都市部の公共交通機関の拡大を重点施策に掲げ、MRT南北線と同東西線の整備を優先事業に位置付けている。

 今回の支援対象は本邦技術活用条件(STEP)が適用される「ジャカルタ都市高速鉄道事業(Ⅱ)」(限度額752億1800万円)と、一般アンタイドの「ジャカルタ都市高速鉄道東西線事業(E/S)(フェーズⅠ)」(同19億1900万円)の2件。

 ジャカルタ都市高速鉄道事業(Ⅱi)への円借款はMRT南北線への追加供与となる。今回を含めて総額1252億3700万円を限度とする円借款を供与し、同事業の早期完成を後押しする。MRTの整備により、深刻化する交通混雑の緩和と交通公害の低減を図る。

 同国初の地下区間を含むMRT南北線の総延長は23・8キロ。1期事業(延長15・7キロ)は地上・地下区間を6工区に分割し、日本のゼネコン4社(清水建設、大林組、三井住友建設、東急建設)が幹事会社となり、現地企業とのJVによって建設を進めている。設計業務でも日本工営など複数の日系コンサルタント企業が参画する。18年の完成を目指している。

 借款資金は土木工事、軌道工事、電気・機械システム、車両、コンサルティングサービスなどに充てる。事業実施機関はジャカルタ特別州政府。南北線延伸区間(2期事業)の基本設計等業務のコンサルティングサービスの招請状は16年2月に送付予定。今後、延伸区間の設計業務と建設工事が別途発注される。

 東西線事業の計画延長は87キロ。今回の借款資金はコンサルティングサービス(基本設計、入札補助等)に充てる。実施機関は運輸省鉄道総局。現在、コンサルティングサービスの招請状の送付手続きを調整中。今回支援分の貸付完了時期は18年12月を予定している。

 今後事業化に取り組む東西線の建設工事がSTEPで発注されるかどうかは「未定」(JICA関係者)という。

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