2015年12月15日火曜日

【記者手帖】旅行者を引き寄せる土地

先日、北アフリカのモロッコとスペインのバルセロナを旅した。特にバルセロナにはガウディの手になる建築や大規模な市場、美術館など見どころが多く、さまざまな国からの旅行者でにぎわっていた。世界でも有数の観光都市だけあって、地下鉄やバスなどのインフラが整い、地元の人々も外国人旅行者を自然に受け入れていた。再び訪れたいと思わせる陽気な雰囲気があった◆数年前に旅したベトナムのホーチミンやドイツのベルリンも人気の観光都市だが、バルセロナとは趣が異なる。戦争や虐殺など過去の過ちと今も向き合い、町中に博物館や記念碑を設けて教訓と反省を広く伝えようとしている◆人間は本能的に快楽や楽しさを求める。一方で、戦争や災害など過去の悲惨な出来事を追体験し、同情や悲しみに浸りたいという欲求もある◆日本の東北地方では、3・11の被害や復興の様子を伝えるための追悼施設や被災遺構の保存・整備が進む。東北が訪問者の喜怒哀楽の感情を大きく揺さぶるような場所になれば、震災を乗り越え、観光振興と地域の発展を両立させることができるだろう。(平)

0 コメント :

コメントを投稿