2015年12月24日木曜日

【回転窓】1億総活躍に必要なのは

 保育士をしている女性から毎月の給料を聞かされ、そのあまりの安さに驚いたことがある。他人の子を預かる責任は重大。聞き分けのない幼子相手の仕事は精神的にも肉体的にも重労働だろう▼高齢者の介護施設で働く知人からも、給料などの待遇の貧弱さを聞かされたことがある。こちらもまた、昼も夜もないきつい仕事である。担い手不足が深刻化している福祉分野の現状は建設業界と似ている▼この一年の本紙の記事の中で、建設技能労働者の「処遇改善」という言葉は頻出用語の上位を占めると思われる。建設分野では幸い、労務単価の引き上げや社会保険加入など、道半ばとはいえ、処遇改善の取り組みはかなり進んだといえる。保育や介護の世界はどうなのだろうか▼新聞報道などを見る限り、政府は施設整備に予算は付けても、働く人への対応にはあまり熱心ではないようだ。介護報酬の引き下げで人手が集まらず、経営が傾く施設もあると聞く▼建設にも福祉にも共通するのは、現場の最前線で汗を流す人たちが軽視されやすい風潮だろう。これを放置するようでは、「1億総活躍社会」の名が泣く。

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