2015年8月31日月曜日

【回転窓】内需依存国の日本


 若いころに習ったことは忘れないものだ。ただ、それが普遍的なことであればよいのだが、日々変化することであれば、誤った認識を持ち続けることになる▼「日本は輸出大国」と言われる。輸出額は年間70兆円を超えているため、輸出額の多い国ということであれば、確かに「輸出大国」と言える。資源のない日本が海外から資源を輸入し、それを加工して製品として海外に輸出する。日本経済そのものが輸出に頼っているというイメージがある▼だがその経済モデルは一昔前の話。輸出額をGDP(国内総生産)で割った数値を輸出依存率と言う。12年の日本の輸出依存率は13・4%。韓国は48・5%、ドイツは41・8%。日本が輸出に頼っていたのは40年前のことだ▼経済が内需に大きく依存しているにもかかわらず、輸出大国という言葉だけが残り、円高には敏感だが、内需刺激策には関心が薄いという状況が長年続いた。安易な公共事業費の削減はその典型だろう▼16年度予算概算要求が発表され、年末に向け予算編成作業が本格化する。内需刺激策には公共事業が効果的ということを強く言っておきたい。

【難工事、始まる…】JR東海リニア新幹線南アルプス山梨工区、大成建設JVに

南アルプストンネルの施工位置図
JR東海は、リニア中央新幹線の東京・品川~名古屋間の本体工事で初弾案件となる「中央新幹線南アルプストンネル新設(山梨工区)」の施工者を、大成建設・佐藤工業・錢高組JVに決めた。公募型見積もり競争で選定手続きを進め、26日付で契約を交わした。契約額は非公表。今後、JR東海と大成JVらは地元関係者への工事説明会などを経て工事に着手する。

 同社の柘植康英社長は27日の定例記者会見で「今回の契約締結は中央新幹線の本格工事に着手する第1弾として、新たな一歩を踏み出すものだ」と述べ、リニア新幹線の建設区間の中でも最大の難所と見られる南アルプストンネルの着工への意気込みを語った。

 契約額や参加者数などの選定経緯については、施工者を選定中の「南アルプストンネル新設(長野工区)」など今後の工事契約に影響を及ぼすため、非公表にすると説明した。

 山梨工区の工事場所は山梨県早川町。山梨・静岡・長野県にまたがる標高3000メートル級の山岳地帯に構築する南アルプストンネル(延長約25キロ)のうち、東側の一部区間(同約7・7キロ)の工事となる。山梨工区には最大土かぶりが1000メートル以上の区間が含まれ、高度な施工技術が求められる。工事内容はNATMによる本線トンネル(幅約13メートル)、その他先進坑、非常口など。工期は2025年10月31日まで。

 非常口を掘削して本線トンネルを掘り進める。事業説明会資料によると、早川町内には3カ所(新倉地区)の非常口を設置する計画。非常口周辺に工事ヤードを設け、コンクリートプラントや資材置き場、濁水処理設備、受変電設備などを整備する。リニア新幹線品川~名古屋間(路線延長285・6キロ)では、総工費5・5兆円を投じ、27年の開業を目指す。昨年12月に品川と名古屋の両ターミナル駅の準備工事に着手。品川地区では既設駅舎の直下に開削工法でターミナル駅を構築する工事の施工者の選定作業(指名見積もり方式)を現在進めており、15年度内に着工する予定。

 このほか公募型見積もり競争により、南アルプストンネルの長野工区のほか、「中央新幹線名城非常口新設」の施工者の選定手続きを進めている。南アルプストンネルで残る静岡区間(トンネル延長約8・9キロ)については、現在検討中の大井川流域の水環境保全対策(導水路トンネル)の具体化などを踏まえ、発注手続きに入る方針。工区の設定に当たり、本線トンネルと導水路トンネルを一括または分割して発注するかは未定。今秋にも開く有識者委員会の会合で導水路トンネルの詳細ルートが明示される見通しだ。

【凛】IHIインフラシステム建設部計画1課・尾上枝里さん

担当する現場での1枚。内勤では味わえない「迫力がある」と話す

 ◇橋梁架設の迫力に魅了され◇

 祖父が大工の棟梁だったこともあり、幼いころから建設業の仕事に憧れを抱いていた。入社から3年目。今年5月には、念願かなって橋梁の架設現場の勤務となった。現場での体験はどれも新鮮だが、「(橋梁の)架設スピードは速く、デスクワークでは味わえない迫力がある」と目を輝かせる。

 やりがいは「どんなに小さくても、自分の携わった仕事が実際の架設に役立つのを実感できること」。日を追うごとに橋梁が出来上がっていく姿を見るのも「楽しい」という。現場では男性が圧倒的に多いが、やりづらさはない。むしろ「平等に扱ってくれるのがうれしい」とも。

 現場監督になるのが夢。将来はトルコなど海外の現場にも携わりたいと思うが、「大学時代はコンクリートを専攻していたため、鋼製橋梁の基礎をもっと学ぶ必要がある」。まだまだ経験が浅い自身を冷静に見つめる。

 社内には、最前線で仕事をこなしながら家庭と両立させている女性社員がいないため、将来に不安を抱くこともあるという。「できるだけ長く現場で働けるようにするためにも、勤務地をある程度限定するような制度があれば」と提案する。

 ランドマークになるような橋梁の現場で活躍するため、まずは技術を学び、経験を重ねようと、目の前の仕事に向かってひた向きに努力を続けている。

 (おがみ・えり)

【中堅世代】それぞれの建設業・108

コミュニケーション能力の欠如が若手育成の大きな課題に…

 ◇多様な個性生かし合うには◇

 子どもたちが巨大な橋やダム、超高層ビルなどを見れば、どのように造られたのか知りたいと思い、自然と建設業への興味も湧くはず…。

 建設会社の管理部門で働く山本晃さん(仮名)は、業界団体や企業が長年にわたって情報発信やPR活動を続けているにもかかわらず、若い世代の建設業への関心がなかなか高まらない現状に危機感を募らせる。

 「子どものころ、夏休みに海水浴に行けば、砂浜でトンネルやダム、城などを作り、遊びの中でものづくりを体感していた。今は海の家でゲームに夢中になっている子どもの姿ばかりが目に付く」と嘆く。

 70年前、戦後の焼け野原からスタートした国土開発。焦土と化した街を再建し、国土を発展させるために建設業が果たす役割の大きさは、国民の誰もが自然と理解していた。4年前の東日本大震災の被災者の中には、自らの手で故郷の復興を進めるため、将来は建設関係の仕事に就こうと考える子どもたちもいる。

 「ゼロから街を作り直す立場になって、建設業が社会にとって欠かせない産業であることをより強く実感できる。生まれた時からインフラが整い、近代的なビルが立ち並ぶ街で育った若い世代にとっては、建設産業との接点が少なく、その役割に気付きにくい時代なのかもしれない」

 山本さんの会社を就職活動で訪ねてくる学生を見ていても、大きな構造物を建設したいと意気込み勇んでくる学生はごく一部だ。多くは上場企業というブランド、給与水準の高さ、休みの多さなどが選定基準。安定志向が強く、我慢・辛抱を極力避けたがる。仕事や働き方に関する価値観が変わり、ベテラン層の経験則が通用しなくなりつつあると感じる。

 「嫌になったらゲームのようにリセットボタンを押せばいいという感覚。何か悩みや問題を抱えていても周囲には相談せず、会社を辞めることへの葛藤もなく、辞表を突然出してくる。会話がないから、何を考えているかわからない」

 入社後の社員教育では、技術以上にコミュニケーション能力の向上に力を入れている。「今は会話能力や『ホウレンソウ』(報告・連絡・相談)など社会人としての基礎的能力を最初に教え込まなければならない。所長や主任クラスが親代わりになって、若手のコミュニケーション能力まで一から指導していては、現場はますます疲弊してしまう」。

 昔は組織全体の中で個として生きる能力を重視してきたが、今は組織よりも個を一番に考える風潮が強い。その結果、個性の意味をはき違え、周囲を気にせず、自分の世界に没頭することを個性と捉えている-。山本さんの目には、最近の若者がそうも映る。

 「社会・集団の中で異なるスキルを持つ個を生かし合うことが建設業で求められる個性。建設現場は多種多様な職種ごとの個の集まりで成り立っており、周囲から隔絶したところで個性を唱えても理解されない」

 山本さんは、世代間のギャップに戸惑いつつも、若手の意識改革とコミュニケーション能力の向上に力を尽くそうと奮闘する日々だ。

【駆け出しのころ】熊谷組執行役員名古屋支店長・岸研司氏


◇土木技術者は地球の医者であれ◇

 幼いころから建設現場を見るのが好きでした。近所に工事現場があると、飽きもせず、よく眺めていました。「モノ」が出来上がっていく過程が面白かったのでしょう。そのころから、いつかは自分もものづくりをしてみようという気持ちが芽生えたのかもしれません。

 大学で土木を学び、就職時に考えたのが、直接ものづくりに従事できるゼネコンへの就職でした。福井県出身でしたので、熊谷組には親近感もあり、土木に強い会社ですので、迷わず入社しました。入社後の配属先は「土木設計部」でした。入社時の面接で「設計と現場のどちらがしたいか」と聞かれ、「両方」と答えたのですが、新入社員は現場に配属されると思っていましたから、意外で少し驚きでした。

 土木設計部では、現場の技術的な支援や仮設設計などが主な業務でしたが、数値解析や研究開発など、業務範囲は多岐にわたっていました。ある時、建設コンサルタントの方に設計図面の受け取りを拒否されたことがありました。当時CADはありませんから、すべて手書きです。図面自体に間違いはなかったのですが、どうも私の書いた数字が合格とならなかったようです。土木の図面は数字の格好が独特で、それに対して私の数字は「勢いに欠ける味のない数字」だったのです。それで必死になって数字の練習をしたのを覚えています。

 「マルチフェイス(MF)シールド」の開発に携わったことも印象に残っています。開発スタッフの一員に入れてもらい、三菱重工業と共同で10分の1の模型実験やJR京葉線京橋トンネルでの実機の施工データの分析などを担当させてもらいました。トンネルは円形というのが一般的でしたから、常識破りの複円形断面シールドの開発に携われたことは、技術者として無量の喜びでした。

 土木設計部は入社後10年間在籍しました。やるからにはその道のプロになろうと、夜中にロードワークを兼ねて自転車を飛ばして新宿や渋谷の居酒屋に入り、専門書を独り読みふけった時期もありました。

 卓越した知識を得て、その建設現場の条件や働く職員・作業員の考え方、働きぶりも考慮して、はじめて最適な設計や的確な技術対応ができる。そんな思いで仕事をしていました。設計の観点から現場を見る眼を養えたことは、その後、現場に出た際に大きな財産となりました。

 入社当初、ある先輩が「土木技術者は地球の医者であれ」と教えてくれました。土木設計部の仕事はそれを肌で感じることができました。この言葉は、一人の技術者として今も私の原点になっています。

 (きし・けんじ)1983年京都大学大学院工学研究科修了、熊谷組入社。08年土木事業本部土木部長、10年関西支店土木事業部長、13年執行役員関西支店副支店長、14年4月から現職。福井県出身、56歳。

新入社員時代。入社後すぐ「土木設計部」に配属された


【サークル】TOTO 茅ケ崎工場剣道部「陶友会」


 ◇「交剣知愛」がモットー、地域の青少年育成も◇

  組織発足時の記録はなく、休部状態が続いていたが、1989年10月、TOTO茅ケ崎工場剣道部「陶友会」として活動を再開した。現在は、会社公認の組織として茅ケ崎工場の研究員や保全関係の社員など約10人で稽古に励んでいる。

 「交剣知愛」(剣を交え、お互いを理解し人間的向上を図る)をモットーに、各自で道場や稽古会に赴き、腕を磨きながら市内の大会で選手や審判として活躍している。

 今後は、秋に開催される大会の個人戦への出場が予定されており、審判法や剣道形などの各種講習会にも積極的に参加していくという。

 活動の一環として力を入れているのが、剣道を通じた青少年の育成だ。地域の剣友会である「松風館剣友会」と合同で、週1回の稽古を行っており、小中学生10~15人を指導。剣道の理念である「剣の理法の修錬による人間形成の道」を通し、地域の青少年の健全育成に努めている。

 「自分を鍛えてくれた剣道に恩返しする意味でも子どもたちを指導している。その子たちが上達し、試合で活躍する姿を見ると、やりがいを感じる」と代表の中村俊夫さん(総合研究所研究企画部)。昨年は久々に若手社員の入部があり、少しずつでも活動の輪を広げていきたいという。

2015年8月28日金曜日

【虫よけ塗料で園児を守る】関西ペイント、KMユナイテッドが虫よけ塗装ボランティア-大阪市旭区の幼稚園で


関西ペイント販売とKMユナイテッド(大阪市都島区)は22日、大阪市旭区高殿6の東高殿幼稚園(松河真哉園長)で、塗るだけで虫よけ効果を発揮する塗料「アレスムシヨケクリーン」を塗装するボランティア活動を行った。

 KMユナイテッドの地域貢献活動の一環として実施。関西ペイント販売は虫よけ塗料を無償提供した。

 同幼稚園は、植栽に力を入れて園内を豊かな緑で覆っているが、暑い季節になると蚊や害虫が多数出没しているとの指摘が保護者や先生たちからも出ていた。

 そこで両社は、虫よけ塗料を活用して、園児を虫から守る活動を同幼稚園に提案した。

 1階げた箱付近の天井2カ所約200平方メートルや、日ごろから虫が見られる1階トイレに、KMユナイテッドの加藤実氏が虫よけ塗料を施工=写真、関西ペイント販売の田中達也氏が立ち会った。

関西ペイント「アレスムシヨケクリーン」

【洪水対策支援】JICA/タイ・アユタヤ地区に水門2基など洪水対策施設完成-施工は前田建設

アユタヤ地区に建設されたハントラ水門

国際協力機構(JICA)が日本政府の無償資金協力事業として、タイのアユタヤ県で建設を進めていた水門2基などの洪水対策施設が完成し、28日に現地で記念式典が行われる。11年に発生した洪水被害に対し、日本は東日本大震災で受けた支援への返礼と、震災の教訓を踏まえた防災分野での国際貢献の一環として、アユタヤ地区の洪水対策を支援。施工は前田建設が担当し、ゲートの製作・据え付け工事を日立造船が行った。

 タイでは11年7月から断続的に続いた100年に一度といわれる豪雨で大規模な洪水が発生。首都バンコクや、工業集積地のあるアユタヤ県が浸水に見舞われ、現地に進出する日系企業も被害を受けた。

 JICAが今回支援したアユタヤ地区洪水対策計画の対象地域はパサック川左岸(東側)、チャオプラヤ川との合流地点の直上流付近。総事業費は26億円(日本25・5億円、タイ0・5億円)。低地の雨水をパサック川に導く水路に、「ハントラ水門」(ステンレス鋼製ローラゲート幅6・0メートル×高さ7・1メートル、3門)と「クラマン水門」(同幅6・0メートル×高さ5・1メートル、3門)の2基を設置。ハントラ水路の護岸工事(延長484メートル)も行った。ポンプ車10台の配備も支援した。

 これにより、11年の洪水で大きな被害を受けた水路南側に位置する工業集積地を含む地域一帯で、洪水被害が軽減されると期待されている。

【回転窓】二兎を追うための時間

 「ぼくたちは秀才だが、あいつだけは天才だ」。文芸評論家の小林秀雄がそう評したのが、骨董(こっとう)の目利きとして知られた装丁家の青山二郎。青山が骨董の世界で注目されたのは横河グループの創始者・横河民輔が収集した膨大な中国陶磁器の図録の作成。26歳の若さだった▼装丁家以外の顔を持つ青山に、詩人の中原中也は「二兎(と)を追うものは一兎をも得ず」と一つに絞るよう促したが、青山は「一兎を追うのは誰でもするが、二兎を追うことこそが俺の本懐だ」と即答したといわれる▼将来の市場縮小に備えて事業領域の拡大を模索する建設業界の動きを見て、そんな話を思い出した。ただ、骨董と装丁の両方の世界で評価を得た青山に対して、建設業界では新分野の開拓に挑戦して成果を挙げている企業はまだ少ない▼青山が骨董収集に目覚めたのは中学生のころとされる。天才といわれた青山ですら、横河民輔の収集品を鑑定する力を付けるまでに10年を要したことになる▼企業でも本業を補完する新事業を育てるまでには相応の時間がかかると見るべきだろう。本腰を入れて取り組めるかが成否のカギである。

2015年8月27日木曜日

【橋梁ファンも注目】羽田~秋葉原間で河川舟運の定期運航化を検証、9月下旬に社会実験

社会実験のルート

 インフラツーリズムと空港アクセス交通の新たな目玉に-。国土交通省は9月下旬に、羽田空港~東京都心間で河川舟運の定期運行化の可否を検証する初の社会実験を行う。空港船着き場から品川(天王洲)を経由して外国人旅行客の人気が高い秋葉原(万世橋の船着き場)に至るルート。インフラを新たな観光スポットとするツアーが普及している中、ルート上の神田川や隅田川などに架かる計30以上の橋梁群を、普段とは違う真下から眺めることができるのが特色だ。

 国内外からの来訪者が大幅に増える2020年東京五輪までの定期運行化を目指す。9月19~26日に行う舟運の社会実験では、採算性や利用者動向を確認して改善点を抽出。16年度以降も社会実験を重ねる方針だ。

 今回の社会実験は、国交省が地元の東京都千代田区や街づくり協議会などと共同で主催する。船便で羽田~品川間を片道約50分、羽田~秋葉原間(品川経由)を同約1時間半で到着できるように運行する計画。鉄道やバスなどの一般的な陸上の空港アクセス手段と比べ移動時間はややかかるが、陸上交通が満杯だったり、事故が起きたりした際の代替手段として活用できる。

 さらに新たなインフラツーリズムの目玉資源としても役立てる。普段とは違う場所や角度から都心の河川に架かる橋梁群を眺められたり、85年前の1930年に竣工した歴史的価値が高い万世橋の船着き場を体感できたりする。社会実験期間中は、こうしたインフラの特色などを解説するガイドも同乗する。

 秋葉原で下船する乗客には、秋葉原の街なかや名所を案内する有料のオプショナルツアーも用意する。

 国交省によると、今回の社会実験には「橋梁ファン」の注目度が高く、実験期間中はほぼ全便が既に予約で埋まっているという。


羽田~秋葉原間の舟運の実現を目指した社会実験を実施します

【浅瀬・岩礁も正確に測量】パスコが航空レーザー測深機導入、上空から水中地形測量

(左)三次元座標点群、(右)同時撮影航空写真

計測結果から作成した陰影段彩図

 パスコは26日、水深の浅い岩礁地帯などの水中の3次元座標を上空から効率的に計測できる「航空レーザー測深機(ALB)」を導入したと発表した。水中地形を測量する場合、一般的には測量船による測量が必要だったが、船が進入できない浅瀬や岩礁では正確な計測が難しかった。ALBを搭載した計測用の航空機が上空からレーザーを照射することで、水深数十メートル程度まで計測が可能。地上部の計測も同時に行うことができるため、作業の効率化にも貢献する。
 ALBは、地上部と水面を計測する近赤外レーザーと水中部を計測する緑色レーザーを同時に照射することで、水面に反射する信号の往復時間と、水を透過して水底に反射する往復時間の時間差から水深を算出し、地上部と同時に水中部の3次元座標を計測するというシステム。計測の際は、高解像度デジタル航空カメラでの撮影も同時に行うため、座標の情報だけでなくフルカラー画像データも取得できる。

 水中部の計測は、水質にもよるが、水深数十メートル程度まで上空から可能。河川や海岸線の浅瀬や岩礁エリアなどを効率的に計測するのに適している。測量船の計測範囲に対して倍以上の範囲を上空から一挙に計測でき、作業効率の向上が期待できる。地上部と水中部を同時計測することで、3次元地形モデルを継ぎ目なく統合することもできる。

 水中測量は、河川の維持管理や土砂流動のモニタリング、港湾の安全管理などで行われている。ALBをこれらの作業に活用することで、作業の効率化と安全性向上を実現する。

【回転窓】ミツバチと都市の共生

 東京の都心部でビルの屋上を活用した都市型養蜂が盛んだ。今春、丸の内にある日本工業倶楽部会館の屋上で新たな養蜂プロジェクトがスタート。周辺の飲食店のシェフらが採れた蜂蜜を使った新メニューを開発し、今月から各店舗で味わうことができるという▼丸の内のプロジェクトを支援するのは農業生産法人「銀座ミツバチ」。06年から東京・銀座で都市型養蜂を続ける先駆的な存在だ▼鹿島も13年に八重洲ブックセンター本店の屋上で、生物多様性に配慮した都市づくりに向けたデータ収集を目的に養蜂を開始。本年度から書店のイベント開催時などに、採集した蜂蜜を販売している▼超高層ビルに囲まれた都心のど真ん中で行われる養蜂だが、予想を超える大量の蜜を採集できる。皇居や浜離宮などの緑地が近いことに加え、植樹された公開空地の整備やビルの屋上・壁面の緑化が進み、蜜のもとになる草花は案外豊富なようだ▼環境教育や地産地消グルメによる地域ブランドづくりなど、街の新たな魅力創出で注目を集める都市型養蜂。環境保全と都市開発の共生策として、さらなる広がりを期待したい。

【同世代にPR】兵庫・伊丹高生が工事現場を取材、建設業の魅力発信へPR動画制作


 建設業の魅力を発信するPR動画を制作するため、兵庫県立伊丹高校放送部の部員が24日、県が伊丹市で実施している道路拡幅工事の現場を取材した=写真。県や建設業団体らが14年度に設置した「県建設業育成魅力アップ協議会」の取り組みの一環で、同校放送部に制作を依頼した。

 1年生部員3人が訪れたのは「都市計画道路伊丹飛行場線(昆陽西)道路改良及び電線共同溝工事」(施工=浜田組)の現場。路面標示の塗装作業や設置済みの電線共同溝を取材し、「工事の難しいところは何か」「仕事の魅力は」など現場代理人と作業員にインタビューした。

 取材に参加した今村恭平君は「作業員の方はやりがいを持っていることがすごく分かった。動画でうまく伝えたい」と話している。

 26日には、神戸市中央区のポートアイランドで建設が進む「県立こども病院」の建築工事現場を訪れる。

 県では、高校生目線の新鮮な感覚で建設業の魅力をとらえ、同世代に幅広くPRすることを期待しており、完成した動画はインターネットなどで配信する。

2015年8月26日水曜日

【リストバンド型生体センサー】清水建設、東芝が現場作業員の体調管理システム開発へ、1年かけ実証実験実施

 清水建設と東芝は共同で、建設現場で働く作業員の体調管理に関する実証実験を16年8月24日までの1年にわたって実施する。リストバンド型の生体センサー=写真=を活用し、一人一人の健康状態を把握、管理するシステムを共同で開発する。三重県四日市市内で清水建設が施工する現場で実験を行い、計70人の作業員の体調を24時間モニタリングする。

 実証実験では、対象者がリストバンド型生体センサーを24時間装着。出勤時に、前日までの睡眠時間や食事内容、活動量などの生活記録(ライフログ)データをスマートフォンから確認し、それぞれが自分の体調を客観的に把握する。2社は、その日の体調に合わせた作業量の負荷調整などが行えるよう、個人のライフログデータを現場管理者のタブレット型端末やパソコンなどに収集し、管理・閲覧できるシステムの開発を目指す。

 生体センサーは、東芝製の「Silmee(シルミー)」シリーズを採用。2週間充電せずに連続使用できるため、腕に装着しているだけで簡単に日々のライフログデータを連続計測できる。

 夏場の建設現場では熱中症も頻発しており、作業員の健康管理が課題となっている。両社は、ライフログデータを作業員個人の日々の健康管理とともに、作業環境の改善による職場の安全性向上にも役立てる考えだ。

【目指せ!未来を築く達人!せたがや建設×就職プロジェクト】東京・世田谷区がツアー型企業説明会開く、建設業者の採用活動支援


 東京・世田谷区は、区内建設業者の採用活動支援事業「目指せ!未来を築く達人!せたがや建設×就職プロジェクト」の一環として、20~26日に求職者向けの現場見学会や企業説明会などをセットにした第1回「ツアー型説明会」を行っている。25日に区内の東京土建世田谷支部会館で行った職業体験実習には、高校生を含む7人が参加。ベテラン職人の指導の下、型枠工事の段取りを体験した=写真。

 自治体が建設業者の採用活動を直接支援するのは、東京23区で初めての試み。7月に人材紹介業などを手掛ける学情(大阪市北区、中井清和社長)が運営する就活サイト「あさがくナビ」に専門の求人ページを開設したのに続き、今回は初めて建設業の魅力を発信するためのイベントを企画した。

 ツアー型説明会は、▽建設業界について説明するガイダンス▽区内の建設現場の見学会▽職業体験実習▽建設業者の合同企業説明会-で構成。全体で15人程度の参加を見込んでいる。区は本年度中にあと2回のツアー型説明会の開催を計画している。

 同プロジェクトには区内業者約40社が賛同し、求職者を募っている。区は来年度以降もプロジェクトを継続し、建設産業の振興と若年者の就業支援に取り組む考えだ。

【建設業の魅力伝える】石川県、石川建協が普通高生徒対象に見学会・意見交換会開く

会員企業の若手職員と意見交換


 石川県と石川県建設業協会は、建設業の新たな担い手確保・育成策として、県内の普通高校の生徒を対象にした現場見学会と意見交換会を21日に開いた。土木、建築系の科で学ぶ生徒だけでは、企業の採用予定人数を確保するのは困難なことを踏まえて、県主導で初めて実施した催しには6校から1~3年生19人が参加、3現場を見学して、石川建協会員企業の若手職員と意見を交わした。県主導による普通高校の生徒に建設業の魅力を伝える活動は全国的に見ても極めて珍しい。

 県によると14年3月の高卒者で、県内の建設関連企業に就職したのは257人。うち土木、建築系の科の卒業者の割合は3割で、7割は普通科や商業科など建設業と直接関わりのない科で学んだ生徒だったという。このため県は、今春から石川建協と共同で見学会と、意見交換会の日程を調整した。県は県内の国公私立すべての高校に催しの日程を通知して、参加の有無を連絡するよう求めていた。

 参加した生徒は、鶴来高校普通科3人、金沢辰巳丘高校2人、宝達高校普通科2人、志賀高校普通科7人、七尾東雲高校総合経営学科3人、小松大谷高校普通科2人。

 生徒は3現場を見学して、金沢城公園で石川建協会員企業3社の若手職員との意見交換に臨んだ。職員は建設業の魅力ややりがい、就職した理由を語り、生徒たちからの質問に答えた。

 見学した現場は、二ツ寺橋上部工(金沢市二ツ寺町)、北陸地方整備局の東部環状道路神谷内トンネル(金沢市神谷内町)、辰巳ダム(金沢市上辰巳町)。

 二ツ寺町では完成直前の橋梁を、トンネルでは掘り始めの現場を視察。辰巳ダムでは内部を見学した。




現場見学会で担当者の説明を聞く学生


 各県建設業協会の支部が地元の普通科や総合高校の生徒を対象にした現場見学会を開く試みは全国で増えてきている。

 新潟県建設業協会村上支部は昨年3月に、新潟県労働局のハローワーク新潟らと共同で、県立村上桜ケ丘高校の生徒を対象に現場見学会と意見交換会を実施。

 埼玉県建設業協会児玉支部は今年2月、普通科のある県内の本庄・児玉地域の各高校のうち、県立児玉、県立児玉白楊、県立本庄(定時制)、私立本庄第一-の4校との意見交換会を行っている。

 だが、建設業となじみが薄い普通科などの生徒に建設業の魅力を伝える活動の県主導での実施は、全国的に見ても極めて珍しい。新卒の採用が難しいという課題は石川県に限らず、全国に共通する。同様の活動は全国に波及していくと予想される。

【もっと女性が活躍できる建設業へ】建設物価調査会が「チームひまわり」結成、月刊誌で女性活躍サポート

チームひまわりメンバーの(左から)杉山さん、緒方さん、宮川さん、伊沢さん、鈴木さん


◇女性活躍現場や製品情報特集


 建設業で女性が輝ける環境づくりをサポートしようと、建設物価調査会(土渕昭男理事長)の女性職員でつくる「チームひまわり」が発足した。メンバーは8人。それぞれ別の部署から垣根を越えて参加。月刊誌の総合物価版「建設物価」で毎回特集号を組み、女性が活躍する現場や行政の関連施策、現場の女性向けの商品や価格情報などを紹介する。チーム名には、太陽に向かうひまわりの花のように女性が活躍できる明るい建設業にとの願いを込めたという。(編集部・岩本英司)

 チームひまわりの最初の活動になったのは、女性が活躍する現場のアピール。日本建設業連合会(日建連)が登録・紹介する女性技術者・技能者のチーム「なでしこ工事チーム」の第1号が活躍する「東京外環自動車道田尻工事」(千葉県市川市、施工=大成建設・戸田建設・大豊建設JV)の現場を取材し、「建設物価」8月号にその様子をリポートした。

 取材に当たった緒方友美さん(建築調査部建築調査二課)は、「トイレがきれいだったり、イルミネーションを設置してイメージアップを図ったりと、女性の皆さんがいろいろ協力して明るい現場作りを行っていたのが印象的だった」と振り返る。

 特集記事のページは、ピンク色を基調にし、丸めの文字を採用するなど工夫を凝らした。「『建設物価』は、雑誌の性格上、どうしても固いイメージがある。チームひまわりの企画は、一人でも多くの方に読んでいただけるよう視覚的にも目に入りやすくなるよう心掛けた」と語るのは、企画記事の編集作業に当たった伊沢佳織さん(事業普及部編集課主任)だ。

 緒方さんと共に外環道田尻工事の現場取材に行った杉山奏澄さん(土木調査部土木調査一課)は、「自分と歳が変わらない入社2~6年の女性たちが頑張って働いているのを見て、良い刺激になった」と話す。現場の女性たちの仕事ぶりを紙面で紹介しながら、それを自身の業務にも役立てていきたいと考えている。

 最新の9月号では、国土交通省の担当者に寄稿してもらい、昨年8月に同省が業界団体と共同で策定した「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」や、女性技術者の登用を促すモデル工事、トイレをはじめとする現場環境改善に向けた取り組みなどを紹介している。

 「建設物価」は、建設工事で使われるさまざまな資機材の価格情報を提供する媒体で、業界内で広く活用されている。この特色を生かし、現場で働く女性向けの商品やその価格情報も今後、順次紹介していきたいという。

 鈴木理香子さん(コスト調査部コスト調査三課課長代理)は、現場を取材し、ゼネコンとメーカーが話をしながら女性が使いやすい工具の開発に取り組んでいたのを目の当たりにした。例えば、「夏場は、ヘルメットのひもで日焼けの跡が目立ってしまう。これをふせぐため、ひもを透明にすることなどの工夫を凝らした事例がある」。これから、現場で働く女性の悩みを解消する商品の開発事例を数多く紹介していきたいと意欲を見せる。

 建設現場ではこれまで女性用の作業着が少なく、男性用のSサイズを着用する女性も少なくなかったとされる。

 見た目には分からなくても、女性と男性とでは体形が違うため、着心地が気になって仕事に集中できないという悩みもあったという。

 工具一つとっても、男性の体力を前提にした重量だと女性が持ち運ぶのが難しい場合もある。こうした課題を一つ一つ解決していくことが、女性も男性も働きやすい現場環境につながっていく。

 チームひまわりでは、現場で女性が働くために考案されたさまざまな製品を女性の視点から紹介しながら活用を促していく方針だ。製品のメーカーに、紹介記事を新たな製品開発の参考にしてもらうなど相乗効果にも期待を寄せる。

 建設業での女性の活躍を推進するため、「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」に加え、日建連は女性技術者・技能者の愛称「けんせつ小町」を考案。その名を冠した現場環境マニュアルの作成や、女性が活躍する現場の見学会を催すなど、官民を挙げて取り組みが活発化している。

 こうした活動を調査会としてもサポートしようと、女性職員による建設業の女性のための取り組みとして始めたのがチームひまわりだ。

 リーダー役の宮川結城さん(事業普及部出版企画課主任)は、「これまで他の部署の人たちと仕事をすることはほとんどなかった。チームひまわりという横のラインを持てたことで、気軽に情報交換ができるようになった」ことも大きな成果と捉えている。

 メンバーは現在、総合職の8人だが、全国にいる女性職員を順次募り、業界のイメージアップにつなげる取り組みをさらに推進していきたいという。

建設物価調査会「チームひまわり」建設業での女性活躍を支援するプロジェクト

【回転窓】ラジオとパラリンピック

 放送作家でタレントの永六輔さんがかつて、ラジオ番組で五輪とパラリンピックを〈できるなら同時開催してほしい〉と話したことがある(永六輔著『言っていいこと、悪いこと』光文社刊)▼午前と午後に競技を分けたり、五輪の会期中にパラリンピックをやったりする。こうすることが、福祉の世界で言われる「バリアフリー」や「ノーマライゼーション」ではないかというのだ▼五輪終了後に引き続き同じ場所でパラリンピックが開かれるようになったのは、1988年のソウル大会から。2020年東京大会での実現は無理だとしても、五輪との〈同時開催〉に賛同する人は少なくなかろう▼パラリンピックは戦争で脊髄を損傷した軍人のリハビリをしたのが始まりという。マスコミが平和の大事さに話を持っていくのならいいが、五輪同様に〈日本が勝ったぞ〉といったやり方では〈ちょっと危なっかしいな〉と永さんは危惧する▼TBSラジオが「土曜ワイドラジオTOKYO永六輔その新世界」を9月末で終了すると発表した。91年4月の放送開始から24年半。週末の名番組を聞けなくなるのが寂しい。

【首都圏Look at】東京・千代田区と港区が中小ビルの省エネ化支援強化

東京・港区の新橋周辺。中小規模のオフィスビルが集積する
◇助成金積増、事業所への専門家派遣も◇

 東京の都心区で、中小規模のオフィスビルの省エネ化を加速させようという動きが活発になっている。区内のエネルギー消費量の約7割をオフィスビルが占めている千代田区や港区では、大規模ビルに比べて設備改修などによるコストメリットが小さい中小ビルの省エネ化があまり進んでいないのが現状だ。そこで両区は、既存ビルの省エネ改修に助成金を交付する新制度を設けたり、専門家によるアドバイスで事業者の省エネ意識を啓発したりする取り組みの強化に乗りだした。

 千代田区は本年度、東京都と連携し、省エネ改修に対する新たな助成制度を開始した。都は、14~15年度の時限措置として「中小テナントビル省エネ改修効果見える化プロジェクト」を推進中。高効率空調機やLED照明などの導入経費(設備費、工事費)の一部を補助している。千代田区は、都の補助に上乗せして助成金を交付する。都心部の既存中小ビルの省エネ化の遅れに、両者が危機感を抱いて実現した。

 千代田区は、3月に策定した「千代田区地球温暖化対策地域推進計画2015」で、ビルの省エネ化に向けた中長期的な取り組み方針も打ち出している。新築の中小ビル(延べ床面積300~5000平方メートル)に対しては、ビル計画の初期段階からエネルギー対策を図るように誘導するため、「(仮称)事前協議制度」を創設することを明記した。

 従来もビルのエネルギー対策について書類の提出を求めてきたが、実効性をさらに高めるため事前協議を義務化する。ビルの外壁や窓の断熱、再生可能エネルギーの導入などを建築計画に盛り込んだ事業者に助成金を交付するほか、「省エネ事業所を認証する区独自の制度を新設することも検討している」(環境政策課)という。

 一方、既存の中小ビルに対しては、09年に開始した「グリーンストック作戦」を継続し、ビルの省エネ化支援に取り組む。オフィスビルで成果が上がってきたため、本年度にはマンションの省エネ化に対する支援も開始。春には、先行的に省エネ改修や一括受電の導入などを行うモデルマンションを選定した。モデルマンションで実証実験を行うことで、今後のマンション施策に生かす考えだ。

 都内自治体の中で二酸化炭素排出量が最も多い港区は、区内で大規模開発が多く計画されていることを念頭に「港区低炭素まちづくり計画」を11月に策定する予定だ。素案では、以前から進める省エネ設備の導入経費の助成制度のさらなる促進、大規模開発に合わせた自立分散型エネルギーシステムの導入や緑地確保の誘導などを盛り込んだ。

 既存の中小ビルを対象にした新規事業も本年度に立ち上げた。省エネ対策の支援を希望する事業所に専門家を派遣し、省エネ診断や運用改善・設備改修のアドバイスをする。本年度末までに、実際に省エネに取り組んだ事業所を「(仮称)省エネ推進事業所」に認定。来年度以降はそれをモデルケースに「取り組みをほかの事業所にPRし、意識啓発を図っていく」(環境課地球温暖化対策担当)考えだ。

2015年8月25日火曜日

【かながわクレーン塾】クレーン建協神奈川が自前でオペレーター養成/建設労働者育成支援事業に着手


◇かながわクレーン塾開講


 全国クレーン建設業協会神奈川支部(伊藤祐也支部長)は、重機オペレーター不足を自前で解消することを目的にした「かながわクレーン塾」を開講する。建設業振興基金が7月に厚生労働省から受託した「建設労働者緊急育成支援事業」の一環。31日から神奈川県内のハローワークを通じて人材を募集。10月から約5週間、富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)などで講習を行い、即戦力を育成する。講習終了後は8割以上の採用を目指す方針だ。

 建設労働者緊急育成支援事業は地域の建設業団体などを「地方拠点」と位置付け、全国16カ所で未就業者を建設業に入職させるための人材募集、職業訓練、就職あっせんなどをパッケージで実施する。初年度の15年度は募集目標が全国で600人。神奈川県内では同支部と神奈川県建設業協会の2団体が地方拠点に選ばれている。

 かながわクレーン塾の応募資格は18歳以上で普通免許取得者。入塾時点で無職で、クレーン業界への就職希望があることなどが条件となる。第1期生の募集期間は31日から9月24日まで。募集人員はビギナーコース15人(普通自動車運転免許のみ保有)とマスターコース15人(大型特殊免許・移動式クレーン運転士免許取得者)の計30人。講習期間は10月1日~11月24日のうち35日間程度を予定している。

 講習内容は富士教育訓練センターでの合宿教習、大型特殊免許取得(自動車学校通学教習)、移動式クレーン運転士(5トン以上)免許取得(専門教習所通学教習)、鉄道工事安全運転教習、工業高校出前授業見学会など。初心者からでも国家資格のクレーン運転士免許や玉掛け資格の取得までをフォローするカリキュラムを組んでいる。

 求人企業側から要望の多い「マナー・モラル研修」も取り入れる。講習終了後には採用希望企業との面接を仲介し、8割以上の採用を目指す考えだ。

 県内の重機団体では神奈川建設重機協同組合(内田靖夫理事長)も、若年入職者促進の取り組みとして県内の工業高校を対象とした重機の出前授業を展開している。これまで卒業生数人が組合員企業に就職するなどの成果を挙げているという。

【第3世界とやゆされた空港】NYラガーディア空港/官民連携でターミナル再整備、総事業費は40億ドル


 米ニューヨーク・ラガーディア空港で、16年初めにも官民連携手法による再整備が始まる。総事業費40億ドルをかけ、敷地内に複数ある既存ターミナルを取り壊し、一つの新ターミナルに統合。搭乗ゲートや誘導路の拡充で旅客処理能力を強化。ホテルや商業施設も新設して旅客サービスを改善する。19年に一部供用開始する予定。

 設計・施工から35年間の運営までを担うのは、カナダの空港運営会社バンテージグループや建設大手スカンスカなどが結成した企業連合。第1期工事として新ターミナルの西棟を建設する。東棟は同空港を拠点の一つとするデルタ航空が再整備を担当する。

 ニューヨーク州のクオモ知事が7月に発表した計画によると、12年のハリケーン・サンディで大規模な浸水が発生したのを教訓に敷地をかさ上げし、市中心部へのアクセスを改善する新交通システムも計画している。

【現場探訪】JR常磐線・小高駅~磐城太田駅間災害復旧工事/施工は東鉄工業

古い砕石をかき出す

◇線路をより良い状態に/砕石5135立米入れ替え進む

東日本大震災と福島第1原発事故の影響で運休が続いているJR常磐線の一部区間のうち、福島県南相馬市の小高駅~磐城太田駅間の復旧工事が本格化している。施工は東鉄工業が担当。道床のバラスト(砕石)を交換する除染作業が進行中で、レールの調整や枕木の交換なども実施。来春の運転再開に向け、同社水戸支店原ノ町軌道工事所の桑名隆行所長は「線路をより良い状態に仕上げる」と力を込める。
 工事は、JR東日本水戸支社が発注した「いわき保線技術センター管内災害復旧(太平洋地震)その2工事(甲)」。現場は原発事故の避難指示解除準備区域に指定されている南相馬市内にあり、日中の作業が原則となっている。工期は5月7日から16年3月14日まで。
 工事対象となる軌道(単線)は延長3893メートル。このうちトンネルと橋梁を除く3668メートルの道床を撤去・復旧するとともに、約200本のPC枕木の交換、延べ935メートルのレールの交換、4カ所の踏切修繕などを行う。
 除染作業に位置付けられている道床撤去・復旧では、約5135立方メートルの砕石を入れ替える。古い砕石を軌陸バックホウでかき出し、軌陸ダンプに積み込んで運搬。新しい砕石を積んだ軌陸ダンプから降ろされた砕石を、4頭タイタンパー(四つの爪のある保線機械)を装備した軌陸バックホウで突き固めていく。

四つの爪で新しい砕石を突き固める

 1日の作業量は約20人体制で約30メートル。小高駅から磐城太田駅に向かって作業が進んでおり、道床撤去・復旧の進ちょく率は12日時点で50%に達しているという。
 営業している線路では、レールの伸びやゆがみを避けるため、夏季には道床の撤去・復旧作業を行わないのが基本だ。桑名所長は「この現場は災害復旧という使命がある。仕上げの工程でレールをしっかりと調整する」と強調。さらに「今年の夏は暑い。日よけテントの設置や定期的な水分補給など熱中症対策を徹底し、作業に当たっている」と話す。

桑名所長(右)と山田副所長

 これから信号機や架線の復旧工事も本格化してくる。単線の中で複数の工事が同時進行するため、施工業者間で綿密な調整が重要になる。桑名所長は「より安全な施工に注意を払い、最後まで無事故・無災害を続ける」と意気込みを語る。山田学副所長は「公共交通機関の復旧に対する住民の期待は非常に高い。早期の運転再開に向け、無事故・無災害で仕事を全うしたい」と気を引き締める。

【回転窓】爆買いに感謝

 〈爆買い〉。このところメディアで盛んに使われ、定着した新語である。訪日外国人、中でも特に中国人観光客による大量かつ猛烈な購買行動をこう呼ぶ。誰が最初に使ったのかは知らないが、字面といい、言葉の響きといい、まったく言い得て妙▼国内の百貨店の売り上げは今、中国をはじめとする外国人観光客の買いっぷりが左右している。日本百貨店協会が先日発表した7月の全国百貨店売上高で、外国人観光客向けの売上高は前年同月の実に3・5倍。まさに爆買い効果だ▼今月のお盆休み期間(7~16日)に成田空港を利用した出入国者数は2年ぶりに増加に転じたという。日本人は1割減ったが、外国人が3割以上増加。東京入管成田空港支局は、爆買い目的で来日する中国人観光客などが増えたのが要因と見ているそうだ▼日本経済は先に発表された4~6月期の国内総生産がマイナス成長。特に個人消費が振るわない。原因はどうあれ、消費に疲れた「老人国」の一面も透けて見えよう▼若い新興国の人たちの爆買いが経済を下支えしてくれているとすれば、誠にありがたいことと言わねばならない。

【現場探訪】鍋田ふ頭進入道路3号橋上部築造工事(愛知県)/施工はIISJV

現場上空に送電線が横断する難工事となった

 ◇供用線近接、上空には送電線◇

 名古屋港全体のコンテナ貨物の約3分の1を取り扱う鍋田ふ頭コンテナターミナル(愛知県弥富市)。ふ頭に接続する道路の利便性向上を目的に名古屋港管理組合が進める「鍋田ふ頭進入道路3号橋上部築造工事(その2)」が佳境を迎えている。現場が供用中の道路橋に近接しているのに加え、橋梁上部に送電線が横断する難工事だが、施工をメーンで担当するIHIインフラシステム(IIS、堺市堺区、井上明社長)は、一つの橋に2種類の架設工法を採用することで乗り切った。

 工事では、鍋田ふ頭(起点)から県道名古屋西港線(終点)までを結ぶ延長2・3キロの鍋田ふ頭進入道路のうち、起点から3番目の鋼橋を築造。現在の1方向1車線を2車線に拡幅する。橋長は184メートルで、総幅員は12・4メートル。形式は鋼2径間連続鋼床版箱桁橋。施工はIIS・瀧上工業・加藤建設JVが担当している。工期は13年11月12日~15年12月25日。

 現場は、既に供用中の道路橋に近接して架設するのに加え、橋梁上部を周辺のごみ焼却施設(八穂クリーンセンター)向けに7・7万ボルトの送電線が横断しており、一般的な工法では安全面への配慮から交通規制が必至だった。そこでIISは、交通規制を回避するために送電線の位置を境に橋梁を2分割し、それぞれ別の工法で架設を行った。


細心の注意を払って鋼桁の架設を行っている
 ◇1橋に2種類の架設工法適用◇

 先行架設する終点側から約3分の2(長さ120メートル、重量830トン)に当たる部分には、「旋回横取り工法」と呼ばれる工法を採用した。送電線を回避した位置に設けた作業ヤードで橋梁を地組みし、ボルトの締め付けや溶接などを行った後、終点側を回転軸として回転角度15度で旋回。23・5メートルを移動した。

 地組みする際は、作業ヤードを広く確保することができなかったため、組み立てた桁の上に架設用の150トンづりクローラクレーンを載せ、架設と前進を繰り返した。

 残りの3分の1(長さ64メートル、重量480トン)で採用したのは、「縦送り横取り工法」。送電線から離れた作業ヤードで組んだ橋梁を、縦方向に23・5メートル送り出した後に、13・5メートル横方向に移動させ、先行架設した桁と接続して所定位置に据え付けた。

 現場で作業を指揮する入江賢所長は「発注者は当初、交通規制も視野に入れていたようだが、当社の提案が評価され、交通を妨げることなく施工できた」と話す。一つの現場で2種類の工法を採用する難しい工事となったが、「細心の注意を払って施工に臨んだ」。

 進ちょく率は94%(7月22日時点)。工事の山場は乗り切ったが、「無事故無災害で工事を完成させたい」(入江所長)とあらためて気を引き締めている。

2015年8月24日月曜日

【工業高校ってどんなところ?】全国高校土木教育研究会が全国大会記念誌作成、162校の魅力紹介


 全国高等学校土木教育研究会(全土研、市村恵幸会長)は、東京都内で行った全国大会(20~21日)の記念誌として、土木系学科を設置している全国162の高校を紹介するガイドブックを土木学会と共同で作成した。各校の特色、目標や実習内容といった「学科自慢」「紹介したい身近な土木」を掲載している。大会の参加者などに配布しており、ガイドブックを通じて全国の土木系高校の魅力を広く発信する方針だ。

 作成したのは、「DOBOKUの高校来て見てガイド 紹介したい私たちの学校と身近な土木」。各校の教員に作成を依頼し、東・西それぞれの事務局が編集した。土木学会の協力も得た。

 内容を見ると、全国9地区別に土木系学科のある高校の▽校訓▽教育課程の特色▽私たちの学科自慢▽紹介したい身近な土木―などをまとめている。学科自慢では、▽CADと手書き製図の2教室展開(北海道苫小牧工業高校)▽橋梁点検技術の現地実習(福島県立二本松工業高校)▽所有する建設機械による掘削・運搬実習(東京都立田無工業高校)▽同窓会のバックアップ(沖縄県立沖縄工業高校)―などを紹介している。

 各校は、学校の近くにある土木構造物を調べ、誰もが知っている構造物や、隠れた土木施設をさまざまな視点から説明している。巻頭で市村会長は、「土木技術の歴史も見て取れる内容。土木系学科を設置する高校ガイドブックとして、そして土木の役割、技術について身近に感じてもらいたい」とコメントしている。

【凜】東京・江戸川区都市開発部・栗山綾子さん



 ◇いつまでも成長感じられるように◇

 建設関連の仕事に興味を持ったのは、父が工務店を営み、身近で家を建てる姿を見ていたから。「自然と建築を志すようになった」と話す。

 大学では人間工学や都市計画を中心に学んだ。「人と対話しながら図面を書く仕事がしたい」と思い立ち、卒業後は住宅メーカーでリフォームの営業や設計業務を手掛けた。

 「違う仕事にチャレンジしたい」という思いが強くなり転職。江戸川区役所に入って4年目になる。現在はまちづくり推進課に所属。住宅密集地で進めている生活道路拡幅事業の用地買収や、不燃化特区の不燃化推進業務に精を出す。

 道路の拡幅事業は「住民のそれぞれの状況で変わる。正しいことをやっていると納得してもらえるように交渉している」と日々の仕事の難しさを語る。「道路が拡幅されて見通しが良くなったのを見ると、達成感がある」とも。

 3児の母として仕事と子育てを両立させている。「出産や育児が大変な時は周りの人にたくさん助けてもらった」。忙しさは日常茶飯事だが、「仕事で嫌なことがあっても、子育てに追われていると忘れられる」という。

 「思い立ったら吉日、人生は一度きり」が座右の銘。これからも「いろいろな経験を積める環境の中で、刺激を得ていきたい。いつまでも自分の成長を感じられるようにいられたら幸せ」と姿勢は常に前向きだ。

 (くりやま・あやこ)

【中堅世代】それぞれの建設業・107

現場の最前線で汗を流す技能者なくして建設産業は成り立たない
  ◇処遇改善で職人気質取り戻したい◇

 躯体系の専門工事会社で安全管理を担当する石原祐一さん(仮名)は最近、協力業者の親方らとの会合などで、仕事量の落ち込みについて不平・不満をよくぶつけられる。着工の遅れなどで仕事の量が減り、協力業者の職人たちのモチベーションを維持するのに一苦労だ。

 仕事に対する意欲が下がると事故も起こりやすくなり、事故が頻発すればゼネコンからの信用を失い、仕事がさらに減るという悪循環に陥りかねない。

 市場が活況の中、「元請のゼネコンは手持ち工事が増えて消化を優先し、新規着手する現場の数は逆に減っている」。そう説明しても、日給月給の職人にとって日々の仕事がないことは死活問題。素直に耳を貸してはくれない。「仕事をもらう立場と仕事を出す立場の二つの顔があり、厳しい状況下でどちらにもいい顔をしなければならないのは本当につらい」と石原さんは苦しい胸の内を明かす。

 建設技能者の処遇環境の改善に向け、労務単価の引き上げや社会保険加入促進策など、業界の長年の懸案を解決するための取り組みが官民挙げて本格化している。石原さんは、期待する気持ちも大きいが、その実現性に懐疑的な見方も払しょくできないという。「末端の現場で実際に働いたことがない人たちが、働き手の環境を本当によくすることができるのか」。どこかにそんな不信感が付きまとう。

 業界内での受注者と発注者、元請業者と下請業者の力関係はそう簡単には変わらない。凝り固まった業界構造を抜本的に改革するには痛みも伴う。

 「これまでしわ寄せを受けてきた末端の職人たちに代わって、上の人たちが自らその痛みをかぶることは考えられない。腕のいい職人たちがいなくなったら建設業は成り立たないという意識は共有しているものの、大きな問題を前に関係各者の足並みはそろっているとは言い難い」

 深刻化する人材不足などに危機感を強めるゼネコンの中には、協力会などを通じて下請業者の確保・育成に力を入れる動きも目立ってきた。優秀な職長に特別手当を支給する評価制度を導入するなどして職人のやる気を引き出し、自社への帰属意識や忠誠心を高める狙いもある。

 石原さんの会社も協力業者の職人への評価制度を構築し、このほど運用を開始した。現時点で導入効果は判断しかねるが、「すべての職人が恩恵を受けるわけではないので、やる気を高める人と失う人の二極化が進む恐れがある」という心配も。特に最近の若い世代は仕事に見切りを付けるのが早いと感じている。「努力と根気が続かず、周りから認められていないと感じると辞めてしまう子も少なくない」。競争意識が乏しく、仕事で親方や先輩を見返してやろうと考える負けん気の強い職人が年々減っているという。建設業界では、処遇環境の悪化が職人から仕事に対する誇りと情熱を失わせてきた。これから昔かたぎの職人をどう育んでいけばよいのか。

 石原さんは、元請と職人の間に挟まれながらも明るい未来を信じ、処遇改善の努力を続けていこうと思っている。

【駆け出しのころ】あおみ建設取締役常務執行役員土木本部長・河邊知之氏


 
◇自信と夢が成長させてくれる◇

 学生時代に瀬戸大橋の建設現場を見学し、土木の中でも海の工事はスケールが大きく、自分もそうしたものづくりに携わりたいと考えるようになりました。
 入社して1週間の研修を受けた後、九州の大分作業所に配属となります。私は岡山出身ですが、若いころはいろいろな所に行ってみたかったため、一人で九州に向かう時も特別な思いはありませんでした。
 九州の現場には7年ほどいました。最も印象に残っているのは、やはり最初の現場です。漁港の防波堤工事でした。入社前、建設現場というのは日々、目に見えて変わっていくイメージを持っていたのですが、ここでは違っていました。
 ケーソンが据わるまでは水面下の作業であり、何をやっているかが見えなかったのです。でも、完成した時には大きな達成感を味わえました。新入社員としていろいろと教えてもらったのは、この現場にいた数カ月だけで、その後は大分空港の護岸工事などに携わりました。
 海上工事では、春先などに海の状況が急変することもあります。ある日、沖合の防波堤で作業していると、海が急にしけ始め、タグボートを呼んで帰ったことがありました。大きく揺れるタグボートには、うまくタイミングを合わせないと乗船できず、これが非常に怖かったのを思い出します。護岸の前に積み上げた捨て石が、波でゴロゴロと崩れていったこともありました。
 いつまでに、こうしなければいけないなどと決断するには、自信が必要です。これがないと作業員の人たちも従ってくれません。若いころは勝手にやって所長からよく怒られたものですが、上から言われたことをそのまま伝えるのではなく、自分で咀嚼(そしゃく)して考え、決めないと進まない時もあります。その時々の状況に応じて判断することが重要です。
 阪神大震災の時には設計担当として、東日本大震災では東北支店長として復旧・復興に携わるなど、さまざまな貴重な経験をさせてもらってきたと思っています。建設業の魅力をどう感じているかは、私たちの世代と若い人たちでは違うのかもしれません。でも、若い人には夢を持ってほしいと思います。将来はこんなふうになりたい、こうしたことに携わってみたいといったものがないと、現実ばかりに追われてしまい、上を目指さなくなってしまいます。
 それには、会社が夢を見られるような体制でなければなりません。私がそれを自分の夢と言ってはいけないでしょう。一緒にやってくれる人たちと実現させていくことが、大きな役割だと考えています。
 (かわべ・ともゆき)1985年岡山大工学部土木工学科卒、佐伯建設工業(現あおみ建設)入社。西日本事業部土木部部長、土木本部土木部長兼管財人室長、執行役員土木本部副本部長、取締役常務執行役員東北支店長などを経て14年10月から現職。岡山県出身、52歳。

九州の現場に勤務していた当時。スケールの大きな仕事に憧れ入社した


【サークル】三和シヤッター工業 野球部


 ◇「力を合わせて勝つことが一番の楽しみ」◇

 東京工場が1967年に操業を開始したのをきっかけに、「三和シヤッター野球部」が設立された。創部から48年。野球好きの有志を中心に、練習や試合に励んでいる。
 現在の部員数は20人。板橋にある本社所属の営業、技術、製造、総務経理など部署の枠を越えた社員でメンバーを構成している。
 入部に当たって野球の経験の有無は関係ない。やる気さえあれば、いつでも入部を受け入れている。近年は新入社員も入部しており、社内活性化のためにも、さらに積極的に活動していきたいという。
 板橋区軟式野球連盟主催の大会に春・夏・秋と出場しているほか、産業連合会大会、区民大会などにも出場し、白熱した試合を繰り広げている。
 忘年会や暑気払いといった部員の親睦会も多く行われており、部員同士のコミュニケーションも活発だ。
 練習や試合で一番に心掛けていることは、「とにかくけがをしないこと」。そして「自らが野球を楽しむこと」。
 「部員全員が心から楽しみながら、力を合わせて試合に勝つことが一番の楽しみ」と代表の一柳裕昭さん(ビル建材事業本部特販営業部開発技術グループ東京開発二課課長)は日々の活動を語る。

2015年8月21日金曜日

【回転窓】インフラツーリズムに注目

明石海峡大橋・主塔頂上から神戸市を望む
(写真提供:本州四国連絡高速道路会社)
高さ300メートルから360度の絶景パノラマ。世界最長のつり橋・明石海峡大橋で、普段は立ち入ることができない管理用通路から主塔のてっぺんへと登る体験ツアーに、毎年1万人もの人々が参加しているという▼暮らしや安全を支えるインフラを見て、触れて、学べる「インフラツーリズム」に注目が集まっている。ダム、橋梁、トンネル、地下河川などさまざまなインフラを地域固有の観光資源として楽しんでもらうツアーが増えている▼旅行会社による有料の企画も少なくない。東京・霞が関の国土交通省内で開催中のインフラツーリズムのパネル展では、そうした全国各地で催される見学会など59の事例が紹介されている▼夏休みが終盤に入った子どもたちにとっても、ツアーで見たインフラからいろいろなことが感じ取れるのではないか。管理上、通常は市民が入ることができないケースが多い大規模構造物。そのスケールに圧倒され、施工に当たる建設業界の底力を知る絶好の機会にもなろう▼一度でもそうした体験をした人からは、「公共事業悪玉論」のような発想が出てくるとは到底考えられない。

【完成が楽しみ】劇団四季が名古屋市中村区に新劇場

新劇場の完成イメージ
劇団「四季」は、名古屋市に新しい拠点となる「名古屋四季劇場」を建設する。10月に着工、16年秋オープンを目指す。設計・施工は清水建設。建設地は、中村区名駅南2。敷地約4165平方メートルをNTT都市開発から借りる。

 規模は、S造地下1階地上3階建て延べ約4644平方メートル。これまでの専用劇場と同様に「客席と舞台に一体感のある濃密な空間」をコンセプトに計画した。客席数は最大1200席。2階客席は1階席中央までせり出し、臨場感を高める。

 リニア中央新幹線の27年開業を見据え、名古屋駅周辺では大規模再開発が進んでいる。新劇場は駅から徒歩約10分の距離。これまでの新名古屋ミュージカル劇場(中区栄1)に比べ、アクセスが格段に向上する。新名古屋ミュージカル劇場は、新劇場のオープン後に閉鎖される予定。

【ジワジワッと1万人】建設技術研究所が日本橋歴史クルーズが密かなブーム?

1万人目、おめでとー(拍手)。大島会長(後列左端)もニッコリ
建設技術研究所が運営する東京都内の歴史クルーズ「お江戸日本橋舟めぐり」が好評だ。同社所有の電気ボート「江戸東京号」に乗船し、日本橋川や神田川、隅田川などを巡りながら街並みに残る江戸の雰囲気を体験してもらう有料のツアー企画。09年のスタートから19日で累計参加者が1万人を突破した。

 東京・日本橋に本社を置く同社は、地域の団体や企業などと江戸東京再発見コンソーシアムを結成。環境に優しく音も静かな電気ボートに乗り、都心の高層ビルに囲まれた川面から江戸の記憶をたどるクルーズツアーを考案した。

 当初は日本橋川だけのコースだったが、現在は「神田川」「小名木川」「深川」「634(ムサシ)」「江戸湊」を加えた6コースに増え、特に桜の季節は応募が殺到するという。

 1万人目となったのは、東京都国立市から参加した徳本章一郎さん、詠子さん、雄也君の家族。表彰状と一緒に、記念品として、日本橋の老舗商品の詰め合わせが贈られたほか、建設技術研究所の大島一哉代表取締役会長が江戸東京号のチャーター券を贈呈した。雄也君は「これからも舟に乗りたい」と感想を話していた。

【リケジョによるリケジョのための】全国で「リコチャレ」見学会が真っ盛り!!

橋梁工事の秘密を紹介!?
 三井住友建設は20日、新名神高速道路で建設中の世界初のバタフライウエブエクストラドーズド橋「武庫川橋」の(神戸市北区)の工事現場を女子学生に公開した。内閣府男女共同参画局主催の「理工チャレンジ(リコチャレ)」の一環で、近畿圏の小・中・高・大学生と保護者29人が参加。則久芳行会長も駆け付け、同社の女性技術者の案内で地上から85メートルの橋の上部床などを見て回った。

 建設中の武庫川橋(神戸市北区道場町生野飛瀬~ウエ山)は、橋長442・2メートル、幅員24メートル。主塔と斜材によって主桁を支える外ケーブル構造のエクストラドーズド橋(プレストレストコンクリート製)で、工期は11年4月~16年5月。完成すると西日本高速道路会社が16年度中の完成を目指す新名神高速道路高槻第一ジャンクション(JCT、大阪府高槻市)~神戸JCT(神戸市北区)間約40キロの一部となる。

 施工を担当する三井住友建設は、箱桁側面に使うコンクリートパネルに隙間を設けたバタフライウェブの採用と、主塔から伸びる斜材で主桁をつり上げることで上部工の重量を軽減。橋脚も細くなり、コンクリートウエブを使った箱桁橋に比べ上下部の重量を35%縮小し、施工の省力化も図ったという。

 当日は、女子学生が斜材をつり上げる主塔(高さ約81メートル)に設置された現場用昇降機を使って、高さ85メートルの橋の上に登り、床版工事を見学。続いてチョウの形をしたプレキャスト部材(バタフライウェブ)を使った箱桁内などを見て、「こんなすごい現場で活躍する女性がいるとは思わなかった。感動している」と感嘆の声を上げていた。
 案内した女性技術者は「辛いことはたくさんあるが、やりがいのある仕事だ。皆さんもぜひ建設産業に入り、現場に挑戦してほしい」と参加者に呼び掛けた。

新菱冷熱工業の見学会では、空調技術を紹介
 新菱冷熱工業は20日、茨城県つくば市にある同社中央研究所で、理工系分野を目指す女子学生向けの見学会を開いた=写真。内閣府の男女共同参画局が推進している理工系女子学生を応援するプロジェクト「理工チャレンジ(リコチャレ)」に連携する形で行われたイベントで、中学生から大学院生まで幅広い年代の計12人が参加。普段見ることのない研究所施設を細部まで見学したほか、女性社員との交流を通じ、空調技術に関する理解を深めた。

 見学会では、冒頭に竹之内元所長から研究所の概要説明が行われた後、▽金属の腐食診断技術▽風の流れや温度のコンピューターシミュレーション▽音の実験室(無響室・残響室)▽モニタリングロボット▽ドライルーム(超低湿度の部屋を作る技術)▽SmoClean(たばこ脱臭装置)▽人工太陽(ソーラーシミュレーター)▽氷蓄熱(シャーベットを作って冷房する技術)▽植物工場-を2班に分かれて見学した。

 無響室・残響室の見学では、日常生活では経験することのない空間に驚きの声が上がった。建築設備の点検するためのモニタリングロボットは、実際にコントローラーで操作して設備業界の最先端技術を体感した。

 見学会終了後には、テーブルを囲んで座談会を開いた。女性社員が理工系の職種に就いた理由や仕事の面白さなどを分かりやすく説明。最初は緊張気味だった参加者も、徐々に打ち解け、仕事の話やプライベートの話などで盛り上がった。

【土木構造物はやっぱり美しい…】LIXILギャラリーで8月27日から「鉄道遺構・再発見」展

士幌線・第四音更川橋梁(北海道)=撮影:西山芳一氏
 鉄道遺構の価値や今後のあり方を見つめ直す企画展「鉄道遺構・再発見」展が8月27日から、東京・京橋のLIXILギャラリーで開かれる。全国に分布し、その置かれている立場もさまざまな廃線跡。次代に向けて鉄道遺構を貴重な資産として受け継ぐため、さまざまな魅力を再発見する企画展だ。

 廃線になった後も新たな価値を付加された鉄道遺構14件を取り上げ、土木写真家の西山芳一氏によるダイナミックな写真を通じて遺構の迫力と存在感を存分に感じてもらう。関連企画として、11月12日午後6時30分から東京・京橋のAGC studioで、伊東孝(産業考古学会会長・元日大教授)、西村浩(建築家)両氏による対談が催される。聴講無料。定員80人(予約が必要)。

 会期は11月21日まで。開館時間は午前10時~午後6時。休館日は水曜日、9月23日。入場無料。詳細はホームページへ。

2015年8月20日木曜日

【水上飛行機で地域振興】関心高まる水上空港ネットワーク

水面を滑走する水上飛行機
水面で発着する水上飛行機を活用し、複数の都市を結ぶ「水上空港ネットワーク構想」。国内では、東日本大震災で被災した三陸地方の復興を後押しするため、日本大学の研究者らで構成するグループを中心に調査・研究が進められてきた。遊覧飛行などを目的とした水上飛行機の運航事業会社も発足している。観光振興や地方創生の新たな方策の一つとして水上飛行機の活用が注目されている。

 ◇地域・観光振興で期待大◇

 同構想の調査・研究を進めているのは、12年に発足した「東日本復興水上空港ネットワーク構想研究会」。伊澤岬日大理工学部名誉教授が研究代表、轟朝幸日大理工学部教授が幹事長を務めている。構想では、三陸地方に広がるリアス式海岸の湾奥にある静水域のほか、東京湾、内陸部の湖などに桟橋や揚陸・乗降施設などの空港施設を整備し、水上飛行機でネットワーク化する計画。空港整備の候補地には、岩手県の宮古や釜石、宮城県の塩釜などを選んだ。このほか、三陸地方と首都圏を結ぶネットワークの拠点として、茨城県の霞ケ浦も水上飛行場の建設地に見据えている。水上飛行機を震災の被災地で活用するメリットの一つには、交通アクセスの向上が挙げられる。

 同研究会の試算によると、東京~宮古間を移動する場合の所要時間は、鉄道だと約5時間40分。一方、水上飛行機なら新幹線の規制速度(時速260キロ)と同程度のスピードで移動できるため、飛行艇(水面上で主に艇体で機体の重量を支持する航空機)で1時間半、フロート水上機(水面上で主に脚部に取り付けたフロートで機体の重量を支持する航空機)で2時間にまで短縮できるという。桟橋やスロープなどの簡易な設備と、延長1000メートル程度の静穏な水域があれば、どこでも離着水が可能なため、インフラ設備への初期投資を抑制できるのも利点。水上飛行機を活用すれば、迅速に低コストで復興を加速することが可能とみている。

 伊澤名誉教授は飛行場の整備実現に向け、「水上飛行機が発着できる飛行場の整備を復興の柱とすることで、瞬間的な支援ではなく持続的な支援を行っていきたい」と強調。シンポジウムや講演などの啓発活動に一層力を入れる。こうした研究者の情熱に動かされ、いくつかの自治体で水上飛行機の導入に向けた検討が始まっている。

東日本エリアの水上空港網を生かした事業化イメージ

 岩手県宮古市は、沿岸部の都市を結ぶ効率的で夢のある交通手段として水上飛行機に着目。12年度に航路開設に向けた検討を始めた。横浜市では、山下ふ頭(中区、約47ヘクタール)の開発の方向性を検討してきた「横浜市山下ふ頭開発基本計画検討委員会」が、7月にまとめた答申案に、地区内外の交通ネットワークを強化する施策の一つとして水上飛行機の活用を盛り込んだ。具体化に向けた議論がこれから本格化する見通しだ。

 ◇運航事業会社も発足◇

 西日本でも、観光振興の観点から、水上飛行機に熱い視線が注がれている。広島県尾道市では、同市の境ガ浜を拠点に水上飛行機を運航する民間航空会社「せとうちSEAPLANES」(須田聡社長)が設立された。国内初の水陸両用機を活用した遊覧飛行やチャーター便の運航などを手掛け、機体の保守管理や運行乗務員・整備士の派遣なども行う。遊覧飛行では、境ガ浜マリーナを拠点に、尾道市と愛媛県今治市をつなぐしまなみ街道(西瀬戸自動車道)や広島県の名所の宮島・厳島神社、「アートの島」として世界的に知名度の高い直島(香川県)など瀬戸内海の観光地を上空から楽しめるコースを設定。島々が連なる風光明媚(めいび)な瀬戸内海沿岸地域を水上飛行機で結び、観光客を呼び込むのが狙いだ。

 島根県浜田市では、漁港の既存設備を活用し、日本海沿岸と瀬戸内海沿岸とを水上飛行機で結ぶ計画を、地元経済界が中心となって検討し始めた。このほど、同市内でシンポジウムが行われ、隣接する大田市にある世界遺産「石見銀山」近くの港と浜田市の漁港を水上飛行機でネットワーク化するなど、同市の観光振興に向けた施策が提案された。轟教授は「少子高齢化による人口減少が進む中で地方経済を活性化するには、交流人口の増加が鍵になる」と指摘。既存の産業をネットワーク化することで新たな産業や文化が生まれ、地域の魅力が向上。それが交流人口の増加につながるとみる。

 観光振興の視点では、地域に点在する複数の既存観光地をネットワーク化すれば、回遊性が高まり、それが地域経済の活性化や地方創生をもたらす。人が回遊する仕組みをつくるためには交通利便性の向上が不可欠。効率的でロマンがある交通手段として水上飛行機の導入に向けた検討が各地で加速しそうだ。

【回転窓】田んぼアートと測量技術

 実りの秋を前に、青森県田舎館村の田んぼアートが見ごろを迎えている。稲作体験ツアーをきっかけに、3色の稲を使って地元の岩木山を描いてみようと始まった取り組みで、20年目を迎えたそうだ▼最初はシンプルだった絵柄は、年を重ねるごとにだんだんと凝るように。今年のテーマは「風と共に去りぬ」と「スターウォーズ」。展望台に立つと、眼下に広がる稲穂の絵に、「おお!」と歓声が上がる▼スターウォーズの田んぼアートには7種類の稲が使われている。緑や白に黄、赤と色彩も豊富。近くで見ると馬の毛並みのように美しい。刈り取るのは惜しい気もするが、期間限定だからこそ、価値も高まろう▼難しい絵柄ほど田植えも複雑になる。展望台から見た姿をきれいに仕上げるために、遠近法を計算して下絵を作成。詳細な設計図を基に稲を植えていくという。ナイロンテープと約1万本のアシで色彩の変わり目をなぞっていく。そのための測量には約1週間かかるそうだ▼大地にポイントを刻んでいくという意味では、構造物や建物を造る時と同じ。何事にも裏付けとなる技術が存在するのである。

【ぜひ行ってみたい】サッポロビールがガーデンパーク(札幌市中央区)をリニューアル


 サッポロビールは、創業140周年記念事業の一環として、札幌市にある複合商業施設「サッポロガーデンパーク」の改修工事に16年2月に着手する。サッポロビール博物館の全面改修や、施設内にある複数の受付の統合などを行い、来場者の利便性と快適性の向上を図る。施工者などは未定。来春のリニューアルオープンを目指す。

 サッポロガーデンパークの所在地は札幌市中央区北7東9(敷地面積約4300平方メートル)。ビールの歴史などに関する展示を行う「サッポロビール博物館」、飲食施設の「サッポロビール園」、商業施設の「アリオ札幌」や、北海道日本ハムファイターズ屋内練習場などで構成する。建物の総延べ床面積は約1万平方メートル。

博物館1階・テイスティングエリアの完成イメージ。
ビールびんシャンデリアが印象的
 歴史的建造物であるビール博物館は赤れんがの外観を残し、3階建て延べ約3350平方メートルの内部を全面改修する。ビール博物館とビール園にそれぞれある受付を統合し、ビール博物館内に総合受付を新設する。このほか、タクシー乗り場の移動や、ガーデンパーク内のサインの見直しなどを行う。

 ガーデンパークの施設は1890年に精糖工場として建設され、その後麦酒工場に転用された。ビール園は16年に開業50周年を迎える。年間来場者数は約60万人。

【優勝は欧州勢】台湾「淡江大橋」設計コンペ、ザハ事務所らグループが優勝者に



 台湾最大となる「淡江大橋」の設計者を選ぶ国際コンペで、ドイツの構造設計事務所レオンハルト・アンドレ&パートナーズや英建築設計事務所ザハ・ハディド・アーキテクツなどが参加するグループが優勝者に決まった。台湾や日本、米国、デンマークの企業が参加する最終候補6者から選ばれた。
 現地企業と大日本コンサルタントのJVは2位、オリエンタルコンサルタンツとパシフィックコンサルタンツがそれぞれ現地企業などと組んだJVは5位で並んだ。
 首都・台北の郊外を流れる淡水河の河口に、延長920メートルの長大橋を建設する。台湾政府は、橋を観光の目玉にするため、デザインを重視して設計者を選定。ハディド氏が手掛けたデザインは、RCの主塔1本(高さ175メートル)が左右長さの違う鋼製橋桁を支える2径間斜張橋で、主塔は、環境への影響を抑えるためと、台湾海峡に沈む夕日を美しく見せるため細い流線型になっている。
 淡江大橋の建設費は約76億台湾ドル(約285億円)。20年末の完成を目指している。

2015年8月19日水曜日

【日本だけではない】豪建コン業界も女性の活躍推進に注力/管理職比率拡大、賃金格差解消めざす



 世界経済フォーラムが発表した各国の男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2014」で142カ国中24位のオーストラリア。104位の日本に比べると女性の社会進出は進んでいると言えるが、建設コンサルタント業界の取り組みは道半ばのようだ。7月に日本コンサルティング・エンジニア協会(AJCE、内村好会長)が主催したセミナーで講演するため来日したオーストラリア協会(Consult Australia=CA)事務局長のメーガン・モットー氏は、「女性が活躍できないのは社会にとって大きな損失だ」と訴える。


 CAは11年、会員企業の女性社員に関する調査を開始した。調査は隔年で行われ、各社が女性登用を進めるための課題を特定し、提言をまとめることが目的だ。集められたデータの対象となる従業員は11年が1万5000人、13年には1万9500人に増えるなど業界を網羅。課題を浮き彫りにする貴重なデータが得られたという。
 13年に行われた最新の調査結果によると、業界で働く女性の割合は28・7%。これは全就業者の女性比率45・8%を大きく下回る。役員を含む管理職の女性比率は12・9%だった。全産業では女性管理職の割合が36・1%と世界の主要国でトップレベルにあることを考えると、「建設コンサルタント業界の取り組みには物足りないものがある」とモットー氏は話す。
 

 調査では管理職をさらに細かく分析した。プロジェクトや地域のマネジャーといった第1段階の管理職では16・7%が女性で、11年の13・0%より拡大。ところが、よりシニアレベルに進むほど女性の割合が低くなる傾向が見られ、最高経営責任者(CEO)などを含むエグゼクティブ層では11年よりも約4ポイント後退してわずか2・2%という結果だった。
 報告書は、11~13年の間に女性管理職の総数は増えているものの、女性がさらに上位職へ昇進できる道筋は未発達だと分析した。一方、取締役の女性比率が13年は11年より4・5ポイント増えて15・5%と明るい数字も見られ、女性取締役への社会的な期待に企業が応えた結果と考えられるとしている。


 技術系社員に占める女性の割合を見ると、13年は24・3%。ほとんどの職位で11年から13年に女性比率の増加が見られた。入社2~3年の若手技術者は既に3割超が女性。経験豊富な最上位の技術職では、14・3%が女性だった。
 CAは、技術者の男女比率に加え、給与格差も重要な問題だと考えている。調査によると、年齢や勤続年数、熟練レベルが同程度の男女の間でも給与に6~7%の差があった。報告書は、考えられる要因の一つとして、フィーが比較的安いとされる環境などの分野に女性技術者が多いことを挙げた上で、企業に対し同一労働同一賃金の徹底を促している。

「男性中心の経営文化に変化が必要」と話すモットー氏
 女性の入職や定着を促すには、既存のシステムを変える方向に思考を転換するよう訴える。「大規模で複雑なプロジェクトほど、他者とのコラボレーションがカギとなる。多様なスキルや文化を持つ人材がチームの問題解決能力を強化する」として、女性の活躍が企業へ与えるメリットは大きいと指摘している。

【回転窓】温暖化進むアルプス

 8月も後半に入り、夏山シーズンも終盤。下界はまだ残暑でも、高山の稜線には秋風が吹き始めているだろうか▼この夏、欧州アルプスは気温上昇で雪解けが加速。登山者の人気が特に高い最高峰モンブラン(4811メートル)では、雪崩や落石の危険が高まって登山道の利用自粛や山小屋の一時閉鎖を余儀なくされたと先日、通信社のニュースが伝えていた▼マッターホルン(4478メートル)の氷河では、45年も前に行方不明となった2人の日本人登山家の遺骨が見つかったとのニュースも。こちらは雪解けが進んだことで、過去に遭難したとみられる登山家の遺体がたびたび見つかっているそうである▼近年のアルプスは雪不足も深刻で、運営難に陥るスキー場も少なくないらしい。アルプスの気温上昇速度は世界平均を大幅に上回り、地球温暖化の影響が最も激しい地域と見る説もあるという▼日本の山と本場のアルプスとでは、温暖化の影響の出方もスケールが違うようだ。これだけ科学が発達しても、地球規模の気候変動予測は難しいだけに、この先何が起きるのか不気味でもある。人知の無力を思い知らされる。

【まだまだ、あぢぃ~の~】森ビルとパナソニック、虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で〝ひんやり〟実験

設置するクールスポットのイメージ
森ビルが管理・運営する東京都港区の「虎ノ門ヒルズ」で、冷涼空間を提供する屋外設置型設備の商品化に向けた実証実験がスタートする。パナソニックが開発中の「クールスポット」を、虎ノ門ヒルズ低層部の商業エリア(ステップガーデン)に27日から9月13日まで配備する。施設利用者や来訪者の熱中症対策としての有用性などを確認し、実験成果を商品開発に反映させていく。

 クールスポットは、ミストやエアカーテン、遮熱パネルなどを用いたプレハブタイプの小屋で、夏季に屋外スペースなどに配備することを想定している。虎ノ門ヒルズに設置するクールスポットは広さ約6.7m2で、大人8人程度を収容できるという。

 将来的には保水ブロックによる打ち水効果や、太陽電池と蓄電池を備えた独立電源型システムなどを組み込み、暑さ対策ソリューションとして展開する考えだ。

 両社は急増する訪日外国人観光客へのサービス向上など、未来の都市づくりに向けたソリューション開発で連携を強化する。暑さ対策に続き、9月には多言語自動翻訳機の実証実験を都内の六本木ヒルズやヴィーナスフォートで行う。

【土木のシゴト、知ってほしい】岡山県が建設技術者の紹介動画作成



 岡山県は、 建設現場で働くさまざまな技術者の「生の姿」を紹介する動画「夢シゴト人ハッケン!建設業の魅力」を作成した。土木のシゴト編、建築のシゴト編で構成。各15分にわたり、プロジェクトや仕事の内容、匠の技などを現場所長や現場監督、専門職人のインタビューなどを交えて紹介している。

 動画作成は建設産業の重要性と魅力を知ってもらい、就職や土木・建築系の高校・大学などへの進学の呼び水とすることが目的。動画共有サービス・YouTubeの公式チェンネル「晴れの国おかやまチャンネル」のほか、各種イベントやハローワークなどで上映する。

 20日には岡山市北区の岡山ドームで、岡山県、岡山市、岡山県建設業協会が主催、中国地方整備局、岡山県建設青年交流会、岡山県高等学校工業教育協会土木系部会・建築系部会、岡山県立大学、ハローワーク岡山が共催する「おかやまの土木・建築『体感!』ゼミナール」でも上映される。

 ゼミナールでは、建設技術(鉄筋組み、壁塗り、測量)の実演と体験、建設車両の展示と試乗、高校・大学による学科紹介、社会インフラの整備や災害対応を含む地域の維持を担う建設産業の紹介なども実施する。

土木の仕事は社会の安全・安心を確保する上で欠かせない



【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)=ハノイ市人民委、日越友好橋の広告変更指示(8月8日付)


 首都ハノイに今年開通した日越友好橋「ニャッタン橋」で、道路上に掲げられている広告がふさわしくないとして問題になっている。ハノイ市人民委員会のグエン・クオック・フン副委員長は、この問題について日本大使館関係者と協議し、広告を取り換えることを決めた。

 フン副委員長はハノイ市交通局に、日越友好橋にふさわしい、両国の外交関係や文化、ビジネスに関係する広告に変更するよう指示。日本側に対しては、ベトナムの法律にのっとった広告を設置する日系を含む広告代理店を紹介してほしいと依頼した。

 ニャッタン橋は、ハノイ中心部とノイバイ国際空港を結ぶ主要幹線道路で、日本の政府開発援助(ODA)で建設された。ハノイ市は、日越関係の強化や交通安全、景観づくりの観点から広告の取り換えを決めた。(越・セイ・ズン紙

2015年8月18日火曜日

【おめでとー!!】技能五輪国際大会で島瀬竜次選手(きんでん、情報ネット職種)が金メダル獲得

島瀬選手の金メダル獲得で、情報ネット職種は日本勢が6連覇を達成
 11日から16日までブラジル・サンパウロで開かれた第43回技能五輪国際大会で、情報ネットワーク施工職種の日本代表として出場したきんでんの島瀬竜次選手が金メダルを獲得した。きんでんでは、情報ネットワーク職種で2大会連続・2個目の金メダル獲得となる。さらに、島瀬選手は日本代表選手の中の最高得点者に贈られる「ベスト・オブ・ネイション(国別最高得点賞)」も受賞した。

 情報ネットワーク施工職種には、19の国・地域から選手が出場。光ケーブルの配線施工や光ケーブルとLANケーブルを使用した構内配線施工を行うなどモジュール1~5の5課題について、4日間で16時間かけて競技を行った。最適なペース配分と集中力の持続が要求されるほか、慣れない開催国製材料への対応力がポイントとなった。

 情報ネットワーク職種は公式競技に認定されて以来、日本代表が5連覇を果たしているだけに、6連覇という大きなプレッシャーとも闘った。

 今回の結果を含め、同社が技能五輪国際大会で獲得したメダル数は、金が9個、銅が2個。1962年のスペイン大会を皮切りに、配管職種を合わせて3種目で17人の選手が同社から国際大会に出場している。同社は、今後も同大会出場経験者を中心とした優れた人材による技能の伝承を進めながら、世界の舞台で技を競う大会への挑戦を続けていくとしている。

【回転窓】地域行事と騒音問題

 お盆休みが終わり、きのうから仕事に復帰したという方も多いだろう。行楽や帰省、あるいは普段おろそかにしがちな家族サービスなどと、休みの過ごし方はさまざま。中には地域や帰省先で夏祭りや盆踊りを楽しんだ方もおられよう▼住まいの近くの公園でも、この時期はお祭りや盆踊りがある。野球などの球技は禁止、大声を出してはいけない、夜の立ち入りは不可など規制が多いのが近ごろの公園。お祭りの日ばかりは禁止事項も多少緩むようだが、あれもダメ、これもダメと書かれた立て看板を見ているとお祭りや盆踊りも少し興ざめする▼愛知県東海市の大田町では、年々厳しくなる公園の規制への対処もあり、6年前から「無音盆踊り」が開かれているという。踊り手はイヤホンで音楽を聴きながら踊るそうで、今年は2日間で400人が集まったとか▼騒音問題と地元の行事を両立させるにはどうしたらよいか。悩んでいる地域は多いのかもしれない。無音盆踊りは、主催者が知恵を絞りに絞って考えた苦肉の策ということだろうか▼太鼓が鳴り響き、汗をかきながら踊る。昔ながらの光景が懐かしい。

【現場が紡ぐ絆】45号下安家道路(岩手県野田村)/施工は戸田建設JV

現場見学の記念に写真をパシャリ!!
◇道路工事の見える化を推進◇

 岩手県野田村玉川~安家間に整備される国道45号下安家(しもあっか)道路は、戸田建設・大豊建設JVが2本のトンネル建設と合わせ道路改良、橋梁下部工を一括して手掛ける大ロット工事だ。
 浜山トンネル(延長1582メートル)、安家トンネル(延長997メートル)、道路改良(切り土8万6000立方メートル、延長123メートル)、新安家大橋の橋脚2基とケーソン基礎2基を施工している(トンネル、橋梁名はいずれも仮称)。
 同JVは工事の「見える化」を積極的に推進しており、工事のビューポイント設置、工事だよりの配布、見学会の開催に加え、先月16日にはインフォメーションセンターを開設した。

インフォメーションセンターを見学する地元の中学生
 インフォメーションセンターはJV事務所棟に隣接するプレハブ棟の2階に設けられ、工事の概要を示すパネルや建設機械の模型が展示されている。オープンに合わせ、地元の野田中学校生徒を招いて現場見学会が開かれ、トンネル掘削の進ちょくや工程の説明に早速、同センターが使用された。
 「三陸沿岸道路の整備効果や道路そのものの建設技術をたくさんの人々に知ってほしい。工事現場は常に地域の皆さんの信頼のもとで作業が進んでいるということを伝えるのも、インフォメーションセンターの大事な役割です」と戸田JVの佐々木高所長は語る。
 同センターは17年3月までの工事期間中、毎週土曜日の午前10時から午後3時まで一般に公開。現場見学会の開催時には工事説明の拠点として活用される。
 三陸国道事務所管内では同センターに続いて今月5日、山田宮古道路エリアにも情報発信施設がオープンした。南三陸国道事務所管内の吉浜道路をはじめ、三陸沿岸道路の諸現場が積み上げてきたCSR活動の成果だ。