2016年1月20日水曜日

【生き物のオアシスだね】清水建設、汽水域で緑化できる植生浮島開発

石川島公園船だまり(東京都中央区)で実証実験を行った
清水建設は19日、淡水と海水の混じり合う汽水域の水面を緑化できる「植生浮島」を開発したと発表した。東京都中央区の協力の下、同区佃の石川島公園船だまりに異なる浮力材料を用いた植生浮島を10~11年に3基ずつ設置し、調査を実施。ハマボウやヨシなど19種類の在来種で長期的な緑化を達成するとともに、カルガモの産卵や昆虫の生息なども確認できたという。汽水域での植生浮島の実現は国内で初めて。

 水域のある自治体の中には、河川や運河など水辺を中心とした都市緑化を計画しているところが少なくない。ただ、大部分の水辺は汽水域で直立式の護岸が多く、塩害や維持管理の面から長期的な植栽の維持が難しい。植栽の種類も限られる。植生浮島という方法はこれまでもあったが、淡水域を対象とした仕様となっている。

 実証実験では、耐久性木材とウレタン樹脂を浮力材料とする基盤(サイズ1・8メートル×3・8メートルが2基、1・6メートル×1・8メートルが1基)、ポリエチレンとポリスチレンの複合樹脂を浮力材料とする基盤(同2・0メートル×2・0メートルが2基、1・2メートル×1・7メートルが1基)をそれぞれ築いた。

 その上に、軽量のパーライト系土壌、熱融着培土の順に重ねた層厚12~36センチの浮島を製作。熱融着培土には、同社の壁面緑化システム「パラビエンタ」に使用する固化培土を採用した。浮島には、耐塩性の高い在来植物として大本9種、草本など10種を選んで植栽し、植栽基盤の飛散防止・固定化のため土壌表面をメッシュ金網で覆った。

 継続調査の結果、浮力材料にはいずれも劣化・破損がなく、長期的な水辺緑化に使えることや、鳥類、昆虫類の生息により生物多様性が向上できたことを確認。軽量土壌と熱融着土壌は保水性と透水性が高く、かん水の手間が少ないことや塩分が蓄積しにくいことも分かった。

 実験終了後は、植生浮島を廃棄する予定だったが、近隣住民から存続を望む声が多くあり、中央区に譲渡し、継続利用されることが決まったという。今後、都市にある水辺の景観の向上や生態系の保全につながる技術として、湾岸エリアの開発や再生事業で提案していく。

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