2016年1月21日木曜日

【回転窓】働き方をめぐる変化

「労働基準監督署の指導が良い転機になった」。ある企業のトップから聞いた。過重労働の是正を求められたため仕事の効率化を研究し、ワーク・ライフ・バランスの充実へとかじを切った。その結果、品質が高まり、経費も削減できたそうだ▼働き方を変える動きが広がってきた。新年には、百貨店の伊勢丹本店などが初売り日を繰り下げたことが話題になった。その理由はサービスの向上。営業時間や営業日の拡大に伴う就労環境の悪化が、百貨店の強みだったはずの販売サービスの低下を招いていたと三越伊勢丹ホールディングスは説明する▼いつでも物を買えるのは便利だが、働く人へのしわ寄せや、コスト増による価格転嫁などデメリットも生じさせる。例えば、週2日休んでいる店が毎日開店することになり、その代わりに1割値上げするとしたら、客は便利さと価格のどちらを選ぶだろう▼建設産業の担い手不足をめぐる構図も同じ。災害復旧など緊急事態は別だが、働く人の環境や過密労働で失うものも含めて工期などを考えるべきだ▼産業間の人材獲得競争は激化している。急がなければならない。

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