2016年2月29日月曜日

【4年に一度でちょっと一息】肉の日でニンニクの日で…

4年に一度めぐってくる2月29日。肉の日でニンニクの日で、さらに富士急の日。

 歴史を振り返ると江戸3大大火の一つ「明和の大火」(1772年)、辰野金吾設計の日本銀行本店が竣工(1896年)、日本初の実用衛星「うめ」打ち上げ(1976年)などの出来事があったそうな。

 最近では、2004年に日本テレビが汐留本社に移転し、2012年には東京スカイツリーが竣工を迎えた。

 若い頃なら肉、ニンニクと聞けば生唾がゴクリとなっただろうが、いい年になったので身体の反応がいまいち。「富士急もなぁー、ジェットコースターがなぁー」とすっかり弱気な今日この頃。肉の日、ニンニクの日、富士急の日を迎えて、枯れ気味な己に気付いてしまうのが少しばかり寂しい、ブログ管理人なのでした(レイソルが勝っていれば違っただろうに…)。

【ご冥福をお祈りします】日大名誉教授・三浦裕二氏に最後の別れ

 2月22日に死去した三浦裕二日本大学名誉教授(舗装工学・環境工学)の葬儀・告別式が26日、東京都千代田区の聖イグナチオ教会主聖堂で営まれた。生前に親交のあった学界や建設産業界の関係者ら多数が参列し、故人に別れを告げた。

 三浦氏の教え子で葬儀委員長を務めた土屋光彦氏(三洋工業社長)は「三浦先生、残念であり、悲しくさみしい限りです。これまでのお導きありがとうございました。段取りを第一とする土木屋として、葬儀の段取りまでなされ、ご家族の手を煩わせないよう配慮されたのは先生らしく思います」と声を詰まらせた。

 参列者は、キャップをかぶった三浦氏の遺影が飾られた祭壇に献花し、最後の別れを惜しんだ。

【回転窓】「安全不安」が大切

「備えあれば憂いなし」。現場の安全対策を進める上で、よく使われる言葉だ。事前に危険を予知し、万が一に備えて幾重もの安全対策を施し、事故を未然に防ぐ▼ただ、万全な対策をしたにもかかわらず、事故は起きる。人の「過信」や「油断」によって引き起こされる事故だ。「今まで大丈夫だったから」「自動制御だから」。そんな安心が逆に油断を呼び、事故につながる▼心理学者の山下富美代氏は「安全と安心はトレードオフの関係」という。高度技術の活用や徹底した安全対策は人々に安心感を与えるが、それが一方では油断にもつながる。ヒューマンエラーを防ぐには「緊張感と、適度な“安全不安”が大切だ」(『快適性って何だろう?』日刊建設工業新聞社刊)と▼厚生労働省が発表した労働災害発生状況(速報値)によると、15年の建設業の死傷者は1万4941人で前年比9・9%減だった。建設各社の安全対策が奏功した格好だが、一方で工事量が少なかったからという見方もある▼これから年度末にかけては追い込み工事が増える。最後まで「油断は禁物」と気持ちを引き締めてもらいたい。

【凜】大建工業 住空間事業部・可児知里さん

 ◇感謝の気持ち忘れずに◇

 小学生のころ、実家のリフォームが行われたのをきっかけに、建築に興味を持つようになった。「リフォームによって生活がこんなに快適になるなんて感動した」と当時を振り返る。その後、建築への情熱は冷めることなく高専、大学へと進んで建築を学んだ。

 学生時代の趣味は資格を取得することだった。現在は、2級建築士をはじめ、整理収納アドバイザー1級やカラーコーディネーター2級などの資格を持ち、日々の業務に役立てている。

 入社2年目を迎え、現在は一戸建て住宅の収納や公共・商業建築関連の製品開発を担当。収納関連のノウハウをまとめたウェブサイト「お片付けレシピ」の運営にも携わっている。「自分で図面を描いたものが実際に形として出来上がった時に大きなやりがいを感じる」。

 経験不足も痛感する毎日だという。「製品に使用するのは木材。伸縮や変形などを考慮して作らなければならない。経験から得られる知識も多く、さらに勉強を重ね早く一人前になりたい」と目を輝かせる。

 入社時は、製品にだけ向き合っているイメージを持っていたが、実際には先輩や工場の人たちのコミュニケーションを密にすることが何よりも重要だと感じるようになった。周囲の人からアイデアをもらうことも多く、常に感謝の気持ちを忘れないようにしている。「お客さまに快適な住環境を提供できる製品をさらに開発していきたい」。

 (井波工場住機開発課、かに・ちさと)

【中堅世代】それぞれの建設業・128

自治体の職員が自ら設計や施工を行うことも。技術力が求められる
 ◇生半可な仕事はしない。プライド胸に◇

 地方自治体の建築部門で課長を務める小林宏泰さん(仮名)は30年ほど前、中堅ゼネコンの社員から自治体の職員に転身した。ゼネコン時代に培った知識とノウハウを生かし、これまで数々の公共施設の整備を手掛けてきた。施設の改修工事では、自ら図面を引くこともある。仕事にはやりがいを感じているが、入庁後しばらくは「転職という決断は本当に正しかったのだろうか」と自問する日々が続いたという。

 大学を卒業して入ったゼネコンでは設計部に配属された。入社5年目、27歳の時に公務員試験を受験した。当時の公務員試験制度では制限年齢が27歳だったため、その年が最後のチャンスだった。早朝に出勤し、夜遅くに帰宅する生活の中で勉強時間の確保には苦労したものの、何とか合格することができた。時はバブル景気直前。ゼネコン業界にも勢いがあったが、「給料が安くても、時間に余裕がある方が魅力的」と公務員への転職を決意したという。

 自治体が事業主体となる学校や文化施設などの公共施設整備は、住民から感想がダイレクトに届く。前職では得難い経験だ。しかし入庁から2~3年は、「ゼネコンの方が専門的な仕事ができる。会社に残っていたら、技術屋としての醍醐味だいごみを味わえたのではないか」と迷う日々が続いた。

 時間に余裕があるという安易な理由で転職を決めたが、それが果たして正しい選択だったか-。自問しても答えは出ないまま。「4年目以降は受け持つ案件が増え、仕事に打ち込むことで迷いを振り払った」。

 ゼネコン時代の同僚との交流は今も続いている。定期的に酒を酌み交わし、互いの近況を語り合う仲だ。バブル期には元同僚たちの羽振りの良さをうらやむ気持ちもあったが、バブル崩壊後は「公務員は安定していていい」と、反対にうらやまれる立場に。「ゼネコンに残っても、公務員に転身しても、それぞれ一長一短。完璧な選択肢などなかったのだと悟った」。転職直後に悩まされていた問題の答えが、今になって見つかったような気がしている。

 今は、過去を振り返らず、前だけを見据えて仕事に取り組んでいる。管理職に就き、部下の育成にも力を入れる。「住民から集めた税金で建設事業を行うのだから失敗は許されない。常に最高の品質で建物を造る自信はあるか」と、自戒の念も込めて部下たちに呼び掛け続けている。

 時には各所管課にも厳しく対応する。所管課が提出してきた事業計画を見て「造る必要が本当にあるのか」と差し戻すこともある。住民のためには少しの妥協も許されないと思うからだ。「そうした思いを庁内で共有し、時には意見をぶつけ合いながら、地域住民にとって本当の意味で必要な施設を共に造り上げていく。そこに醍醐味を見いだした」。

 さまざまな経験をした今、過去の自分が下した「転職」という決断は正しかったと胸を張って言える。これからも地域住民に正面を向いて公共事業の説明ができるよう、「生半可な仕事はしない」と決めている。技術屋としてのプライドを胸に、一人でも多くの市民を支える施設づくりに汗をかき続けていく。

【サークル】IHI テニス部


 ◇初心者から本格派まで79人の大所帯!!◇

 1971年に発足し、会社公認の部活動として長い歴史を持つ。15年12月時点で部員数は79人と大所帯だ。

 「うまい下手にかかわらず、幅広く楽しむことができる」のが大きな特色。一度もラケットを手にしたことがない初心者から本格派まで、受け入れ間口は広い。

 練習は月2回、土・日曜の午後に実施している。定期的に行っているのは横浜市内で、東京都内で行うことも。

 試合は、東京都テニス協会が主催する実業団リーグ戦と各種個人戦に参加している。個人戦は参加者のレベル別に分けられていることもあり、気軽に参加できるのが特徴だ。試合のほかに夏合宿や納会などもあり、1年を通して活動する。

 「ここ数年、徐々にではあるが、初心者と女性の部員が増えてきている」と話すのは、甲山陽大さん(グローバル統括本部マーケティング部・スタッフ)。プロテニスプレーヤーの錦織圭選手の世界的な活躍もあり、テニス自体に興味を持つ人が増えていることも、部員の増加に一役買っているのかもしれない。

 現在、次回の実業団リーグ戦に向けて週末のトレーニングに余念がない。共通の趣味を持つ社員同士の交流を図るため、事業所間での対抗戦の実施も検討しているという。

【駆け出しのころ】ライト工業取締役海外事業本部長・宝輪洋一氏

 ◇絶対に諦めない心をつなぐ◇

 就職先を決める時、大学でゼミの教授に「君は体力に自信があるか?」と聞かれ、「頭は体育会系です」と答えました。そうして紹介していただいたのが今の会社です。同じ建設業界で働いていた伯父からも「専業トップの会社であり、この道のオーソリティーになれる」と後押しを受け、迷うことなく入社しました。

 当時は東北新幹線や上越新幹線などの工事が花盛りのころで、そうした工事に多くの先輩たちが従事していましたし、新入社員の多くも配属されました。一方で都心部も電電公社(現NTT)のケーブルトンネルや下水道、地下鉄など地下インフラの建設工事がめじろ押しでした。

 このため東京第1支店技術課に所属していた私も都市土木の現場にすぐ出ることになりました。その後も技術課と現場を何度か行き来します。こうした3年間、いろいろと勉強になり、恵まれた環境にあったと思っています。

 都市土木に関連する専門土木分野のうち、主に薬液注入工法という地面から下の仕事に17年ほど携わってきました。地下100メートルの薬液注入工事や大断面シールドが発進・到達する部分の改良工事、小さなマンホールに潜っての作業や一日中ずぶ濡れになっての作業など、どれも難しく思い出に残る現場ばかりです。

 目に見えない地中の構造物や工作物などを造って引き渡すのが、私たちの仕事です。お客さんはそれがしっかりできていると信頼し、次の工程に取り掛かります。つまり、私たちは安全と安心を届けているのです。責任重大ですが、それだけ大きな達成感も得られます。どんな難局に直面しても「俺たちしかいない」と絶対に諦めないことが大切です。これは次の世代にもぜひ継承していきたいことです。

 40歳を前に現場勤務から営業職に変わり、その数年後に札幌支店に異動します。支店では道内各地の岸壁改良工事の開拓で実績をつくり、また都市土木の技術営業でも道内を飛び回った6年間でした。かつて東京でお世話になった方から声を掛けていただき、札幌支店にいながらシンガポールの地下鉄建設工事に携わったこともありました。

 振り返ると、これが大きな転機となりました。北米の子会社に出向して運営を任されることになったのです。この時49歳でした。英語力もなく、不安と困惑でいっぱいでしたが、「やれるものならやってみろ」の思いで何とか乗り切ることができました。建設業は裾野が広く、ほとんどすべての産業に関わります。後輩たちには体力と知恵を総動員し、陽気なプロフェッショナルを目指してほしいと期待しています。

 (ほうわ・よういち)1979年法政大学工学部土木工学科卒、ライト工業入社。札幌支店営業部長、執行役員海外事業部付部長、RAITO,INC.社長(現任)、執行役員海外事業担当、執行役員海外事業本部長などを経て、10年6月取締役海外事業本部長。北海道出身、60歳。

東京第1支店時代の社員旅行で川治温泉を訪れた時の1枚
(1985年、前列左端)

2016年2月26日金曜日

【開幕前日だからちょっと一息】全勝しか考えられない…。

あす2月27日は、J1リーグ開幕の日。すでにみなさまもご存じの通り、サッカー好きのブログ管理人はチームにしっかり年貢を納め(年間チケット購入ですね)、ユニフォームも新調して、出陣準備は万全です。

 初戦の相手は赤い人たちですが、負けるとか引き分けるとかはこれぽっちも考えてません。現時点では明日を含めて全部勝って当然、と思ってます(きっぱり!!)。

 さてこのブログでもたびたび紹介しているように、Jリーグでは自治体などと一緒に専用スタジアムの整備を検討しているチームが少しずつ増え始めています。ガンバ大阪の新スタジアムが予想以上にすばらしい施設だったので、触発されているのでしょうか?山形に松本、広島、京都など動きがあるチームは沢山。元日本代表監督、岡田武史氏がオーナーのFC今治も先日、5月からスタジアム建設を始めると発表しましたね。

 そんなこんなで今期のJリーグ、わが◯レ◯ソルの連戦連勝に期待しながら、もう一つ、動向を注目しているチームがあります。それはギラバンツ北九州。なぜかというと、北九州市では現在、ギラバンツがホームスタジアムとして使う新スタジアムの建設が進んでいるんですねー。使用開始は17年シーズンから。果たしてギラバンツは新スタジアムの使用開始をJ1で迎えられるのか、期待を込めて見守りたいと思います。工事の動向が気になる方はこちらへどーぞ。

 ということで、明日はMYシートは指定席だけど、当然朝から並びますよ、お祭りですから。
 

【回転窓】ネット商売も「三方良し」で

通信販売で注文した商品が、料金を支払う前に届けられた。後日、商品の発送者に尋ねてみると、料金の未払いは一度もないという。日本人同士の間だから成り立つ信用商売なのだろうか▼最近はインターネットショッピングの市場が急拡大を続けており、さまざまなものをネット通販で買う人も多いだろう。品ぞろえが豊富な上に、即日配達のサービスもあり、実に便利である▼ただし、買い手と売り手が互いに顔も合わせない仮想空間で取引をするのだから、機械的で冷たいイメージは否めない。実際に経験したことはないものの、商品や代金などでネット取引特有のトラブルもあろう▼かつて全国で仕事を手掛けた近江商人が考える商売の基本は「売り手良し、買い手良し、世間良し」だった。売り手と買い手が共に満足し、商いを通じて社会の発展にも貢献する。いわゆる「三方良し」の考え方だ。今でも商売の基本原則として、これは十分に通じるだろう▼高齢化の進展などを背景にネットショッピングの利用はこれからもさらに増えていきそうだ。便利なネットでも商売はやはり「三方良し」といきたい。

【一足早く高台移転】石巻工高生が高台移転完成予想模型制作

住宅の高台移転が進む宮城県女川町竹浦北地区の住民と、同地区のまちづくりを支援する宮城県建築士会(砂金隆夫会長)の幹部らが23日、石巻工業高校(宮城県石巻市)を訪れ、建築科の生徒が制作した移転計画の完成予想模型を前に配置計画を話し合った。

 昨秋、建築士会が学校側に模型制作を提案し、生徒らが約4カ月かけて図面から立体模型を作り上げた。

 細部まで作り込まれた力作を前に、参加した住民からは「住宅が再建された様子をこうして見ることができ、頑張ろうという力が湧いた」と感謝する声が上がった。

 宮城県建築士会は東日本大震災発生の翌12年から竹浦地区に専門家を派遣。親会の日本建築士会連合会とともに、住宅の早期再建を目指す住民の取り組みを支援してきた。

 昨年秋に建築士会が、従来親交のあった石巻工業高校に計画地の模型づくりを提案。同校2、3年生の生徒らが休日を返上して制作に打ち込み、高台移転を終えたまちの姿を模型に再現した。 制作を手掛けた生徒の1人は「模型づくりを通して、そこに住む人の気持ちが分かった気がした」と話した。同地区のまちづくりは8月までに着工し、来年度末に完成する予定。立体模型は植栽などの仕上げを終えた後、住民説明会などの場で活用されることになっている。

【水の中?、関係ないね】東亜建設工業、水中施工機械を拡充

 東亜建設工業が、老朽化した海洋構造物のリニューアルや海洋資源開発の需要拡大に備え、水中作業用の新しい施工機械を相次ぎ開発している。

 水際から水中まで1台で施工できる水陸両用型のバックホウや水深3000メートルまで対応可能な水中作業ロボットを現場に導入。作業の安全性を向上させると同時に、生産性を高めることにもつながっている。

 同社は1995年に、潜水作業の安全と施工能力の向上を目的に、潜水士が搭乗して操縦を行う水中バックホウを開発した。2001年には、潜水士による作業が困難な現場での無人化施工を目的とした遠隔操縦式水中バックホウ「イエローマジック7号」を開発。各種工事で活用している。

近年、海洋資源開発などの機運の高まりにより、水深数千メートルという過酷な水圧に対応可能な無人化施工が求められている。

 従来の水中バックホウでは進入が難しい狭あいな環境下や波浪や潮流の激しい海域、浅海域での施工が必要となるケースも増えている。

 そこで同社は、大水深対応型水中作業ロボット「DEEP CRAWLER」と水陸両用型水中バックホウ「イエローマジック8号」を機械メーカーなどと共同開発した。

 4月に横浜市鶴見区に完成予定の新しい研究開発施設にはDEEP CRAWLERなどの水中施工機械を実物大で実験できる大型の実験水槽も設置される。これらの施設を活用しながら水中施工関連の技術開発に一段と力を入れていく。

2016年2月25日木曜日

【もうすぐ5年…】宮城建協、4冊目の震災記録誌発刊

 宮城県建設業協会(宮城建協、佐藤博俊会長)が4冊目の東日本大震災の記録誌「宮城県建設業協会の闘い4/あれから5年 復興の先の未来へ」を発刊した。

 震災から5年が経過し、JR仙石線の全線運転再開をはじめ復興が結実したドキュメントを時系列で追いながら、地域の復興に取り組んできた会員企業が復興の先をどう見据えているかを明らかにした。

 5000部を印刷し、関係団体や行政だけでなく地域の町会や図書館にも配布。地域建設業への社会的理解を促進する。

 取り上げた復興ドキュメントは、JR仙石線の運転再開のほか、仙台うみの杜水族館のオープン、いしのまき復興マラソン、大相撲仙台場所の開催など。笑顔や元気を取り戻した被災地の様子を写真で分かりやすく伝える一方、それぞれの地域が抱える問題点も浮き彫りにした。

 被災地にとって復興がゴールではない。震災後に一気にインフラの整備・更新が行われたことから今後、建設事業の激減も予想されるが、地域建設業には「地域の町医者」として後世にわたって地域を守り、地域を存続させる使命がある。地域によって問題点の違いも顕在化する中、未来に向けた思いを会員企業に語ってもらった。

 未来を担う若手技術者へのインタビューも実施。震災の年に地域建設会社に入社した技術者が何を経験し、どのような思いで仕事に向き合っているかも明らかにした。15年3月に仙台市で開かれた国連防災世界会議の関連行事として、同協会が主催したパブリック・フォーラムの模様も伝えている。

 震災から5年。被災地は沿岸部を中心にまだ、多くの課題を抱えており、未来を視野に入れながら復興を進める時期に来ている。

【回転窓】4年に一度の…

人の生活のリズムは、地球の自転による1周の1日、太陽を中心にした公転による1周の1年(365日)で刻まれる。実際には公転の1周は365日と0・2422日。4年でおよそ1日分の誤差が生じるため、うるう年には1年を1日多い366日にして調整する▼世界中で使われている「グレゴリオ暦」では、西暦年が4で割り切れる年をうるう年と設定。それでも128年で1日分のずれが生じることから、100で割り切れて400で割り切れない年は平年と定めた▼うるう年には世界が注目するイベントが行われる。その筆頭が夏季五輪。今夏のリオデジャネイロ五輪の4年後には東京五輪が控える。五輪イヤーには米大統領選もあり、世界を引っ張る大国のリーダーを決める選挙結果を世界中が注視する▼選挙権年齢を米国と同じ18歳以上に変更したばかりの日本でも今夏、参院選が行われる。次代を担う若い世代の声を国政に響かせる好機でもある▼地球の裏側のスポーツの祭典のように、立候補者による熱戦が繰り広げられるか。先行きの不透明感が漂う日本を変える契機となることを期待したい。

【オリックスファンの方、はい注目!!】バファローズ新練習拠点整備(大阪市此花区)が起工

オリックスの関連会社、大阪シティドームが神戸市内にあるオリックス・バファローズの練習拠点(二軍)を大阪市此花区に移転整備する「(仮称)舞洲計画」の起工式が24日、建設予定地で行われた。

 既存の舞洲野球場を活用しながら、北西側の用地に選手寮・クラブハウスやサブ球場などを建設。17年シーズンから新たな総合活動拠点として使用する。

 設計・施工を三井住友建設が担当、12月末竣工を目指す。総工費は約30億円。所在地は大阪市此花区北港緑地2の1の19他。

 市から舞洲野球場敷地と北西用地(計約10・4ヘクタール)を50年間借り受ける。大阪シティドームは、付属設備などを含む舞洲野球場(収容人数約1万人)を随意契約で取得し、二軍の本拠地球場として使用。野球場の北西用地(約4・9ヘクタール)にはサブ球場や室内練習場、選手寮やトレーニング施設を備えたクラブハウスを一体的に整備。一軍選手も常時トレーニングが行える環境を整える、

 サブ球場は両翼100メートル、中堅122メートル(収容人数約500人)、室内練習場(S造平屋4871平方メートル)は61メートル×61メートル・ブルペン6レーン、選手寮・クラブハウス(S造4階建て延べ4321平方メートル)は42室を予定し、トレーニングルームやトレーニングプール、ロッカールーム、コーチ室(一軍、二軍)、多目的ホールなどを設ける。

 この日午前11時から行われた起工式には関係者ら約30人が参列。地鎮之儀では、西名弘明オリックス野球クラブ社長兼大阪シティドーム取締役が鋤入れ、新井英雄三井住友建設社長が鍬入れを行い、工事の無事完成を祈願した。

 式典終了後、西名社長は「京セラドーム大阪を本拠地とする一軍と二軍の施設が身近になり、一体的な運営ができないかと考えている。この施設から有望な選手が出て、一軍で大活躍してもらうことが一番重要だが、大阪のスポーツアイランドとして市民にも親しんでもらえる場所になってほしい」と期待を込めた。

【現場の迫力、教室では学べないよ】利根川河川堤防強化現場を学生が見学

 中原建設(埼玉県川口市、中原誠社長)が埼玉・茨城県境の利根川で「建設業の意義と魅力を知る見学会」を開催した。

 場所は関東地方整備局が進める「首都圏氾濫区域堤防強化対策事業」のうち、中原建設が施工を担当する現場。日本大学生産工学部土木工学科の3年生16人が参加した。

 就職活動中の学生を対象に企画された今回のイベントは、業界の担い手不足の解消につなげることが目的。学生たちは事業内容・施工方法についての説明を受け、ICT(情報通信技術)を導入した地盤改良機や転圧機械などを見学した。

 見学会では、関東整備局の担当者から事業概要の説明を受けた後、中原建設の担当工区である「H27栗橋北地盤改良工事」(埼玉県久喜市)と「H26釈迦堤防強化(上)工事」(茨城県五霞町)の現場を回った。

 栗橋北の工区では全地球航法衛星システム(GNSS)受信機を利用して地盤改良機を自動制御する「CI-CMC工法」を導入した施工や、点群データを収集する3次元(3D)スキャナーと小型無人機(ドローン)での空撮データを解析ソフトで併合させる技術などが紹介された。

 釈迦堤防では完成図データに基づき、衛星で測位された3D座標データによってマシンが自動で転圧する「3DMCブルドーザー」に実際に乗車しての説明も受けた。学生からは、「座学では感じることができない現場のリアルさは迫力があった。機器の進化にも感心し、進路について考えを深める良い糧になった」との感想が聞かれた。

 首都圏氾濫区域堤防強化対策事業の対象区間は、埼玉県深谷市から五霞町までの右岸側で延長約50キロ。下流区間(約24キロ)と上流区間(約26キロ)に分けられている。15年9月末に下流区間の一部(11・5キロ)が完成。下流区間全体の竣工は18年度までを目標としている。上流区間は0・4キロが完成済みで、16年度以降も引き続き工事を推進していく。

2016年2月24日水曜日

【回転窓】1メートルは一命取る

工事現場や建設会社の安全大会などでしばしば聞く言葉に「1メートルは一命取る」というのがある。駄じゃれと言えば駄じゃれだが、意味するところはなかなか深い▼たった1メートルの高さでも人が落下したり重量物が落ちてきたりすれば、けがばかりか、打ち所が悪いと命を落とすことも。わずかな危険も侮ってはいけない。そんな戒めである。従って工事現場では開口部養生やヘルメット・安全帯着用などのルールが厳格に決められている▼学校の運動会で行われる組み体操で多くの子どもがけがをしているとのニュースに、この「1メートルは…」を思い出した。中でも四つんばいの人を何段にも重ねる「ピラミッド」や、人の肩に立ち上がって塔を形作る「タワー」と呼ばれる大技が危ないらしい▼落下や下敷きなどの事故が小中高合わせて毎年8000件超というから、驚きの数字である。仮に工事現場で常時これほどのけが人が出ていたらただでは済まないだろう。学校という閉鎖空間の「治外法権」ぶりが際立つ▼危険な組み体操がやめられない理由は「感動」だとか。子どもの安全を犠牲にしての感動とは恐れ入る。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/建築物老朽化と超高層化進む

国土交通部は15年の地域別建築物現況統計資料を発表し、国内建築物698万6913棟のうち36%が完成から30年以上経過した老朽建築物であることが分かった。地域別では首都圏が25.1%、地方圏は40.1%で、地方で老朽化がより一層深刻だった。

 老朽化とともに、超高層化も今回の統計結果の特徴だ。昨年時点で50階以上の超高層建築物は5棟増えて94棟となった。

 国内最高層は、釜山市の「海雲台斗山ウィブドジェニス」(80階)。現在、ソウル市の第2ロッテワールド(123階)、釜山市のロッテタウン(107階)、釜山市海雲台観光リゾート(101階)が建設中で、近い将来、最高層タイトルが書き替えられる見込みだ。

 15年末時点の全国建築物棟数は前年から1.1%増加して698万6913棟、延べ床面積は2.4%増の35億3406万8000m2だった。地域別では、首都圏が2.1%増えて16億4087万8000m2、地方圏は18億9319万m2(2.6%増)だった。住居用建築物のうちマンションが全体面積の61.0%を占め、マンション中心の住居文化を反映している。

 (CNEWS 2月4日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/16年不動産市場は回復継続へ

ベトナム不動産協会(VNREA)によると、国内経済は新たな成長サイクルに入りつつあり、16年の国内総生産(GDP)の伸び率は6.5~7.0%、インフレ率は5%以下と見込まれている。信用取引はより活発になり、市場金利は安定するか15年に比べてやや上昇すると予想している。

 VNREAのトラン・グオック・クアン事務総長は、「16年の不動産市場は昨年の回復基調を受け継ぐと考えられ、今後1~2年は成長を見込んでいる」と話している。分野別では、低価格帯の住宅だけでなく、富裕層向け住宅市場が伸びるという。クアン事務総長は「社会住宅や低価格の民間住宅の開発は引き続き活発だと見込むが、市場でのシェアはそれほど大きくはならない。一方、高級住宅はさらに開発が進むだろう」と指摘する。

 VNREAは、ほかにリゾート開発も有望分野だとみている。全体として不動産市場は回復を続けるものの、不良債権のリスクが指摘されるなど依然として課題も残されている。投資家には今も10%を超える金利が課せられているが、30兆ドンの信用パッケージ以外の政府支援は見込めない状況だ。

セイ・ズン 2月19日)

【待ちに待った】Jヴィレッジ復興・再整備、3月に設計・施工一括発注

サッカーのナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」の復興・再整備を進める福島県電源地域振興財団と福島県は、新設するサッカー場とホテル棟を実施設計・施工一括の公募型プロポーザルで発注する方針を決めた。

 3月14日にサッカー場、同22日に宿泊棟のそれぞれ公募手続きを開始する。

 6月までに最優秀者を決め、7月までに契約する。今年末に建設工事に着手。18年夏までに宿泊棟などの一部を完成させる。19年開催のラグビーワールドカップ、20年開催の東京オリンピック・パラリンピックに間に合うよう19年4月までに全面開業する計画だ。

 計画地は楢葉町山田岡美シ森8、広野町下北迫岩沢1の1。敷地面積は41万3194平方メートル。事業では県が全天候型サッカー場、同財団が新たなホテル棟を建設する。このほか東京電力がJヴィレッジの既存施設を復旧する。

サッカー場はドームで覆う全天候型とし、工事費は28億円程度を見込む。宿泊棟の建設には22億円程度を投入する。

 整備内容は、競技場が天然芝ピッチ7面、人工芝ピッチ2面。全天候型サッカー場は人工芝1面と雨天練習場(屋根のみ)ハーフ1面。スタジアムは天然芝1面(観客席5000席)。

 センター棟(ホテル90室、レストラン、大浴場)、宿泊棟(ホテル120室、展望露天風呂、コンベンションホール)、フィットネス棟(フィットネスルーム、体育館、25メートルプール)など。

 サッカー場はS造平屋1万平方メートルの広さを確保し、1階に管理室、ミーティングルーム、器具倉庫など、2階に250人収容の観覧スペースを設ける。宿泊棟はS造7階一部8階建てとし、300人収容可能なコンベンションホールなどを配置する。既存棟、新設棟のいずれかの屋上に太陽光発電設備を設ける計画もある。

 基本設計は梓設計、CM(コンストラクション・マネジメント)業務は明豊ファシリティワークスが担当している。

【縁のチカラ】建設業「命」の現場で・21/第4章われらの責任

 ◇ウイン・ウインは地域を巡る◇

 西松建設社長の近藤晴貞は、東日本大震災の発生以降、毎年6月になると宮城県名取市を訪れている。仮設住宅の隣接地にひまわりの苗を植える「ひまわりプロジェクト」のイベントに出るためだ。

 同市内で実施された「下増田臨空土地区画整理事業」の業務代行を手掛けた経緯から、同市内に所有地があり、震災後、そこを仮設住宅用地として無償提供し、花の広場も設けた。

 夏になると、道行く人が力強く花開いたひまわりに目を止める。「せっかくできたご縁だから、継続的に地域と関わりを持っていきたい。そう考えると『工事だけすればよい』とはならない」。近藤はそう話す。

 続きはHPで。

ご意見・ご感想をメールでお寄せ下さい。東北支社・牧野洋久(mak@decn.co.jp)
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【回転窓】後始末の責任

インフルエンザの流行で体温計のお世話になっている人も多かろう。体温計といえば今はデジタル表示の電子体温計が普通。脇の下に挟んで数十秒もしないうちにピピピッと鳴って検温結果を知らせてくれる。便利になったものである▼一昔前の体温計はガラスの筒の中を伸びる水銀柱の目盛りを読み取るアナログ式。脇に挟んで何分もの間じっとしているのは、子どもにはちょっと苦痛だったと記憶する。検温の前後に体温計を振って水銀柱を下げる動作も懐かしい▼そんなレトロな味わいもある昔の体温計が今、大きな問題になっているという。水銀の製造から廃棄までを包括的に規制する「水俣条約」が年内にも発効するからだ▼水銀含有量が1本で蛍光灯200本相当という水銀体温計の回収が緊急課題だそうだ。家庭や病院で使われずに保管されているものが随分多くあるらしい。探してみたらわが家からも1本出てきた▼優れた材料も、扱いを誤れば極めて危険。かつてさまざまな分野で大量に使われたアスベストやフロンに水銀も似ていようか。きちんとした後始末が、恩恵を受けた者の責任であろう。

2016年2月22日月曜日

【回転窓】人が支える仕事に評価を

96歳になる祖母を1カ月間、介護付き有料老人ホームに預けることになった。1カ月ほど前にも1週間だけお世話になったホームだったので、祖母はスタッフや施設の様子をよく分かっており「ここはいいよ」とにっこり▼20代女性の生活相談員が前回に続いて担当し、丁寧に入居の説明をしてくれる。気心が知れているので当方も安心していたのだが、話を聞くと、今月末で退社するという▼介護産業は24時間356日のサービスが求められる。要介護度の高い高齢者も少なくない。「心身ともすり減らす仕事」と漏らした言葉が心に刺さった▼介護産業は建設産業と同じ「3K(きつい・汚い・危険)」の代表格とされる。若年層の入職・定着という課題も共通する。建設業界では「新3K(給料・休日・希望)」産業になろうという機運が高まっているが、「介護業界では…」と伺うのを思わずためらってしまった▼建設、介護とも「人」によって支えられている仕事。業務の効率化・合理化に向けた努力を続けながら、品質やサービスを向上させる。この価値をきちんと評価できる社会にしなくてはならない。

【凜】YKKAP住宅東京支社販売企画統括部・松野美友さん

◇喜びの声が大きなやりがい◇

 2011年に入社し、現在はTOTO、大建工業と合同で住宅設備などを展示する「TDY東京コラボショールーム」(東京都渋谷区)に勤務。顧客に製品などを提案するアドバイザーとして業務に当たっている。

 中学生のころから建築に興味が湧き、将来はこの分野の仕事に携わりたいと建築の専門学校に入った。就職する際に学校から紹介されたのがYKKAPだったという。

 学生時代はバドミントン部で汗を流した。「厳しい練習が多かったが、一心に取り組む中で、積極的な性格に変わっていった」と振り返る。

 「お客さまの悩みや要望が自分のアドバイスによって解決し、喜びの声を頂いた時に大きなやりがいを感じる」と話す。特に意識していることは「お客さまに製品を通じて新しい価値を発見してもらうこと、そして、今まで知らなかった製品に触れてもらい感動してもらうこと」という。

 最近は来場者が増え、一人一人に付き添って案内するのが難しいことも少なくない。そこで、自身で作成したポップをショールーム内に設置。「お客さま一人でも分かりやすいように工夫している」。

 ショールームでは、限られた時間の中でいかに顧客に満足してもらうかが大切。「そのためには商品知識を今以上に増やすことが必要。それぞれのお客さまに合った製品を効率的にご案内できるようにしていきたい」と目標を語る。

 (ショールーム新宿アドバイザー、まつの・みゆ)

【中堅世代】それぞれの建設・127

建設業界でも女性の活躍の場は急速に広がりつつある
 ◇状況を変えるのは自分◇

 「なぜ女がいるんだ。おたくは女を現場に寄こすのか」。

 ゼネコンで現場支援や技術開発などを担当し、今は女性の活躍を後押しする部署の管理職に就いている大塚恵美さん(仮名)。10年以上前のことだ。トラブル対応に向かった現場で、自分を見た施主の役員がそう怒鳴り散らした。

 コンクリートの品質トラブルが発生し、急きょ派遣された現場。顧客の大切な建物を造るに当たって、品質トラブルを起こしてしまった元請の一員として責任は痛感していた。「なぜ女がいる」というような言葉を平気で口にする人間が多くないことも承知はしていた。それでも「今までの私は何だったのだろう」と思わずにはいられなかった。悔しくて、悲しかった。

 「嫌なら戻ってきていい」。いきさつを耳にした所属部門のトップが連絡をくれた。気遣ってくれているからこそ、慰めるようなことをしてくれなかった同僚もいただろう。「ほかの人には作れない資料を仕上げます」。本社にそう伝えた。悔しさが意地に変わった。「そんなことばかりやっていたんですよ」。今は笑いながら、他社の女性職員に当時のエピソードを披露する。

 身内に建設関係の技術者が多く、就職先として自然とゼネコンを選択。技術職として入社した。

 「『女が来た』と職人が逃げていった」。今と比較すれば女性の現場技術者ははるかに少なかった。職長や作業員には女性に対するアレルギーが少なからずあり、こちらが何もしなければ、言葉を交わす機会もなかった。「状況を変えるなら自分からだ」。休憩時間には彼らと一緒にたばこを吸って仕事のやり方を聞いた。次第に声を掛けてもらえるようになり、指示にも熱心に耳を傾けてくれるようになった。

 コンクリート解析の知識は誰にも負けないようにしようと、勉強に励んだ時期もある。打設の効率化に役立つ技術の開発に力を入れていた時には、生コン業者と言い争いになったこともある。互いに立場が違い、考え方も異なるのは分かっている。「仲間を増やすのが一番の近道」と考え、正面から意見を言い続けた。

 担当を離れる時、ねぎらいの場を設けてくれるような人とは思っていなかった上司から誘いを受けた。行ってみると、内緒で企画された送別会だった。楽しかった。戦い続けた生コン業者が顔をそろえ、みんなが温かく送り出してくれたことがとにかくうれしかった。

 「自分次第で状況は変えられる」。それが、仕事と向き合うに当たっての心構えとなっている。もう一つある。「他人のことは変えられない。でも、いつか時代のほうが変わる」。あの日の施主の言葉を念頭に、そう思う。女性の活躍を促す取り組みが再び活発になってきたこともあって、経験が評価され、管理職としてダイバーシティー(人材の多様化)関連の一部署を任された。

 「管理職になって部下を育てようという思いが芽生えた」。自分を育ててくれたように部下を育成しようと考える一方で、「残業になる打ち合わせはしない」「若手の相談にはどんどん乗る」と決めている。「個性を生かしてあげられるよう奮闘したい」。今はその一心で仕事と向き合う。

【サークル】住友大阪セメント テニス部

 ◇若手からベテランまで世代超えレベル向上◇

 1969年、千葉・津田沼の社宅にクレーコートができたことをきっかけに活動がスタートした。その後、本格的な硬式テニスを経験してきた若手社員が加わり、少しずつ団体としての活動が始まったという。

 現在は男性約30人、女性約10人の計40人ほどのメンバーで練習や試合に汗を流している。

 大会で上位を目指す上級者から初心者までが集い、みんなで「テニスを楽しむ」ことをモットーに活動する。「テニスを通じて社員同士が親睦を深め、若手からベテランまで世代を超えてレベル向上を図ることを目指している」と代表の山本祐嗣さん(新規技術研究所開発品証グループ)は話す。

 月2回の定期練習会に加え、千葉・九十九里浜での「秋合宿」、若手がOBに引導を渡す「引導会」(7月)を開催。試合では、住友グループ各社がレベルを競い合うとともに親交を深める住友連系戦や千葉県実業団の団体戦に参加している。

 「部員の子どもたちも練習会に参加するなどテニス部全体が大きな家族のようになっている。今後も先輩方の意志を引継ぎ、テニス部の歴史に新たな一ページを開くことができるように、後進の指導・育成に努めていきたい」と山本さんは意気込みを語る。

【駆け出しのころ】三井住友建設専務執行役員土木本部長・益子博志氏


 ◇まずは自分で解決方法を考えて◇

 私が生まれ育った町でのことです。一つの道路橋が造られてからは生活がものすごく便利になったのを実感し、同時にこうした仕事で社会に貢献できることを知りました。会社には私と高校・大学が同じ二つ年上の先輩がおられ、そんなご縁もあって入社試験を受けました。橋の建設に携わりたいという思いが強く、面接でもそのことをはっきりお話しさせていただきました。

 最初に配属されたのは土木部橋梁設計課です。すぐにでも橋の建設工事に携わりたかったのですが、設計課での3年は大変に貴重な経験を積めました。上司は厳しく、よくしかられもしましたが、当社の特徴でもあるプレストレストコンクリート(PC)技術についていろいろ教わることができました。新人とはいえ、任された構造計算が実際の設計に生かされるのですから、間違いは許されません。当然、先輩の確認はありますが、何回もやり直しながら計算したものです。

 当時の設計図面といえばほとんど手書きです。PC斜張橋の設計では、設計計算と設計図面を一致させるため、10分の1スケールの図面を長時間かけて作成しました。CADなどもなく大変でしたが、設計・施工で受注した橋梁を、自ら設計して施工できるのは格別な思いがあります。

 関越自動車道永井川橋上部工工事(群馬県)では、当時の日本で最も高い橋脚上のカンチレバー架設を実施し、土木学会田中賞などを頂くことができました。とにかく一生懸命でしたし、まだ若かったとはいえ、発注者との打ち合わせでも設計のことを知っていることが大きく役立ちました。

 最後に所長として携わった橋梁建設工事は、工期も短く厳しい現場でした。新しい技術に挑んだ現場で、失敗しないよう細心の注意を払っていたため、自分で多くのことをやり過ぎてしまい、若手職員への配慮に欠けていたかもしれません。人材あっての会社です。もっと教育に時間を掛け、任せられるものは任せてもよかったと考えています。

 会社の若手には何か不便なことがあってもすぐ先輩に相談するのではなく、まずは自分で解決する方法を考えてみなさい、と話しています。そうして考える癖を付けることが、私たちの仕事ではとても大事です。

 若い人たちは優れたITのスキルを持ち、私たちにはこれまでに培った施工ノウハウがあります。これらをどう結び付けて、現場の効率化を図っていくかが課題でしょう。そう考えると仕事は楽しいものです。せっかく建設会社に入ってきたのですから、そういった醍醐味だいごみをもっと味わってほしいと思っています。

 (ましこ・ひろし)1979年早大理工学部卒、住友建設(現三井住友建設)入社。九州支店長崎自動車道日見橋PC上部工工事所長、三井住友建設土木部土木技術部長、常務執行役員東北支店長などを経て、15年4月から現職。茨城県出身、59歳。

橋の建設に携わりたい、という思いで入社した

2016年2月19日金曜日

【テレビCMでちょっと一息】熊本県で18日から放映開始!!


 熊本県建設産業団体連合会の新しいイメージアップCM「幸せをつくる編」の放映が18日から始まりました。熊本放送(RKK)など熊本ローカル4局で3月下旬まで160本ほど流れるそうです。

 8歳の男の子を主役に、県内の建築物などを見ているうちに建設業に興味を持っていくという内容。「建設業に良い印象を持ってもらい、担い手確保につながれば」という思いを込めて作ったそうです。

 同連合会は、これまでにもイメージアップCMを作って放映していました。14年11月に公開したのがこれ↓↓↓


 地道な努力が大切なのだと、しみじみ感じました。ぜひ、見てみて下さい。

【課題は多いね…】設備女子会がアンケート、7割超が「仕事と家庭の両立に不安」

 設計事務所やゼネコン、設備工事会社など建築設備業界で働く女性技術者の7割超が仕事と家庭の両立に不安を感じていることが、建築設備技術者協会(JABMEE)の「設備女子会」(徳弘洋子会長)が実施したアンケートで分かった。不安要素として「時間の自由が利かない」など、時間の制約に関する意見が目立つ。上司・職場の理解や配偶者の積極的なサポートを求める声も多かった。

 アンケートは昨年4月に、設備女子会の会員336人を対象に実施した。有効回答数は110人。会員の年齢層は20~30代が中心だが、30~40代の回答が多く、回答した人の37%は子どもがいる人だった。女性が活躍できる職場環境の整備に向け、どのような現状と要望があるかを把握するため、満足度、勤務制度、残業対策、就業対策、ロールモデル、働き方への意識などについて質問した。

 仕事の充実感について聞いたところ、69%が「おおむね得られる」、18%が「大いに得られる」と回答。仕事と家庭や個人の生活のどちらを優先させたいかについては、77%が「仕事と家庭を半々くらい」と答えた。仕事と家庭を両立することに対し、75%が不安を「強く感じたことがある」または「感じたことがある」と答えた。

 昇進意欲については、全体で53%が「意欲がある」と回答。子どもがいる人に限ると63%に上り、子どもがいる人の方が昇進意欲が高いことが分かった。ただ、60%以上が「男女ともロールモデルとする人がいない」と答えており、前例が少ないことが課題としてあらためて浮き彫りとなった。

 両立への不安については、「時間の自由が利かない」「時間外の対応を業務上必要とされる」など時間に関する回答が目立つ。子どもがいる人は「病児の預け先がない」との回答が最も多く、約50%を占めた。

 時間の制約を解決する効果的な対策として、「フレックスタイム」と「時間休・半休」を求める回答が多かった。残業対策としては、担当者がいなくても仕事を代替できる体制作りや短時間で質の高い仕事に対する評価を求める声が相次いだ。

 アンケートを集計した担当者は、「制度作りも大切だが、企業だけでなく家族や社会全体に仕事と家庭の両立に対する理解が進むことが重要だ。女性が働き続けやすい環境は、すべての就労者が働きやすい業界につながる」と話している。

【地震直後に安全評価】清水建設が高精度解析システム開発

 清水建設が地震発生直後に建物の安全性を高精度に評価できるモニタリングシステム「安震モニタリングSP」を開発した。

 先行して運用しているプロトタイプと同様、4台の加速度センサーとセンサーの記録を自動解析するソフトで構成される。

 建物の構造設計で時刻歴応答解析を行う高精度解析機能を新たに加えた。S造ビルで積極展開し、継続使用の可否判断に役立てる。

 同社は安震モニタリングシステムのプロトタイプを開発し、12年に適用を始めた。今回、システムの性能をさらに高め、日本総合建築試験所から建築技術性能証明を取得した。

 適用対象は、都心に集積するオフィスビルの大部分を占める新耐震基準で設計された5階建て以上のS造ビル。センサーを建物の基礎部分と最上階に各1台、地上階を3等分する位置に2台、ソフトを組み込んだパソコンを防災センターなどにそれぞれ設置する。

 地震発生時には、簡易解析は4台の加速度センサーが記録した加速度を基に、高精度解析は基礎位置で記録された加速度による時刻歴応答解析の結果を基に、それぞれ建物各階の層間変形角(各階間の水平方向の変形量を階高で割った値)を推定する。

 最も大きな変形角が推定された階の値を基準に、変形角が200分の1以下の場合は「安全・継続使用可」、200~100分の1以下の場合は「注意、ただし継続使用可」、100~~75分の1の場合は「危険・一時避難」、75分の1以上の場合は「危険・避難」と判定される。地震の揺れが収まった後、1分程度で判定結果が分かるという。

 学習機能も特徴の一つ。地震が発生するたびに、4台の加速度センサーによる実測値を基に簡易解析用の建物モデルを自動修正。システム導入後に構造躯体が地震で受けた損傷を累積値として記録し高精度解析に反映させる。特に大地震発生時は、本震の影響を踏まえて余震の影響を評価する必要があるため、この機能により安全性評価の信頼度が格段に高まるという。

 プロトタイプはこれまでに7棟のオフィスビルに導入している。今後、同社が施工する新築のオフィスビルにはシステムの標準装備を推奨し、既存ビルと合わせて年間20棟程度への導入を目指す。導入費用は同社が設計・施工する新築で800万円程度からとしている。

【回転窓】完成後も続く街づくり

アークヒルズ(東京都港区)が3月末で開業30周年を迎えるそうだ。民間による日本初の大規模市街地再開発事業を森ビルが主導した。その後、六本木、表参道、虎ノ門などと続く「ヒルズ」の原点である▼完成までの道のりは長い。同社がここに土地を取得したのが1967年というから、そこから数えれば来年で半世紀。地元住民と対話を重ねながらの取り組みは、「都市づくりは人づくり」と捉えることもできるだろう▼多彩な機能を融合させた都市モデルは、30年を経過した今も成長を続ける。開発当時23・3%だった緑被率は43・5%へと倍増。敷地内の庭園では、都心にいながら四季を感じることができる▼住民に密着しながらも、外部から人を呼び込むさまざまな仕掛けで多様なコミュニティーを育んだ。街づくりは完成して終わりではなく、完成後も続いていくということを実践している▼インフラは適切に維持管理を行えば長持ちさせることができる。街も手間暇かけて運営することが、その魅力を高めて活力を生み、持続可能なものにする。アークヒルズ30年の歴史が、そのことを教えてくれる。

【ネット博物館ができるよ】土木学会の「ドボ博」ってなになに??

"DOBOHAKU ドボ博" World's First Online Museum of Civil Engineering Teaser from dobohaku on Vimeo.

  土木学会は、一般市民向けにインフラの役割などを分かりやすく紹介するインターネット上の博物館「土木博物館」(略称・ドボ博)を6~7月に開設する。土木の全領域を扱う日本初のオンライン博物館になる。開設に向けて予告映像を流す専用サイトを立ち上げた。

 ドボ博は、同学会が昨年度に100周年記念事業として立ち上げた「土木デジタルミュージアム」を全面的に更新する形で新たに開設する。

土木構造物には人を惹き付ける魅力がある
(写真と本文は関係ありません)
土木になじみのない人たちにも楽しんでもらえるよう2~3分の実写映像を作り、土木インフラの魅力を伝える。東京・四谷の同学会内にある土木図書館が運営するデジタルアーカイブの資料や図面、写真などを最大限に活用。単なる仮想空間の構築だけではなく、構造物の位置情報も充実させ、興味を持った人たちに構造物に足を運んでもらう工夫も凝らす。

 オープニング企画のテーマは「東京インフラ解剖」。鉄道網を血管、築地中央卸売市場を胃袋に例えるなど東京のインフラを人体組織に見立て、構造物の内容などを紹介しながら、インフラの役割や魅力を伝える趣向だ。1年に1回程度のペースでテーマを更新していくという。

 18日に同学会で記者会見した土木デジタルミュージアム運営小委員会の北河大次郎委員長は「知的好奇心、想像力、遊び心に満ちあふれた展示を行いたい」と話した。

【新国立競技場にも】建築物の木材活用、森林認証の機運高まる

 建築物への木材活用を推進する取り組みの一環で、環境に配慮して適切な管理が行われていると認証された森林で生産された木材(森林認証材)を活用する動きが活発化している。2020年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場の建設にも、森林認証材が用いられる計画だ。認証材を使うことは建築物自体の付加価値を高めることにもつながる。生産・流通から施工まで一貫した認証材の導入スキームを構築する取り組みも出てきた。
森林認証材で建築物の付加価値向上を図る
 森林認証は、独立した第三者機関が一定の基準で審査し、森林経営が適切に行われている森林または経営組織などを認証する制度。認証された森林から生産された木材や関連製品にラベルを貼り、認証材に対する消費者の購買意欲を高めるとともに、持続可能な森林経営を支援することが狙いだ。

 ◇新国立競技場など国家プロが後押し◇

 ラベリングした認証材を流通させるには、流通に関与する加工・流通業者などが、認証材が消費者に届くまでの各段階で認証材とそれ以外の木材を区別して取り扱う体制を構築し、その体制が認証(CoC認証)されている必要がある。森林認証制度の運営団体には、世界的規模の「森林管理協議会(FSC)」や日本独自の「緑の循環認証会議(SGEC)」などがある。国内で認証を受けている森林の面積は15年11月時点でFSCが約39万ヘクタール、SGECが約126万ヘクタール。CoC認証を取得している事業体はFSCが1064、SGECは344に上る。

 国内では、日本の林業などの実情に応じて制度化されたSGECの認証数が多い。世界的に見ると、FSCの認証森林面積は約1億8492万ヘクタール(80カ国)、CoC認証の取得事業体は2万9681(113カ国)に達する。認証材の活用機運は、世界的に注目される建築プロジェクトなどを通じて急速に高まっている。12年ロンドン五輪、今夏のリオデジャネイロ五輪でも競技場など多くの関連施設に認証材が使われ、環境配慮が一段と求められる中、20年東京五輪でも同様に認証材が積極的に用いられる。

 新国立競技場の実施設計・施工事業者に決まった大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVは、日本の気候・風土・伝統を踏まえた木材利用を推進し、木材は認証を得た森林から調達することを技術提案書に明記した。

 木材と鉄骨の長所を生かすハイブリッド構造の大屋根には、全国から調達可能な中断面集成材(計約1800立方メートル)を採用。適切に管理された森林から切り出され、信頼性の高い加工・流通システムで生産履歴を高度に管理された認証材を使うことで、木材の品質を確保する考えだ。

 JVに加わる建築家の隈研吾氏は「新国立競技場の特徴は周りが緑に恵まれた森になっていること。森と融合した建築となることが日本らしさであり、レガシー(遺産)になる」と話している。地球規模で広がる森林の消失や違法伐採の問題への対応策の一つとして、森林認証による抑止効果に期待が集まっている。環境問題に対する消費者や企業の意識も年々高まり、森林認証の取得、認証材の採用の機運は世界的に広がりつつある。

 三菱地所レジデンスは分譲マンションの建設に用いる木質部材のトレーサビリティー(追跡可能性)向上の一環として、首都圏の2物件をモデルに、使用する二重床下地合板を対象にしたFSCの部分プロジェクト認証の取得を目指す。昨年12月、認証申請が国内の分譲マンションで初めて受理された。

 部分プロジェクトの認証メンバーである二重床メーカーが認証材を用いて部材を製造し、元請のゼネコンの管理の下で床施工会社が作業を行う。認証部材の設置完了後、調達から施工までの一連の流れの審査・評価を受けて認証に至る。部分プロジェクト認証は物件単位で行われる。三菱地所レジデンスは今回のモデル物件で得た知見・ノウハウを他の物件にも展開し、認証材の利用拡大に取り組む。

 ◇自治体が販売・流通網支援も◇

 地方自治体でも、地元産木材の利用促進に向け、森林認証やCoC認証を取得した事業者による販売・流通網の構築を支援する動きが目立ってきた。工事発注の際に認証材の使用を求めたり、施工者側が利用を提案したりする事例も出てきた。認証材の活用は商品・サービスのブランド力を高める一方で、事業者側にとっては認証の取得・更新手続きなど手間やコストの増加要因にもなる。販売価格への転嫁は消費者にとってマイナス要因となる。

 森林認証の普及と認証材の利用をさらに拡大していくには、事業者、消費者双方の環境問題への意識を一段と高めることも必要になりそうだ。

2016年2月18日木曜日

【回転窓】社会に尽くした即身仏

山形県酒田市の海向寺で即身仏を見てきた。即身仏とは、ミイラのように現世に体を残し人々を救済しようという究極の修行の形。同寺には全国で唯一、忠海上人と円明海上人という2体が現存する▼即身仏になるには、まず山ごもりをして穀物を断ち木の実だけを食べる「木食もくじき修行」に励む。体の水分や脂肪分をそぎ落としてから寺に戻り、地中に設けた石室にこもって、命尽きるまでお経を読み続けたそうだ。相当に屈強な人物だったのだろう▼極限まで体力を落とす必要があるため、修行に失敗して途中で亡くなってしまうこともあるという。同寺の住職も務めた鉄門海上人は、そうした一人だ。途中で病死したが、即身仏のように残されたと伝えられている▼鉄門海上人は、社会事業に尽力したことでも知られる。険しい山道を越えるのに人々が苦労していたため、寄進を募って隧道ずいどうを通す道路建設に取り組んだ。山形県鶴岡市には感謝を込めた石碑が今も残る▼歴史をひもとくと、インフラの話が絡むことが少なくない。説明してくれた同寺の関係者が鉄門海上人の功績を誇らしげに語る姿が印象的だった。

【待ち遠しいなー】東北中央道・福島JCT~福島大笹生IC間、16年秋に開通へ

 東北地方整備局は、建設中の東北中央自動車道福島ジャンクション(JCT)~福島大笹生インターチェンジ(IC)間(延長1・4キロ)を今秋に開通させると発表した。

 「秋の行楽シーズンが始まる前までに供用を開始する」(福島河川国道事務所)としている。

 今秋に開通する見通しとなったのは、整備中の東北中央自動車道(福島~米沢、28キロ)のうち、既存の東北自動車道との結節点となる福島JCTから、上名倉飯坂伊達線の福島大笹生ICに至る1・4キロの区間。

 福島県西部の福島西IC付近には大規模な工業団地が多く進出しており、それらの工場の製造品出荷額は福島市全体の4割を占める。

 東北中央道の整備に伴い、福島大笹生IC周辺で新たな工業団地の造成が進められている。福島JCT~福島大笹生IC間が開通すれば、同ICの周りで企業立地が加速する効果などが期待される。

 整備中の区間は国土交通省、福島県、東日本高速道路の3者が事業を担当。福島大笹生IC以北の26・6キロは17年度内に開通する見通しだ。

【総額は1兆円超!!】JR東、東北・上越新幹線大規模改修へ

JR東日本が、2031年度から供用50年を迎える東北・上越新幹線の大規模改修事業に乗りだす。

 1兆円を超す改修費の積み立てを16年度から開始するとともに、工事計画の検討作業を推進。事業期間中の経営の安定化と旅客サービスの維持・向上を図るため、事前の準備に万全を期して老朽施設の更新を円滑に進める。

 現時点で想定している大規模改修事業のうち、橋梁では橋台と橋桁が接続する支点部の改修工に取り組む。支点部材の取り替えのほか、橋脚・橋台コンクリートの部分的な打ち替え、桁側への鋼材による補強などを実施する。

 コンクリート橋では構造物の表面を樹脂で被覆するほか、スラブ板に埋め込まれた部材、同板と橋梁との間の緩衝材の取り替えなどを行う。

トンネル改修工事のイメージ図
トンネルでは、上部の覆工コンクリートと地山の間の空隙(くうげき)への注入工、シートによる補強工を実施。ロックボルトによって覆工と地山の一体化を図る。路盤改修工では新たに杭を設け、トンネル下面を支持する。

のり面改修工事イメージ図
のり面の改修工では、風化した地山の奥にあるのり面工を取り替えるとともに、排水と補強を兼ねた杭を新たに設置する。

 東北新幹線は、1982年6月に大宮~盛岡間(延長約505キロ)、上越新幹線は同年11月に大宮~新潟間(約304キロ)が開業した。その後、東北新幹線が85年に上野駅、91年に東京駅、02年に八戸駅まで順次開業。10年には新青森駅まで延伸し、現在の路線延長は約714キロに達する。

 JR東日本は、災害に強い鉄道づくりの一環で、新幹線の高架橋や電化柱などの耐震補強対策を推進中。総事業費3000億円をかけた在来線区間も含めた耐震補強計画の約8割が16年度末までに完了する見通しだ。

【回転窓】大切な思いを伝える歌


 本紙編集局にうれしいプレスリリースが届いた。昨年10月7日付小欄にも登場したロックバンド「03BAND(ゼロサンバンド)」が2枚目のシングルを3月14日に発売するという▼あらためて紹介すると、バンド名の03は「おっさん」を数字表記したもので、現役の大工3人で構成する異色のバンド。昨年のデビューに合わせて多くの媒体に紹介され、知名度を上げてきた▼セカンドシングルの「rhapsody(ラプソディー)」は夫から妻に贈るラブソング。テレビの人気番組『じゅん散歩』(テレビ朝日系)のエンディングテーマ曲(2・3月)に採用されているので、既にお聞きの読者もおられよう▼〈月並な言葉じゃ/軽くなるから/尚さら/伝えられなくなる〉。夫婦だけでなく、友人や職場の仲間同士でも、身近で大切な存在だからこそ普段は伝えられない思いがある。そんなことに気付かせてくれる歌でもある▼今回の発売を記念し、3月13日に都内で「オヤジたちのホワイトデー大作戦!」と題したイベントも企画されている。奥さんに愛を伝える男たちの照れ笑いを見て楽しむのもいい。

【測量業ってどんな仕事?】新潟県測量設計業協会、測量業PR動画をHPで公開



  新潟県測量設計業協会は、担い手確保策の一つとして制作した測量業PR動画のDVDの無償貸し出しと、協会ホームページでの公開を開始した。さらに、DVDの内容を冊子化したリーフレットも作成し、県内すべての県立高校と市町村立中学校に配布した。

 DVDには、昨年11月28日にNST(新潟総合テレビ)が放映した特別番組「ふるさとを守り、未来を創る~測量士の仕事と役割~」=写真=を収めた。測量業に携わる若者や測量士を目指す生徒のインタビューなどを交えながら、地図の歴史、測量の仕事と役割、最新の測量技術、国家資格の測量士と測量士補の取得方法などを分かりやすく紹介している。

 DVDの内容や貸し出しに関する問い合わせは同協会(電話025・267・1110)へ。

2016年2月16日火曜日

【無事の完成を】東と西でトンネル貫通相次ぐ

◇高松道・三木トンネル貫通/施工は安藤ハザマ◇

 西日本高速道路四国支社が進めている高松自動車道4車線化工事のうち、香川県のさぬき市と三木町をつなぐ三木トンネルが貫通し、12日、トンネル坑内で貫通式が執り行われた。4車線化工事では8本のトンネルが計画されているが、貫通は初めて。

 高松自動車道4車線化は、徳島県鳴門市~高松市境間51・8キロを暫定2車線から完成4車線へ拡幅する事業。繁忙期などの交通集中による渋滞の解消や交通安全の向上、災害時の代替機能の強化などの効果が期待されている。13年度から工事が進められており、18年度末の開通を目指している。

 貫通した三木トンネルは、延長784メートル、幅員10・5メートル(2車線)。NATMによる補助ベンチ付き全断面掘削方式で15年5月から掘削を進めていた。施工は安藤ハザマが担当している。

 式典には、大山茂樹さぬき市長や筒井敏行三木町長、大木俊之西日本高速道路四国支社高松工事事務所長、工事関係者、地元代表者ら約100人が出席。

 大木所長、大山市長、筒井町長の3人が発破ボタンを押すと爆音が坑内に響き渡り、無事に貫通した。大木所長は「4車線化で初の貫通を無事故・無災害で迎えられることは、これから本格化する工事の契機となるもので大変意義深い。施工者の皆さまに感謝したい」とあいさつを述べた。

 この後、通り初めや鏡開き、万歳三唱などが行われ、出席者全員で貫通を祝った。竹内孝光安藤ハザマ執行役員土木事業本部担当は「無事に貫通はしたが、今後は完成に向けて一層安全に配慮し、良いものをつくるように努力したい」と決意を述べた。


 ◇福島県いわき市では五郎内トンネル/施工は竹中土木◇

 東北地方整備局が4車線化を進める国道49号平バイパスの五郎内トンネル(延長374メートル)が15日に貫通し、福島県いわき市平上荒川の現地で貫通を祝う式典が開かれた。

 五郎内トンネルは同バイパスに設ける二つの橋と2本のトンネルのうち最後の構造物。近接地に整備する上荒川トンネル(262メートル)の工事と合わせ、竹中土木が施工を担当。今夏ごろまでに両トンネルを完成させ、4車線で供用を開始する予定だ。

 平バイパスの計画地は、いわき市常磐上矢田町~好間町北好間の延長7・7キロ。施工中の区間となる上荒川地区(平上荒川~内郷御厩町)では、NATMにより2本のトンネルを建設する。一連の工事は「国道49号平バイパス上荒川地区トンネル工事」として発注された。

 貫通した五郎内トンネルは地質が砂や泥岩で軟らかく、コンクリートを吹き付けながら1日4~5メートルずつ慎重に掘り進めた。上荒川トンネルは14年12月に先行して貫通した。幅員はいずれも11・25メートル。

 式典には、清水敏男いわき市長や坂井康一磐城国道事務所長、竹中康一竹中土木社長ら関係者多数が出席。貫通点の通り初めや鏡開きを行い、工事が大きな節目を迎えたことを祝った。
 式典で坂井所長は「平バイパスで最後のトンネルが貫通し、開通に向け一歩前進した」とあいさつ。

 清水市長は「市内には渋滞が多く、一日も早い事業の完成が望まれる。完成後は命の道として浜通りの復興の礎になる」と述べた。竹中社長は「無事にトンネルが貫通したことは大きな喜びだ。最後まで全力で工事に取り組み、高い品質の構造物を引き渡す」と力を込めた。

 平バイパスは81年に事業化され、95年に2車線で暫定的に供用が開始された。4車線化が完了すれば、いわき市内から常磐自動車道いわき中央インターチェンジへのアクセス性が高まり、救急医療施設への速達性も向上する。

【記者手帖】埋まっていたものの意味

台湾南部を大きな地震が襲ってから10日。被害が集中した台南市の16階建てマンションの倒壊現場では、100人近くの遺体が確認されるなど多くの犠牲者が出ている◆現地からの報道は、鉄筋量やコンクリート強度の不足、構造上必要な壁を取り除く違法改築などが倒壊原因ではないかと伝えている。しかも躯体部分から一斗缶が多数発見されたとも。RC造の躯体に埋まっていた缶に既視感を覚えた◆21年前の阪神大震災で神戸市東灘区の実家のマンションが全壊判定を受け、建て替えを余儀なくされた。マンションの1階廊下の壁には激震で大きな亀裂が走り、その中にあったのが清涼飲料水の空き缶だった。新耐震基準施行(1981年)前に完成したマンションだったが、幸い居住者から死者は出ず、最悪の事態は免れた。しかし、空き缶を見た時には怒りがこみ上げてきた◆国交省で民間建築物の品質を確保する議論が本格的に始まった。民間建築物の現場で働く技能者の労働環境などを改善する体制構築が急務だと思う。働く人たちが捨て鉢な気分にならない環境が整えられるよう期待したい。(土)

【最善の選択とは】建設業「命」の現場で・20/第4章・われらの責任/最善を追う中で

「震災後の密度の濃い時間が自分を成長させてくれている」。
遠藤はこの5年間を「負荷」ではなく「糧」と受け止めている
「大きなテーマを与えられた」。宮城県土木部長の遠藤信哉は、東日本大震災が自身の人生にもたらした影響をこのように感じている。震災以降、いくつも分かれ道があった。その都度、最善の道は何かを必死に考えてきた。

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【回転窓】大量のチョコの行く末は

月曜日の朝、自宅の冷蔵庫を開けたら紙袋や箱に入った大量のチョコレートが並べられていた。小学6年生の娘が友達からもらったものらしい。今のご時世、「友チョコ」を交換するのは当たり前だそうだが、大量のチョコをどうやって食べ切るのか、少々心配になる▼近ごろは、チョコに限らず食べ物に絡んだイベントがことあるごとにはやる傾向にあるようだ。節分に太巻きを食べる「恵方巻き」。関西の習慣に目を付けた大手コンビニエンスストアが1998年に全国で売り始め、いつの間にか広まった▼商売繁盛は結構なことだが、バレンタインデーとホワイトデーも含め、売った後にどうなっているかまでは考えていないように思える。作りっ放しに売りっ放し。余れば待ち受けるのは大量廃棄である▼恵方巻きやバレンタインにいちいち目くじらを立てるのは気が引けるが、特に食べ物に関連するイベントで後先を考えない商売に対し、少し寛大が過ぎはしないか▼さてわが家の冷蔵庫のチョコ。娘が食べるのかと思いきや「ニキビが出る甘い物はセーブ中」だそうで、しばらく父親の夜食にもなりそうだ。

2016年2月15日月曜日

【賃上げ機運、実感ある?ない??】帝国データが16年度賃金動向調査/46%が「賃上げ予定あり」

民間信用調査会社の帝国データバンクが全国2万3000社の企業を対象に実施した16年度の「賃金動向意識調査」によると、調査に回答した1万0519社のうち「正社員の賃上げがある」と回答した企業は46・3%となった。

 「賃上げがない」と回答した企業は23・%。6年連続で「ある」が「ない」を上回る結果となった。

 建設業の回答は「ある」が48・7%(746社)、「ない」が24・0%(368社)。賃上げを検討している割合は運輸・倉庫業や製造業、サービス業と共に業種別比較で高水準となっている。人材不足の状況が依然として続き、将来を見据え若年層の人材確保にも注力していることが背景にあるようだ。

 調査内容を具体的に見ると、賃上げ策は基本給を引き上げる「ベースアップ」が35・5%でトップで、賞与(一時金)の26・0%が続く。

 賃上げを予定している4875社に理由を聞いたところ、「労働力の確保・定着」が73・8%で最も多かった。「自社の業績拡大」は46・2%、他社よりも人材確保や採用活動で有利に立ちたいことを背景に「同業他社の賃金動向」を理由に挙げた割合は21・1%となり、他社の賃金動向を意識する傾向が強まっている。

 16年度の総人件費は前年度比較で「増加」との回答が63・7%となった。増加率は平均2・49%で、回答企業の人件費は「総額で4・3兆円、賃金で3・4兆円増加する」と試算する。

 建設業の平均増加率は2・97%、賃上げ割合は65・4%。回答企業の中には「大企業と異なり、中小・零細企業は存続が第一義」(運送業、新潟県)、「給与の上昇分は社会保険や住民税の上昇分、生活物資の値上がりで相殺され、消費増税分は賄えない」といった声もあった。