2016年2月24日水曜日

【回転窓】1メートルは一命取る

工事現場や建設会社の安全大会などでしばしば聞く言葉に「1メートルは一命取る」というのがある。駄じゃれと言えば駄じゃれだが、意味するところはなかなか深い▼たった1メートルの高さでも人が落下したり重量物が落ちてきたりすれば、けがばかりか、打ち所が悪いと命を落とすことも。わずかな危険も侮ってはいけない。そんな戒めである。従って工事現場では開口部養生やヘルメット・安全帯着用などのルールが厳格に決められている▼学校の運動会で行われる組み体操で多くの子どもがけがをしているとのニュースに、この「1メートルは…」を思い出した。中でも四つんばいの人を何段にも重ねる「ピラミッド」や、人の肩に立ち上がって塔を形作る「タワー」と呼ばれる大技が危ないらしい▼落下や下敷きなどの事故が小中高合わせて毎年8000件超というから、驚きの数字である。仮に工事現場で常時これほどのけが人が出ていたらただでは済まないだろう。学校という閉鎖空間の「治外法権」ぶりが際立つ▼危険な組み体操がやめられない理由は「感動」だとか。子どもの安全を犠牲にしての感動とは恐れ入る。

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