2016年3月4日金曜日

【大注目のすっっごいプロジェクト】トルコ・イスタンブール新空港のデザインがカッコイイ


  ◇伊ピニンファリーナが管制塔設計◇

 完成すれば年間旅客数で世界最大の空港となるトルコ・イスタンブール新空港。欧州の著名建築設計事務所を設計者に採用し、トルコが誇る文化遺産と欧州の先進的なデザインを融合させようと試みている。このほど、イタリアの老舗デザイン事務所ピニンファリーナが参加するチームが管制塔の設計コンペで優勝した。建設が始まっているターミナルビルは、ノルウェーと英国を拠点にする設計事務所のチームがコンセプト設計を手掛けている。

 イスタンブール第3の空港となる新空港は、完成すれば年間旅客数が世界最多の1億5000万人に上ると見込む。建設地は同市内欧州側の用地7650ヘクタール。計画では、2028年末までに6本の滑走路と三つのターミナルを持つ巨大空港となる。第1期の投資総額は60億ユーロに上り、トルコ史上最大の建設事業と言われている。政府が行った入札で選ばれた同国の大手ゼネコン5社のコンソーシアムが13年、建設と25年間の運営を担う事業会社「iGA」を設立した。

 iGAは昨年、高さ95メートルの管制塔と技術センターのコンセプト設計案を選ぶ国際コンペを実施。ザハ・ハディド氏やモシェ・サフディ氏ら著名建築家の事務所など6者が参加し、米エンジニアリング大手エイコムとピニンファリーナのチームが選ばれた。

 iGAのユスフ・アクチャイオールCEO(最高経営責任者)はコンペを実施した理由を、「トルコの多様な文化性や歴史遺産を反映する現代のイスタンブールのシンボルを求めた」と説明。選ばれた設計案を「21世紀の空港にふさわしい際立ったデザインだ」と評価する。

 管制塔には珍しい流線形はトルコが原産地のチューリップから発想を得たもので、エイコムが持つ構造設計の経験と、ピニンファリーナの洗練された意匠の強みが生かされている。アジアと欧州が交差する都市の象徴となることが期待される。

 ピニンファリーナは1930年創業の名門デザイン事務所。フェラーリやマセラティ、アルファロメオといった自動車メーカーとのコラボレーションで知られ、イタリアンデザインの草分けとも言われる。同社が空港プロジェクトを手掛けるのは今回が初めて。スポーツカーの設計で培われた空気力学的な特徴が管制塔の意匠にも表れているようだ。

 同社は1980年代以降、自動車以外の分野にも進出し、クルーザーや航空機、鉄道車両、家電や家具にもそのクラフトマンシップを発揮している。近年、特に力を入れているのが建築設計分野。欧米で高級コンドミニアムの実績を多く持ち、アジアではシンガポールの高層住宅を手掛けた。創業の地イタリア・トリノでは、11年に完成したサッカー・セリエAユベントスのホームスタジアムの内装設計を担当している。

 ◇欧州著名事務所が設計陣にずらり◇

第1ターミナルには世界最大の免税店が登場する
ⓒ Nordic-Grimshaw-Haptic Produced by  MIR
 イスタンブール新空港は18年末の第1期開業に向けて工事が進む。マスタープランは英アラップ、滑走路やエプロン、設備などの設計はエイコムがそれぞれ担当する。巨大空港の中心に位置するのが延べ床面積100万平方メートルの第1ターミナルだ。伝統的なモスク建築を思わせるアーチ型の天井が特徴で、随所に自然光を採り入れる工夫が施されている。コンセプト設計はノルウェーのノルディック、英国のグリムショー、ハプティックのチームが担当。英スコットブラウンリグが設計業務を引き継いだ。

イスタンブール新空港の完成予想パース
2028年に第4期工事が完了すると、年間で最大2億人の利用が見込まれる
ⓒ Nordic-Grimshaw-Haptic
 いずれの事務所も空港施設の設計を得意としている。ノルディックは現在建設中のノルウェー・オスロ国際空港の新ターミナルのほか国内外で実績があり、ハプティックとのパートナーシップで手掛けた空港も多数。グリムショーは14年に完成したロシア・サンクトペテルブルク国際空港の新ターミナルを設計した。スコットブラウンリグは15年に、イスタンブール新空港のリードデザイナーに指名されていた英GMWを買収し、空港セクターの業務を拡大すると発表したところだ。

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