2016年3月1日火曜日

【記者手帖】除染現場での奮闘

東日本大震災から間もなく5年。事故を起こした福島第1原子力発電所に近い福島県大熊町を訪れた。特別な許可がなければ立ち入ることができない帰宅困難区域での初めての取材だ。通り掛かった無人のガソリンスタンドでは、レギュラーガソリンの価格が「140円」と表示されたまま。5年の月日の流れを思い知らされる風景だ◆現地では今、原発周辺地域の除染で発生した汚染土などを保管する中間貯蔵施設の整備が始まろうとしている。各地に仮置きされている袋詰めの汚染土などを一時受け入れの保管場に試験輸送する作業が大詰めだ。除染と汚染土の処理作業には多くの建設会社が携わる◆「除染作業は住民に喜ばれていたが、汚染土の処理作業は必ずしもそうではない」。現地でそんな声を聞いた。中間貯蔵施設に保管した汚染土などは30年以内の県外処分が法律で決まっている。その約束が守られるのか、大量の汚染土の輸送・保管が周辺環境に影響を与えないか、住民の不安は根強い◆敬遠される作業も誰かがやらなければならない。厳しい環境下での建設業の奮闘に頭が下がる思いがした。(は)

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