2016年3月8日火曜日

【記者手帖】連帯感と緊張感

マスコミの世界には、所属先の異なる記者が何人も集まって日々の取材活動や原稿作成に励む場所として「記者クラブ」というのがある。そこでいつも一緒に仕事をしている他紙の記者T君が最近結婚した。傷一つない指輪を輝かせながら、「きのう、かみさんに…」などと明るく話す姿にこちらも幸せな気持ちになってくる◆クラブといっても所属記者は皆ライバル同士。普段は何とか相手を出し抜いてスクープをものにしようとしのぎを削っているだけに、こんな私的な会話が、一息付く貴重なひとときになる。話題は家事や夫婦間のいざこざ、はやりの映画などさまざまだ◆他紙の記者と互いの紙面や記事について批評し合うこともある。それが思わぬ発見につながったり、取材や執筆のヒントになったりすることも多い。所帯の小さな記者クラブだと、記者会見での質問や記事の内容で加盟各社が取材先からひとくくりで評価されることも◆連帯感を意識しながらも、なれ合わず、常に緊張感を忘れない。そんな微妙な関係と雰囲気を保ちつつ、存在感を高められるよう互いに精進し合いたい。(み)

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