2016年3月30日水曜日

【国内初の迎賓館、当時の姿そのままに】東京都、「延遼館」を復元へ

 東京都が浜離宮恩賜庭園(中央区)で計画している延遼館の復元方針を明らかにした。写真などの歴史資料を踏まえ、建物外観は復元し、資料の少ない内部は部分的に復元的整備を施す。20年3月末の完成に向け、6月までに基本設計を終える。


創建時の延遼館
 延遼館は1869年に国内初の迎賓館として竣工。1879年にグラント米大統領が滞在するなど、海外からの多くの賓客をもてなす際に使われたが、1889年に老朽化によって解体された。

 復元整備に当たり都は、本年度から遺構調査や史資料調査に着手。遺構調査では、建物の基礎遺構がおおむね健全な状態で残っていたことから、当時の建物の規模などを確認。建物は木造石張りの平屋で、付属棟を除く建築面積が約1340平方メートルだったことが確認された。

 この調査結果を踏まえた復元方針を決定。写真などが残る外観は当時の通り復元し、写真など視覚的な史料が残っていない内部は、文献や間取り図から当時の内装をイメージして一部を復元的に整備する。内部は正面玄関付近を「復元的整備エリア」とし、その左右に「ガイダンスエリア」と「活用エリア」を配置する。

 復元的整備エリアは、展示室とし、和風の内装とする方針。ガイダンスエリアは、一般利用向けにカフェや日本文化の学習・体験室を設ける。活用エリアはホール機能を整備。2020年東京五輪時は海外からの賓客をもてなす迎賓施設として利用し、大会後はMICE(国際的なイベント)のユニークベニューなど幅広い活用を想定している。

 現在、文化財保存計画協会が担当している基本設計は6月に完了する予定。実施設計は8月から17年3月までで、引き続き同協会と随意契約する方針。17年度に復元工事に着手し、19年3月末の完成、同4月のオープンを見込んでいる。

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