2016年5月20日金曜日

【技術発展の礎】建築設備技術遺産に5件認定

 建築設備技術者協会(JABMEE、田辺新一会長)は、建築設備の技術、役割、文化を多くの人たちに知ってもらうことを目的に創設した「建築設備技術遺産」の16年度認定遺産を決めた。

 認定委員会(委員長・鎌田元康東大名誉教授)が「TOTOミュージアム所蔵の初代ユニットバス」など5件を建築設備技術遺産に選定したほか、建築環境に多大な影響を与えた遺産を対象にする「特別認定」に「柿生ソーラーハウス」を選んだ。認定式は6月21日に東京都港区の明治記念館で開く総会の終了後に行われる。

 建築設備技術遺産に認定されたのは▽設備普及の一助を担った住宅衛生解説書類▽東京五輪に向け短工期施工の実現のためのホテル建設でのネックを解消し、その後の集合住宅で標準的工法として定着した初代のユニットバスルーム▽浴室での不完全燃焼による中毒事故の多発を防止し、シャワー浴普及の引き金となったハンドシャワー付BF型ガス風呂釜を含む給湯器の進化を示す一連の機器▽1961年~2007年に運転され、改良が加えられた上でシリーズ化されシェア90%を占めるようになったターボ冷凍機の量産原型機▽日本の空調設備の黎明期に、熱回収システムをパッケージ化した機器として開発され、多くのプロェジェクトで採用されたヒートポンプシステム-の5件。

 特別認定は、78年竣工の自邸(須田礼二氏)に屋根の一部に太陽熱集熱器を組み込み、現在も健全に使用されているソーラーハウスが選ばれた。

 建築設備技術遺産は、空調・衛生・電気・搬送の4領域に関する技術と技術者の歴史的な足跡を示す「事物」「資料」が認定対象で、今回が5回目の認定。

 今回認定された建築設備技術遺産5件、特別認定1件とそれぞれの管理者は次の通り(敬称略)。

 【建築設備技術遺産】

 「衛生装置を設くる方へ(住宅衛生工事解説)」「パイロット組立式住宅衛生装置説明書」「パイロット式濾水装置説明書」=いするの家・西原脩三記念館

パイロット組立式住宅衛生装置説明書
 国産ターボ冷凍機の量産型となった遠心冷凍機=東芝キヤリア掛川開発センター


 
TOTOミュージアム所蔵の初代ユニットバスルーム=TOTOミュージアム


  全電力可逆型熱回収式空気熱源ヒートポンプシステム(TACNES-HR)=竹中工務店

 
給湯機の進化を示す一連の機器群展示=ガスミュージアム

バランス型ガス風呂釜BF-S
   【特別認定】

 柿生ソーラーハウス=須田礼二
柿生ソーラーハウスの集熱部

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