2016年5月19日木曜日

【上から下に壊しますよ】大成建設、煙突解体の新工法開発

テレコップ・スタックによる解体作業の流れ(左→右)
大成建設は、安全性と作業性の向上を実現する煙突解体工法「テコレップ・システム」を開発した。煙突壁面部を取り囲むように移動昇降式の足場を設置して作業するため、従来の枠組み足場での作業に比べ、作業員や資機材の墜落・落下や高所作業のリスクを低減する。解体作業時に、はつり殻の落下を防ぐ独自養生方法も採用し、作業の安全性を大幅に向上させた。

 従来の煙突解体作業では、煙突周囲全体を取り囲むように枠組み足場を構築してシートで覆い、解体作業の進ちょくに合わせて上部から徐々に足場などを解体する方法が取られている。

 ただ、この方法では足場材の現地搬入・搬出量が多く、足場の重量に対する煙突周囲地表部の支持力確保が必要になるなど、足場の組み立て・解体に多くの時間と労力を要する。作業で使用する資機材は人力で運搬するため、資機材の落下や作業員の墜落の危険性もある。強風時には、シートが風を受けて足場の崩壊につながる危険性があるためシートの取り外しが必要で、作業員の避難にも時間がかかり、工程の遅れにつながることもある。

 開発した工法は、昇降式足場から仮設桁を張り出し、鋼製足場板を覆工して作業床を作る。作業員や資機材が足場を上下に移動する必要がなく、高所作業や墜落・落下のリスクを低減できる。

 足場の昇降は煙突側面を挟むように設置する2本の支柱で行う。地表部に大きな支持力を必要とせず、組み立て・解体も容易。高さ約80メートル、下部直径約7メートルの煙突でつり上げ荷重が25トンクラスのクレーンを使用した場合、従来は足場の組み立てに1カ月半を要していたが、テコレップ・スタックでは10日程度で完了し、工期短縮の効果も大きい。

 解体作業に当たっては、はつり殻の落下を防ぐため、特許出願中の独自養生方法を採用する。可とう性のあるエフレックス管で煙突周囲を囲み、管内を通したラッシングベルトで煙突に固定。その上をシートで覆うことで、作業床の隙間を埋める。

 このほど解体を完了した昭和電工横浜事業所煙突解体工事に初適用し、高い安全性と大幅な工期短縮効果を確認した。今後は煙突解体工事のほか、煙突や橋脚、タンクなどの外周点検や維持補修工事での採用も提案していく方針だ。

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