2016年5月19日木曜日

【回転窓】気になるのは〈送り手〉

落語家が客席からもらう拍手にもいろいろな呼び名がある。高座に上がる時のものは〈迎え手〉〈出喝采〉、下りる時のものは〈送り手〉〈入喝采〉。どちらもありがたいが、落語家が特に気にしているのは後者の拍手という▼〈迎え手〉は落語家の人気の度合いによるところが大きいのに対し、その時にやったことへの評価を表すのが〈送り手〉。だから「これが大事」と上方落語界の大御所である笑福亭仁鶴師匠は話している(小佐田定雄編『青春の上方落語』NHK出版新書から)▼〈送り手〉が大事なのは建設業も同じ。施主からの評価を着工時よりも竣工時にどう高められるか。次の仕事につながるかのシビアな評価でもあり、現場責任者らの腕の見せ所といえよう▼先日の大型連休明け、ある自治体の新庁舎建設現場近くの路上に生えていた雑草がきれいに刈られていた。地域に貢献しようと施工者が自主的に行ったもので、「これはすごい」と自治体の職員は関心しきりだった▼すべての現場で同じことができるわけではないが、そんな取り組みも新庁舎の出来栄えにきっと彩りを添えられるに違いない。

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