2016年6月1日水曜日

【都市土木技術の粋を結集!!】首都高大規模更新、PCa化で工期短縮

東品川桟橋付近の現状(上段)と更新後のイメージ
ⓒ 大林組
首都高速道路会社は大規模更新事業の初弾案件「高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事」で、躯体部分のプレキャスト(PCa)化の推進などによって工期短縮に取り組む。2020年東京五輪の開催までには老朽化した既存道路は使用せず、仮設の迂回(うかい)路と造り替えた片側の更新道路を併用し、利用者の安全・安心を確保する。施工者側と連携しながら制約条件の多い難工事を円滑に進める。

東品川・鮫洲区間の施工位置図
東品川桟橋・鮫洲埋め立て部は東京都品川区の京浜運河沿いに整備され、首都高全線の中でも構造物の損傷が激しい区間(更新延長約1・9キロ)。更新工事では工事中の交通への影響を軽減するため、迂回路を運河上に設置する。先に整備した迂回路に現在の上り線の交通を切り替えた後、上り線の更新道路を新設。続いて完成した上り線に下り線の交通を切り替えて下り線の架け替え工事を段階的に進める。

 総事業費は986億円。実施設計と工事は大林組・清水建設・三井住友建設・東亜建設工業・青木あすなろ建設・川田工業・東京鉄骨橋梁・MMB・宮地エンジニアリングJVが担当。事業完了時期は26年度末としているが、大林JVの技術提案では工期を25年7月末までに短縮できる見通しだ。

作業構台の構築作業(水管橋付近)
桟橋区間は橋桁と海水面の空間が狭く、点検や補修が困難なため、現状の位置から5~20メートル上空に高架構造の桟橋を再整備する。鋼6径間連続鈑桁橋4橋、鋼3径間1橋の計5橋(総延長約1200メートル)の上部工には、維持管理用の恒久足場を設置。現場作業の効率化のため、工場製作の鋼製橋脚やPCa床版などを採用する。

 海底の基礎部分には周辺構造物への影響を抑えるため、基礎寸法を縮小できる柱状体基礎を採用するほか、仮締め切り兼用の鋼管矢板基礎によって現場工程の短縮を図る。埋め立て部は路面かさ上げ構造(延長約460メートル)で、地盤改良した上にPCaのU形ボックスを配置する。ボックスに用いる鉄筋は海際での耐久性を確保するため、エポキシ樹脂鉄筋を採用。地盤改良では大口径(直径5メートル)の地盤改良工法を採用して作業効率を高める。

 迂回路は一般部(連続鈑桁橋、延長約1830メートル)と大井北埠頭橋交差部(PC梁スラブ構造、延長約170メートル)で構成。一般部では鋼鈑桁とパイルベント橋脚を組み合わせる。通常の桟橋構造よりも杭本数が減り、桁下空間を工事用道路として活用できる。

羽田線㊧と護岸に挟まれた運河内で整備中の工事用道路
工事現場では現在、工事車両の進入路や作業構台などを整備中。本年度中には二つのアーチ橋で構成される大井水管橋で、羽田線とモノレールが下面を通る側をトラス橋に架け替える工事に着手する。

 迂回路の整備に向け、大井ジャンクション(JCT)を造り替えるため、湾岸線東行きから羽田線上りに接続する区間を8日から通行止めにし、既設構造物の撤去作業を進める。17年夏~秋ごろまでに迂回路の整備を完了させる計画だ。東京西局プロジェクト本部の林寛之本部長は「最終完成まで10年余を見込むが、2020年東京五輪までには古い道路を使わなくて済むようにしっかりと工程を管理したい」と話している。

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