2016年6月1日水曜日

【回転窓】17歳の創業、坂田秀男氏を悼む

少年時代に見た建設工事に興味を持ち、いつか自分も携わりたいと建設業界に入った人は少なくないだろう。坂田建設名誉会長の坂田秀男氏もそうであったと、『坂田建設四十年史』(1990年発行)を読んで知った▼富山県小矢部市出身。小学5年生の時、橋の架け替え工事を連日のように見に出掛けた。少年ながらに将来、自ら坂田組をつくったらどんな印半纏(しるしばんてん)の紋印にしようか、一人空想にふけっていたという▼それからさほど長い年月を経ず、地元で河川の災害復旧工事を請け負ったのが契機となり、1937年に17歳で坂田組を設立。以来、さまざまな苦難を乗り越えながら社業の発展に奔走する。そんな激動の時代を歩んだ坂田氏が5月18日に死去した▼2011年3月に東日本大震災が発生した後、本紙記者に津波で発生したがれきを迅速に処理するための持論を熱っぽく語られたことがあった。一日も早い復興を願っての提言であった▼「己れの自覚と徹底した自己管理で得られるもの」と健康の維持にも人一倍の努力を惜しまなかった経営者でもある。お別れの会が来月5日に東京都内で開かれる。

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