2016年7月12日火曜日

【記者手帖】ダッカからのメール

 「どん底に落ちたような今の気持ちを言葉では表せないが、本当に申し訳ないことになった」-。バングラデシュの首都ダッカの大学で教える現地出身の友人から先週送られてきたメールがそう結ばれていた。日本人7人を含む20人が犠牲になったテロ事件。彼はまるで自らの責任であるかのように謝罪してきた◆殺された日本人は皆、国際協力機構(JICA)の援助事業でバングラデシュの発展に貢献しようとした建設業関係者。それを思うと、建設専門紙の記者としてなおさら胸が痛む◆国内建設市場の先細りを見越して企業が海外に活路を求める中、バングラデシュでも港湾や空港などのインフラ整備を日本企業が相次ぎ受注している。だが、地域によってはテロに巻き込まれる大きなリスクを伴うことが今回あらためて浮き彫りになった◆友人のメールには次のように返信した。「事件と君とは無関係だから気に病まないでくれ。こうした事件は世界のどこででも起きる可能性がある。ただ、君の国を助けようとして凶弾に倒れた日本の建設業関係者がいたことは忘れないでほしい」。(平)

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