2016年8月31日水曜日

【建設業の心温まる物語】近藤建設(富山県)・奥野篤史さん


 ◇胸が熱くなった園児たちの絵◇

 私が保育園の耐震改修工事の現場管理をしたときの話です。工事の期間中は建物が使えないので、園児は園庭に設けられた仮設の園舎で生活をしていました。当然のことながら園庭も使えません。工事着工の日に現場へ行くと、取り壊し前の園舎の壁にはこれまでの保育園での思い出を描いた園児の絵や、園舎に対する感謝の言葉が書いてあり、「この建物を解体するのは心が痛むなあ」と感じました。

 工事中には、園長から「仮設園舎は狭くて、暑い」「気軽に園庭で遊ぶことができなくてストレスを感じている子が多くなってきた」など、仮設園舎での生活の苦労話を聞きました。また騒音がうるさく感じたのか仮設園舎の窓から両手で耳をふさいで現場の様子を見ている園児の姿もありました。相手は幼い子供たちです。工事の内容を理解できないのも無理がありません。「工事だから仕方がない」と思いつつも、子供たちには申し訳ない気持ちでいっぱいでした。工事は順調に進み、無事建物を12月に引き渡すことができました。子供たちは1月から新園舎での生活がスタートしました。

 完成から3カ月たった3月に建物の定期点検で保育園を訪れました。廊下に園児が描いた絵が掲示してありました。それは、卒園する園児が保育園での思い出を描いたものです。なにげなくその絵を見ていると、工事の様子を描いた絵を見つけました。そこには私たち工事関係者が働く姿が生き生きと描いてありました。私は「このように見ていてくれたのか」と胸が熱くなりました。

 「建設」という仕事に少しでも興味をもってくれた子がいたことと、子供たちの「将来の夢」になれたような気がして嬉しく思いました。

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