2016年9月28日水曜日

【遮熱性舗装の積極推進を】国交省有識者委、五輪マラソン酷暑対策で最終提言案

 2020年東京五輪のマラソン競技の酷暑対策を検討している国土交通省の有識者委員会は27日、遮熱性舗装の積極推進を柱とする最終提言案をまとめた。

 8月末に路面温度を引き下げる環境舗装(遮熱性、保水性)を試験施工した東京都渋谷区の国道でランナーの試走会を行ったところ、遮熱性舗装が最も高い評価を得られたため。街路樹の整備推進による緑陰形成や沿道建築物の壁面緑化なども提案した。

 最終提言案は、同日開かれた有識者委員会「アスリート・観客にやさしい道の検討会」(座長・屋井鉄雄東工大環境・社会理工学院土木・環境工学系教授)で提示された。近く座長一任で了承される予定だ。

 遮熱性舗装の積極推進を提言したのは、国の実証などで天候に関係なく路面温度を持続的・安定的に引き下げる効果を確認したため。8月の試走会でも、他の環境舗装と比べランナーの体感温度の上昇を最も和らげ、散水前後とも滑りやすくないことを確認できた。

 半面、遮熱性舗装の課題として路面のまぶしさを改善する必要性も指摘した。試走会ではランナーから表面の色が比較的明るく、太陽光が目に反射しやすいとの指摘があったことに対応する。継続的に散水を行える地区の道路では保水性舗装の採用も求めた。

 遮熱性舗装や保水性舗装は施工後の耐久性確保に留意しつつ、工事は既設舗装の更新期に合わせて計画的に進めることを提案した。歩道についてはストックの活用を基本としつつ、今後新設する箇所では温度上昇を抑制するブロック舗装などの採用を検討するように求めた。

 日本企業が保有するこれらの環境舗装技術は世界の都市環境改善にも貢献できるとして、五輪期間中に競技会場や選手村、プレスセンターなどで最新の環境舗装技術を紹介し、海外への販路拡大につなげていくことも重要だと指摘した。このほか緑陰形成や沿道建築物の壁面緑化も提案した。国交省は近くまとまる提言の内容に沿って対策を実行に移す。現時点でマラソンコースは確定していない。

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