2016年9月8日木曜日

【回転窓】旧跡多い松代も魅力

 NHKの大河ドラマ「真田丸」効果でにぎわいを見せる長野県上田市。戦国の世を巧みに生き抜いた真田家の出世の地として知られ、少数の軍勢ながら徳川の大軍を2度も退けた上田城での合戦など、歴史好きには魅力的なスポットだ▼同じ真田つながりでも、上田の勢いに押され気味なのが長野市松代町。江戸時代に入って250年近く松代藩主を務めた真田家ゆかりの建物など史跡の見どころも多い▼今夏、両地を訪ねると、観光客の姿は上田が圧倒的に多かった。松代で会った地元の方は「太平の世よりも、波乱に満ちた戦いの歴史の方が観光客には好まれるのでしょう」と諦め顔だった▼そんな松代にも戦いの旧跡が残る。太平洋戦争末期、本土決戦の最後の拠点として大本営と政府各省を松代に移すため、巨大な地下壕を建設。9カ月で8割ほど掘った段階(延長約10キロ)で終戦を迎えた地下壕の岩肌には削岩機の折れたロッドが残り、もの悲しい雰囲気を漂わせる▼歴史的価値の受け止め方は人それぞれ。情報発信の方法や見せ方など、諦めずに工夫を凝らせば観光資源としての魅力はさらに増すはずだ。

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