2016年10月18日火曜日

【記者手帖】緑を東京の「売り」に

世界各地の都市の街並みを撮影している映像作家から興味深い話を聞いた。東京の街並みには、欧州などの都市と比べて「緑」が圧倒的に多いのだという。カメラを回すと都市公園の緑地や街路樹が自然と映り込み、「どこで撮影した映像か説明していなくても、緑の多さで東京だと分かる」と◆ろくに海外旅行もしたことがないが、なかなか信じ難い事実だ。テレビの紀行番組などで欧州の都市の重厚な街並みを見ていると、成熟した都市の姿を見せつけられているようで、憧れとともに何となく引け目を感じていた。東京にそんな特徴があったとは。まさに灯台下暗し◆確かに東京都内の再開発などでは「緑被率」を高める取り組みが積極的に行われている。ただ、それは「公共貢献」の域を出ていないと感じる。東京の新たな魅力、海外からの観光客にアピールする「売り」として、もっと緑に着目すべきではないか◆それは日本が持つ伝統的な精神にも通じる。人間と自然の共生。緑あふれる「生きた都市の姿」を形づくることが、そうした価値観を表現することにもつながるだろう。(ぬ)

0 コメント :

コメントを投稿