2016年10月6日木曜日

【建機の改造不要に】大林組ら、バックホウの無人遠隔操縦装置開発

 大林組が産業機械の製造・販売を手掛ける大裕(大阪府寝屋川市、飯田浩二社長)と共同で、バックホウを無人で遠隔操縦する汎用型の装置を開発した。

 運転席の操作レバーに装着する構造で、機械を改造することなく容易に着脱できるのが特徴。危険な場所では遠隔操縦、比較的安全な場所では施工効率の高いオペレーターによる搭乗操縦と、作業環境に応じ柔軟に使い分けることが可能という。

 開発した装置は「サロゲート」という名称で、メーカーを問わず操縦方式が統一されているバックホウが適用対象。装着に使う取り付け金具を変更することで、さまざまなメーカー・機種への対応が可能になる。

 簡単に持ち運びができるサイズのユニットに分割されており、組み立てが容易。建設機械への装着は、ボルト締めと配線ケーブルの接続だけで特殊な工具や技能も要らない。動力には電気モーターと電動シリンダー方式を採用し、機構の簡素化・軽量化を図った。

 他社が開発した着脱可能な遠隔操縦装置は、大型装置が運転席を占有する。サロゲートは小型のため、装着したままオペレーターによる搭乗操縦が可能。遠隔操縦、搭乗操縦の切り替えは、サロゲートの操作レバーガイドステーのピンを着脱するだけで所要時間は約3分という。

 国土交通省近畿地方整備局が発注した兵庫県内のトンネル工事で、坑外に排出されたズリをダンプに積み込む作業にサロゲートを搭載したバックホウを導入した。オペレーターが遠隔から目視で動かし、不具合なく1カ月間の作業を完了したという。

 近年は、各地で地震や台風、局地的な大雨などの自然災害が増加している。災害復旧の初期段階は、危険な場所での作業が多く、二次災害のリスクが高いため、建設機械の遠隔操縦などによる無人化施工が求められる。ただ、建機メーカーが遠隔操縦専用にあらかじめ改造したマシンは高額の上、台数が少なく、災害時などに急いで調達することが難しい点が課題とされる。

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