2016年10月19日水曜日

【回転窓】どんこと海底トンネル工事

海の恵みの中でもそろそろおいしい旬を迎える「えぞいそあいなめ」は、三陸地方を中心に「どんこ」の呼び名で知られる。この魚と海底トンネル工事にまつわるエピソードをご存じだろうか▼本州と北海道を海底で結ぶ青函トンネルの工事が進められていた1976年1月のこと。先進ボーリングが津軽海峡の海底を貫通した際、流入した岩石や海草と共に飛び込んできたのがどんこであった▼そのどんこは剥製にされ、施工した鹿島の本社に。同社の社長、名誉会長を務めた石川六郎氏の部屋で実際に剥製を見たことがあるという人から話が聞けた。世紀の難工事を後世に伝える貴重なアーカイブの一つであろう▼88年3月に開通した青函トンネルを今年3月からは北海道新幹線が疾走する。開業後半年間の乗客数は延べ約143・5万人。前年同期の在来線利用実績を77%上回り、滑り出しはまずまずのようだ▼東京都港区の旧新橋停車場鉄道歴史展示室で北海道新幹線開業記念展「海を航る-船・鉄道・新幹線」が11月6日まで開催中。青函トンネルの計画から工事、開業に至る資料も展示され、見応えがある。

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