2016年10月11日火曜日

【ピッチ稼働率が1・5~2倍に】オランダ生まれのハイブリッド芝、浦和レッズの施設に導入

エクストラグラスの構造イメージ
 天然芝と人工芝を融合させピッチの耐久性を高める「ハイブリッド芝」の導入が、日本国内でも広がる気配を見せている。Jリーグ・浦和レッドダイヤモンズは、さいたま市桜区にあるチーム施設(レッズランド)に、三菱樹脂の連結子会社、アストロ(東京都中央区、三矢雄二社長)がオランダから技術導入したハイブリッド芝「エクストラグラス」を採用。ユースチームなどが試合を行うピッチを総天然芝から、天然芝が95%、人工芝が5%のハイブリッド芝に切り替えた。

 エクストラグラスはオランダのグリーン・フィールズBV社が開発したハイブリッド芝システム。生分解性の糸と合成繊維を交差させながら編み込み一定間隔で人工芝を取り付けた基布を、ピッチの基礎部分に敷設する。土を被せて天然芝の種をまくと、人工芝の間にある空間で苗が生育、地盤に根茎を張っていく。基布の糸は土の中で腐食・分解され、後に残った合成繊維に芝の根がからみつき、通常よりも強固で剥がれにくい芝のピッチになる。

一定間隔で設けられている空間で天然芝が育ち、人工芝と一体化する
 浦和レッズのチーム施設では7350㎡のピッチを、天然芝からハイブリッド芝に切り替えた。維持管理方法は通常の総天然芝とほぼ同じ。季節によって夏芝と冬芝を切り替えることも可能だという。アストロによると、ピッチをハイブリッド芝に切り替えることで、総天然芝に対してピッチの稼働率を1・5倍~2倍に高めることができるそうだ。切り替えコストは基盤部分の改良やスプリンクラーの設置、工事費などを除き、サッカーピッチ1面当たりの材料費が1億円程度。工事期間は季節によって異なるが、浦和レッズの場合、芝の養生期間を含めて3カ月程度で使用できる状態にできた。

 天然芝と人工芝を組み合わせたハイブリッド芝は、欧米で採用件数が急激に増えている。英国やイタリア、スペイン、オランダなどでは著名な球技専用スタジアムやチーム練習場で、天然芝からハイブリッド芝への切り替えが進む。総天然芝に比べて耐久性に優れ、ディボット(削り穴)ができにくく、稼働率が上げられるなどのメリットがある。

 年間を通じて寒冷型の芝を植える欧州と異なり、日本の場合、多くの地域で季節に応じ芝を寒冷型、温暖型と切り替える必要がある。アストロは2010年から、エクストラグラスを日本の気候に合わせるための研究を開始。日本体育施設(東京都中野区、奥裕之社長)と共同で試験やモニタリングを実施し、国内向けの施工・管理方法を確立した。

 浦和レッズのピッチに導入したハイブリッド芝は東京都清瀬市の神山公園にも敷設されている。アストロは国内で開催される国際的なスポーツ大会、野球やサッカーといったプロスポーツもターゲットに、ハイブリッド芝の導入に向けた提案活動を展開する考えだ。

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