2016年10月17日月曜日

【回転窓】貴重な記録をつなぐ

1970年の大阪万博のシンボルとして、大阪府吹田市の会場に岡本太郎が制作した「太陽の塔」(高さ70メートル)の内部が先日、改修工事を前に公開され、大きな話題を呼んだ。塔内の展示物を万博当時の姿に再生、一般公開する計画も進行中という▼この太陽の塔を題材にした記録映画が制作される。万博から半世紀近くがたつ今、塔の持つ意味をあらためて世に問うのが主題だそうだ。先月末に公募で監督が決まり、これから撮影が本格化する▼こうした芸術作品ばかりでなく、近現代建築の建設過程を克明に捉えた記録映像もまた貴重だ。以前、代々木第一体育館や中銀カプセルタワービルなどの記録映像を見たことがある▼壮大な建造物を人間の手で造ることの素晴らしさ、映像の面白さに魅了された。だが、その多くがフィルムのため、今のうちに保存策を講じなければ見られなくなってしまう▼映像や図面、写真などのアーカイブは地道な活動で費用もかかり、息の長い取り組みになりにくいのが実情だ。貴重な記録をどう後世につなぐか。近現代建築に世界遺産の価値が見いだされ始めた今こそ考えたい。

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