2016年12月27日火曜日

【記者手帖】「ミスター新幹線」の先見の明

鹿児島県選出の元衆院議員・小里貞利氏が14日に亡くなった。阪神・淡路大震災対策担当相などを務めたが、「ミスター新幹線」の印象が強い人でもあった。駆け出しのころ取材した九州新幹線鹿児島ルート関連の式典の壇上で熱弁を振るう姿を記憶している◆九州新幹線は無駄の象徴だと批判され、着工まで陳情などに随分苦労したエピソードを話していた。そんな新幹線も開業後は乗客数が伸び、今ではすっかり九州の足として定着した。「国土の均衡ある発展」を訴え、整備に奔走した故人の先見の明に感服するばかりだ◆本格的な少子高齢社会を迎え、あらゆる産業で生産性の向上が課題になっている。人口減少の中、国土を支え、生産性を上げるための手段にはICT(情報通信技術)の活用などもあるが、高速交通網の充実もその一つだろう◆大分県や宮崎県を経由する東九州新幹線構想が再燃している。採算性など課題は多いが、そこから生まれる可能性に期待する地元の声は理解できなくもない。小里氏ならどう思うか、かなわぬことではあるが聞いてみたい。(松)

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