2016年12月26日月曜日

【建設業の心温まる物語】大伸建設(愛媛県)・渡部静香さん

 ◇初心にかえることができる場所◇

 私の父は、建設会社を経営しています。私が大学生のころは、建設工事への投資金額は最低レベルで、建設業に対し希望が持てませんでした。そのため、大学卒業後は父の会社に入らず、別の会社で事務職に就きました。

 その後、父の会社のPCの管理を大学時代から手伝っていたことと、育児をするのに時間の都合がつきやすいため、父の会社で働くことになりました。つまり“なんとなく”建設業で働き始めたのです。しかし、大学在学中に測量士補を取得していたこともあり、現場に出て測量をするようになりました。仕事をしているうちに、目の前で物ができていくことが楽しくなり、現場が好きになりました。

 そんなある日、工事金額500万円程度の工事を担当することになりました。ダム付近の国道で、トンネルの入口上部に高さ3・5メートルの落石防護柵を設置する工事です。私はその工種の経験が少なく、協力会社の方に仕事を教えていただくばかりの、頼りない現場代理人でした。私の言うことを信じてもらえず、ぶつかることもしばしば。「本当にこの工事終わるのかしら」と不安になりました。しかし、次第に協力会社の方々とうまくやりとりができるようになり、さらに足場から国道に石や道具が落ちないように、様々な工夫をして、なんとか無事完成させることができました。

 足場を解体し、国道から見上げた落石防護柵。「やったー。ついにできた。私がやったんだ」。本当に感動しました。

 その国道を通り私たちが作った落石防護柵を見上げるたび、初心にかえることができます。

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