2016年1月29日金曜日

【回転窓】頑張れ国内農業

四国で農家を営む親戚から野菜が詰まった宅配便が届いた。東京で野菜が高騰していると聞き、送ってくれたそうだ▼近所のスーパーではレタスが298円、小松菜が198円と暖冬で安かった昨年末の数倍。先日、列島を広く覆った今冬一番の寒波の影響で、供給量が極端に減ったことが高騰の原因らしい▼14年2月に関東を襲った大雪では農業用ハウスの倒壊が相次いだ。これを教訓に東日本ではハウスの柱や梁を鉄骨に変え、屋根に積もる雪を溶かす暖房機を増設した農家も少なくない。今回の寒波は普段は温暖な西日本の各地にも大雪をもたらした。今後は東日本と同様の対策も求められそうだ▼スーパーでもう一つ目を引いたのが、120円と安いオマーン産のサヤインゲン。日本とは季節が逆のオマーンに着目した日本の商社が開拓。この時期に販売されるサヤインゲンの多くがオマーン産という。季節の違いを生かした農産物の輸出は日本の農業にも可能だろう▼TPP(環太平洋経済連携協定)による貿易自由化で危機が叫ばれる国内農業だが、教訓を生かし、知恵を絞って体質強化を図ってほしい。

【スケールの大きさに興味津々】近畿整備局、和歌山港で高校生現場見学会

 近畿地方整備局和歌山港湾事務所は28日、和歌山市の和歌山下津港で高校生を対象に現場見学会を開いた。

 巨大クレーン船を使ったケーソンの据え付け工事で、普段は見ることができない海上工事のダイナミックを実感していた。

 参加したのは、和歌山県立和歌山工業高校土木科1年の4人と引率の先生4人。同局が発注した「和歌山下津港本港地区防波堤(外)(2)築造工事」(施工は東亜建設工業)の現場を訪れ、船上やクレーン船の中からケーソンが海底に沈んでいく様子を間近で見学した。

 ケーソンの重さは約2500トン(幅20メートル、高さ13・5メートル)。この日は2函目の据え付け作業が行われ、4000トンづり大型クレーン船「洋翔」(寄神建設保有)で製作ヤードから現地に運搬した後、1日がかりで所定の位置に据え付けた。

 29日に予定している3函目の据え付けを終えれば、長さ1200メートルの防波堤がつながる。

 今回の工事は、本港地区国際物流ターミナル整備事業の一環。今後もケーソンの据え付けなどを進め、17年度に事業が完了する。 参加した坂田康樹君(16)は「建設業界に挑戦してみたい」と話していた。

【闇夜に浮かぶ魅惑の名跡】福島県会津若松市が史跡若松城跡ライトアップ業務発注

福島県会津若松市は、史跡若松城跡ライトアップ業務委託の公募型プロポーザル手続きを公告した。参加申請は2月5日まで受け付ける。参加資格は単体企業。同市競争入札参加資格者名簿に登録されていることなど。

 業務内容は、史跡若松城跡内の桜の照明を中心に、石垣、土塁、濠、茶室麟閣への照明の企画と施工を行う。ライトアップ期間中の機材の保守管理も行う。履行期限は5月23日。点灯は4月8日から5月8日までの1カ月間行う。委託規模は900万円以内。

【はるたむ登場】SKE48が建設業サポート活動、二村春香さんが内装現場見学

 日本建設業連合会(日建連)中部支部は、建設業で働く女性を増やすため、女性アイドルグループ・SKE48の協力を得た現場見学を27日に開いた。

 SKE48の建設業サポート活動の一環で、メンバーの二村春香さんが内装作業の現場を見学、女性社員との意見交換も行った。見学と意見交換の様子は2月17日に開催する女性活躍推進フォーラムで紹介する。

 二村さんが訪れたのは、内装仕上げやインテリアなどを手掛ける文創(名古屋市中村区、小西一隆社長)の本社と、隣接する内装作業の研修施設。

 研修施設では、ベテランの女性技術者、原田美恵子さんがクロスや床の張り替え作業を実演した。二村さんは「作業で難しい部分はどこですか」など疑問点を質問。ローラーで空気を抜きながらクロスを張り付ける作業も体験した。同社で働く女性社員と仕事の内容や、建設業で女性が多く働くために必要なことなどについて意見交換も行った。

 出席者は安井友依子さん(入社3年目、キャリアサポート)、松本祐里さん(入社2年目、カーテン取り付け提案)、竹内麻里子さん(入社1年目、現場管理窓口)、野々上理実さん(育児休暇中)の4人。

 出席者は「材料を運ぶ時は女性の体力のなさを感じる」ものの、「インテリアの仕事は女性目線が重要」で、女性の強みを生かせる分野だとした。

 建設業に女性が進出するためには「現場の女性用トイレなど職場環境の改善が必要」「女性向けの営業部署があってもいい」などの意見が出された。

 二村さんは「建設業は男の人が鉄パイプを運んでいるイメージだったが、女性が活躍できる分野もあることが分かった」と感想を述べ、建設業に対する理解が広がったとした。2月17日にもメルパルク名古屋で開かれる「女性活躍推進フォーラム」にゲストとして参加し、建設業界に携わる若手女性技術者とパネルディスカッションを行うことになっている。

2016年1月28日木曜日

【回転窓】駅と乃木坂46

駅のホームで発車を知らせるメロディーに工夫を凝らす鉄道事業者が目立ってきた。東京メトロはホームページ上で発車メロディーのリクエストを募集し、お客様モニターへのアンケート結果を踏まえて今春導入する3駅・3曲を決めた▼第1位はアイドルグループ、乃木坂46の代表曲「君の名は希望」。駅はもちろん千代田線乃木坂駅だ。リクエスト総数1万件超のうち過半数の約6400件を獲得。グループのメンバーのピアノ演奏でレコーディングしたメロディーを使うという▼乃木坂は東京都港区赤坂8、9丁目の境に位置し、乃木神社前から外苑東通りへと上る。大日本帝国陸軍の乃木希典大将の殉死を悼んで改名したのが由来。赤坂一帯には軍関係施設が集積し、乃木大将の邸宅も含めて周辺に住まいを移す軍人が多かったようだ▼ちなみに残る2駅・2曲は、日比谷線秋葉原駅の「恋するフォーチュンクッキー」(AKB48)、日比谷線銀座駅の「銀座の恋の物語」(石原裕次郎、牧村旬子)▼いずれも国民的人気が高い歌手の曲を選定。地域と歴史、文化・芸能の結び付きが駅の魅力をさらに深める。

【現場は魅力がいっぱい】日建連とPC建協が現場見学会開く

 ◇高校生が大規模現場見学◇

 日本建設業連合会(日建連)中部支部は26日、名古屋市立工芸高校の1年生を対象に現場見学会を開いた。

 名古屋市中区栄1で行われている「納屋橋東第一種市街地再開発事業施設建設物新築工事」の現場を訪れた生徒たちは、建設業のやりがいや魅力に触れながら、興味深く見入っていた。

 同支部は、もっと女性が活躍できる建設業界の実現を目指し2月17日、同市で「女性活躍推進フォーラム」を開く。今回の見学会はその一環。女生徒8人を含む同校建築システム科の1年生39人を招き、女性技術者が働く現場を案内した。見学会には中部地方整備局建政部も協力した。

 再開発では、RC造(制震構造)29階建て延べ4万1767平方メートルの住宅棟(347戸)、S造5階建て延べ8174平方メートルの商業業務棟、S造3階建て延べ1万2060平方メートルの店舗棟、S造4階建て延べ1509平方メートルの業務棟を建設する。設計は清水建設、施工を清水建設・大日本土木JVが担当し、15年3月に本格着工した。

 生徒たちは、川上英昭JV所長、清水建設の佐野まどかさん、鈴木ともみさんから工事の概要、女性が働きやすい現場の工夫などを解説してもらった後、女性専用トイレや休憩所、作業の様子を見学した。

 女生徒たちが興味を示したのは、クレーン作業。クローラクレーンを操る篠田佳詠子さんに「どうしたら資格が取れるか」「やりがいは」「一番気をつけることは」などと熱心に質問。篠田さんは「チームワークで建物ができていくことにやりがいがある。ほかの職種の人たちとのふれあいも楽しい」と丁寧に答えていた。

 清水建設名古屋支店では昨春、全国の支店に先駆け、女性技術者7人で「なごや小町ワーキンググループ」を立ち上げた。女性が長く働き続けられるための職場改善が狙い。佐野さんと鈴木さんもその一員として活躍している。

 見学会で鈴木さんは「女性にとって働きやすい職場は、男性にも働きやすい職場になる」と生徒たちに説き、佐野さんは「女性の友人が設計した建物を、現場監督としてつくるのが夢」と話した。見学を終えて女生徒たちは「現場で働きたい」「建設業への興味が増した」などと感想を語っていた。


 ◇子どもたちがおとうさんの仕事ぶりチェック!◇

 プレストレスト・コンクリート建設業協会(PC建協)九州支部(桑原安男支部長)は24日、沖縄県恩納村の「平成26年度恩納南BP4号橋上部工(下り)工事」の現場見学会を開いた。


 協会の施工に全面的に協力する1次下請業者で形成するプレストレスト・コンクリート工事業協会の会員企業の家族53人が参加し、地域を支える土木の技術に触れた。

 見学会は、土木工事の魅力や公共事業の役割を体験してもらうことが狙い。今回は「おとうさんの職場訪問」のタイトルで父親の日ごろの仕事内容を理解してもらうために開催した。

 冒頭、松本雅宏沖縄担当幹事が「PCはコンクリート橋のほとんどに採用されている技術。今日はお父さんの日ごろの仕事に触れて記憶に残る見学会にしてほしい」とあいさつ。続いて、発注者の沖縄総合事務局開発建設部北部国道事務所石川国道出張所の仲里孝之所長が事業の概要について解説。施工を担当する安部日鋼工業の田中幸夫監理技術者が工事概要を説明した。

 見学会では、3Dアニメーションによる現場工程の説明、高所作業車の実技体験、3Dプリンターによる橋梁模型を用いた勉強を行った。

 当日の沖縄本島地方は観測史上初の降雪が名護市で観測されるほどの寒さだったが、高所作業車に体験乗車した子どもたちは、鳥の目線で見える施工風景に興味を持っていた。

 恩納南BP4号橋の工事内容は塗装鉄筋87トン、コンクリート710立方メートル、PCケーブル3400メートル、桁架設、PC板410枚、反力分散型ゴム支承32個など。完成は3月31日。

【北海道の現状リポート】若手技術者育成型総合評価、地方で活用低調

 国土交通省が、全国の直轄工事の入札で試行的に運用している「若手技術者育成型総合評価方式」。経験や実績が少ない若手技術者を工事に積極的に登用するよう促し、人材育成の場を提供しようというのが目的だ。ところが、若手の人材がもともと少ない地方では、若手育成の場として十分に活用されているとは言い難いのが現状だ。若者の流出や人口の高齢化が深刻な北海道はその典型。北海道開発局が15年度に若手育成型を適用した工事のうち、40歳以下の技術者が配置された工事は3割にも満たない。現状を取材した。

◇若者技術者「そもそも人材いない」◇

 「そもそも若い技術者がいない会社では活用のしようがない」。道内に本社を置くある建設会社の社長は、そんな嘆きを口にする。

 北海道開発局が実施している若手技術者育成型(一部の開発建設部は「技術者育成型」)の総合評価方式では、過去の工事成績や局長表彰などの表彰実績に関する評価項目を無くすことで、ベテラン技術者と経験の浅い若手技術者を同等に評価できるようにしている。

 年齢制限も設けておらず、年齢を問わずに経験の浅い技術者の配置を促す狙いがある。全国の他の地方整備局などで運用されている「若手育成型」と比較すると、技術者に求める要件が緩く、技術者により広く門戸を開けている点が特徴だ。

 他の地方整備局の若手育成型を見ると、例えば近畿と九州の両整備局では、参加要件を40歳以下に限定したタイプを一部の若手育成型で実施。関東整備局と九州整備局では、35歳以下の技術者の配置を加点評価するなど、より若い技術者の配置を誘導する仕組みになっている。だが、要件が緩く門戸も広いにもかかわらず、北海道では若手育成への活用が低調だ。

 北海道開発局には、工事を発注する出先機関として道内各地に計10の開発建設部がある。これらの機関が15年度に入ってこれまでに発注した工事の入札で、若手技術者育成型総合評価方式が適用された案件は計93件。内訳は、一般土木が63件、舗装が7件、建築が9件、維持が11件、浚渫が2件、管が1件となっている。

 全体の8割を、予定価格が2億円未満の工事が占める。あらかじめ経験の少ない若手技術者が配置されることを想定し、比較的難易度の低い工事に適用されているのがその理由だ。

 しかし、93件のうち、40歳以下の技術者が配置された工事は24件と全体の4分の1にとどまる。内訳は、一般土木が19件、維持が3件、建築、舗装がそれぞれ1件。ほとんどの工事には、40歳以上の技術者や、ベテラン技術者が配置されたことが分かった。

 若手技術者育成型の導入に対し、受注する建設業者側の評判が必ずしも悪いわけではない。ある道内業者の社長は「若手技術者育成型の活用で経験がない技術者にもチャンスが与えられ、技術者のモチベーションが上がっている」と評価する。

 その一方で、「人材が多様な大きい会社ならまだしも、若い技術者がいない会社では活用のしようがない」と、もともと若手の人材が少ない地元の実情との乖離かいりも指摘する。建設業で働く人の高齢化は全国的な傾向だが、北海道では高齢化が全国を上回る速度で進行している。

◇札幌集中が地方の若手不足に拍車◇

 総務省の労働力調査を基に道がまとめたデータによると、建設業の就業者全体に占める40歳以下の人の割合は、全国では2000年度に41・5%だったのが14年度には30・8%にまで落ち込んでいるが、北海道では14年度の40歳以下の人の割合が30・4%。全国平均を0・4ポイント下回る。

 加えて、広い北海道には「札幌一極集中」の傾向もある。道内には工業高校がない地域もあり、「若い技術者は札幌に集中してしまう」と道内業界の関係者。札幌集中が地方の若手不足に拍車を掛けている状況だ。

 15年度は公共工事の発注量が減少傾向。「各社とも受注に必死で、技術者の育成にまで意識がいっていない」との声も上がる。若手技術者育成型が適用された工事を受注したある道内企業の担当者は「ベテラン技術者の手が空いていない時に若手技術者育成型の入札が公告されたため、手が空いている中堅の技術者を充てて応札した」と明かす。

 北海道開発局も、40歳以下の技術者を配置された工事が25%にとどまることを「少ない」と認めるが、当面は運用方法を変更しない方針だ。

 「25%という数字が、若手技術者を配置して競争できる建設会社の割合だとすれば、他の地方整備局のように年齢制限を設けるなどして条件を厳しくすると参加業者がいなくなってしまうのでは。入札不調が起きてしまったら本末転倒になる」と担当者。16年度も本年度と同様に100件程度に適用し、効果の検証を続けるとしている。

【あだっちぃーとまいやん起用!!】年度末労災防止強調月間で啓発ポスター完成

建設業労働災害防止協会(建災防、錢高一善会長)は、3月1~31日を「建設業年度末労働災害防止強調月間」に定め、安全意識の高揚に一段と力を入れる。建設工事の繁忙期となることから、普及促進のポスターに、白石麻衣さん(乃木坂46)、足立梨花さんを起用するなどして広報活動を強化し、強調月間の周知を促す。ポスターは170円で販売する。

【無事の完成を】リニア新幹線品川駅新設(東京都港区)の起工式を詳しく


JR東海が進めるリニア中央新幹線(東京・品川~名古屋間)の建設事業で、東京側のターミナル駅となる品川駅の安全祈願と起工式が27日、東京都港区港南の現地で行われた。

 同社や施工を担当する大林組・東亜建設工業・熊谷組JV(南工区)、清水建設・名工建設・三井住友建設JV(北工区)、沿線自治体の関係者などが多数出席。都内で行われる最初のリニア関連工事の無事完成を祈念した。

  ◇施工は大林組JV(南工区)と清水建設JV(北工区)◇

 安全祈願の神事ではJR東海の柘植康英社長、施工者を代表して清水建設の宮本洋一社長、大林組の白石達社長が鍬入れを行った。続いて、柘植、宮本、白石の各社長と地元の大島研二港区港南町会長が玉串をささげ、工事の安全を祈った。

 起工式の冒頭、JR東海の山田佳臣代表取締役会長は「日本の大動脈を永続的に、発展的に維持していくため、建設主体としての責任を持ち、施工者の方々と知恵を出し合いながら一丸となって取り組む」とあいさつした。

 来賓として出席した舛添要一都知事は「品川駅周辺では新駅が整備され、開発も進む。国際的なビジネスセンターとして重要な役割を担う交流拠点とするため、関係者全員でリニア新幹線の完成に全力を挙げ、首都圏、日本全体の発展につなげたい」と述べた。

 山本順三国土交通副大臣は「リニア新幹線で東京、名古屋、大阪の3大都市圏がつながれば、世界最大のスーパーメガリージョンを形成し、国民生活や経済活動に大きなインパクトを与える。国交省も一日も早い完成に向け、必要な支援をしていく」と語った。

式典後に行われた記者会見で、柘植社長は「次代にふさわしい技術、機能を取りれながら、使いやすく、安全な駅舎を整備する」と意気込みを語った。

 施工に当たり、宮本社長は「鉄道の受け替えの施工実績はあるが、新幹線の真下は初めて。JV3社の力を結集し、最後まで安全と環境に配慮しながら立派なものを造り上げたい」と決意を示した。

 白石社長は「新幹線の安全運行、近隣に迷惑を掛けないことを第一に、技術力を結集して精度の高い工事を安全、確実に進める。作業員の確保への懸念もあるが、JV各社が総力を挙げてバックアップしていく」と抱負を語った。

2016年1月27日水曜日

【噴水で地デジ放送が見られる!?】三菱電機、世界初の〝海水アンテナ〟開発

 三菱電機が、空中に吹き出した海水の水柱をアンテナとして利用し電波を受信する、世界初の技術を開発した。地上デジタル放送の受信実験を行い、映像を映し出すことに成功したという。海水を吹き上げるポンプと給電機構があれば利用が可能。大規模構造物が不要な電波受信システムとして、事業展開を目指す。

 

 海水アンテナは、電波を遮断しやすい4分の1波長の長さを持った筒状のノズルから海水を吹き上げ、アンテナ送受信部の代替として利用する。これまでのアンテナで低い周波数の電波をとらえるには、数メートル~数十メートルの高さが必要で、鉄塔を建てるための基礎構造も不可欠だった。施設が大きいため土地の確保が困難で設置場所に制約があり、移設時には大規模工事が伴った。

 ポンプや送受信装置を動かすための電源は必要だが、設置や移設が簡単で海岸や海上など海水があれば利用できる。プロトタイプを使った実験で地デジ放送が受信できることを確認。実用化に向けた研究開発をさらに進め、従来の低周波用アンテナの代替、コンパクトさを生かした新次号展開などに結びつけていく。

【世界最長つり橋に照準】国交省と橋建協がトルコで技術セミナー開く

 国土交通省と日本橋梁建設協会(橋建協、石井孝会長)が今月14日、トルコ政府と首都アンカラにあるホテルで「日・トルコ橋梁技術セミナー」を共催した。

 日本からは国交省の中神陽一官房技術参事官や平井節生総合政策局海外プロジェクト推進課長をはじめ、IHIなど橋建協の会員企業が参加。年内にも国際競争入札が行われるアジア~欧州大陸間の「ダーダネルス海峡大橋」建設・運営事業の受注を目指し、日本企業が保有する長大橋建設の技術や実績を官民でPRした。


 ◇ダーダネルス海峡大橋建設のBOT受注狙う◇

 今回の橋梁技術セミナーは、昨年5月にインフラ輸出のトップセールスでトルコを訪問した太田昭宏国交相(当時)とビルギン運輸海事通信相との会談での合意事項を踏まえて行われた。会談でトルコ側は、ダーダネルス海峡大橋の建設を含む計画中の大型インフラ事業に、技術力に優れた日本企業が積極的に参画するよう求めていた。

 橋梁技術セミナーでの日本側の目的は、ダーダネルス海峡大橋を含めた高速道路のBOT(建設・運営・譲渡)事業への日本企業の売り込みだ。完成すれば世界最長のつり橋となるダーダネルス海峡大橋の建設は、トルコ建国100周年を迎える2023年までに供用開始を目指す国家プロジェクト。橋の規模は延長3623メートル、車線数6(上下各3車線)、事業費は1500億~2000億円に上るとされる。

 国交省は、受注に向けて日本企業を売り込む今年の最優先海外プロジェクトに、ダーダネルス海峡大橋のBOT事業を位置付けている。

 セミナーには、橋建協の会員企業の立場でIHIやIHIインフラシステム、JFEエンジニアリングが出席。国際協力機構(JICA)や官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)、日本高速道路インターナショナル(JEXWAY)、本州四国連絡高速道路会社も参加した。

 トルコ政府道路総局のカルタル総裁や現地インフラ企業の担当者に対し、国交省は、日本が高速道路ネットワークの整備を国の責任とコントロールの下で進めてきた歴史と経験を強調。橋建協は、会員各社が会場内に設置した展示ブースなども活用し、世界最高水準とされる長大橋の施工技術をPRした。特にIHIグループは、IHIインフラシステムが建設中のつり橋「イズミット湾横断橋」(延長2682メートル)の設計・施工を担当するなど、トルコの長大橋事業で豊富な実績を持つ。

 国交省によると、日本企業がダーダネルス海峡大橋のBOT事業に参画した場合、JICAやJOINには資金調達、JEXWAYには運営、本州四国連絡高速道路会社にはメンテナンスの面でそれぞれの経験や優位性を生かし、受注企業をサポートすることを期待している。

 国交省は今後、ダーダネルス海峡大橋BOT事業の入札が年内にも行われるのに合わせ、日本企業を売り込む政府間対話を継続的に行っていく方針だ。トルコ政府が4月にイズミット湾横断橋の完成式典の開催を現地で予定していることから、国会の審議日程に支障を来さなければ、石井啓一国交相の出席も検討。これに合わせてトルコ政府要人へのトップセールスを行う戦略も構想している。

【回転窓】災害対応空白地域の問題

ここ数日の間、大雪に見舞われたのは日本だけではなかったらしい。先週23日、米国の東部沿岸は記録的な大雪となり、ニューヨークやワシントンなどの都市で交通機関がまひした▼ニューヨークは68センチと過去2番目に多い積雪だったという。ワシントンの地下鉄は翌24日も運休。ニュージャージー州の沿岸部では洪水が発生し、約2万世帯が停電したと通信社が伝えている▼日本でも23日から25日にかけて各地で大荒れの天候となった。鹿児島県・奄美大島で115年ぶりに降雪、沖縄県では38年ぶりにみぞれが観測された。これも世界的な気候変動の影響によるものなのかと考えてしまう▼全国建設業協会の調査では、会員企業が存在しない市区町村のある都道府県が15年11月時点で29都道府県と、前回調査(11年2月)から4府県増えた。本紙26日付12面「スコープ」で詳細をあらためて報じている。そうした「災害対応空白地域」の拡大が、どんな問題をはらむかは容易に想像できよう▼国土強靱化と地方創生は表裏一体で進めていかなければならない国家の大きな課題のはず。もっと地方の声に耳を傾けたい。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/入札談合で損害賠償請求相次ぐ

(写真と本文は関係ありません)
 入札談合を理由に発注機関が建設会社を相手取る損害賠償請求訴訟が続々と提起されている。

 現在32件の訴訟が把握されているが、今後も増えることが見込まれる。2010年以降、公正取引委員会は37件の入札談合で建設会社に制裁処分を下した。これに伴う課徴金は合計1兆3438億ウォンに達する。

 建設業界は、発注機関が請求する損害賠償金額が課徴金水準を上回るとみている。

 ソウル市が地下鉄7号線延伸区間の入札談合で12社の建設会社に請求した損害賠償額と公取委が課した課徴金はいずれも272億ウォン。天文学的な課徴金で疲弊した建設業界が、損害賠償請求訴訟で再び同じ困難を経験する境遇に置かれている。

C・NEWS1月20日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/インフラ整備に円借款950億円供与

ブイ・クアン・ヴィン計画投資相と深田博駐ベトナム日本大使がハノイで15日、2015年度の円借款契約のうち第1次となる約950億円分の供与に関する書簡を交換した。

 支援はベトナムの社会経済の発展と投資拡大が目的で、4件の事業が対象。 南北高速道路(ダナン~クアンガイ間)事業に約300億円、ラックフェン国際港と周辺道路・橋梁の建設に約550億円、気候変動対策支援に約100億円をそれぞれ割り振る。

 今後は両国が各プロジェクトの条件を決定した上で、財務省と国際協力機構(JICA)が個別の円借款契約を締結する。

セイ・ズン1月16日)

【協力関係、ますます深化】日比国交正常化60周年、インフラ分野で連携深まる

 足元の経済成長率がアジア各国で中国に次ぐ高さを維持するフィリピン。15年6月の日比首脳会談で両国間の重要案件への支援の枠組みが合意され、同11月にはマニラ首都圏とその南北郊外を結ぶ「南北通勤鉄道事業(マロロス~ツツバン)」を対象に総額約2420億円の円借款を供与する契約が調印された。16年は日比国交正常化60周年の節目となり、両国の協力関係が一段と深まることが予想される。比政府はインフラ整備を国際競争力向上のための重要課題に位置付けており、日系関連企業の活躍の場も広がりそうだ。

 ◇鉄道関連のSTEP案件推進◇

 フィリピン経済は、堅調な国内消費や出稼ぎ労働者からの送金などに支えられ、6%前後の高い成長率を維持する。一方で、都市部のインフラ整備は依然として遅れが目立ち、インフラ分野への投資をさらに促進することが、持続的な成長には不可欠とされる。

 日本と同じく、自然災害の多発国であるフィリピンでは、台風や洪水、地震、火山噴火などの被災リスクが高い。国際的な防災関係機関の統計では、東南アジアでの自然災害の発生数(1990~2009年)を各国別に分けると、同国が29%と、インドネシアの28%を抑えてトップ。被災者数の割合は40%に達し、2位のタイ(23%)を大きく上回る。それだけに、都市圏のインフラ整備に加え、治水や砂防など日本の防災技術への期待も高い。

 国際協力機構(JICA)の統計によると、日本からフィリピンへの開発援助の実績は、1971~2014年度の円借款の承諾額が累計約2・4兆円に上る。支援分野別の割合は運輸39%、電力・ガス12%、灌漑かんがい・治水・干拓10%など、インフラ関係が上位を占める。14年度は承諾額で195億円、貸付実行ベースで545億円(実施中案件20件)となる。

 無償資金協力の14年度までの承諾額は累計1662・8億円。上水道や海運船舶、災害援助など6件の事業を支援中だ。技術協力には累計2192・2億円を供与し、公共・公益事業をはじめ、農林水産やエネルギーなど多分野にわたって支援活動を展開してきた。

マニラ首都圏鉄道ネットワークのインフラ整備ロードマップ
(JICA提供資料に基づき作製)
 日本が支援する主要プロジェクトの一つに、マニラ首都圏の都市問題対策(交通混雑、自然災害、住宅・スラム)が挙げられる。比政府の要請により、JICAがマニラ首都圏のインフラ整備の長期計画の作成を支援した。

 首都圏開発の基本計画に位置付けられる長期計画では、都市構造の転換に向けて▽高密度居住中心地区の郊外移転▽外縁部の受け皿整備▽副都心の育成▽中心地区の再開発-などの施策を列挙。地域開発の促進では南北交通軸(高速道路と郊外鉄道)の整備を核に、ニュータウン開発や既成市街地(港湾地区、国際空港周辺、ウオーターフロントなど)の改善・再開発を一体的に進める方針を示す。

 マニラ首都圏の都市化問題のうち、特に深刻化する交通渋滞への対応が急務となる。昨年6月にアキノ大統領が来日した際には、マニラ首都圏への近代的・効率的な交通ネットワーク構築に向け、30年までに質の高いインフラを整備するための協力ロードマップに日比両政府が合意した。

 JICAは同11月に比政府が進める「南北通勤鉄道事業(マロロス~ツツバン)」を対象に2419億9100万円を限度とする円借款の貸付契約を締結。ロードマップの中でも優先案件に位置付けられる同事業を積極的に推進する。

 計画では北部のブラカン州マロロス市からマニラ市ツツバンまでの通勤線区間(延長約38キロ)の整備により、交通ネットワークの強化と交通渋滞の緩和を図る。総事業費は約2879億円を見込む。21年12月の完成を目指している。本邦技術活用条件(STEP)が適用され、これから詳細設計に着手する。高架部分の施工技術や信号システム・車両などへの日本の技術の活用が期待されている。

 マニラ首都圏北部のカローカン市、ブラカン州メイカウヤンと南部のカビテ州ダマスリニャス間を対象に、地下鉄を含む都市鉄道(施工延長約60キロ)を整備する「メガマニラ圏地下鉄計画」では、事業化支援に向け、JICAが行う今後の協力準備調査でSTEP適用の可能性を探る。

 フィリピンの建設市場には現地企業のほか、コスト競争力に勝る中国や韓国勢なども参入しており、単純な価格勝負では日本企業の受注は厳しい。こうした事業環境を踏まえ、JICAの担当者は「高度な技術力が求められるインフラ案件の潜在的需要は小さくない。日本の建設企業が現地で事業を拡大する余地はある」と分析する。

 ◇AIIBの動きや大統領選も注視必要◇

 5月には大統領選挙が行われ、現アキノ政権の改革路線が引き継がれるかどうかに注目が集まる。仮に新・国家開発計画など従来の政策とは異なる方針を新政権が打ち出せば、日比両政府がこれまで築いてきたインフラ分野での協力関係も見直しを迫られそうだ。

 中国の主導で今月開設されたアジアインフラ投資銀行(AIIB)の今後の動きは、アジア圏の開発援助のあり方を変える可能性が指摘される。当初加盟国としてAIIBへの参加を昨年末に決めたフィリピンに対し、日本はAIIBとは距離を置いており、両国間の開発援助の枠組みへの影響も考えられる。

 インフラ開発需要が旺盛なアジア圏で、新興国・途上国への支援を通じて自国の影響力を強めようとする動きは今後さらに活発化するとみられる。質の高いインフラ輸出の推進で、高度な技術・ノウハウを持つ日本の建設関連企業の存在感が一段と高まりそうだ。

2016年1月26日火曜日

【ダム愛をぬりえに込めろ!!】下久保ダムぬり絵コンテスト、応募受付中!

 堤頂長が605メートと日本一の長さを誇る下久保ダム(埼玉県神川町、群馬県藤岡市)を題材に、ダムへの愛情をぬり絵に込めるコンテストが行われている。主催は神川町と藤岡市の観光協会らで構成する「神流川流域きらり☆にぎわい観光会議」。色えんぴつやクレヨン、絵の具、ちぎり絵など思い思いの方法で、下久保ダムの魅力を表現する。

 応募に当たっての注意点は、「必ず指定の用紙を使用する」こと。藤岡市鬼石総合支所や神川町役場、道の駅上州おにし、下久保ダム管理所などで配布しているので、われこそは!!と思った方は、ぜひとも入手を。ちなみにぬり絵の見本はこちら→→→

 年齢制限はなく、だれでも応募できる。中学生以上の「一般の部」、小学生「高学年の部」と「低学年の部」、就学前の「小学生未満の部」で、入賞・入選作品を選ぶ。選考のポイントは「自由な感性で描いた夢のある作品」という。

 応募の締め切りは2月17日(必着)。入賞・入選作品には素敵な賞品が贈られる。藤岡市鬼石総合支所のにぎわい観光課に「入賞作品の賞品はなんですか?」と聞いたところ、「まだ決定していませんが、地元の名産品などと考えています」とのことだった。

 ちなみに、入賞は「きらりにぎわい観光会議会長賞」、神流川ビジョン推進協議会会長賞、下久保ダム管理所長賞などが用意されている。下久保ダム管理所のツイッターによると、管理所長賞の賞品にはマニア垂涎の「ダム図面マグ」が準備されているそうだ↓↓↓。

  入賞・入選作品は、3月2~18日に、道の駅上州おにしにある「藤岡市体験学習館」に展示される。応募は一人1点まで。応募方法の詳細はこちらまで。

【新たな頭脳、間もなく始動】NEXCO東日本の新道路管制センター(さいたま市)、完成間近

◇2月25日に運用開始◇

 東日本高速道路会社がさいたま市内で整備を進めている新しい「関東支社道路管制センター」が2月25日に運用を開始する。

 防災拠点としての業務継続性を高める構造・設備のほか、最新のICT(情報通信技術)を積極導入、管制運用や情報提供の高度化を図る。

 ICTやロボット技術などを組み合わせ、メンテナンス業務の効率化に取り組む「スマート・メンテナンス・ハイウェイ(SMH)」構想の中枢機能も順次導入する考えだ。

 新しい管制センターの建設地は既存の管制センターの敷地内。施設規模はS造3階建て延べ約5700平方メートル。投資総額は約64億円。設計はINA新建築研究所、施工は若築建設が担当している。

 高い耐震性能と床免震構造を組み合わせた全国初の高速道路管制センター。想定される首都直下地震(マグニチュード7・3)に対応した最高水準の耐震性能を持ち、管制室内には床免震と機器免震を採用した。

 屋上に大型ヘリコプター(重さ6・8トン級)が離着陸可能なヘリポートを設置。浸水対策として建物を1・6メートルほどかさ上げし、自家発電設備などのライフライン機能(電力・飲料水3日分、下水5日分)も配備する。

管制室の完成イメージ。道路管制施設で国内最大規模の
大型ディスプレーを設置し、高速道路網の安全を見守る
情報提供の高度化では、▽渋滞の伸縮傾向を情報板、ハイウェイラジオ・テレホンで提供▽休憩施設(SA・PA)の情報ターミナルで複数経路の所要時間提供と重要事象の強調表示(一定時間で英語表示に自動切り替え)▽通行止め時の一斉指令内容を料金所・お客様センター等にテキストで配信-などを実施。管制センターに集まるビッグデータを活用した新たな情報提供サービスも今後検討していく。

 2層吹き抜けの管制・施設制御室には、全国の道路管制施設で最大規模の大型ディスプレー(縦5・5メートル×横17メートル)を配備。関東甲信地域(1都7県)の高速道路1345キロを集中管理し、全国最多の1日当たり約260件の道路事象をより分かりやすく表示できる。有事の際に他支社との管制機能のバックアップが行える監視制御システムも採用。同システムの運用開始は17年春を予定している。

【建設業を知ってほしい、もっともっと】ゼネコン2社が技研でイベント

 ◇将来は研究者?技術者?◇

 大成建設は22日、横浜市戸塚区の技術センターで、市立名瀬中学校の2年生9人を受け入れ、職場体験を実施した。

 テーマは「室奥へ自然光を届ける採光装置の研究開発」。午前中は採光技術の講義とZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)実証棟の見学を行い、午後に採光装置の研究開発に取り組んだ。

 参加した9人が3チームに分かれ、自然光を室内の奥に取り入れるためのアイデアを出し合い、採光装置を制作。チームそれぞれ細かい工夫が施されており、ZEB実証棟で実際に採用している採光装置「T-Light Cube」を開発した研究者も、「結構いいね」と驚いていた。

 出来上がった採光装置は、教室模型に取り付けられ、室内への光の届き方を検証=写真。「明るさ」「まぶしさ」「照度」の3項目で採点した。技術センターで働く研究員たちも集まり、興味深げに結果を見守った。

 職業体験を終え、生徒たちからは「技術センターは何をやっているところか分からなかったけれど、きょうはさまざまな技術を知ることができ、とても勉強になりました」などの感想が上がったほか、「建築の仕事に興味を持っています。会社に入るために必要な資格は何ですか」といった質問が寄せられた。

 大成建設は、こうした機会を通して「建設が身近な存在であること」や「建設が社会の中で果たす役割」を、若い学生に理解してもらいたいと考えている。


 ◇重機の操作、難しかった?◇

 東急建設は23日、相模原市中央区の技術研究所で親子向けの体験イベントを行った。

 東京急行電鉄グループが実施している「とうきゅうキッズプログラム」の一環で、今年で7回目。抽選で選ばれた10組20人の親子が参加し、ラジコンの重機を動かしてビルや橋梁の建設現場の雰囲気を味わったり、実験施設を見て回ったりした。

 参加した親子は、ミニカーやペットボトルを載せるため、形や強度を変えながら紙の橋を製作。子どもが乗れる紙の橋も完成させた。

 ブルドーザーやクレーンのラジコンをモニターを見ながら遠隔操作し、「未来の渋谷」のまちづくりにも協力して取り組んだ。施設見学では、風洞実験室で風速10メートルの風を体感。残響室と無響室では風船を割って音の伝わり方の違いを確認した。

 最後に沼上清執行役員技術研究所長は「建設現場ではチームワークが必要だと理解してもらえたと思う。これから一生懸命勉強し、将来、東急グループの一員になってほしい」と話し、一人一人に表彰状と記念品を手渡した。

【回転窓】教育の受益者は誰か

「教育の機会均等」は、日本のような先進国なら疑う余地のない価値観だと思うが、昨今は必ずしもそうではないらしい▼先日の大学入試センター試験を皮切りに受験シーズン本番を迎え、驚かされるのが受験料の高さである。私立大だと3万5000円ほどが相場。センター試験ですら1万8000円も取る。多くの受験生が併願することを考えれば、家計の負担は相当なものだろう▼首尾良く合格すると、私立大なら100万円を優に超す初年度納付金が待つ。奨学金を借りた人には卒業後、利息を付けて取り立てるというから恐ろしい。これではとても「機会均等」は無理ではないか▼日本は国内総生産に占める教育機関への公的支出の割合が先進国の中でも最低とされる。公的支出の多寡には、教育の受益者を個人と見るか、あるいは将来の社会全体と考えるか、その違いが表れよう▼似たような例がある。建設業の若い担い手の確保に官民が一体となって取り組むのは、それが一企業を越えて将来の建設産業全体の利益になるからだろう。教育は個人への投資か社会への投資か。答えは自明と思われるが。

【顔を上げ、前を見据える】建設業「命」の現場で・17/第3章・線引きと選択と

朝日に照らされる閖上地区。10年後、この景色は大きく変わっている。
その姿を見たいと思う
 ◇海の民は強かった、そう言える未来を◇

 東日本大震災からの復興が進む宮城県名取市の閖上ゆりあげ地区。6月には初弾の災害公営住宅で入居が始まる。ただ、同地区の想定人口は震災前の半分に満たない約2400人。住民の高齢化率も高まると見られる。スーパーや医療機関の進出は現段階で未定。鉄道の駅から離れており公共交通の充実も必要…。課題は山積みだ。

続きはHP

(ご意見・ご感想をメールでお寄せ下さい。東北支社・牧野洋久、mak@decn.co.jp)

2016年1月25日月曜日

【見て、探して、行ってみよう!!】インフラツーリズム・ポータルサイト、国交省が開設


 ダムや橋梁を観光資源として活用する「インフラツーリズム」への関心が高まる中、国土交通省は全国のツアー情報をまとめて紹介するポータルサイトを開設した。

 整備局主催の現場見学会はもちろん、民間の旅行会社が企画したツアーなども網羅。22日に始動したサイトでは現在、2月に開催する「神田川周遊ミニクルーズ」の情報を紹介している。

2月なので少し寒いかもしれないが、舟に揺られながら神田川をめぐり、係留されている屋形船を間近で見たり、秋葉原の「万世橋」やお茶の水の「聖橋」を水上から見上げたりなど、普段お目にかかれない景色を堪能。参加料金は1000~3500円に設定されている。

 国交省によると、ポータルサイトは定期的に情報を更新し、旬なインフラツアーの最新情報を発信していくとか。整備局主催の現場見学は無料で参加できる、中にはかなりレアな場所を訪れることも…。

 さてさて、今年はどんなツアーが出てくるのか、興味がある方はぜひ、サイトにアクセスを。

【首都圏Look at】五輪競技施設整備、DB方式採用で事業円滑実施狙う

 ◇工期短縮・品質向上など期待◇

 施工難度が高く、円滑な事業実施が求められる大型の公共建築プロジェクトで、設計・施工を一括発注するデザインビルド(DB)方式を採用する動きが目立ってきた。開幕が4年半後に迫る東京五輪の競技施設整備では、メーンスタジアムとなる新国立競技場に続き、このほど事業者が決まった東京都の3競技施設などにDB方式が採用された。建設会社が持つ技術・ノウハウを設計段階から積極活用することで、長期にわたる工事期間で発生するリスクを最小限に抑えつつ、より高品質の施設づくりを目指す。

 公共工事では設計と施工を分離して発注するのが一般的だが、工事費の上昇や人材不足など、建設事業を円滑に進めるためのリスクが増大していることを踏まえ、DB方式を採用して施工に関わる技術・ノウハウなどを設計業務に反映させ、事業を着実に進めようと考える発注者が増えている。

 DB方式では、施工者が設計段階から事業に関与することにより、より生産性の高い工事計画を作成でき、工事の準備が前倒しで行えるとされる。現場作業の円滑化など工期短縮や施工品質の向上といった効果も期待されている。

 一方で、設計者や発注者などによる監理・チェック機能が働きにくくなると指摘する声もある。こうした懸念を払しょくするため、都は競技施設の基本・実施設計の妥当性について外部有識者の意見を聞く「都立競技施設整備に関する諮問会議」を設置した。建築や土木、スポーツ、法律などの専門家らで構成し、専門的な視点から、より適切な施設の性能や仕様、コストなどについて意見を求める。

 舛添要一都知事は「新国立競技場(の当初計画)が白紙撤回になったプロセスへの反省を踏まえて、同じ轍(てつ)を踏まないのが原則。専門家の立場から都民の疑問に的確に答え、理解を得ていきたい」と話している。

 DB方式を採用した都の3競技施設のうち、水泳会場の「オリンピックアクアティクスセンター」(S一部SRC・RC造地下1階地上5階建て延べ7万7700平方メートル、減築後の延べ床面積4万6600平方メートル)では実施設計と施工を担当する事業者を大林組・東光電気工事・エルゴテック・東洋熱工業異業種JVに決定した。

 入札には同JVのほか、清水建設・きんでん・朝日工業社・新菱冷熱工業異業種JV、大成建設・協和エクシオ・川本工業・高砂熱学工業異業種JVが参加。大林JVは価格点、技術点ともに最も高い評価を得た。技術提案では特に国際公認プールの品質管理などでの経験や実績に基づく的確な分析による施工計画への評価が高かった。

 バレーボール会場の「有明アリーナ」(RC一部S・SRC造5階建て延べ4万5600平方メートル)の事業者は竹中工務店・東光電気工事・朝日工業社・高砂熱学工業異業種JVに決まった。

 入札には竹中JVのほか、鹿島・日本電設工業・須賀工業・大気社異業種JVが参加。価格点は鹿島JVが高かったが、四つの技術課題のうち三つで竹中JVが技術点を上回った。

 特に屋根架構の施工計画で、品質・安全に関するシミュレーションなどによって工程ごとの問題点を詳細に分析し、確実な工程管理を踏まえた取り組みが高く評価された。

 ボート・カヌー会場の「海の森水上競技場」(締め切り堤350メートルなど港湾構造物、建築施設総延べ1万3000平方メートル)の事業者は大成建設・東洋建設・水ing・日立造船異業種JVに決定した。

 入札には同JVだけが参加。技術提案では、決められた東側締め切り堤区間の施工時期を確実に達成するため、輻輳(ふくそう)する作業を極力回避し、遅延リスクを軽減させる取り組みへの評価が高かった。

【回転窓】故・鈴木博之氏のまなざし

建築史家の鈴木博之氏(東大名誉教授、享年68)が鬼籍に入られて間もなく2年になる。弁舌さわやかで、議論にめっぽう強く、論破された建築家・研究者は数知れない。ひとたび議論から離れると、気さくで謙虚な一面もあった▼建築史研究の成果をアカデミーという枠にとどめず、広く一般社会に発信。モダニズム建築や歴史的建造物の保存運動では主導的な役割を果たし、東京駅丸の内駅舎復元や国立近現代建築資料館(東京都文京区)創立に尽力した▼建築の賞やコンペなどの審査員も数多く務め、最後の大きな審査会は12年に行われた新国立競技場の国際デザインコンペだった▼「技術的挑戦課題も含め圧倒的に優れている」とザハ・ハディド氏の案を評したのが印象に残る。この案は建設費の増大で白紙撤回されたが、建築物が社会の財産であり、その時代の象徴であることを、国民に再認識させたのではないか▼鈴木氏が一連の騒動を予期していたとは思えないが、新たに選定された大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JVのデザイン案にも、厳しくも温かいまなざしを向けているに違いない。

【凜】ジャパンパイル中部支店基礎設計部主任技師・山田恵美さん

◇やりがいある「礎」の仕事◇

 建築に興味を持ったのは、高校の授業がきっかけ。自分が住みたい家をデザインする内容だった。

 新聞広告などを集めて参考にし、「間取りや部屋の明るさ、窓の位置などをどうするか、考えるうちにどんどん夢中になった」。建築の面白さに魅せられ、大学もこの道に進んだ。

 会社を選んだ決め手は就職説明会。会場に着くと学生は誰もおらず、撤去作業中。それでも作業を中断して人事担当者が親身に話を聞いてくれた。

 「一人の人間として対応してもらった。こんな先輩と一緒に仕事がしたい!」

 遅刻だったと気付いたのは、説明後のアンケート記入中だった。

 社の中核を担う基礎設計部に籍を置き今年で10年。入社4年目に、業界資格である「建築基礎設計士」を女性社員として初めて取得した。

 現在は専門技術者として、また同部の約半分を占める若手女性技術者のけん引役として会社を支える。「地盤は地域、地形ですべて異なります。常にその土地の条件に見合った設計を行う必要があり、難しい面もありますが、そこにやりがいも感じます」

 社内結婚後、夫の転勤に伴い東京から名古屋に勤務地を変更。育児休業後、第一線に復帰した。会社は女性技術者を毎年採用する方針を打ち出しており、支援制度も充実している。

 「勤務地や就業時間など、仕事を続けることができたのは会社の理解があったから。女性が気兼ねなく働ける職場があれば、女性の社会進出も絶対に進むはず」と建設分野での女性の活躍に期待を寄せる。

 (やまだ・めぐみ)

【中堅世代】それぞれの建設業・123

国で学んだことを地元の街づくりに生かしたい…
 ◇技術者としての志はそのままに◇

 バブル景気の余韻が残る1994年に、東北にある大学の大学院を修了。地元の九州に戻って25歳で市役所に土木技術者として入庁した大下通さん(仮名)。

 学生時代に機械工学を専攻していた経験と将来性を買われ、就職活動では複数の大手電機メーカーなどから内定を得た。内定企業の初任給はどこも破格の高さだったが、そんな好条件を蹴って市役所を選んだのは、「将来の安定もあるけれど、税金を使って働くことに純粋にやりがいと使命感があると感じた」からだ。

 学生時代、公務員になっても民間企業に就職しても「きっかけは思い出せないが、一技術者として街づくりに貢献したい」という目標がいつの間にか芽生えていたという。

 市役所で最初に配属されたのは建設部土木課。希望通り、道路や河川、下水道などの設計に没頭できた。29歳で同僚と結婚。翌年には第1子の長女が生まれた。公私ともに最高の幸せと充実感を味わえる日々を過ごしていた。

 仕事で最初の大きな試練と転機が訪れたのは、下水道部の総括主任となった33歳の時。市は下水道施設の将来の老朽化対策費を確保するため利用料金の引き上げを決めたが、市民の間で、市の想像をはるかに上回る反対運動が巻き起こった。

 何とか料金の引き上げへの理解を得ようと、上司から命じられたのは、技術的な根拠に基づいて市民に分かりやすく丁寧に説明する仕事だった。

 「技術者として本来やるべき仕事でもやりたい仕事でもない」。そう感じた。データ収集や資料作りに、分かりやすい説明…。慣れない仕事に苦戦した。必死に取り組んでほぼ1年後、何とか市民の理解を得られることになった。

 自分の中で何かが変わっていた。「本当に大変だったが、大きな仕事をやり遂げた充実感もいっぱいだった」。当時の心境を今、そう振り返る。同時に、行政マンとして「技術や事務といった枠にとらわれず、マルチに働ける能力を身に付けることが住民に喜んでもらう仕事をする上で大きなアドバンテージになることが分かった」と痛感した。

 現在47歳。東京・霞が関の官庁に単身赴任で出向している。着任当初は、地方の自治体とは全く違う国の仕事のスピード感に圧倒された。公共事業の手法も、若手時代には経験したことがないPPP・PFIなど多様化している。毎日が新たな経験。ついていくのに必死だ。

 「行政マンとしていろいろなことを経験してきたが、今も技術者として街づくりに貢献したいという最初の志は何一つぶれていない」という。

 来春、市役所に戻る予定だ。「国で学んだことを必ず地元の街づくりに生かしたい」。

 私生活では、長女が高校3年になり、大学受験の真っ最中。来年には中学2年の次女が高校受験を控える。当面はこの春、長女が志望校に合格し、家族4人でお祝いできるのを心待ちにしている。

 技術者としては、いつか世界各国を旅しながら、日本とは違う街づくりを勉強したいという淡い夢を胸の奥で大事に温めている。

【サークル】ダイダン・大阪本社野球部

 ◇全員野球でとにかく大会出場!!◇

 45年ほど前から活動している大阪本社野球部。以前は正式なクラブ活動として会社の補助金を受けて活動を行っていたが、現在は有志による同好会として、活動費用も各部員が出し合っている。部員数(15年9月末時点)は40人。

 モットーは「全員野球でとにかく出場する」こと。年1回開かれる大阪空気調和衛生工業協会主催の野球大会に出場するのが現在の主な活動だ。

 練習は、大阪市内のグラウンドを借りて年数回の頻度で行っている。技術系や事務系、営業など部員の所属部署もさまざまなので時間を合わせるのが難しく、常時練習に参加できるのは10人程度。ぶっつけ本番で試合に臨む選手も多い。

 「年々野球をする人が減ってきており、部員の確保が難しい」と悩みを口にするのは、代表の高橋宏幸さん。大阪本社に配属となった新入社員には全員に声を掛けているが、なかなか部員が集まらず、苦労が絶えないという。

 過去には、社内で野球大会を開催していたほど熱心に活動に取り組んでいた時期もあった。昨年の大阪空気調和衛生工業協会主催の野球大会では、20チームほどが参加する中で準優勝するなど実力は衰えていない。高橋さんは「今年こそ優勝したい」と、チームの士気高揚に全力を注ぐ。

【駆け出しのころ】淺沼組取締役常務執行役員土木事業本部長・小島達行氏

 ◇あの時に分かった大事なこと◇

 入社する前年の後半にオイルショックが起こり、多くの企業が新人採用で内定の取り消しを行って社会問題になっていました。そんな中、淺沼組では一人の内定取り消しもなく、私を含め総勢二百数十人が入社できました。当時のことはいまだに強烈な印象として残っています。

 新入社員研修は淡路島で行われました。チームに分かれてのボート競争などもあり、一日の研修を終えて部屋で皆と一杯やるのが楽しかったのを覚えています。

 研修後すぐ、九州の宅地造成作業所に配属されました。ところが、オイルショックの影響でこの事業が中止となり、九州支店の土木部長から、大阪の作業所に3カ月だけ応援に行くよう指示を受けました。こうして大阪に出てきたのですが、九州には一度も帰ることなく、そのままもう40年以上がたちます。

 入社2年目、現場での作業にもそろそろ慣れてきたころ、私は測量で大きなミスを起こしてしまいます。事務所に帰って翌日の作業を段取りしている時、どうも日中に実施した道路側溝の測量が気になり、自分で計算して確かめると見事に違っているのです。分かった時は既に遅く、間も悪いことに協力会社の人たちが残業してコンクリートの打設を終えた後でした。

 すぐ上司に報告しようと考えたのですが、言えませんでした。翌朝に意を決して報告すると、最初は怒られたものの、この早い段階で話してくれたことは良いこと、と褒めていただけました。測量を間違えてはいけないが、報告しないことの方がもっと駄目だというのです。黙っていて最後の検査で間違いが露見したら、手直しに多くの時間と費用がかかり、発注者の信頼も失ってしまうと教えられました。

 報告できずにもやもやしていたあの晩のことは、今も忘れられません。ですから、私は部下に悪い報告はすぐに上げてくるようにと話しています。良い報告は放っておいても耳に入ってくるものです。

 もう一つ、忘れられない経験があります。1995年に起きた阪神・淡路大震災です。発生翌日の早朝に大阪から神戸方面に向かってから1カ月間は不眠不休で、倒壊した道路構造物の撤去に当たりました。気が付くと体重は10キロ以上減っていましたが、この時ほど、官民が固い絆で結ばれて作業を進めたと思えることはありませんでした。そうして国道43号が復旧を終えて開通した時には、やり切ったという思いで胸がいっぱいになりました。地元の方々からも感謝していただき、建設会社で働いて本当に良かったと思える瞬間でした。

 (こじま・たつゆき)1974年西日本工大卒、淺沼組入社。大阪本店土木部統括部長、執行役員大阪本店副本店長兼本社経営企画本部副本部長などを経て、15年4月から取締役常務執行役員土木事業本部長兼安全環境管理本部長。長崎県出身、65歳。

自ら施工管理した石積みの前で
(入社3年目くらいのころ)


2016年1月22日金曜日

【うらやましいー、行ってみたいー】乃村工芸社、ソニー本社の食堂改装を設計・施工

 ◇ポイントは「仕掛けのある空間」デザイン◇

東京・品川のソニー本社内にある社員食堂が全面改装され、乃村工芸社が設計・施工を手掛けたビュッフェコーナーと休憩所が並ぶ一角が社員に好評だ。

 ソニーは昨年5月、福利厚生の充実と社員がより能力を発揮できる環境整備を目的に、約4000平方メートルの食堂をリニューアル。ビュッフェコーナーの利用者数は改装前の約7倍に増え、社員からは「気分がリフレッシュできる」と高い評価を受けている。

 食堂の一部に、ビュッフェ形式を初めて導入した「ビュッフェアイランド」(190平方メートル)と、時間帯を問わず休憩やミーティングに利用できる「リラックスゾーン」(120平方メートル)が登場。円形カウンターが4台設置されたビュッフェコーナーでは、毎日20種類の料理を量り売りで提供している。ベジタリアンメニューも用意し、社員の多様性にも配慮した。

 リラックスゾーンは、打ち合わせなどに使えるテーブルと個人利用を想定した半プライベート空間をそれぞれ用意した。

 デザインを担当した乃村工芸社CC第二事業本部クリエイティブ局デザイン2部第1ルームデザイナーの上田薫氏は、「クリエーティブな発想を生む仕掛けのある空間を目指した」とリニューアルのポイントを説明。ポップな色調と公園の遊具のようなオリジナル家具はワクワク感の演出を狙っているという。

 外の景色を楽しめる芝生のようなカーペットが敷かれた空間もあり、デスクから離れて一人でじっくり作業したい時に利用する社員も多いという。

 人材確保の面からも職場環境の改善に取り組む企業が増えている。上田氏は「IT企業などを中心にオフィスにリラックスコーナーを設置する動きがある。社員間コミュニケーションの活性化を図る空間に加え、最近ではプライベート感のある空間に対する要望も多い」と話している。

【ちょっと一息・番外編】爆買い、勢いとどまらず その3

 ◇サイパンにビーチリゾート型IR誕生?!◇


 前回は、中国人や韓国人観光客がサイパンを大いににぎわせている様子をリポートしました。今回は、現地で聞きかじった中国人観光客とともに流れ込む不動産投資マネーのお話です。

 中国のカジノ運営会社・ベストサンシャインは、総額71億ドルを投じて繁華街の中心に客室4000室のカジノを含む統合リゾート、IRを建設する計画(15年8月、米フォーブス誌の報道)という。サイパンでは14年にカジノが解禁となったあと、同社がIR建設に先駆けて免税店の売り場の一部にカジノをオープンさせています。

 中国マネーの動きは、政治と大きくかかわっています。北マリアナ諸島のエロイ・イノス知事は昨年12月末、治療のため訪れていた米本土の病院で亡くなりました。私たちの訪問中に遺体がサイパンに戻り、お葬式が行われたのです。空港から葬儀場までの間に市民が大勢詰めかけ、知事を迎えていました。

 「島民に愛された知事だったのだろう」と思い、聞いてみましたが、評価は人それぞれ。知事がカジノ認可に絡んで中国企業と癒着しているのでは、と考える人もいたようです。先に挙げたフォーブスの報道でも、IR建設地の入札手続きに不透明な点が指摘されていました。

 私たち家族が宿泊したのは、 繁華街から離れた静かな環境にある「マリアナリゾート。日本企業が運営するホテルの一つです。しかし、ここの営業も今年で終了するとか。政府所有の土地のリース契約が延長されないことが決まり、前述の中国企業ベストサンシャインがあとを引き継ぐと言われています。サイパンに住む日本人にとっては、このような動きはさみしいもの。日本人オーナーは契約延長を望んでいたのですから、政治に影響されたと考えたくなるのも理解できました。

 今回、チャモロ人を中心とする現地の人たちに話を聞く機会はありませんでした。彼らにとっては、地域の観光産業を支えてくれるならどこの国の客でも関係ないでしょう。中国人観光客は確実に雇用を生みだしています。建設現場をいくつも見かけました。

 一方で、カジノには反対する人も多いと聞きます。中国資本のホテルで働く地元の人、中国マネーを呼び込みたい政治家、サイパンに長く根を張ってきた日本人やそのほかの外国人。短い滞在中に、それぞれの複雑な心境を垣間見た気がします。

 サイパンの魅力はなんと言っても美しい海と静かな環境。宿泊したマリアナリゾートのビーチは、スノーケルで潜ると波打ち際から水族館の水槽のような熱帯魚に出会える、本当に貴重なサイパンの財産です。

 昨年夏、サイパンは大型台風13号の直撃を受け、建物やインフラに大きな被害が出ました。壊滅した街の復旧はまだ途中です。新しい指導者のもと、美しい環境が守られる範囲で観光客が増え、復興がなされることを願っています。


おわり

【回転窓】ジューク・ボックスのある風景

「ジューク・ボックス」にどんなイメージをお持ちだろう。米国から日本にやってきたのは1950年代。米軍キャンプから普及し始め、70年代前半ころまで、喫茶店、ゲームセンター、ボウリング場、レストランなどの一角を占める一つの風景だった▼コインを入れ、楽曲リストから1曲を選んでボタンを押すと、内蔵されたドーナツ盤のレコードが自動的にターンテーブルにセットされ、音楽を聞くことができる。子どものころに初めて触れ、少し大人になった気がして妙にうれしかった▼東京都瑞穂町の郷土資料館で、2年前に亡くなった音楽家・大瀧詠一さんが愛用したジューク・ボックスが展示中と聞き見にいった。米国ポップスに精通した大瀧さん直筆の楽曲リストが見られるだけでもファンは感激する▼音楽媒体はアナログからデジタルへ。今はネット配信が主流となり、盤がなくても手軽に楽しめる。しかしアナログ媒体にはデジタルで味わえないワクワク感や温かみがあるのではないか。展示を見ながらつくづくそう思った▼特別展「GO!GO!NIAGARA-大瀧詠一の世界-」は24日まで。

【先着40名様に…】池田ダム(徳島県三好市)で◯◯の△△無料配布

さあさ、お立ち会い。御用とお急ぎでない方はゆっくりと聞いておいで~。

というわけで、落語「蝦蟇の油」の口上で始まった今回のブログ。残念ながらガマの油の手持ちはないのですが、〝薪、あります。しかも無料〟という耳寄りな話を、読者にご紹介!!!

 徳島県と高知県を流れ、日本三大暴れ川の一つ、四国三郎の異名を持つ吉野川。その上流にある池田ダム(徳島県三好市)で1月28日、毎年恒例の「薪の無料配布」が実施される。

 出水などでダムに漂着した流木を集め、丹精込めて薪にしたとかしないとか。お一人様ひと束(50×50×100㎝)限り。40人の先着順で、なくなり次第終了となる。

 配布場所は水資源機構池田総合管理所の「池田ダムイタノ流木処理場」。配布開始は午前9時からで、小雨決行。今回は薪の配布だが、4月下旬には木材チップも配布予定。こちらは内容が決まり次第、HPなどで公表する。

 ダムに漂う流木で作った薪。バーベキューをするもよし、部屋に飾って眺めるもよし。使い方を考える前に、とりあえず入手を急いでねん。

 問い合わせは同管理所(☎0883・72・2050)まで。

2016年1月21日木曜日

【ちょっと一息・番外編】爆買い、勢いとどまらず その2

 ◇大きく変化した南の島「サイパン」◇ 

 米国自治領「北マリアナ諸島」の中心、サイパン島。グアムと並んで日本人になじみ深いビーチリゾートですが、ピーク時(1997年)に年間45万人を記録した日本人観光客は2015年には9万人を切るほど激減しています。

 姿を消した日本人と入れ替わるように増えているのが韓国と中国からの観光客。米国のホテル業界コンサル・HVSによると、中国人は15年にサイパンを訪れた観光客の35・5%を占め、シェアトップとなりました。今月、家族と休暇でサイパンを初訪問した私が、すっかり様変わりした(とみんなが口をそろえて言う)サイパンで見聞きしたことをリポートします。

 変化の始まりは2004年ごろ。日系航空会社が相次いで直行便の運行をとりやめ・減便して以来、日本人旅行者は年々減少していきます。観光以外に産業のない島の経済は大きな打撃を受けましたが、救世主となったのが韓国・中国からの観光客。島を訪れた人の総数は2011年を底にV字回復を遂げました。

 復調の要因は一つ。米政府が2009年に、中国人を対象に北マリアナ諸島へのビザ免除プログラムを始めたことです。これにより中国人のビザなし短期滞在が可能になりました。一気に増える需要に対応するため、中国の航空会社はチャーター便の運航を開始した。

 たとえば1月18日のサイパン国際空港の到着便を見ると、グアムなど近距離路線を除くと韓国・ソウル×4、中国・済南×1、上海×1、東京×1、米アラスカ州・アンカレジ×1という顔ぶれ。大手と格安航空会社(LCC)が毎日、中国、韓国の主要都市から大型機材でたくさんの旅行者を運んでいます。

 旅行者の足が確保されれば、次はホテルです。日本企業がかつて投資して建設した大型リゾートホテルのうち、いくつかは廃業を余儀なくされ、「リアルお化け屋敷」な廃虚になっているのを見かけました。

 それ以外では、「二束三文」(現地の日本人曰く)で韓国・中国系企業に売却されたホテルもあります。2005年に戦死者慰霊のため訪れた天皇皇后両陛下が宿泊された日航ホテルも例外ではなく、航空便の廃止に続いて同年閉館。 今は買い取った韓国資本が改修工事を行っている最中でした。

 街のあちこちにある中国語やハングルの看板。ビーチに寝転がっていると中国や韓国の観光客を観察せずにはいられません。彼らはとにかくパワフルに旅を楽しんでいる!買い物もマリンスポーツも目いっぱい満喫している様子でした。そして女性が多い!自撮り棒で写真をとりまくる元気な女性グループが印象に残っています。

 中国人旅行者は団体ツアーが多いようです。企業のインセンティブツアーらしい団体もいました。多くの人が初めてのサイパンでしょう。リピーターになってもらう工夫が、これからのサイパンの課題だと思われます。


 現地で中国不動産マネーの片鱗を見ました。次回はそのお話です。

【回転窓】働き方をめぐる変化

「労働基準監督署の指導が良い転機になった」。ある企業のトップから聞いた。過重労働の是正を求められたため仕事の効率化を研究し、ワーク・ライフ・バランスの充実へとかじを切った。その結果、品質が高まり、経費も削減できたそうだ▼働き方を変える動きが広がってきた。新年には、百貨店の伊勢丹本店などが初売り日を繰り下げたことが話題になった。その理由はサービスの向上。営業時間や営業日の拡大に伴う就労環境の悪化が、百貨店の強みだったはずの販売サービスの低下を招いていたと三越伊勢丹ホールディングスは説明する▼いつでも物を買えるのは便利だが、働く人へのしわ寄せや、コスト増による価格転嫁などデメリットも生じさせる。例えば、週2日休んでいる店が毎日開店することになり、その代わりに1割値上げするとしたら、客は便利さと価格のどちらを選ぶだろう▼建設産業の担い手不足をめぐる構図も同じ。災害復旧など緊急事態は別だが、働く人の環境や過密労働で失うものも含めて工期などを考えるべきだ▼産業間の人材獲得競争は激化している。急がなければならない。

【完成が待ち遠しい】札幌建協、赤レンガ道庁前をれんが舗装

 札幌建設業協会が協会創立100周年記念事業の一環として、赤レンガ北海道庁(札幌市中央区)の前庭をれんが舗装で改修する「赤レンガプロジェクト札幌」の概要を発表した。

 使用するれんがブロックの一部には小学生などに市町村名などを彫ってもらう。9月中旬に着工、10月中旬の完成を予定している。

 今回のプロジェクトは北海道建設業協会と共同で実施する。中央区北3西6の北海道庁敷地のうち、赤レンガ道庁前アプローチ部分の274平方メートルをれんが舗装で改修する。併せて周辺の縁石を改良し、プロジェクトの概要を説明する掲示板の設置も行う。

 舗装用のれんがには、れんが製造の歴史がある江別市の工場で焼成した厚さ6センチほどのれんが約1万4000個を使用。そのうち1~2割程度は、道内の小学生に市町村名や市町村を象徴する絵などを彫ってもらい、観光客向けの情報発信に役立てる。

 工事は赤レンガ道庁の観光ピークである夏季を避け、9月中旬の着工を予定。約1カ月の工期で完成させ、道に引き渡す。工事費約850万円を含め、総事業費は約1100万円を見込んでいる。