2017年12月13日水曜日

【竜宮城がお色直し】小田急電鉄、片瀬江ノ島駅の改良工事実施

小田急江ノ島線の片瀬江ノ島駅(神奈川県藤沢市)を改良するプロジェクトが始動する。

 長年親しまれてきた竜宮城の外観イメージを残しながら、コンコースの拡大やトイレの全面リニューアルなど、より便利で快適に駅が利用できる環境にする。

 デザインは小田急エンジニアリングと菅野企画設計が担当。清水建設の設計・施工で2018年2月に着工する。完成は2020年5月を予定。東京オリンピックの開催前に供用を開始し、新しい竜宮城で国内外から江の島を訪れる観光客らを迎える。

 現在の駅舎は1929年4月に開業した。竜宮城をイメージしたデザインが特徴で、1999年には運輸省(現国土交通省)による「関東の駅100選」に選ばれている。供用から長い年月が経過し、建物が老朽化している上、駅舎内の設備に機能不足が見られることから、全面的なリニューアル工事を実施する。

 駅舎の外観は竜宮造りと呼ばれる神社仏閣の建築技法を採用して建設し、デザイン性を高める。ホーム上の屋根は半透明のテント膜を使ったもの変更し、自然光を採り入れ明るい空間にする。ホームと駅舎の屋根は連動性を持たせる。

 コンコースは現状から25%広くして駅構内の回遊性を高めるとともに、イベント開催時でも人の流れがスムーズになるよう工夫する。トイレは男性用、女性用共に個室数を増やすほか、現在1カ所の多目的トイレを男女トイレ内にそれぞれ設ける。女性向けにパウダーコーナーも新設する。

 駅の建物概要は敷地面積1305㎡、2階建て延べ936㎡。工期は18年2月~20年5月。片瀬江ノ島駅の平均乗降客数は2016年度で1日当たり2万1440人だった。

【回転窓】最後の「平成」カレンダー

大型書店で2018年のカレンダーが並べられた特設コーナーを見て、その種類の多さに改めて驚かされた。壁掛けと卓上のタイプごとにさまざまなデザインがあり、時間が許せばいつまで見ていても飽きることがない▼デザインは風景や動物、植物、アニメ、芸能人などが定番といったところか。2カ月分の暦が一緒に見られるタイプも便利でよさそう▼建設会社が制作するカレンダーで多いデザインは自社で施工した構造物や建築物、あるいは工事中の写真。どういったプロジェクトをどう撮影してアピールするか。新しいカレンダーを頂くと、企画から制作まで携わる担当者の苦心がうかがえるようだ▼政府は8日、天皇陛下が退位される日を19年4月30日と定めることを決めた。翌5月1日に施行される新元号は、官民のシステム改修や印刷物など国民生活への影響を最小限に抑えるため18年中に公表する方針だという▼とすれば「平成」だけの元号を記したカレンダーは18年版が最後になるかもしれない。「平成」を回顧するには少し早いが、今のうちからお気に入りのカレンダーを“保存版”に決めておくのもいい。

【細分街区を一体開発】新虎通り沿い初弾プロジェクト、ビル名称「新虎通りCORE」に

 森ビルと大林新星和不動産は、東京都港区の新虎通り(環状2号線)沿いに建設中の複合ビル「(仮称)新橋四丁目計画」の名称を「新虎通りCORE」に決めた。

 細分化した街区を一体的に開発する新虎通り沿いでの初弾事業。多くの開発事業が計画されている新虎通りのリーディングプロジェクトとなる。設計・施工は大林組が担当。16年8月に着工しており、このほど上棟した。18年9月の竣工を目指す。

 建設地は新橋4の1の1ほか(敷地面積1524平方メートル)。新虎通りと日比谷通り(都道409号線)に面する。敷地の西側が大林新星和不、区道を挟んで東側が森ビルの所有地だったが、区道を廃止することで敷地を一体化し、開発を進めている。建物はS一部SRC造地下1階地上15階塔屋1階建て延べ1万7434平方メートルの規模。高さは75メートルとなる。

 地上1階にはイベントスペースを設け、新虎通りににぎわいをもたらす情報発信の場を提供。商業施設が地上1~2階に入る。3階には共用の会議室や小規模なオフィスなどのインキュベーションスペースが入り、ベンチャー企業への支援の場となる。4~14階のオフィスには、クリエーターへの支援などを手掛けるクリーク・アンド・リバー社(東京都千代田区、井川幸広社長)と同社のグループ企業が入居。最上階には屋上庭園を設ける。

 入居テナントのBCP(事業継続計画)にも配慮。地震対策として粘性系と摩擦系の2種類のダンパーを採用したほか、非常用電源としてディーゼル発電機を備える。

【山梨県、専スタ実現へ一歩】総合球技場基本計画策定業務の発注手続き開始

山梨県は「山梨県総合球技場基本計画策定業務」の委託先を選定するためのプロポーザル方式の手続きを開始した。

 参加表明書は25日まで総合政策部政策企画課リニア環境未来都市推進室総合球技場担当で受け付ける。18年1月10日に参加資格審査の結果を通知する。提案書の提出期限は同1月30日。同2月下旬に審査を行い、同3月上旬にも業務委託予定者を選ぶ。

 参加資格は県の設計で「建築一般」または物品等で「調査・研究」に登録があること。サッカー場・陸上競技場などで観客席(固定席)1万席以上の施設の計画・設計業務を行った実績も求める。業務の履行期限は19年3月15日。予算上限額は17、18年度合計で1950万8000円(税込み)。

 業務では、県が9月に策定した「山梨県総合球技場基本構想」を踏まえ、施設の具体的な整備内容や管理・運営方法などを調査・検討。球技場の規模や収容人員、ゾーニング、PFI導入の可能性なども検討する。建設予定地は甲府市小瀬町の小瀬スポーツ公園周辺(現第3駐車場)で、収容人数は2万人程度を想定している。

 基本構想によると球技場の規模は190メートル×150メートルで、現第3駐車場(245メートル×135メートル)の敷地に加え、新たな用地取得が必要になる。サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなどでの利用をメインにする。イベント開催などにも活用し、付帯施設として会議室や飲食・物販施設などを設けることを検討する。防災機能も備える。アクセス強化として新山梨環状道路の「(仮称)落合東IC」を整備する計画。

 概算建設費は80億~140億円程度。PFIの導入に加え、ふるさと納税の活用、ネーミングライツ(施設命名権)や太陽光発電の導入なども検討する方針。具体的な整備スケジュールは基本計画で決定する。

【映像技術駆使し空間演出】DMM.com、沖縄県豊見城市に水族館開業へ

 デジタルコンテンツの配信事業などを手掛けるDMM.comは12日、沖縄県豊見城市で「DMMかりゆし水族館(仮称)」を開業すると発表した。

 通常の水槽展示に加え、最新の映像技術を駆使した多彩な空間演出を展開し、生物の多様性や独自性を体感・学習できる施設とする方針。設計・監理は大建設計が担当。施工者は決まっていない。19年上半期の着工、20年上半期の竣工・開業を予定。初年度の入場者数の目標を210万人と設定している。

 計画地は、大和ハウス工業が美らSUNビーチ隣接地で開発予定のショッピングセンターの敷地内(豊崎3)。那覇空港から車で約20分、専用シャトルバスで約30分圏内に位置する。

 大和ハウス工業が開発する建物(S造3階建て)の1~2階部分(延べ8066平方メートル)をDMM.comが借り受けて水族館を運営する。

 同水族館では実際の海洋生物の展示と最新映像技術を組み合わせ、リアルとバーチャルが融合した海洋体験を提供する。

 具体的には最新の視覚表現を活用し、季節や時間の変化、沖縄の澄んだ海や亜熱帯気候が織りなす美しい自然などを味わえる空間演出を実現する。

 海洋生物以外にも、沖縄地方を中心としたさまざまな動植物と触れ合える「インタラクティブ体験」もできるようにする。開発中の技術や特許技術などがあるため、導入技術の詳細は公表していない。

 同水族館が完成すれば沖縄県内2カ所目の水族館となる見込み。DMM.comは、同水族館の開発・運営に当たり、県内での水族館運営に知見がある企業と技術提携に向けて協議している。

【民間事業者の取り組み後押し】外航クルーズ船受入拠点整備、投資補助第2弾に9港12地区

国土交通省は、外航クルーズ船の受け入れに必要な港湾の設備投資費用を補助する「国際クルーズ旅客受入機能高度化事業」の第2弾として9港12地区の事業を採択した。

 地方自治体や民間事業者が取り組む旅客ターミナルの設備改修や屋根付き通路の新設などにかかる費用の3分の1を補助する。第2弾事業の補助額の合計は国費で約1億43百万円、事業費で約4億29百万円となる。

 外航クルーズ船の受け入れ拠点整備は国の成長戦略として推進中。政府はクルーズ船で来日する年間の外国人旅行者数を2020年に過去最高だった16年(約199万人)の2・5倍となる500万人にまで増やす目標を掲げる。今回の補助事業は具体策の一つに当たる。

採択された9港12地区の事業概要は次の通り。▽港湾名(地区名)=〈1〉事業主体〈2〉整備施設〈3〉補助額(国費、事業費)。

 ▽秋田港(本港地区)=〈1〉秋田県〈2〉待合施設〈3〉国費9百万円、事業費27百万円

 ▽仙台塩釜港(石巻港区雲雀野地区、大手地区、中島地区、仙台港区中野地区)=〈1〉宮城県〈2〉移動式照明〈3〉80万円、2・4百万円

 ▽横浜港(新港ふ頭地区)=〈1〉新港ふ頭客船ターミナル〈2〉駐車場〈3〉約25百万円、約74百万円

 ▽金沢港(南地区)=〈1〉石川県〈2〉駐車場〈3〉約28百万円、約83百万円

 ▽四日市港(霞ケ浦地区)=〈1〉四日市港管理組合〈2〉大型テント〈3〉1・5百万円、4・5百万円

 ▽神戸港(新港地区)=〈1〉神戸市〈2〉旅客上屋等〈3〉40百万円、1億20百万円

 ▽厳島港(胡町地区)=〈1〉広島県〈2〉屋根付き通路〈3〉32百万円、96百万円

 ▽徳島小松島港(赤石地区)=〈1〉徳島県〈2〉貨客分離フェンス〈3〉4・6百万円、約14百万円

 ▽八代港(外港地区)=〈1〉熊本県〈2〉駐車場〈3〉約2・7百万円、8百万円。

【提携紙ピックアップ】建設経済新聞(韓国)/BIM適用対象を段階的に拡大

調達庁は、20年までにBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)適用対象を段階的に拡大する。11月23日に開かれた「ビルディング・スマート・カンファレンス2017」で、基調講演者として出席した調達庁施設事業企画課のシン・ドンホン事務官が「調達庁施設事業BIM適用現況」を発表。BIMの活用度を高め、支援方策も増やすとした。

 20年までに300億ウォン未満は中間設計と実施設計、300億ウォン以上は設計公募までBIMを適用する計画。「施設事業BIM適用基本指針書」も大幅改定する方針で、内容は△計画、中間、実施設計、施工段階におけるBIM要求水準の改善△BIMデータ作成・活用基準の改善△BIM業務遂行計画書テンプレートなど各種テンプレートの改善△「BIM適用基本指針ガイドライン」の作成。

 シン事務官は「来年作成される予定のBIM適用基本指針ガイドラインは、設計の協業を支援するため、建築、構造、機械、電気分野の設計と見積もりに関する内容が含まれるだろう」と説明した。

CNEWS、11月24日)

【提携紙ピックアップ】セイ・ズン(越)/ハノイ北部でスマートシティー着工へ

ハノイ市北部にスマートシティー建設を計画している住友商事とBRGグループが、2018年第1四半期に工事に着手する予定であることが分かった。
 ニャッタン・ノイバイ間高速道路の沿道地区は、5区を段階的に開発されることが決まっている。

 住友・BRGグループは、10億ドルを投資して73haの第1期開発を担当する。計画中のハノイ都市鉄道2号線が全区域をつなぐ予定だ。コンサルタントの日建設計が現在第1期の詳細な設計を調整している。2社は12月中に、ハノイ市人民委員会に設計案を提出し、承認を求める。同委員会はプロジェクトに全面的に協力する考えで、事業がスムーズに推進されるよう環境整備に努めるとした。

セイ・ズン、12月11日)

2017年12月12日火曜日

【回転窓】「老後指南書」の隆盛

出版取り次ぎ大手の日本出版販売(日販)とトーハンが先日発表した今年のベストセラー。総合1位は、ともに佐藤愛子著『九十歳。何がめでたい』(小学館、16年8月発売)だった。発売からの累計発行部数は105万部というからすごい▼〈身体に次々に起こる「故障」を嘆き、時代の「進歩」を怒り、悩める年若い人たちを叱りながらも、あたたかく鼓舞〉(版元の宣伝文句から)する痛快なエッセーだそうである。老いてますます盛ん、と言っては失礼か▼書店をのぞいても、新聞の出版広告でも、最近は高齢の有名作家などが書くエッセーの類いが随分と目に付く。どれも宣伝文句から先は読んだことがないが、「老後人生の指南書」とでもいえようか▼人生80年、90年が当たり前の時代。長い老後をどう生きるべきか、ある種の指針を求める高齢者やその予備軍が大量にいることが、こうした本が受ける背景かもしれない。出版社もそこを大いに意識しての販売戦略だろう▼本が売れない、町の本屋が無くなるなどと出版不況が深刻な折、老後指南書のヒットは結構なことではあるが、何か少し物足りない気もする。

【技・人づくり】東和(埼玉県川越市)/ベテラン職人が徹底指導

 ◇高卒者定期採用、内部研修で即戦力に◇

 内装工事の東和(埼玉県川越市、石田信長社長)が高卒者の定期採用を始めてから6年が経過した。

 毎年4月に入社する新卒者が現場に配属されるのは8~9月。その間、ベテラン職人が軽量鉄骨ボードなどの内装工事の基本を徹底指導する「東和アカデミー」で即戦力の人材に鍛え上げる。来年4月で設立44年。技術を売り物にしてきた同社の「技」を若手につなぎ、さらなる飛躍を目指す。

 埼玉県を中心に主に北関東エリアでゼネコンの下請施工を手掛ける同社は、労務の多くを2次下請に外注する。ただ、2次下請には規模の小さい会社が多く、技能者の処遇改善もなかなか進まないため、人手を確保するのに苦労していた。

 「このままでは技能を継承していけなくなる」。そんな危機感から、同社が直接採用する形で高卒者の募集に取り組むことを摸索。8年ほど前から高卒者の定期採用を目指し、県内の高校に求人票を出し始めた。石田社長のつてで北海道松前町も毎年訪問。働き手の確保に力を注ぐ。採用人数には波があるが、毎年数人を確保。来春入社の内定者2人を含め、これまでに25人を採用した。中には職人を目指して入職した女子社員もいる。

 協力会社は80社ほどで、同社が施工に携わる現場には日々150~200人が従事する。4月に入社した社員はまず、各現場を回って軽鉄ボード、クロス、床などの作業を手伝いながら一通りの仕事を体験。その上で5月中ごろから富士教育訓練センター(静岡県富士宮市)で3週間にわたる合宿生活を行い、内装の基礎を学ぶ。

 同センターでの研修後は、本社倉庫の架台を利用した実践的な内部研修が待っている。「アカデミー」と称する研修の講師は同社のベテラン職長などが務め、▽壁ボード貼り基礎▽LGS(軽量鉄骨)施工基礎▽LGS・ボード初級▽GL(石膏ボード直張)工法基礎▽石綿吸音板仕上げ▽点検口取り付け作業▽復習・まとめ-を合計273時間にわたって実施。即戦力として現場作業ができるよう育て上げる。

 「手探りで行ってきた育成の取り組みがようやく形になってきた」。石田社長の実弟で、採用業務を担当する石田信次常務はそう話す。定期採用組のトップはまだ20代前半。技能伝承の効果が見えてくるのはこれからだが、確実に人材が増えつつあることに一定の手応えを感じているという。

 新卒者を定着させることを意識し、積極的な声掛けにも心を配る。現場に直接出向くことが多い彼らが月に1度は会社に集まる場を設け、社長も食事に誘うなどしてコミュニケーションを取りやすい雰囲気をつくる。

 「技術の東和」を標ぼうする同社。一定の実務経験積んだ人材には技能検定試験の受験も奨励し、過去に合格した先輩がアドバイスする受験対策指導や現地トライアルにも出向かせる。資格を取得すれば、職務手当が支給され、「本人のやる気も見違えるように変わってくる」(石田常務)という。

【記者手帖】人と機械が助け合う現場

先日の本紙に、ICT(情報通信技術)活用工事のモデル現場で、作業時間短縮と精度向上の効果が確認できたとの記事が掲載された。ICT建機の活躍によって丁張りの設置が不要になり、120m2の作業時間が従来より11分短くなったという◆最近読んだ小説に、10分は「インスタント食品ができあがり、食べ終わって片付ける程の時間」という一節があった。時間のゆとりは心のゆとりにつながるだろう。心にゆとりが持てれば、焦りに起因する労働災害も減らせるのではないか◆ある現場で、ICT建機を導入しながら丁張りが設置されているのを見たことがある。「GPS(衛星利用測位システム)が不安定な時がある。品質確保のために、現段階では丁張りを外せない。もっと精度が上がれば、不要になる日が来るかもしれない」と現場代理人が話していた。手間と時間をかけても質の高いものをつくりたいという技術者のこだわりが垣間見えた◆人と機械が共に仕事をする時代。両者がうまく共存し、互いに助け合ってより良いものをつくる現場の実現を期待したい。(岩)

【技・人づくり】春日基礎(東京都豊島区)/職人の健康に手当て支給

 ◇体脂肪率平均以下や禁煙にも◇

 首都圏で鉄道関連の杭打ち工事を手掛ける春日基礎(東京都豊島区)の齋藤貢司社長は、職人の健康を人一倍大切に考えている。年齢上昇に伴う疾病リスクの増大は否めない。そうした中でも現場作業を滞らせないよう、健康状態や禁煙に対応した手当を毎月の給料に上乗せし、健康維持や意識の醸成に役立てる。数年前に始めた取り組みの成果で禁煙者も増え、職人の意識も変わり始めている。

 ヘビースモーカーだった社員の職人が心筋梗塞になったことをきっかけに齋藤社長は、「病気になれば当然本人は辛いし、家族も心配。会社にとっても現場が滞るなどの影響が出る。何とかしないと」という思いから効果的な対策を摸索した。

 「仕事をするためには体が基本。健康を維持している社員に待遇で報いよう」というアイデアが浮かび、体脂肪率が平均値以下で、もともとたばこを吸わない人と自己申告で禁煙した時に手当を支給することにした。健康を維持しながら、社会にも貢献できるとして、献血時に調べる健康状態に応じた手当も用意した。

 特に禁煙手当を始めてからは、たばこをやめる社員が増加するなどの効果も出ている。「医学的にはどうか分からないが、10年後、20年後と長い目で効果を見定めていきたい」と齋藤社長。中小企業向け格付けを連続で取得するなど、良好な財務内容をバックボーンに、健康に対する手当の支給はしばらく続けていきたいという。

 同社は来年1月に設立50周年を迎える。社員は現在36人。齋藤社長と事務、機材担当などを除いた31人が技能工として働き、常に6~7班がどこかの現場で杭打ち工事に携わっている。

 前期6億80百万円だった売上高は、連続立体交差や首都圏での相互乗り入れといった大型鉄道工事に伴い、次の決算では9億円に伸びる見込みだ。

 毎年の定期採用で同社に入る新入社員は、加盟する全国基礎工事業団体連合会(全基連)や建設機械メーカーが催す外部講習会を経て現場に配属。見習いとして働きながら道具や機械の名前を覚えながら、OJT方式で現場での作業を習得していく。仕事を一通り覚えるのに現状では7~8年かかっているが、「本音を言えば、この期間をもう少し短くしたい」(齋藤社長)。

 技能工は基本的に自宅から現場に出向き、仕事が終わればそのまま帰宅する直行直帰のスタイルだが、月に1度は池袋の本社に全員が集まり、安全施工のための会議を開く。全基連や建設業労働災害防止協会(建災防)から提供されるイラスト入りの事故事例集などを見ながら、どうすれば事故を防げるかを全員でディスカッションする。

 仕事に必要な各種資格の取得費用はすべて会社持ち。今後、「2級土木技術検定の取得を必須とし、1級土木を職長になる条件にしようと思っている」と齋藤社長。現場でゼネコンの技術者とできるだけ対等な立場で話をするためにも、資格取得が重要になると考えている。

2017年12月11日月曜日

【回転窓】本物の体験を思い出に

先日、久しぶりに都内屈指の観光スポット浅草を訪ね、国内外の観光客でにぎわう下町の活気を味わった。すれ違う人の多くが外国人で、旺盛なインバウンド(訪日外国人旅行者)需要を目の当たりにした▼今年の訪日旅行者数は11月4日時点で昨年の2404万人を超え、足元も順調に伸びているようだ。2020年までに4000万人、30年までに6000万人という目標を達成するためにも受け入れ環境の整備を急がなければならない▼世界では旅行の形態が団体旅行から個人旅行へ、消費がモノからコトへと移行しているという。国土交通省は「楽しい国・日本」の実現を目指し、観光資源の体験メニュー拡充や体験満足度向上のための方策を検討中。来年3月に提言をまとめる▼インバウンド需要を地域に呼び込むには、外国人が訪れたくなる地域を目指して魅力を磨くこと、併せて交通利便性の向上や公共交通ネットワークの構築も欠かせないだろう▼寒空の下、浅草の街を夏の浴衣で闊歩(かっぽ)する外国人の姿には驚かされた。気軽に日本文化に触れる機会を増やし、本物の体験を日本の思い出として持ち帰ってほしい。

【本館大屋根改修、中道場棟増築も】東京都、日本武道館増築・改修アセス評価書案公表

改修・増築後の完成イメージ㊤と現在の日本武道館
東京都が2020年東京五輪に合わせて計画している日本武道館(千代田区北の丸公園2の3)の改修・増築工事の概要を明らかにした。本館の大屋根などを改修するとともに、「中道場棟」と呼ぶ延べ3070平方メートルの練習道場を増築する。中道場棟は18年度の着工、19年度の竣工を目指す。本館改修の工期は19~20年度を想定している。

 改修・増築工事の発注は公益財団法人の日本武道館が担当する。本館を含む計画地の範囲は1万6180平方メートル。現在の本館は地下2階地上3階建て延べ2万1133平方メートル(最高高さ42メートル)の規模。防火性や避難の安全性の向上を目的に、大屋根・設備の改修、天井の耐震化、バリアフリー化などを行う。改修後の規模は延べ2万1460平方メートル(最高高さは同じ)となる見通し。
改修・増築後の日本武道館施設位置図
(実施段階環境影響評価書案より)
既存の練習施設だけでは、五輪の参加選手の人数に対応できない恐れがあり、本館南側の敷地に新たな練習道場として中道場棟を増築する。SRC一部S造地下1階地上2階建て延べ3070平方メートル(最高高さ8メートル)の規模とする計画で、事務所、食堂・ホールなども配置し、地下通路で本館と接続する。埋蔵文化財調査に必要な準備工事には既に着手している。

 改修・増築の計画概要は、都オリンピック・パラリンピック準備局が環境局に提出した実施段階環境影響評価書案で明らかになった。評価書案の作成に必要な調査などは日本工営が担当した。日本武道館によると、改修・増築の基本・実施設計は、現施設の設計を手掛けた山田守建築事務所が受託している。

 日本武道館は1964年に完成し、同年開催の東京五輪で柔道の競技会場となった。20年東京五輪では五輪種目の柔道・空手、パラリンピック種目の柔道の試合が行われる。

【凜】東京都建設局河川部防災課・坂井智美さん


 ◇水害から地域守る使命を実感◇

 3年前から、台風や集中豪雨などが発生した際の水防情報の収集・発信業務に当たる部署の一員に。「都の送る情報が、区市町村の避難勧告などの判断に直結する。降雨の多い時期は毎日が緊張の連続」とこれまでの経験を振り返る。

 日々の情報収集は、東京都水防災総合情報システムや河川の監視モニターなどを集約した防災対策室で行っている。川の監視は24時間体制。災害時に取り扱う情報量も膨大で、「情報処理の速さと正確性は組織運営に不可欠。雨や水位の状況によっては、事務所も含め200人規模で監視する場合もある」という。

 今でこそ、業務全体の流れを把握し、主体的に対応できるようになったが、初めは上司や先輩の対応に付いていくので精いっぱいだった。自分の考えや意見に自信を持てるようになったのは3年目に入ってから。「まだ完璧ではないし、重圧は変わらない。それでも、地域の安心・安全を守ることがどういうことか、実感を持って過ごせている」。

 いつかは河川工事の現場監督も担当したいと考えている。水防業務を通じ、良い川づくりにはソフト・ハードどちらの対策も重要だと強く感じたからだ。「人と自然と川。その組み合わせが好きだし、魅力的だと思う。現場の視点や考えをもっと学びたい」。目の前の課題や困難をステップに、河川のスペシャリストを目指す。

 (防災総括担当主事、さかい・ともみ)

【中堅世代】それぞれの建設業・186

担い手確保に向けた取り組みが本格化している
 ◇お金と時間惜しめば人は育たない◇

 東日本大震災からの復興や2020年東京五輪の開催決定などで建設業の事業環境は一変。ゼネコン各社は首都圏を中心に、施工体制を維持できる上限まで手持ち工事を増やし、フル稼働している。

 そうした建設現場の最前線に職人を送り込む専門工事業が担い手の確保に苦労している。四国でとび工事会社を営む井口大志さん(仮名)は、「例年5~6人、多い時は7~8人採用してきたが、今年は1人しか採れなかった」とこぼす。

 専門工事業者は元請のゼネコンに比べてネームバリューが低い。建設業に付きまとうマイナスイメージの3K(きつい・汚い・危険)も重なり、人がなかなか集まらないのが実情だ。今は多くの産業が人手不足。労働条件をてんびんに掛けられ、異業種に引き抜かれるケースも少なくない。

 井口さんの会社が手掛ける現場で働く下請の職人が、昨年、今年と1人ずつ辞めていった。職人の多くは日給制。仕事がある時は稼げるが、連休や盆・正月で休みが増える5、8、1月は稼ぎが極端に落ちる。「収入の不安定さを家族が心配し、製造業の会社に移った」という。

 待遇や労働環境を改善しないと、人は入ってこないというのが業界の共通認識。担い手確保に向けた取り組みの一つが「働き方改革」だ。社会保険加入、月給制への移行、週休2日の確保など、他産業では当たり前とされる環境の整備が本格化しており、国の施策も後押しする。

 井口さんの会社では、幹部が手分けして工業高校などを回り、就職指導の担当教員にPRする。ただ、せっかく採用できても、3年以内に辞められると、出身校からの推薦が得られなくなる。「3年間は大事にするが、丁寧に扱い過ぎると職人として物にならない」とも。入社年次が同じメンバーでつくる同期会に毎年5万円を支給している。同期の絆を深めてもらうのが狙いだ。「旅行に行こうが、ゴルフをしようが構わない。金と時間を惜しむと人は育たない」。

 協力会社が3年前、新入社員の出身校のラグビー部にボールを20個寄付した。1個5000円で全部で10万円。その効果もあったのか、次の年から1人ずつ入社が続くようになったという。

 同業者が集まるとよく話題になるのが、建設現場で働く人が事件を起こした時の新聞やテレビの報道。一般の会社員と異なり、「建設作業員」や「土木作業員」と表現される。「業界全体に対するネガティブな印象を与える。本当にやめてほしい」と意見が一致する。

 地元の警察署で、「警察は上下関係が厳しいから、若い人は入ってこないのでは」と聞くと、「応募が山ほどある」と言われた。警察を舞台にしたテレビドラマや漫画が多く、それに影響されて就職を希望する人が多いという。「建設業もそうしたイメージ戦略が必要だ。正々堂々、胸を張って土木、建築をやりたいと言える環境にしないといけない」。

【サークル】鉄建建設 鉄建チャリダー倶楽部

 ◇初心者から上級者まで、安全第一で楽しく◇

 菊地眞取締役専務執行役員土木本部長が会長を務め、総勢29人で構成する会社公認の部。きっかけは、部長の小菅三雄土木本部土木部課長が14年2月に社内外の自転車好きの有志と共に結成した「チーム月輪」。社内からの参加が徐々に増え、会社が社内クラブ活動を奨励するようになった同12月に14人で倶楽部を立ち上げた。

 「交通マナーの順守」と「安全第一」をモットーに、内勤や現場の社員、女性社員と初心者から上級者まで幅広い層がサイクリングを楽しむ。

 各メンバーの提案で荒川や江戸川、多摩川、相模川沿いのサイクリングロードを中心に毎月開く走行会のほか、花見ツーリングやヒルクライム、グルメツアーといった季節に応じたイベント、交通マナーやメンテナンスの講習なども実施。時にはチーム月輪と一緒に走るなど、社外との親睦も深めている。

 課題は首都圏以外での活動。メンバーの加古昌之さん(土木本部リニューアル推進部)は「転勤者には地方での活動を呼び掛けている。今後は地方にも出掛けて交流を図っていきたい」と活動拡大に意欲を見せる。

【駆け出しのころ】ケミカルグラウト専務取締役環境地盤改良本部長・米田国章氏

 ◇技術と品質に自信を持つ◇

 北海道で生まれ育った私は5人兄弟末子の三男です。長男は建築を学んでゼネコンに、次男は父と同じ大工の道に進みました。父は寺などの歴史的建造物を手掛ける大工でした。私がまだ小さかった頃、家の近くの現場で夜遅くまで仕事をしている父のところに、母がこぐ自転車の後ろに乗ってよく夕飯を届けに行ったものです。

 大学で土木を勉強し、教授の推薦を頂いて就職したのがケミカルグラウトです。設立からまだ十数年という若い会社でした。当時、会社の事業は薬液注入が全盛期にありましたが、私は入社してすぐ、「ジェットグラウト(高圧噴射撹拌(かくはん))工法」を手掛ける工事課に配属されました。今でこそジェットグラウト工法は会社の主力となっていますが、当時は開発されてから間もない時期で、その部署も社員がわずか10人しかいない弱小の組織でした。

 ここでは現場で何かトラブルが起きると、スタッフたちが必ず集まり、原因や対策を協議するのが日課でした。手戻りと手直しを二度と繰り返さないことが目的です。上司や先輩たちの情熱はすごく、新人の私も新しいことに挑戦しているという気概を持つことができ、大変良い勉強になりました。ジェットグラウト工法の適用実績がどんどん伸びていく時期とも重なり、毎日の仕事が面白く充実していました。

 国内の地盤改良工事に長年携わり、40代後半からは台湾で支店の立ち上げと地盤改良工事、ブラジルでの現地法人の立ち上げと運営などにも携わりました。こうした海外での経験も大変に貴重なものとなっています。

 構造物を造るのと異なり、私たちの仕事は地下の地盤改良ですから、施工している時は形としての成果を見ることができません。地盤改良を終えた後、トンネルの掘削が始まるなどした時に初めて成果が分かります。そういう目に見えないところでいかに品質を確保するか。ここに私たちの技術と過去の経験に基づくノウハウがあります。

 「さすがケミカルグラウト」。私がお客さまから言って頂ける言葉の中で一番うれしいものです。同業他社と比べて「さすが」と言われ、自らも「うちの技術は最高です」と言えるようになるには、いろいろな知識を身に付け、自信を持たなければなりません。

 “技術立社”を目指す会社として、若い人たちにもそうした気持ちでいろいろな経験を積んでいってほしいと思います。そういった意味で、最近は課長クラスの頑張りようを見て大変に頼もしく思っています。この世代は、私たちがそうであったように、自分たちの技術と品質に自信を持っています。これからも積極的に行動していってくれるでしょう。

 (よねだ・くにあき)1976年千葉工大工学部土木工学科卒、ケミカルグラウト入社。取締役技術本部副本部長兼ブラジル現地法人担当、常務技術本部長などを経て、17年6月から専務環境地盤改良本部長兼福島主張所長兼海外調査室長兼台湾支店長。北海道出身、63歳。
新入社員の頃、作業所で撮影した一枚
(2列目右から2番目が本人)

2017年12月8日金曜日

【回転窓】観光立国と道路清掃

春先、道路脇にタンポポなどの草花が咲く風景はなかなか良いものである。アスファルトの隙間から顔を出すかわいい花にたくましい生命力を感じることも。ただし、それが道路清掃を怠ったための風景だったとしたら-▼道路管理者にとって、道路脇の植物は厄介者。たまった土砂に雑草が根を張り、子どもの背丈を超えるほどの高さに繁茂してしまうこともある。そうなると、交通安全上も問題が生じる▼民主党政権下で行われた「事業仕分け」で「道路清掃」の事業規模が大幅に縮小され、なかなかそれ以前の状況に戻っていないという。本来は年に2回行っていた清掃が1回しかできなくなれば、良好な状態を保つのも難しくなる▼植物の成長は速く、土砂が堆積すればたちまち雑草に覆われる。特殊機械で行う道路清掃は道路本来の機能を保つのが目的。空隙構造が特色の排水性舗装なども機能維持には清掃が欠かせない。道路の美観を保つ意味合いも大きい▼日本は観光立国として世界から多くの人を迎え入れようとしている。インフラが二流と言われぬよう、道路清掃を含めた維持管理にも意を用いるべきだろう。

【街並み切り取り、ひと言どーぞ】建コン協九州、つぶやき写真コンテストの作品募集中!!

建設コンサルタンツ協会(建コン協)九州支部は、創立50周年記念事業の一環として「つ・ぶ・や・き土木写真コンテスト」で作品を募集している。

 九州・沖縄地方の土木建造物や街並みなどの写真に思い出、感じたこと、川柳、詩などのつぶやきを添えた作品を受け付ける。前期募集を18年1月10日まで、後期募集を同5月10日まで行い、同5~6月ごろに審査結果を発表する。

 応募は郵送またはメールで1人3点まで。フェイスブック「つぶやき土木写真コンテスト」で1次応募を受け付ける。応募作品は創立50周年記念誌や同協会のホームページ、フェイスブック、その他関連資料などに掲載する場合もある。

 入賞者には賞金として大学生以上の一般の部で最優秀賞(1点)に20万円、優秀賞(2点)に10万円、佳作(3点)に2万円、高校生以下の児童・生徒の部で最優秀賞(1点)に5万円、優秀賞(2点)に2万円を贈る。

【多目的アリーナは6000席超】佐賀県総合運動場等整備、年内にも基本設計プロポ公告

 佐賀県は多目的アリーナの新設や総合運動場陸上競技場の改修などを行う「総合運動場等整備」の基本設計業務の委託に向け、年内にも公募型プロポーザルを公告する。

 18年3月中旬から下旬ごろに最優秀提案者を選定し契約を結ぶ見通し。18年秋ごろまでをめどに基本設計を進める予定だ。

 総合運動場等整備は23年の国体・全国障害者スポーツ大会に対応するために計画。複数年にわたりさまざまな工事が重複し複雑な工程となるため、技術的・専門的な支援を受けるため、山下ピー・エム・コンサルタンツにコンストラクション・マネジメント(CM)業務を委託している。

 複数の施設整備を行うが、基本設計は主要な施設を対象に一括で業務委託するもよう。実施設計と施工の一括発注なども視野に入れているが、実施設計以降の発注方式は基本設計と並行して18年度に検討する。

 基本計画によるとバスケットボールコート3面規模のメインアリーナや6000席以上の観客席を備えた多目的アリーナ、カフェやレストランなどが入居するテナント棟を新設する。

 総合運動場陸上競技場は第1種基準を満たすための雨天練習場整備や改修を行い、水泳場は屋外50メートルプールを屋内プールに改修する。各施設間にはペデストリアンデッキを設ける。テニスコートの整備・改修なども行う。

 事業場所は佐賀市日の出の総合運動場エリア約24ヘクタール、総合体育館エリア約3・4ヘクタール。22年度の工事完了を予定している。

【施工は竹中工務店】ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄、18年8月開業へ

 東急不動産とNTT都市開発、オリエンタルランド子会社のミリアルリゾートホテルズは、沖縄県恩納村に建設しているリゾートホテル「ハイアット リージェンシー 瀬良垣アイランド 沖縄」を18年8月に開業する。

 建物規模は総延べ約3・8万平方メートル。建築設計を東急設計コンサルタント・竹中工務店JV、外構設計を石勝エクステリア、施工を竹中工務店が担当している。

 建設地は瀬良垣都田原1108の瀬良垣ビーチ周辺。RC造2、3、7階建ての施設群を建設している。延べ床面積は瀬良垣島内の施設が約3万1400平方メートル、沖縄本島側の施設が約6800平方メートル。客室数は合計約340室。レストラン・バー、スパ、プール、フィットネス施設、宴会場、チャペル「瀬良垣島教会」などを併設する。

 東急不ら3社が共同で設立した「瀬良垣ホテルマネジメント」がホテルの経営に当たる。

【収容1万人規模、20年3月竣工めざす】ぴあ、MMアリーナ新設(横浜市西区)に着手

 ぴあは7日、横浜市西区のみなとみらい(MM)21地区で、大型コンサートアリーナ「(仮称)MMアリーナ計画」の建設工事に着手した。アリーナは延べ約2万平方メートルの規模で、着席時には約1万人の観客を収容する。設計・監理は佐藤工業・とお設計JV、施工は佐藤工業が担当。20年3月末の竣工、開業を目指す。

 同日行われた起工式では、佐藤工業建築事業本部の西尾典浩意匠設計部長と、とお設計の村口玄所長が鎌、ぴあの村上元春取締役が鍬、佐藤工業の川端一知執行役員東京支店長が鋤をそれぞれ入れ、工事の安全を祈願した。

直会でぴあの村上取締役は「着工の日を迎えることをうれしく思う。佐藤工業が保有する知見に助けていただき、これからも助力をお願いする。民間初の1万人を集めるアリーナは、日本のエンターテインメントの未来を変えていくと確信している」とあいさつ。

 佐藤工業の川端支店長は「立地、アクセスも良く、注目度の高いプロジェクト。施工期間中は安全第一に、品質が高く使い勝手の良い建物を工期内に完成させるよう全社一丸となって取り組む」と決意を述べた。

 建設地は横浜市西区みなとみらい3の2の1ほかの38街区。敷地面積は1万2000平方メートル、建築面積は9807平方メートル。建物はRC・S造地下1階地上4階建て延べ2万1793平方メートルの規模。縦長の箱形構造によりアーティストと観客の一体感を重視した造りになるという。音楽コンサートなどのイベントを行うアリーナのほか、飲食店などが入る。民間単独で1万人規模のアリーナ建設と運営を行うのは国内初で、初期投資は約100億円。

【閣議決定は12月22日】17年度補正予算案、公共事業費1・3兆円確保へ

政府・与党が17年度補正予算案を総額2兆7000億円台とすることで調整に入ったことが明らかになった。

 財源として、16年度の国の剰余金などに加え、建設国債を1兆2000億円追加発行する。公共事業関係費は、7月の九州北部豪雨など大規模災害の復旧に加えて防災・減災対策を進めるため1兆3000億円程度となる見通しで、当初7000億円台後半とされた水準から大幅に上積みされる。

22日に18年度予算案と同時に閣議決定し、年明けの通常国会に提出する。安倍晋三首相は補正予算案の編成に当たり、石井啓一国土交通相に災害対応をはじめ追加的財政需要に適正に対処するよう指示した。

 補正予算を巡っては、インフラの整備・維持管理とともに災害復旧を担う地域建設会社を会員に抱える全国建設業協会(全建)をはじめ複数の建設関係団体が早期編成と大型化を要望。工事量の不足を懸念する声は全国から上がっていた。

続きはHP

2017年12月7日木曜日

【学部改革の方針は】インタビュー/東京理科大学理工学部・井手本康学部長


 ◇新たなイノベーション引き出す◇

 東京理科大学理工学部が、創設50周年を機に新しいカリキュラムの導入とキャンパスの再構築を始めた。本年度から学科・専攻をまたいで教員と学生が研究を推進する横断型コースなどの新教育コースを設置。縦割りの大学組織を変え、多様な知識を持った学生を育成する。教育体制に合わせてキャンパスもよりオープンな場所へと作り替え、外部との連携も強化してイノベーションの創出を促す。改革の先頭に立つ井手本康学部長に話を聞いた。

 --今年から理工学部内の連携を強化する取り組みを進めている。

 「今年を今後の50年をどうするかを考えるスタートと位置付け、改革を進めている。理工学部は理学系と工学系の両方を持ち、全10学科・10専攻で幅広い分野をカバーしているのが特徴だ。その特徴をより生かすため、『RESONANCE 共に響き合う理工学部へ』をテーマに、本年度からそれぞれの学科の強みが響き合うようにカリキュラムに新しいコースを創設した」

 「これまでの大学の構造は縦割りで、学生は自分の専門分野を深めていくだけでよかった。しかし、近年では研究を深めていくほど関連する他分野の知識を求められる。例えば、建築であれば火災やそれに対応する不燃材料の知識が欠かせない。従来は研究の中で必要になった時に自力で習得していたが、より効率的に学べるようにカリキュラムに位置付け、即戦力となる人材を社会に送り出していきたい」

 --具体的な取り組みは。

 「4月から学科・研究科内に横断型コースと6年一貫教育コースという新たなコースを設けた。横断型コースは学部4年から修士2年までの3年間が対象。学生は自分の専攻の研究を進めながら、それとは別に関連のある他領域にまたがるテーマを別の専攻の学生や指導教員と一緒に研究する。他領域の先端知識が入ることはもちろん、自分の研究が社会でどう役に立つかを見つめる機会にもなる。異分野の人と関わる機会も増えることから、コミュニケーション能力の向上も期待できる」

 「6年一貫教育コースは大学院に進む学生が多い応用生物科学科と先端化学科を対象にしており、今後は建築学科などでも導入を検討している。文部科学省が工学系の大学で導入を検討している『6年一貫制教育システム』を先取りしたものとなる」

 「通常は学部4年と修士2年で構成されているが、修士課程を学部4年次から実施することで時間的な余裕を作ることができる。学生が短期海外留学やインターンシップに挑戦しやすくする狙いがある。既存の制度の中で両コースを新設できたことも特徴だ。他の大学に先駆けた取り組みだと考えている」

 ◇領域横断の新カリキュラム導入◇

 --建設業界では近年、土木分野を志望する学生の減少が懸念されている。

 「横断型コースのような他学科との連携という切り口が打開の突破口になるのではないか。例えば、横断型コースの中には防災リスク管理というコースがあるが、それだと土木を学んだ学生が建築や化学、経営など幅広い領域について学ぶことができる。土木を基礎にしながらも、研究課程で裾野を広げ、他分野についても幅広く学んでいけるというイメージを打ち出せば、学生も集まりやすくなるはずだ」

 --改革を実現する理工学部の強みとは。

 「理工学部のある野田キャンパス(千葉県野田市)は他のキャンパスに比べて敷地が広く、実験に対する制約が少ないことが特徴だ。そのため、生命医科学研究所や火災科学研究センターなどの研究施設が多い」
 「つくばエクスプレス(TX)によって、国や企業の研究機関が多い筑波研究学園都市と東京都心へのアクセスにも恵まれている。この強みを生かし、理科大の他のキャンパスや研究施設、学外との連携も強化し、融合研究の推進やイノベーションの創出を図りたい」。

 (いでもと・やすし)86年東京理科大学大学院理工学研究科工業化学専攻修士課程修了。富士写真フイルム(現富士フイルム)勤務を経て89年同工業化学科(現・先端化学科)助手、00年同助教授、08年同教授。16年理工学部長、同年理工学研究科長。専門は固体物理化学、電気化学、無機工業化学。東京都葛飾区出身、57歳

 □学科の垣根越え集える場所を□

 「カリキュラムを共通化するのに合わせて、学生が学科の垣根を越えて集える場所を作る必要がある」。井手本学部長は理工学部のある野田キャンパスの再構築の狙いをそう話す。

 来年1月に初弾となる同学部の共通棟「新7号館」の建設に着手し、19年夏の完成を目指す。将来的には老朽化が進む1~6号館の再整備にも取り組みたい考えだ。

 新7号館の規模は6階建て延べ約1万平方メートル程度。設計をエムアーキ(さいたま市)が担当している。キャンパスの中心部にある7号館などを解体・新築する。建物内には喫茶店などの談話スペースのほか、横断型コースや学部のゼミ、会議室などの共通スペースを置く。企業とのプロジェクト研究を行うオフィススペースも配置する。新たなイノベーションの創出を目指し隣接地には学部共通の新実験棟も整備する予定だ。

 並行して新7号館建設地周辺にある中庭も再整備する。現在は段差の多い中庭をフラットな形に作り替えて同館への動線を作り、学生が集まりやすくする。これまで野田キャンパスは、学科が増えるごとに建物を増やしてきた。そのため統一感が薄く、建物も学科ごとに独立していて外部に対して閉じてしまっている点が課題。井手本学部長は「50周年を機に、オープンなキャンパスに作り替えていければ」と話している。

【震災復興の歩み、土木の視点から】復興工事写真展、12月10日まで仙台市で

 三陸沿岸道路をはじめ、東日本大震災の被災地で進んでいる復興工事を迫力ある写真で紹介する展示会「UNDER CONSTRUCTION」(主催・土木学会東北支部、日本建設業連合会東北支部、後援・東北地域づくり協会)が、仙台市青葉区の東北電力グリーンプラザで開かれている。10日まで。

 土木学会東北支部の設立80周年記念行事。被写体となっているのは三陸沿岸道路や東北中央自動車道(相馬福島道路)、国道45号などの大規模土木工事現場だ。

 普段は見られない橋梁の架設やトンネルの掘削作業など、大判サイズにプリントした15点を並べた。東日本大震災での日本建設業連合会東北支部の活動記録もパネルで紹介している。

 開場時間は午前10時~午後6時(最終日は午後4時まで)。入場無料。

【回転窓】街の余白に暮らす猫

トルコ・イスタンブールは猫の街なのだそうだ。ドキュメンタリー映画『猫が教えてくれたこと』に、生き生きとした猫たちの姿が収められている。アジアと欧州の結節点、東西交易の拠点として発展してきた街。船乗りたちと共に各地から猫も集まってきたのだという▼レストランでネズミを退治する猫がいるかと思えば、カフェの客席で餌をねだったり、軒先から魚をくすねたりする猫もいて至って自由。のびのび暮らしている猫を街で見かけると何とも和む。だが、身の回りではそんな光景が減っている気がする▼ペットフード協会の推計によると、日本国内の猫の飼育数は約985万頭(16年10月時点)。ほぼ横ばいで推移し、ペットとしてのニーズは根強いが、室内飼育が圧倒的に多いという。個人の愛玩動物の色合いが強いのだろう▼猫には、街のあちこちの隙間を自由に行き来するイメージがある。イスタンブールも開発が進み、野良猫にとっての居心地は変化しつつあるようだ▼街の余白のような空間は減る方向にある。変わりゆく街の姿をどう見ているのか。猫と会話できる機械が発明されたら聞いてみたい。

2017年12月6日水曜日

【回転窓】人工の「眼」がもたらす世界

人工知能(AI)を巡っては過去に厳しい「冬の時代」があった。第1次ブームは1950年代半ば~60年代、次は80年代に到来。いずれも過度な期待の反動が失望につながったのか、一時的な盛り上がりに終わる▼では、2013年に始まった現在の第3次ブームはこれまでと何が違い、身近な生活や産業界にどのようなインパクトを与えるのか。先週行われた空気調和・衛生工学会の創立100周年記念講演で、AI研究の第一人者である松尾豊東大大学院特任准教授が分かりやすく解説してくれた▼要素技術の開発がブームに関係なく着実に進んできた中でも近年急速な進展を遂げているのが「ディープラーニング(DL=深層学習)」。画像や映像などの解析に有効な技術で、人間が目で見て認識・判断する多くの仕事を自動化できる可能性があるという▼建設や農業などは目で見て判断する作業が多い。こうした分野でもDLとイメージセンサーによって機械やロボットが“眼”を持つことで「できる作業の幅は一気に広がる」と松尾氏▼ブームと捉えず、AIがもたらす世界をしっかり見る目をわれわれも持ちたい。

【インフラ整備の担い手、名を刻む】技術者名記載銘板、南新井前橋線改良工(日輪寺工区)に設置

群馬県は、インフラ整備を担った技術者の名前を記載した銘板を設置する取り組みを開始した。

 初弾は、改良工事を行った「一般県道南新井前橋線(日輪寺工区)」。設計や改良、舗装、安全施設の各工事を手掛けた会社名と技術者名を明記。技術者の意欲向上や社会資本整備の意義のPRなどに役立てる。設計仕様も明記しており、維持管理の面からも有効活用される。

 初弾の銘板には、設計を担当した技研コンサルや、施工を担当した池下工業、泉野建設、塩原建設、品川工業、月白工業、前橋地建、ダイケンテクノ、日装、ヒロタの社名と、管理技術者や主任技術者、監理技術者の名前がそれぞれ記されている。発注機関の前橋土木事務所の名や、延長、設計交通量なども記載している。

 技術者名を記した工事銘板の設置は、大型構造物では例があるものの、小規模の工事では実施されていなかった。県は「こうした工事銘板をできるだけ取り付け、技術者のやりがいを引き出したい」(県土整備部)と話している。

【都市景観に新たな彩り】東京駅丸の内口の駅前広場、12月7日から全面供用開始

 JR東日本が東京駅丸の内口で進めている駅前広場(東京都千代田区、約1.9ヘクタール)の再整備事業が完了し、7日に全面供用を開始する。2012年10月に完成した丸の内駅舎の保存・復元工事に続き、14年8月から駅前広場の整備工事を進めてきた。

 駅前広場の整備に当たり、同社は都と連携し、駅の前面中央部の歩行者空間「丸の内中央広場」、同広場と隣り合う南北に交通広場を配置。中央広場では列植したケヤキ、行幸通りとデザイン的な統一を図った舗装や照明デザインなどを採用した。日本を代表する都市景観を創出して東京周辺の都市観光の一翼を担う。約1200平方メートルの芝生と夏季限定の水深5ミリ程度の浅い池で、夏場の路面温度の上昇も抑制する。

 南北の交通広場には路線バスやタクシーなどの交通結節機能を集約。日本の豊かな四季を彩るサクラやモミジなどの木々を植えたほか、JR総武・横須賀線地下駅の換気塔などの各種施設物をグレー調のカラー仕上げとするなど、周辺の景観に配慮している。

【4~11月で10・1万人が来訪】宮ケ瀬ダム観光放流、見学者が過去最多に

 関東地方整備局が管理する「宮ケ瀬ダム」(相模原市ほか)で実施している観光放流の年間見学者数が、本年度に過去最多となった。

 4月から11月までに10万1100人が訪れており、16年度の約1・3倍に増えている。年間見学者数が10万人を超えたのは初めて。

 同ダムは重力式コンクリートダムで、01年に完成した。観光放流は、高低差約70メートル、放流量毎秒30立方メートルという規模で、毎年4~11月の毎週水曜日など70日間実施されている。都心部から比較的近く、インフラツーリズムの取り組みが積極的に行われている。

【技能教育リポート】LIXILビル建材技術専門校


 ◇組織の枠越え効率よく人材育成◇

 「早く現場に戻り、ここで身に付けた技術を実際に使ってみたい」-。

 次代の建設業を支える確かな腕を持つ職人を体系的に育成しようと、LIXILと、ビルサッシの施工協力会社組織「LBTC協力会」が今年4月に職業訓練校「LIXILビル建材技術専門校」を設立した。

 ビルサッシ、カーテンウオールの施工を教える学校を企業などが自前で立ち上げるのは全国的にも珍しい。設立初年度の後期カリキュラムとなる「専攻コース」の受講生ら12人が11月17日、全ての研修日程を終えた。

 建設業では近年、就業者のうち29歳以下の若年層は1割程度にとどまっており、特に専門工事業では若い職人の確保・育成に頭を悩ませている。そこで両者は、組織の枠を越え効率よく人材育成を進めようと、独自の担い手育成学校を開設した。同校では1級建築施工管理技士などの資格を持つ職員が、入社3年以内の若手らを対象に、業務に必須の知識と技能を教えている。

 ビルサッシとカーテンウオールの施工知識・技能を学べる基礎・専攻の2コースを用意。研修期間は各2カ月で、学科86時間、実技150時間の密度の濃い授業が行われている。5~6月に行われた基礎コースには18人が参加。修了生のうち10人は10月開始の専攻コースに進んだ。

 LIXIL土浦工場(茨城県土浦市)で行われていた専攻コースの実技研修では、受講生らが真剣な表情で図面を読み込み、L字形ファスナーやアルミ方立ての取り付け、溶接作業を行っていた。図面読解から施工までの一連の基礎動作を2カ月間繰り返し、正確さと迅速さに磨きをかける。

 研修では仲間同士で声を掛け合い、安全に作業を進める流儀も徹底して教え込まれる。実技の最後には、時間内にきちんと作業を終えられるかどうか、指導員に厳しくチェックされる。

 統括指導員の北島康雄氏(北島工業)は「先輩の背中を見て覚える昔ながらのやり方では教育に時間がかかる。ここでは短期間に作業のこつをつかめるよう知識と技術を体系的に教えている」と話す。

 同校は今年8月、職業能力開発促進法に基づく「サッシ・カーテンウオール施工科」に認定され、東京都の基準を満たす職業訓練校としてお墨付きを得た。専攻コースの試験をパスし、研修を終えた受講生らは、技術と自信、悩みを分かち合える仲間を獲得し、再び元の所属会社へと帰っていった。

【回転窓】執着を断ち切る

師走に入り今年も残すところ25日余り。公私ともに何かとばたつく時期になった。月日がたつのは本当に早く、ぼやぼやしているとあっという間に年末を迎えてしまう▼この時期は大掃除に精を出す方も多かろう。普段あまり手を付けない場所を整理し、要らない物を処分する。取っておけば使えそうだ、必要になるかもしれないなどと思って捨てるのをやめても、結局は引き出しや押し入れの肥やしになっている物は多い▼フリーマーケットアプリを運用するメルカリの調査によると、昨年の大掃除で処分された物のランキングは1位が洋服、2位が靴、3位が書籍。経済産業省の調査では、2016年の1年間に不要になった製品の推定価値は総額7兆6254億円に達したという▼物への執着を断ち切り、迷ったら捨てていく。少し前にはやった掃除術は、何でも簡単に手に入り、物があふれる時代を的確に捉えた考え方だと感心させられた▼物に限らず当たり前のように思っていた習慣や思考パターンを思い切って捨ててみる。前例への執着をやめれば、高くて厚いと思っていた壁も案外低いと気付けるのかもしれない。

【整備費試算は190億~260億円】広島県ら3者、スタジアム建設構想で3候補地比較検討

 広島県、広島市、広島商工会議所は、サッカースタジアムの建設候補地となっている「広島みなと公園」「旧広島市民球場跡地」「中央公園広場」の比較検討内容を公表した。概算事業費については、中央公園広場が約190億円と最も低くなっている。今後、県民、市民の立場で長期的なまちづくりの観点などから検討を行い、さらに3者で評価。サンフレッチェ広島の意見も聞きながら候補地を絞り込んでいくとしている。

 建設候補地は、広島みなと公園(約10ヘクタール)、旧広島市民球場跡地(約3・9ヘクタール)、中央公園広場(約7・9ヘクタール)。3万人規模、スタジアム標準に準拠、下部構造は杭の長さをみなと公園は38メートル、市民球場跡地と中央公園広場は24メートルで検証-を前提条件に比較検討した。
広島みなと公園での整備イメージ
広島みなと公園は、アクセスの利便性は向上しているが、輸送力に課題があり、一時的な大量の観客の輸送について対策が必要、臨時駐車場の設置が必要となるとともに、渋滞による周辺の物流拠点への影響の抑制が必要。規模に関する要件では、3万人は確保でき、さらに拡張の可能性もあるとした。多機能化・複合化についても、スタンド下の余剰スペースを活用した多機能化が可能とし、敷地内にホテルやMICE(国際的なイベント)施設などの複合施設が設置でき、集客やにぎわいの創出が期待できる。
旧広島市民球場跡地での整備イメージ
旧市民球場跡地は、市内どこからでも行きやすく、多量の輸送にも対応できる。しかし3万人規模を確保するには7・3メートルの掘り込みをしなければならず追加費用が必要となる。多機能化・複合開発では、スタンド下の余剰スペースが十分確保できないため多機能化は制限される。また敷地が狭く複合開発は不可能とした。
中央公園広場での整備イメージ
中央公園広場は、アクセスも良く敷地に制約がないため、3万人規模は確保できる。しかし北側の住宅に対する日影規制への適合が必要となる。多機能化・複合開発については、スタンド下の余剰スペースを活用した多機能化が可能で、広場の魅力を向上するための整備等を行うことで、サッカー以外でのにぎわいの創出が期待できる。

 概算事業費は、広島みなと公園が約192億円(スタジアム本体約180億円、歩道橋等整備約12億円)、旧市民球場跡地が約260億円(本体約160億9000万円、掘り込み関連費用約99億4000万円)、中央公園広場が約190億円(本体約172億円、歩道橋等整備約12億円、広場の再整備等に必要な経費数億円程度)と試算した。

2017年12月5日火曜日

【回転窓】執着を断ち切る

 師走に入り今年も残すところ25日余り。公私ともに何かとばたつく時期になった。月日がたつのは本当に早く、ぼやぼやしているとあっという間に年末を迎えてしまう▼この時期は大掃除に精を出す方も多かろう。普段あまり手を付けない場所を整理し、要らない物を処分する。取っておけば使えそうだ、必要になるかもしれないなどと思って捨てるのをやめても、結局は引き出しや押し入れの肥やしになっている物は多い▼フリーマーケットアプリを運用するメルカリの調査によると、昨年の大掃除で処分された物のランキングは1位が洋服、2位が靴、3位が書籍。経済産業省の調査では、2016年の1年間に不要になった製品の推定価値は総額7兆6254億円に達したという▼物への執着を断ち切り、迷ったら捨てていく。少し前にはやった掃除術は、何でも簡単に手に入り、物があふれる時代を的確に捉えた考え方だと感心させられた▼物に限らず当たり前のように思っていた習慣や思考パターンを思い切って捨ててみる。前例への執着をやめれば、高くて厚いと思っていた壁も案外低いと気付けるのかもしれない。

2017年12月4日月曜日

【持続可能社会の構築を意識】東京都、再生骨材コンクリを五輪会場整備に活用

 東京都は2020年東京五輪の競技会場整備で再生骨材を混ぜたコンクリートを活用する。

 本体工事を施工中の海の森水上競技場、カヌー・スラローム会場などには既に導入実績があり、今後は有明アリーナやオリンピックアクアティクスセンターなどに活用を広げる。事業費の圧縮に注目が集まりがちな会場整備だが、建設リサイクルの推進で、社会の持続可能性を意識したモデル事業としての意義を持たせる。

 解体した建築物などから出るコンクリート塊をリサイクルして製造する再生骨材コンクリートには、品質の高さに応じ、H(高)、M(中)、L(底)の3種類の日本工業規格(JIS)がある。都財務局の担当者は、「財務局所管のすべての施設で再生骨材コンクリートを使用する方針だ。設計段階から検討を進めていた」と話す。

 同局が新設・改修によって整備する恒久の競技会場は▽有明アリーナ(江東区)▽オリンピックアクアティクスセンター(同)▽有明テニスの森(同)▽大井ホッケー競技場(品川区ほか)-の4会場。
オリンピックアクアティクスセンター㊤と有明アリーナの完成イメージ
(2015年10月時点、ⓒ 東京都)
 有明アリーナは杭工事が終わり、現在は地下躯体を施工中だ。18年度は建屋の鉄骨工事を進める。アクアティクスセンターは、大屋根を支える4本の鉄骨(コア柱)の整備が始まった。両施設とも、来年度にはおおよその建屋の形が見えてくる。
有明テニスの森の改修後イメージ
(ⓒ 東京都)
 有明テニスの森は11月15日、仮囲いの設置工事などに着手。本年度は既存コロシアム改修のための事前調査、クラブハウスなどの解体も進める。未着工の大井ホッケー競技場は、12月の定例都議会で施工者との契約締結が承認されれば早期に着工する。担当者は「生コンの製造プラントの供給量、工事現場との位置関係などを考慮し、再生骨材コンクリートのLを各施設の捨てコンクリート工で使用する」という。
カヌースラローム会場の完成イメージ
(2016年5月時点、ⓒ 東京都)
 アウトドアスポーツの会場の中では、港湾局が東京臨海部に整備する海の森水上競技場の工事が先行している。再生骨材コンクリートは、水上のコースレーン脇に設ける自転車走行路(約2・3キロ)で活用した。来年には艇庫棟、グランドスタンド棟、フィニッシュタワーといった建屋(総延べ8069平方メートル)の建設に入る。担当者は「建屋のならしコンクリート工で再生骨材コンクリートのHを使う」との方針を示す。

 建設局所管のカヌー・スラローム会場(江戸川区)は、スタートプールの杭打ち、ウオーミングアップコースの構築などが進み、年度末には管理棟整備の施工者とも契約を結ぶ。再生骨材コンクリートは、ならしコンクリート工でL、基礎関係でHの計5400立方メートルを使用済みだ。管理棟への導入は今後検討する。
大井ホッケー競技場・メインスタンドの完成イメージ
(2016年6月時点、ⓒ 東京都)
 五輪の会場整備に限らず、再生骨材コンクリートの今後の活用には、骨材や生コンの製造業者らの期待も高まっている。18年初めにもH、M、LすべてのJISが改正されるからだ。

 骨材や生コンの製造業者などで組織する再生骨材コンクリート普及連絡協議会(ACRAC、柴谷啓一会長)によると、来年の改正で、再生骨材のアルカリシリカ反応の調査手法、生コンの流動性(スランプ値)の検査頻度、混合骨材の扱い、M・Lを製造できる生コン工場の条件などが変わり、業者側には使い勝手の良い仕組みになるという。柴谷会長は11月29日に東京・麹町で開いた講習会で、「JISの改正により、さまざまな形・方面で再生骨材コンクリートを普及できる機会が得られる」と期待を示した。

 老朽化した都市機能の更新を円滑に進めるためにも、建設リサイクルの推進は待ったなしの課題。五輪を契機とした発注者の独自の取り組みや、制度改正などがどのような相乗効果を生むのか、今後の動向が注目される。

【回転窓】新しい勝負服に期待

「サムライブルー」の愛称でおなじみのサッカー男子日本代表が2018年ロシアワールドカップ(W杯)で対戦する国が決まった。いずれも強豪国ながら、初のベスト8を目指し、予選を突破してほしい▼代表選手がW杯で着る新しいユニフォームは、戦いに挑む武将が鎧(よろい)の下に好んで着た「勝ち色」とされる深い藍がコンセプト。国民の期待を背負って勝負服をまとう侍の鬼気迫る戦いに期待したい▼美容・ファッション・デザインの専門学校「東京モード学園」の生徒に建設作業着を考案してもらう取り組みを全国建設業協同組合連合会(青柳剛会長)が進めている。「おしゃれな作業着があれば一層楽しく働けそう」と青柳会長▼「デザインは人の心を豊かにする。プラスアルファの効果もある」と語る同校の市川恵己担当教諭の下、デザインにこだわりを持つ生徒が考案したのは497作品。先に最優秀賞が決定し、男女それぞれ3作品が仕立てられる▼「わくわくする作業着」(青柳会長)のお披露目は18年2月。現場で活躍する技術者や職人の新しい「勝負服」が、建設業の内外にもたらす効果に注目してみよう。

【陸上競技場など3施設、PFI導入検討も】26年宮崎国体主要3施設基本計画策定業務、パシコンに

宮崎県は、26年に開催予定の2巡目国体に向け整備を計画している新たな陸上競技場、体育館、プールの規模や配置などを具体化し、PFI導入可能性調査を行う「宮崎県有主要体育施設整備に係る基本計画策定業務」の公募型プロポーザルで3者を審査し、最優秀提案者にパシフィックコンサルタンツを選定した。近く随意契約を結び業務委託する。

 業務内容は施設の基本計画や配置計画、整備スケジュールなどの検討、概算事業費の算出、PFI導入可能性調査など。PFI導入可能性調査は陸上競技場とプールを対象に行う。委託期間は18年7月31日まで。

 整備方針によると陸上競技場は都城市の山之口運動公園内に整備し主競技場の観客席は1万5000~2万人規模、概算整備費は200億円程度を見込む。延岡市の市民体育館敷地に計画する体育館は概算整備費85億円程度、プールは宮崎市内の県有地に整備を想定している。