2017年6月23日金曜日

【回転窓】インフラに責任を持つ

本紙の連載や最終面に掲載される記事には、取材・執筆に当たった記者の個人名が明記されることが多い。読者の中には、それを覚えていて下さり、取材先で名刺交換した際、「あの記事を書かれた方でしたか」などと言っていただけることがある▼署名入りの記事は、取材する記者のモチベーション向上という意味合いに加え、記事に対する責任を記者として強く意識することにもつながる。一度、新聞に名前が載れば、インターネット上で拡散するなど思わぬ広がりを見せることもあり、それだけに緊張感も増す▼建設工事でも、構造物に設置した銘板に施工者や担当した技術者の氏名が記されることがある。今、こうした取り組みを広げ、工事に携わる人たちの誇りややる気を醸成していこうという動きがある▼銘板に会社名や自分の名前が残れば、支えてくれる家族に「これがお父さんの仕事だ」と誇りを持って話すこともできる。建設産業の将来を担う若者の目標にもなろう▼同時にインフラを「誰がつくったか」が明らかになる。維持管理段階に入ったインフラに建設業界が「責任を持つ」と宣言することでもある。

【環2は地上ルートで暫定開通へ】東京都、豊洲移転・築地再開発の課題整理

 東京都は22日、築地中央卸売市場(中央区)の豊洲新市場(江東区)への移転に向けた課題を整理する関係局長会議を庁内で開いた。

 本線トンネルの一部が築地市場用地を経由する計画となっている都道環状2号については、トンネルの代わりに地上部道路を整備し、2020年東京五輪までの暫定開通を目指す方針を確認した。

 豊洲市場の地下ピット(地下空間)に講じる安全対策では、専門家会議が示した第2案(換気による水銀などガス濃度の上昇防止、コンクリートによる水銀などガスの侵入低減)を基本とする。

 小池百合子知事は「ここからがスタート。各局が連携し、スピード感を持ってしっかりとした体制をつくる。責任を明確にしながら横の連携を強化してもらいたい」と呼び掛けた。

 村松明典中央卸売市場長は、「専門家会議で示された各種追加対策工事の内容を早急に精査し、発注手続きに入る。地下ピットの対策では工期・工事費の面で優れる第2案(契約・工事期間8カ月、工事費15億~20億円)を基本に年度内の完了を目指す」と明言した。

 さらに「環境アセスメントの手続きでも環境局との調整の上、速やかに変更届を提出する。農林水産相の認可手続きに向けた調整も進める。同時に施設の使い勝手の向上策も講じる」と強調した。

 村松市場長は、豊洲市場周辺地区のにぎわい創出も重要な課題だと指摘。市場隣接地での整備を計画している大型商業施設「千客万来施設」の設置に向け、「事業者(万葉倶楽部を代表とするグループ)との調整を進める。江東区とも協力し、公園の活用などによるにぎわいづくりでさまざま検討を行う」との方針も示した。

 西倉鉄也建設局長は、東京臨海部と都心部を結ぶ環2の整備目標などを説明。「地上部道路による五輪までの開通に向け、関係各局・関係機関との調整に努める。市場の移転時期、築地再開発などの状況を踏まえ、整備方法を検討する」との見通しを示した。

 西倉局長は、築地に近い浜離宮恩賜庭園の活用についても触れ、「立地特性を踏まえ、築地のブランド力との相乗効果が発揮できるよう各局と連携し、さらなる魅力向上に取り組む」と述べた。

【池原義郎氏を悼む】本紙企画シリーズ「再生への実践シナリオ」語録から

 5月20日に89歳で死去した建築家の池原義郎氏(早稲田大学名誉教授、日本芸術院会員)。芸術性あふれる多くの作品を創造するとともに、早大で長年にわたり次代の建築界を担う人材の教育・育成に力を注いできた。

 都市やまちづくりへの見識も深く、日刊建設工業新聞の創刊80周年を記念した企画シリーズ「再生への実践シナリオ」(2008~09年)では、各界の識者4人と21世紀に目指すべき都市像などについて対談してもらった。本紙に掲載した単独インタビューも含むシリーズ記事の中から、改めて“池原語録”をたどる。

 □もっと柔らかい発想でまちづくりを進めていかなければならない□

 「私は子供のころ、東京の渋谷で育った。当時、子供が歩ける範囲は世田谷の辺りまでで、その範囲で東京を感じていた。遠くから『ボーッ』という音が聞こえた。驚いておやじに尋ねると、品川や芝浦のあたりの港に停泊している船の汽笛だという。谷や坂しか見えない渋谷で、音のするかなたに海を想像したものだ。昼間は視覚の世界であったが、夜になると聴覚の世界となった。山手線の電車が近づいてくる音や駅員の放送で昼間と違う広がりの空間を感じることが出来たし、げたの音で人の動きも想像された。初めて円山町花街の芸者さんとすれ違った時は、化粧のにおいでその界隈を想像し、百軒店の路地を歩けば、その近代的な盛り場を感じることができた。

 今の都市空間には、そうした直接の感触でとらえる要素がなくなってしまった。昔は日常生活の中に時間軸や季節軸があった。今の時代はもっと拡大した感覚軸があるのかもしれないが、個体直接のものから遠く、隔たりを感じてしまう」

 「『汎東京湾都市』を実現させるために、東京湾岸の都県の区分けを超えた特別な行政区の拠点をつくり、各自治体の連携した都市運営を行うことはできないだろうか」

 「これまでの都市計画では、用途や機能ごとに土地の利用の仕方を分類し配置する『ゾーニング計画』の手法が原則であった。その結果、都市が機能分化してしまい、さまざまな問題や歪(ひず)みを生んでしまった。これからは、もっと柔らかい発想でまちづくりを進めていかなければならない。さまざまな種類の人々が集まり、生き生きとした創意によって市民のための生活空間を作ることが重要である」。

 (2008年1月7日付、シリーズ企画第1弾のインタビューで)

 □これまで日本人が歴史の中で脈々と蓄積してきた感覚を再認識するべきだと思うのです□

 「もともと日本人はいい感覚を持っていました。直感力と言った方がいいかもしれない。江戸時代には家康という巨人がいて、すごく大きな地図をつくりました。城の近くの高台を武士の居留地として押さえ、低地に町人が暮らす街をつくりました。ところが、江戸の下町の人たちは非常に賢くて、与えられた状況の中で、したたかに生き抜いていくわけです。家康のつくった空間図式の中で自分たちの楽しみの場所をつくっていった。そういう天才的な才能を持っていたのです。

 いま、世の中はおカネの時代になって、おカネが全部の筋書きをつくって、それだけで終わっている。もう一度ここで反省し、いまのおカネで動いている姿の皮を一枚剥いでみる。そうして、これまで日本人が歴史の中で脈々と蓄積してきた感覚を再認識すべきだと思うのです。

 東京湾に森の島をつくり、軸をつくると言っても、その軸は非常に日本的で精神的なものです。ベルリンの街の中心部を貫くウンター・デン・リンデン・シュトラッセみたいな軸はない。何が軸になっているかというと、認識です。心の軸と言ってもいいかもしれません。森の島があって、それからお台場があって、東京タワーがあり、皇居がある。反対側は木更津や房総半島に延びていきます。東京に住んでいる人は頭に地図を持っていますから、それぞれ頭の中にそれぞれの心の軸を設定できる。それが本当の豊かさにつながっていくのではないかと思います」

 (2008年3月25日付、建築家・安藤忠雄氏との対談で)

 □親水性の護岸にすれば、豊かな楽しい水のまちづくりができるのではないかと話をしました□

「私は旧制中学時代に戦争の時を過ごし、学徒動員で汐留の貨物駅で荷物の運搬荷役をし、下町の市民街と水辺に開く工場地帯を走りまわっていました。いま、隅田川沿いの工場跡地の再開発事業などを見ておりますと、『ああ、ここまできたか』という感があります」

 「私は子どもの頃、よく市電に乗りました。当時7銭払えばどこまでも乗れるので、更にバスに乗りかえながら小松川橋を渡って浦安の方まで行ったことがあります。そのときに、錦糸町を越えるとまさに水の街で一面が田んぼでした。年に数回、増水して水びたしになるので、外壁が1メートルぐらいのところまで色が変わっている。住民は出水にもう慣れているのですね。そのくらい水と一緒に生活をしていた。でも最近は都市に洪水があると困るというのでカミソリ護岸になっていますね。そのせいで、今では水が風景には見えなくなってしまいました」

 「この前、都市環境が専門の尾島俊雄さんと対談をした時に、尾島さんはこの地域周辺を元の水の街に戻すべきだと言っておられました。比較的簡単な技術で水位を一定に保つことができるそうです。よく考えてみれば、オランダでは、昔から風車と水門という、素朴な技術で水位の調節を行っていますよね。そうして親水性の護岸にすれば、江戸時代にあった水際の風景を取り戻すことができますし、下町の豊かな楽しい水の街づくりができるのではないかと二人で話をしました。今の東京は膨大な人口を抱え込んではいますが、そういうようなことをもう一度考え直していけば、まだまだ良い街になるはずです」

 (2008年6月27日付、小野邦久都市再生機構理事長〈当時〉との対談で)

 □臨海部の豊洲やお台場…以前、この地区を地下鉄でつないではどうかと提案したことがあります□

 「都市環境を考えるとき、地下の空間は非常に重要であります。東京の地図を見ると、臨海部の豊洲やお台場のあたりは地上の橋でつながっていますが、地下ではほとんどつながっていません。以前、この地区を地下鉄でつないではどうかと提案したことがあります。

 2016年のオリンピック招致に伴い、晴海のメーン会場、有明の選手村が計画されるならば、現在のゆりかもめや車での交通アクセスでは容量不足ですし、豊洲新市場を中心としたこれから開発されるエリアへの十分な集客力を生み出すためにも新たなマストラが必要です。さらに、勝ちどき駅や豊洲駅は、周辺の業務施設等の建設に伴い、朝の通勤ラッシュでホームがあふれ、対策が急務となっています。この新たな1本の地下鉄は『都市の地下茎』ともいえる生命ラインとなり、地上の新しい都市の発芽を促すものとなるではないかと考え、提案しました」

 「日本の地下鉄の地下道の空間は地上との関係が切れてしまっていて、人通りが少ないと怖い道ですね。残念ですが新しい都市をつくる、あるいは新しく都市を再生していくのだという視点はほとんど感じられません。最初にイメージも何もなく、ゾーニング計画から入っていきます。何をもってゾーニングしているのかというと、やっぱり目先のそろばんですよ」

 「東京湾に浮かぶ人工の島を『海の森』にしようという計画があります。…例えばの話ですが、霞が関の首都機能をこの島に移し、その跡地を緑にしていけば、都心部で緑がつながっていきますよね」

 (2008年5月28日付、尾島俊雄早大名誉教授との対談で)

 □持続するものというのはやはり、心なのだということになる□

 「われわれ建築家の大先輩、村野藤吾がこんな言葉を残しています。『建築のディテールで大切なものとして私がいつも心がけている点は、触りとかタッチとかというところを気にするのです』。目ではなく、手で触るということを大切にしていたのです。

 同じ建築家の白井晟一さんは『掌は人間の身体のうちで心を許される唯一の部分である』と言っている。やっぱり目は出てこないのですね。掌なのです。手は非常に生命的なもの、そこに通い合うものを感じるのですね」

 「…とかく造形や表現の世界では目が主役になっていく。視覚ですね。視覚というのはとかく論理的なものを見るのには長(た)けているけれど、その奥に柔らかく沈んでいるものは見えない。奥のものを見るには体や手が必要です。そういう意味で、……持続するものというのはやはり心なのだということになる。

 いま東京はどんどん開発が進められています。それも、経済の論理に従ってどんどん変わっていく。そこが何であったかという事実は、何も頭の中に記述されていない。超高層マンション群や事務所群は、せいぜい持続しても30年ほどでしょう。経済の形態ががらりと変わっていく。以前は人々が都市の外へと逃げていって、どうやって引き寄せるかというのが問題であったのに、あっという間に集まって、ビルやマンションが雨後のたけのこのように成長してきますよね。

 たしかに『持続性』という言葉は盛んに今使われている。その持続性ということは何かというと、結局は物理的な環境でのことに止まっている。だから空気は汚してはいけない、大気の温度は何とかしなければいけない、それからエネルギーはもっと軽減しなければならない、水もみんなそうだということになる。それらを都市がもういっぺん考え直さなければいけないのです。だけど、市民としての心が消えてしまっている。いま、本当に持続性のある都市になり得るのかどうかと考えてしまいます」

 (2009年10月14日付、彫刻家・安田侃氏との対談で)

 ◇偲ぶ会、6月27日に早大大隈講堂で◇

 日本芸術院会員池原義郎名誉教授を偲(しの)ぶ会(代表・中川武早大名誉教授)が27日午後1時、東京都新宿区戸塚町1の104の早大大隈講堂大講堂で開かれる。連絡先は建築学科連絡事務室(電話03・5286・3008)。

【積女ASSALだより】ヤマウラ・吉村保奈美さん


 ◇交流会はパワーもらえる場所◇

 ヤマウラは長野県のゼネコンで、2020年には創業100年を迎えます。4月で入社3年目となり、積算チームで商品住宅の見積作成や積算事務所から納品されたデータのチェック業務などを行っています。

 文系出身だったため、入社した時は建築の知識は全く無く、ゼロからのスタートでした。まだまだわからないことが多いですが、日々の業務の中で先輩方にアドバイスを受けたり、建設現場への視察で分かることが増えてきたりして、楽しく仕事をしています。

 一昨年から参加している積女の交流会は、同業の女性たちの仕事に対する熱意に触れられ、パワーをもらえる場所です。これからもASSALを通じてたくさんの「積女」に出会えることを楽しみにしています。

 (よしむら・ほなみ)

 次回は日本設計の鈴木由香さんを紹介します。

2017年6月22日木曜日

【暑さ本番へ準備】六本木ヒルズ(東京都港区)でドライミスト運転開始

 森ビルは、20日に六本木ヒルズ(東京都港区)の広場「66プラザ」で省エネルギー型外気冷却システム「ドライミスト」の運転を開始した。

 来街者の快適性向上と省エネルギーの推進が目的。06年から実施している取り組みで、今年は装置を増設し、噴霧面積を従来の180平方メートルから4倍の720平方メートルに拡大した。

 増設工事は東京都が実施する「クールスポット創出支援事業」の対象事業に認定された。民間企業の取り組みが同事業の対象となるのは珍しいという。

 ドライシステムは、樹木の蒸散によって周囲の気温が下がる原理を応用。噴霧した超微細な水滴が気化する際に周囲の熱を奪うことで気温を低下させる。気温など一定の条件が満たされた場合、自動制御で運転を開始・停止する。

 噴霧の開始条件は、気温が27・5度以上で、湿度が70%未満、風速が秒速4メートル未満など。停止条件は、気温が25・5度以下で湿度が75%以上、風速が秒速4メートル以上の場合。降雨時は開始条件を満たしていても、作動しない。

 森ビルによると、ドライシステムによって、噴霧したエリアで気温が約2~3度低下するなどの効果が得られるという。消費電力量はエアコンの約25分の1で、環境負荷の低減にも一役買う。噴霧時間は午後6時半まで。今年は9月末まで運転する見通しだが、気候の状況などによって変更する場合がある。

【19年春開業めざす】横浜市、新港・大黒ふ頭のクルーズ船受入機能強化

大黒ふ頭地区大型テントの完成イメージ
横浜市港湾局は20日、中区の「新港ふ頭地区」と鶴見区の「大黒ふ頭地区」の2カ所の整備事業が、国土交通省の「国際クルーズ旅客受入機能高度化事業」の17年度第1回募集で採択されたと発表した。新港ふ頭はボーディングブリッジ、大黒ふ頭は大型テントと駐車場を整備する計画。2施設とも19年春の開業を予定している。

 訪日クルーズ旅客数500万人の実現を目指す国交省が、17年度にスタートさせた補助事業。クルーズ旅客の利便性・安全性の確保を図る目的で、移動式ボーディングブリッジや屋根付き通路、荷物搬送機器、旅客上屋などの改修、バス・タクシーの駐車場整備などに要する経費を補助する。地方自治体や民間事業者が対象で、今回は全国で24港29地区の事業が採択された。国費の合計は8億7100万円。

 事業計画によると、新港ふ頭に整備するボーディングブリッジの事業費は5000万円で、うち国費は1666万6000円。大黒ふ頭にはCIQ(税関、出入国管理、検疫)施設となる大型テントと駐車場を整備する計画で事業費は4億6250万円。うち国費は1億5416万4000円となる。

【回転窓】マンホールカードから広がる世界

「マンホールカード」をご存じだろうか。ちょっとしたブームになりつつあるのだ▼全国至る所にあるマンホールだが、ふたのデザインは場所によってさまざま。岡山市では桃太郎、広島市なら野球の広島カープと地域色を生かしたものも多く、それをカードに印刷している。これまで170種類が作られ、現地に行かないと手に入らない。マンホール愛好家「マンホーラー」が各地を回って集めている▼栃木県足利市では史跡足利学校を描いたカードなど2種類を配布している。昨年8月に計1200枚を用意したが、今月16日に在庫が切れた。「あまりの勢いで無くなったので驚いた。遠くからも来てくれて喜んでいる」と市の担当者▼今月28日には栃木県でマンホールカードを集めて回るバスツアーが催される。主催する平成エンタープライズ(埼玉県富士見市)は、カレンダーの一番下、月最後の水曜日を「下水」と見立て、毎月実施していくという▼地下に広がる下水の世界。一般市民の理解を深めるのはなかなか難しい。マンホールを入り口に関心を高め、支える人や技術も知ってもらう。そんな展開を期待したい。

【張り替え予定は2018年6月】日産スタジアム、ピッチ全面にハイブリッド芝導入へ

横浜市は、港北区小机町にある横浜国際総合競技場(日産スタジアム)のピッチを全面ハイブリッド化する。国内で導入事例が少なく、維持管理手法を含め日産スタジアムに適した技術を確立する必要があるため、約1年間をかけて「フィールド芝開発・育成事業」を実施する。

 19日付で委託先を決めるための公募型プロポーザルを公告した。2019年に開催されるラグビーワールドカップ日本大会で最大10試合程度が行われることを想定し、良好なピッチが維持できるハイブリッド芝の仕様と育成方法を18年夏までに確立する。

 市は、せん断抵抗力や表面硬度、衝撃吸収力、ボールの転がりなどでラグビーやサッカーの競技に適した水準を確保した上で、Jリーグが規定する芝生補強材を使うハイブリッド芝の導入を想定している。芝苗の確保・育成面積は日産スタジアムのピッチ全面(約7700㎡)と新横浜公園内ほ場(1000㎡)の合計8700㎡。委託先と契約後、7月~来年6月を育苗期間とし、来年6月にほ場からの切り出し・運搬作業を実施する。芝の張り替えは来年6月を予定しているが、張り替え後のピッチでは芝の育成と並行してJリーグの試合やラグビーワールドカップの1年前イベントなど、複数の試合・イベントが実施される。2020年オリンピックのサッカー競技会場にも決まっていることから、張り替え後から2020年にかけては日常の維持管理作業を通じて、良好なピッチ状態に保ち続けることが必須条件となる。
2018年6月にはピッチ全面がハイブリッド化される
(写真はⓒ tokyo2020)
ハイブリッド芝の開発・育成事業の履行期間は契約日~2018年3月31日を2017年度分、2018年4月1日~7月15日を2018年度分とする。概算事業費は2億3000万円と試算している。横浜市によると、ラグビーワールドカップの開催に当たり、国際競技団体や大会組織委員会から、多数の試合が予想される日産スタジアムのピッチ状態を良好に保つため、総天然芝に比べ耐久性が高いハイブリッド芝を使用するよう要請を受けていたという。

 ハイブリッド芝は、東京都調布市にある東京スタジアム(味の素スタジアム)や神戸市兵庫区にある御崎公園球技場(ノエビアスタジアム神戸)などで導入検討が進む。都は3月に「東京スタジアムのフィールド芝導入実験業務」をオフィスショウ(東京都渋谷区)に委託。神戸市は17年度予算に芝をハイブリッド化するための工事費2億2000万円を計上、12月ころの着工を計画している。

2017年6月21日水曜日

【建設機械、おっきいなぁ~】常陽建設、園児ら招いて現場見学会

 常陽建設(茨城県取手市、飯田憲一社長)が、土木工事の現場に園児を招き見学会を開いた。園児が訪れたのは茨城県下妻市で施工中の「H28鎌庭管内土砂改良工事」。建設産業に親しみを持ってもらい、仕事の魅力を身近で感じてもらうことが狙い。石下保育園・幼稚園の園児67人などが参加した。

 園児らはまず、万能土質改良機による土砂改良の様子を見学。その後、バックホウや重ダンプ、高所作業車の試乗体験などを楽しんだ。参加した園児は「大きなダンプカーの荷台が上げ下げする様子が面白かった」と感想を話した。

 工事場所は中居指。工事は関東地方整備局下館河川事務所が発注した。工事は、15年9月の関東・東北豪雨の水害を教訓に同局が進める「鬼怒川緊急対策プロジェクト」に位置付けられており、改良された土砂は堤防の材料として使われる。工期は9月29日まで。

 同社の品村正人現場代理人は「園児たちが喜んでくれてよかった。今回の体験が建設業に対する良い印象につながってもらえれば」と話した。

【回転窓】学生の自主運営イベント

学生時代に打ちこんだことの思い出は、どんなに年数を経ようとも色あせることがない。このイベントを企画・開催している学生たちもきっと同じであろう▼千葉県北西部を流れる利根運河の水辺公園を会場に2012年から毎年開かれているのが「利根運河シアターナイト」。運河沿いにキャンパスを構える東京理科大理工学部の建築学科に通う学生たちが、地域の人たちと触れ合う場を創造しようと始めたイベントである▼昨年は「夢境(ゆめざかい)」をテーマに掲げ、8月末に学生がプロデュースした朝市や、制作したアート作品の展示、映画上映などが行われた。夜には500個の灯籠も流して水と光の幻想的な空間が演出され、地域住民と共に一夜限りの野外イベントを楽しんだ▼企画はもちろん、費用の工面や出店者との折衝なども含めすべて学生の自主運営。その企画力と行動力には頭が下がる。今でこそ全国の大学が地域との交流促進に積極的だが、こうした学生が主体の取り組みには、地域住民も共感を覚えるに違いない▼東京理科大理工学部が創設50周年を迎える今年のイベントは9月23日に開催される。

【動画配信など積極展開】建設関連各社、広報活動で新機軸

 建設関連各社が広報活動で新たな取り組みを展開している。インターネットの動画投稿サイト・ユーチューブを活用し、「食べられる建物」の建設プロジェクトを再現したドラマや、タレントを起用したダンスの動画を公開するなど、建設業になじみのない若い世代にイメージの刷新をアピールしている。

 戸田建設は4月、同社のPR動画「世にもおかしな建築物PROJECT」をユーチューブで公開した。動画は、建設会社に勤める2児の父・山本が子どもから「食べられる建物」を作ってほしいとせがまれるところから始まる。山本は仲間を説得し、お菓子を材料に建物を造るプロジェクトが始動。実際の建設プロセスを忠実にたどり、食べられる建物を実現していく。

 建物のデザインコンセプトにある秘密が隠されており、最後のシーンで明らかになる。時間は約4分。出演者は全員、同社の社員で現実の役職に応じた役回りを演じている。施工は東京製菓学校でお菓子作りのプロの指導を受けて行ったという。

 動画制作を手掛けた価値創造戦略ユニットの担当者は、「当社のイメージを刷新し、『真面目』『堅実』の中にも遊び心があり、個性にあふれた集団であることをアピールしたい。建設業になじみのない若い世代のイメージ刷新にもつなげたい」としている。

 東急建設は、建設業の社会的な役割や使命などをPRする動画を制作し、6月に同社のウェブサイトやユーチューブで公開した。若手社員による企画で、よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のダンスユニット「エグスプロージョン」が出演。同社と協力会社の社員と共に、人々の生活を守る建設業の魅力を歌とダンスで表現している。

 動画のテーマは「建設業の変」。「指差呼称」など安全を重視する現場の姿、中高年男性が多い業界イメージの中でも若い男性や女性も働いているといった建設業の実情を身近に感じてもらえるよう、切れのあるダンスとユニークな歌詞となっている。

 ◇HPリニューアルで情報発信力強化◇ 

 本年度に入り、ホームページを拡充している企業も目立つ。近年の就職活動はインターネットが主要なツール。学生との最初の窓口となるのが企業のホームページで、各社とも工夫を凝らしている。

世紀東急工業は、ホームページを全面的にリニューアルした。トップページのデザインや構成、各ページを全面的に刷新し、使いやすさを大幅に向上させた。

 採用サイトも刷新。先輩のメッセージや仕事内容、教育・研修制度などを詳しく紹介し、入社後の姿を想像しやすいようにした。

 丹下都市建築設計もホームページをリニューアル。丹下健三時代から現在までの国内外の作品の紹介にとどまらず、完成に至るまでのストーリーや建築設計、都市設計に懸ける思いを掲載している。

三菱地所設計は、歴史的建造物を活用・継承する再開発プロジェクトの経験を通して確立した設計手法を「歴史的建造物の継承設計」と定義し、ホームページで公開した。

 同社は明治以降に建てられた建造物の活用・継承を伴う再開発プロジェクトなどを20件以上手掛けている。設計ノウハウを紹介し、各地に残る歴史的建造物の保存・活用・継承を促すことで、次世代に地域の歴史と文化を伝えていく。

【初弾は24港29地区】国交省、外航クルーズ船受け入れで拠点設備投資補助

国土交通省は20日、外航クルーズ船の受け入れに必要な港湾の設備投資費用を補助する「国際クルーズ旅客受入機能高度化事業」の初弾として、24港29地区の事業を採択した。

 地方自治体や民間事業者が取り組む旅客ターミナルの設備改修や屋根付き通路の新設、既設の老朽倉庫や危険物取り扱い施設の撤去・移設などにかかる費用の3分の1を補助する。

 国交省は17年度予算で創設した補助事業の経費に国費10億円を計上。今回の初弾では24港29地区の事業に国費約8.7億円(事業費約26億円)を充てる。時期は未定だが、17年度に残りの予算の範囲内で2回目の募集も行う予定だ。

 外航クルーズ船の受け入れ拠点整備は政府の成長戦略として推進中。クルーズ船で来日する年間の外国人旅行者数を20年に過去最高だった16年(約199万人)の2.5倍となる500万人にまで増やす目標を掲げる。今回の補助事業は具体策の一つ。その初弾として選定した24港29地区の事業の概要は同省のホームページで公開している。

 先の通常国会で成立した改正港湾法では、外航クルーズ船の受け入れ拠点整備を官民連携で加速させる制度も創設した。地方自治体などの港湾管理者がクルーズ船会社に岸壁の優先使用権を与える代わりに旅客ターミナルを整備してもらうスキームを導入した。

【こちら人事部】戸田建設/「人」が決め手で志望増加

富士教育訓練センターで行った実地研修の様子
1881年創業で、4年後の2021年に140周年を迎える戸田建設。3月の機構改革で本社に「戦略事業推進室」を新設し、建設事業に加え、投資開発事業、洋上風力発電など新事業のほか、グループ事業を一段と加速させている。

 同社のブランドメッセージは「人がつくる。人でつくる。」。山田武史人事部人事1課課長は「機械化が進み、生産性が上がっても、建物や構造物は作業所に関わる多くの関係者が協力し、『人』の手によって造られている。メッセージにはそうした思いが込められている」という。

 新卒採用で求めるのは、「ものづくりを楽しめる人材」であり、同社グループのグローバルビジョン「“喜び”を実現する企業グループ」を理解し、実現に向け共に歩んでいくことのできる人材だ。「多くの『人』と協力しながら、大きなことを成し遂げることに、やりがいや楽しさ、喜びを見いだせる人、バイタリティーのある人材に来てほしい」と山田課長は力を込める。

 採用活動では、採用実績のある大学を中心に、就職担当教授を直接訪問して求人票を渡すなど、丁寧な対応を心掛けている。大学ごとに複数のリクルーターを任命し、会社説明会への同席や面談、内定後のフォローを担当してもらう。

 人事部人事1課の福間加純さんは、「当社社員の人間性が決め手となって志望したという学生も多い。採用ページやパンフレットでは、具体的なキャリアプランとともに、社員の考えや人柄が伝わる内容にしている」と話す。

 会社説明会やインターンシップでは、座談会や懇談会といった採用担当者以外の一般社員と話ができる時間を設けている。「入社後のミスマッチが発生しないよう、知りたいことをフランクに質問してもらう」と福間さん。OB・OG訪問も適宜受け付けている。

 新入社員の手厚い研修制度にも定評がある。事務系社員を含め、入社直後は作業所配属が基本。建設会社の根本であり、最も大切な作業所の仕事を経験させるようにしているという。全職種共通の研修では、入社時のビジネスマナーなどの基本教育に加え、作業所をより深く理解するために富士教育訓練センターでの実地研修も行っている。

 さらに本年度からは、建築技術系新入社員の研修制度を拡充。7~12月に本社で集合研修を実施することにした。「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)という名目で作業所任せにしてきた新入社員への教育を体系的なものとし、カリキュラムの目的を明確にした」(山田課長)という。富士教育訓練センターでの実地研修も2回に増やす。

 福間さんは「会社を選ぶ際には知名度や規模、処遇なども選択の要素になるが、『人』も重要なポイントになる」と強調。「社風が自分に合いそう、この人と一緒に働きたいという直感的なものも大切。就職活動では、できるだけ多くの人に会って話を聞いてほしい」とアドバイスしている。

 《新卒採用概要》

 【新卒採用者数】 男性131人、女性30人(2017年度実績)

 【3年以内離職率】14・7%(2013年度新卒)

 【平均勤続年数】 男性21年、女性13年(2016年3月末時点)

 【平均年齢】   45・0歳(2016年3月末時点)

2017年6月20日火曜日

【いわき中央~広野間27km】20年度完成目指し常磐道4車線化起工

 福島・宮城両県沿岸を縦断する常磐自動車道の暫定2車線区間(いわき中央~岩沼間128km)のうち、福島第1原発南側のいわき中央~広野間(27km)を4車線化する工事が始まった。

 東日本高速道路会社が17日、福島県いわき市内で着工式を開き、工事を本格始動させた。昨年6月の4車線化事業の認可から約1年での着工。国土交通省東北地方整備局が建設中の復興道路・復興支援道路と同じ2020年度の完成を目指す。

 広野以北では宮城県の山元インターチェンジ(IC)までの2車線区間(87km)に6カ所の追い越し車線を新設。山元~岩沼間(14km)を4車線に広げる。同社は山元~岩沼間の4車線化にも近く着工するための準備を進めている。

 いわき中央~広野間が4車線化されれば、東日本大震災や福島第1原発事故の復旧・復興の障壁になりかねない高速道路の渋滞が大きく緩和されるとみられている。

【回転窓】引き継がれる土木プロジェクト

徳川家康が幕府を開いてから江戸の町は急速に発展し、諸説あるようだが1700年頃には80万人以上の人口を抱える巨大都市に成長していたという▼急速な都市化で必要になったのは人々が商いを行ったり住居を構えたりする土地。そのために幕府は埋め立てを盛んに行い、陸地を広げた▼町の中心だった江戸城から海側は埋め立て地が多く、生活に欠かせない飲料水を井戸からくみ上げるのは困難。そこで幕府は多摩川と井の頭池から水を引き、町中に上水道を張り巡らせた。江戸城周辺に住む武士や商人に加え、長屋に住む町人も無料で上水道の恩恵にあずかれた▼多摩川から水を運ぶ玉川上水が完成したのは今からざっと360年前の1654(承応3)年。文献によって違いはあるそうだが、当時の暦で6月20日(新暦7月21日)を完成日とする説もある▼多摩の羽村から東京・四谷まで全長43キロの水路は100メートルの高低差しかなく、引水工事は困難を極めた。当時の土木技術の高さを知る重要な財産だ。一部区間は現在も現役の水道施設として使われている。長い時間を経て使われ続ける玉川上水から学ぶことは多い。

【記者手帖】良いマナーは伝染する

あるコーヒーチェーン店でよく原稿を書く。常連客にいつもアイスコーヒーを注文する人がいる。飲み終わるとガムシロップとミルクのパック、ストローをナプキンに包んでごみ箱に捨て、グラスと灰皿を片付け、テーブルをきれいに拭いて去っていく。すると、他の客も彼のまねをし始めた◆その結果、テーブルは店員の手を経ずともきれいに保たれている。マナーの良さには伝染性があることを実感する。人は礼儀正しい振る舞いに接すると、自分も同じ水準の礼儀を持って振る舞おうと心掛けるらしい◆安全大会の季節。各地で連日、各社の大会が開かれている。それぞれ現場の状況はまちまちだろうが、良いマナーの人たちが集う現場とそうでない現場とでは安全衛生面にも大きな違いが生じてこよう。マナーの良い人たちが一緒に仕事をする方が良いに決まっている◆建設業界には、担い手確保の大号令が響き渡っている。休日の確保など難しい課題はあるが、良いマナーを伝染させることはすぐに実践できる。気持ち良く仕事ができる現場作りも、担い手確保策の一つになるだろう。(石)

【ダムマニア、集う】ダム工学会、都内でwith Dam★Night開く

イベントの終盤には会場に集まった全員で「ダム・ラブ」ポーズ
ダム工学会は16日、東京都中央区の月島社会教育会館で「with Dam★Night 2017」を開いた。ダムマニアなど定員の130人を超す人たちが集まり大盛況。日本ダム協会から任命されたダムマイスターや、国土交通省の三橋さゆり氏、由井修二氏がダムの魅力について講演した。

 終盤、シークレットゲストとしてタレントの上杉周大氏が登場。自身の番組から生まれた「ダム・ラブ」のフレーズとポーズのパフォーマンスを参加者全員で行った。

 with Dam★Nightは市民、ダムファン、技術者、研究者の交流を通し、ダムに関する知識・情報を外部へ発信することで、より多くの人にダムに親しんでもらうことを目的に2010年から開催されている。

2017年6月19日月曜日

【回転窓】梅雨の時期にこそ

忘れ物の傘を自動販売機に備え付け、貸し出すサービスを飲料メーカーが始めた。ニュースによると関東エリアと愛知県で最大340台に傘を用意するという▼今年は梅雨入りしても雨が少ない地域が多いものの、この時期にはありがたいサービスだ。それ以上に、使った傘を返してもらうという人の善意を前提にした取り組みが行われることに気持ちが安らぐ▼出張で訪れた街ではこんなシーンを見た。工事現場の前で小さな子どもが母親に「なにつくってるの?」と聞くと、警備員が工事看板の前に親子を案内して「マンションを造っています。しばらくご迷惑をお掛けいたします」と丁寧に説明していた▼保育園に向かう途中の親子であろうか。説明後も現場から遠ざかっていく親子を優しい笑顔で見守っている警備員。その丁寧な振る舞いに朝から温かい気持ちになれた。こうした触れ合いで工事に対する近隣の理解はきっと進むに違いない▼ちょっとした気の使い方で場の雰囲気が和み、人とのつながりも円滑になる。じめじめした梅雨の時期にこそ、職場や家庭、街の中でどのような気配りができるかを考えたい。

【凜】森ビル・神田春奈さん

 ◇運営の視点を再開発に生かしたい◇

 東京・銀座に開業した複合施設「GINZA SIX」の開発に携わり、今月から商業施設の運営会社GINZA SIXリテールマネジメントに出向した。街づくりに興味を持ち、大学時代は建築学科で都市計画を専攻。「東京を世界一の都市にする」という大きな目標を掲げる森ビルへの就職を志望し、入社4年目からの7年間、GINZA SIXの再開発プロジェクトに携わった。

 4月20日の開業を振り返り、「開発の初動期から竣工まで携わり、ようやく形にしてお披露目ができた」と笑顔を見せる。

 再開発事業には地権者や設計者、施工者などさまざまな立場の人が参画する。「参画者が一丸となって知恵やノウハウを出し合っていく。相反する部分もあるが、それを調整しながら一つのものをつくり上げる過程が面白い」。

 これから出向先で、自身が開発に携わった施設の運営に関わっていくことになる。「これまでの思い入れを大事にしながら、育んでいきたい」。

 再開発は「人や物の流れを変えるダイナミックでインパクトのある事業」だと思っている。将来はプロジェクトリーダーとして事業をまとめ上げるのが目標だ。その意味でも今回の出向経験はチャンス。「運営を理解し今度はそれをいかに今後の開発に生かすか。その視点を大事にしていきたい」と目を輝かせる。

 (かんだ・はるな)

【中堅世代】それぞれの建設業・171

行政に携わる一人として、説明責任の重要性は強く理解している
 ◇批判を受け入れ職務に全力◇

 地方自治体で首長が交代すれば、新たなトップの政治理念に基づき、それまでの政策が修正・転換されるのはよくあること。それが首長選を行う意義でもある。東京都が建設工事で試行を開始する入札契約制度改革も、昨年8月の小池百合子知事の就任以降、新たに検討が進められてきた取り組みの一つだ。

 「課題があることは認識している。試行が軌道に乗るよう、全力を尽くす」。都の公共調達業務を担当している荒川潤一さん(仮名)はそう話す。

 ここ数カ月は、具体的な仕組みの検討などで残業も続いた。建設業界では官民を挙げ、週休2日の確保など現場の働き方改革に向けた動きも活発だが、「こちらにはそうも言ってられない忙しさがあった」と冗談交じりに振り返る。

 半年以上をかけた検討の末、小池知事は、入札の公平性・競争性を高めることなどを目的とした新たな発注方式(予定価格の事前公表取りやめ、JV結成義務の撤廃など)を今月下旬から試行することを決めた。

 都の入札制度改革の動向は、建設専門紙以外の一部メディアでも報道されているが、入札制度の仕組みは、一般の都民にはなじみの薄い話題だ。今月23日告示・7月2日投開票の都議選をめぐっても、入札制度改革に対する世間の関心が、築地中央卸売市場の豊洲新市場への移転問題のように高いとはいえない。

 しかし、「建設業者にとって、発注者の入札制度は会社の経営、従業員の生活にも影響しかねない重大な関心事」。制度改革の検討を通じ、その職責の重さを改めて感じている。

 これまで都は、国の運用と異なり、入札制度でやや独自の路線を歩んできた。例えば、不正防止の観点から、予定価格の事前公表に関しては、最後の1団体になっても堅持していくとの立場だった。しかも業界側には、都側との意見交換を重ねることで信頼関係を構築し、現行制度への理解を深めてきたとの認識もあったため、今回の入札制度改革は、「寝耳に水」の衝撃を持って受け止められてしまう。

 「批判は覚悟している」。しかし、批判を受けるたび、「試行してみなければ見えない面もある。まずは試行させてもらいたい」と公務員としてのプライドも同時に湧き上がってきている。

 事業者側からは安値競争に陥る可能性を指摘する意見も出ており、今はそうした不安を払しょくするための制度説明などに奔走中だ。説明会開催の知らせを出せば、定員がすぐに埋まるほど事業者の関心は高い。情報周知を徹底するため、都庁で説明会を開くだけでなく、要望があれば業界団体へ直接出向くこともある。

 現行制度の急激な変更は、時として庁内外に摩擦を生み、行政運営の停滞につながる恐れもある。そうした事態に陥らないよう、「知事が決めた方針の実現がわれわれの役割」と試行開始へラストスパートをかけている。

【サークル】西松建設 野球部


 ◇目指すは東京ドームで1勝◇

 経験の有無を問わず、野球好きが集まる会社公認の部活動。本社と関東土木支社、関東建築支社に所属する土木職、建築職、事務職の社員で構成し、4月時点で27人が参加している。

 40年ほど前から活動しているが、部員の高齢化や部員数の減少から5年程前に一時休部の危機に陥ったこともあるという。しかしここ2~3年で若手の入部が増えたことで「チーム全体が若返り、活気が出てきた」と、代表を務める川嶋鉄平さん(経理部経理課副課長)は話す。

 毎年、建設業野球大会と芙蓉グループ野球大会、関東草野球リーグ戦の3大会に出場。特に建設業野球大会には力を入れている。優勝すると紅龍旗、2位は蒼龍旗、3位は白龍旗と、いずれも東京ドームで開催される上位大会に出場する権利が与えられる。紅龍旗は全国、ほかの2大会は関東地区の各業界団体の大会で勝ち進んだ強豪チームが参加する。

 西松建設野球部がこれらの大会に出場したのは5年以上前のことで、近年は遠ざかっている。川嶋さんは「建設業野球大会で3位以内に入り、東京ドームで1勝することが目標」と、心を一つにして上位進出を目指す。

【駆け出しのころ】若築建設取締役兼執行役員管理部門長兼経営企画部担当兼経営企画部長・中村誠氏


 ◇小さな改善を積み上げて◇

 社会人生活は失敗からのスタートでした。東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた新入社員研修の初日、私はいきなり遅刻してしまったのです。

 大学の卒業式を終え、前日に山口から出てきて東京都内に宿泊し、翌日の研修に備えていました。ところが、会社から「代々木に来るように」と言われ、東京をほとんど知らない私は「代々木駅で降りればいい」と思い込んでいたのです。そうして代々木駅で降り、研修施設までの行き方を駅員に聞くと「最寄り駅は違う」との答え。急ぎタクシーに乗ったものの道路は渋滞で車はなかなか進まず、ようやく着いた時はもう研修が始まっていました。当然、研修で時間厳守をきっちり指導されたのは言うまでもありません。今思い出しても冷や汗が出てくるようです。

 最初に勤務したのは工事本部工務課で、工事の実績管理と各種集計業務を担当しました。ホストコンピューターが導入され、表計算ソフトなども出始めていましたが、まだまだ、手書きと手計算での業務が多く、私も最初の頃は慣れないそろばんで計算するしかなかったのですが、自身の能力不足もあり効率が悪く、これでは駄目だと思い、当時はいかにして手書きと手計算をせずに、仕事を進める方法がないかを考えていたものです。今考えれば、多忙な時こそ、さまざまな知恵が出てくるものだと思います。

 若い頃はよく、社内旅行やスポーツイベントなどの幹事もやっていました。そうした幹
事役は若手事務方に回ってくるもので、社内旅行では旅館に入っても段取りに追われて風呂にも入れませんし、宴会になると皆の前で出し物を披露しなければなりません。好きでやっていたわけではありませんが、これも後から振り返ればとても良い経験になっています。

 労働組合の専従書記長を務めたこともあります。2年の専従期間を終えて配属されたのが、新設の関連事業室です。兼任の上司を除くと私しかいない部署であり、連結会計を見据えた関連会社の管理が主な仕事でした。それまでは工事の原価管理や人事の仕事しか知らなかったため、株主総会や取締役会のことなどを他部署の方に教えを請いながら勉強し、最後には子会社の税務申告にも対応できるようになっていました。

 私は人と人のつながりで仕事は進んでいくのだと思っています。自分一人ではできないことがたくさんあり、周りに支えられて今の自分があり、周りに感謝する気持ちを忘れないことが大切だと思います。現在の大きなテーマは働き方改革。簡単には実現できませんが、難しいからといって横道にそれるのではなく、小さな改善でもそれを積み上げていけば大きな変化になっていく気がします。できない理由を並べるのではなく、小さくてもいいからできる方法を考えて実行していくことが大切だと思います。

 (なかむら・まこと)1983年山口大学経済学部経済学科卒、若築建設入社。総務部次長兼総務課長兼法務課長、管理部門総務人事部部長兼経営企画部部長、取締役兼執行役員経営企画部担当兼経営企画部長などを経て、16年6月から現職。福岡県出身、56歳。
人事部時代に新入社員の集合研修でトレーナーを務めた
(1992年3月撮影)

2017年6月16日金曜日

【東京・日本橋で実証実験開始へ】日建設計総研ら、街づくりにAI&ビッグデータ活用

都心部で得られるさまざまな情報(ビッグデータ)を街づくりに生かすプロジェクトが東京都中央区の日本橋室町地区で動きだす。

 日建設計総合研究所とNTTが研究開発を進める人工知能(AI)を用いたエリア情報活用プラットホームの実用化に向け、三井不動産と共同で実証実験を行う。同社が主体的に開発・街づくりを進めている同地区で人流やエネルギー利用など各種データを収集・解析し、環境や経済活性化、安全・安心などに関する最適なソリューションを提供していく。

実証実験で用いるエリア情報活用プラットホーム「AI×AI(仮称)」では、日建設計総研の都市開発での計画・マネジメントと、NTTのデータ収集・解析に関する知見を組み合わせ、都市開発やエリアマネジメントで最適なソリューション提供を目標に掲げている。

 具体的には、ユーザーにとっての快適さや利便性といった観点から、実際の都市開発・エリアの計画、維持管理に関する活動を効率化できるアルゴリズムを構築。IoT(モノのインターネット)や施設のエネルギー関連データなど、さまざまな都市活動から収集したビッグデータをNTTグループのAI技術を用いて処理し、交通やエネルギー、コミュニティー活動など各分野の課題に応じて最適解を導き出す。

 例えば人流に応じた空調制御やエレベーターなど昇降機の運行最適化への活用が想定される。日本橋室町地区での共同実験の成果を踏まえ、他の都心エリアや空港、ターミナル駅、スタジアムなど大規模施設への展開も検討していく。

【回転窓】魯山人の温故知新

陶芸、書画に料理と多彩な才能を発揮した北大路魯山人はビールをこよなく愛した。銘柄はキリンで、それも小瓶。晩酌は冷蔵庫から取り出して自らコップに注いだ▼小瓶でなければならないのは、最もおいしいと感じる冷たさのまま飲み干せるから。美食家でもあった魯山人らしい逸話で、陶芸作品には小瓶の分量がきっちり入る志野焼のジョッキが残っている▼こんなエピソードもある。夏場に陶磁研究者の小山富士夫の自宅に学生が集まっていたところ、魯山人が現れ、「本物のジンジャーエールをごちそうしよう」と一言。皆が見守る前で運び込んだビールをボウルに注ぎ、氷砂糖とすり下ろしたショウガを入れてジンジャーエールを作り、皆に振る舞った。その味は「ことのほか旨(うま)かった」と小山が書き残している▼何事も本格にこだわった魯山人だが、ジンジャーエールの作り方は自己流だったようだ。前述の志野焼には瀬戸や美濃ではなく信楽の土を使った。「伝統に重きをおきながら伝統に無きものを逐(お)っております」とは魯山人の言葉▼「温故知新」を地でいった魯山人の発想力に、現代人も学ぶことは多い。

【工事・運営、〝稼ぐ〟視点で】スポーツ庁ら、スタ・アリ改革指針を公表

スポーツ庁と経済産業省は15日、数千~数万人を収容する多機能・複合型のスタジアムやアリーナの整備促進策として、設計や維持管理のポイントなどをまとめた「スタジアム・アリーナ改革ガイドブック」を作った。

 2025年までに全国に高収益型のスタジアムやアリーナを20カ所整備する政府目標の達成を後押しする。今後、進ちょく状況などを踏まえ工事や運営のポイントも追加掲載する。

 ガイドブックでは、スポーツ以外のイベントも常時開催したり、収益施設を併設したりするスタジアムやアリーナの整備を構想・計画する官民の事業者に対し、「稼ぐ」視点からの施設の設計や維持管理のポイントを解説。5月に作った「スタジアム・アリーナ整備に係る資金調達手法・民間資金活用プロセスガイド」の内容も盛り込んだ。

スタジアムやアリーナの整備が地域のにぎわい創出に貢献している国内外の事例も収録。開発済みまたは開発中で、スタジアムやアリーナでの実用化を目指すICT(情報通信技術)などの最新技術を使った観客向け試合データ配信サービスや施設の統合管理システムも紹介している。

 スポーツ庁は、サッカーJリーグのJ2やJ3、昨年秋に始まったプロバスケットボール・Bリーグ、18年秋の開幕を目指す卓球・Tリーグの設立を視野に、これらのプロチームの本拠地としてスタジアムやアリーナの整備が進展するとみている。

【女の子、集まれ!!】日建連、けんせつ小町活躍現場見学会の参加者募集開始

日本建設業連合会(日建連)は、女子小中学生と保護者を対象にした「けんせつ小町活躍現場見学会」を7月21日から会員企業16社の16現場で行う。

 「けんせつ小町」の愛称で呼んでいる建設業で働く女性の仕事や、現場の魅力を知ってもらうのが狙い。現場の女性技術者・技能者などで構成する「けんせつ小町工事チーム」などが中心となって現場を案内し、作業体験イベントなどを行う。

 見学会は夏休みの特別企画として15年から行っており、17年で3回目。開催現場、参加企業は過去最大となる。今のところ募集人数も最多の430人以上を予定している。

初開催の青森、奈良、兵庫と、北海道、東京、神奈川、大阪、福岡、長崎の各都道府県で開く。北海道は札幌市で初めて行う。スポーツ施設、病院、鉄道駅、マンション、複合施設などの工事現場で、鉄筋の結束作業などを体験できたり、女性専用の更衣室やトイレなどを見学してもらったりする。

 希望者は日建連のホームページから、現場を選んで申し込む。参加者には動きやすい靴と長袖・長ズボンでの参加を求めている。16現場のうち、長谷工コーポレーションは現場を選定中。15現場の見学会の概要は次の通り(▽開催日=〈1〉分類〈2〉場所〈3〉工事名など〈4〉施工会社〈5〉定員)。

▽7月21日=〈1〉鉄道〈2〉横浜市港北区〈3〉相鉄・東急直通線新横浜駅地下鉄交差部土木工事〈4〉鹿島〈5〉30人

 ▽7月22日=〈1〉スポーツ施設〈2〉青森市〈3〉新青森県総合運動公園陸上競技場新築工事〈4〉大林組〈5〉30人

 ▽7月23日=〈1〉道路〈2〉神奈川県藤沢市〈3〉横浜湘南道路トンネル工事〈4〉西松建設〈5〉30人

 ▽7月24日=〈1〉オフィスビル〈2〉神戸市中央区〈3〉(仮称)磯上オフィスビル新築工事〈4〉竹中工務店〈5〉40人

 ▽7月27日=〈1〉道路〈2〉東京都江東区〈3〉平成28年度南北線中防内側陸上トンネル整備工事と科学技術館「建設館」見学〈4〉清水建設〈5〉24人(親子2人1組)

 ▽7月28日=〈1〉物流倉庫〈2〉大阪市住之江区〈3〉(仮称)レッドウッド南港ディストリビューションセンター2新築工事〈4〉前田建設〈5〉20人

 ▽7月29日=〈1〉トンネル・橋梁(下部工)〈2〉長崎市〈3〉長崎自動車道中尾トンネル工事〈4〉フジタ〈5〉30人

 ▽7月31日=〈1〉多目的ホール・事務所など〈2〉札幌市中央区〈3〉札幌創世1.1.1区北1西1地区第一種市街地再開発事業施設建築物新築工事および公共施設整備工事〈4〉大成建設〈5〉20人

 ▽8月2日=〈1〉港(岸壁)〈2〉東京都江東区〈3〉東京港クルーズ・大型船ターミナル建設現場見学〈4〉五洋建設〈5〉40人

▽8月3日=〈1〉マンション〈2〉福岡市中央区〈3〉桜坂3丁目計画新築工事〈4〉三井住友建設〈5〉30人

 ▽8月7日=〈1〉病院〈2〉奈良市〈3〉新奈良県総合医療センター新築工事〈4〉奥村組〈5〉50人

 ▽8月8日=〈1〉病院〈2〉東京都港区〈3〉虎の門病院整備事業〈4〉戸田建設〈5〉20人

 ▽8月24日=〈1〉鉄道(駅改良)〈2〉東京都港区〈3〉新橋駅改良工事(I期)その3と科学技術館「建設館」見学〈4〉鉄建建設〈5〉24人(親子2人1組)

 ▽8月25日=〈1〉幹線整備〈2〉大阪市淀川区〈3〉大隅~十八条幹線下水管渠築造工事(その10)〈4〉安藤ハザマ〈5〉20人

 ▽8月27日=〈1〉商業施設〈2〉東京都渋谷区〈3〉渋谷駅南街区プロジェクト新築工事〈4〉東急建設〈5〉30人。

【五輪サッカー開催へ準備始動】宮城スタジアムの大規模改修着手

 宮城県は、20年に開かれる東京オリンピックのサッカー試合会場となる宮城スタジアムの大規模改修に着手する。

 工事費20数億円を投入し、五輪競技の開催基準を満たす照明設備や2面の大型ビジョン設置、芝の張り替え、学校体育館と同規模の仮設メディア・センターなどを整備する。

 テロ対策として主要な出入り口周辺に頑丈な囲いも構築する。県は6月補正予算案に芝改修の設計委託費190万円を計上。芝を張り替える工事費1億8100万円の債務負担行為も設定した。議会承認を経て芝の改修設計を委託する。

 宮城スタジアム(「ひとめぼれスタジアム宮城」)は、県総合運動公園(利府町)の敷地内にある陸上競技場兼サッカー球技場で、2000年に完成した。400メートルトラック×9レーン(全天候舗装)などのメインスタジアムや補助競技場、投てき場などで構成。施設規模はSRC、RC、S造6階建て延べ5万7564平方メートル。収容人数は約4万9000人。

 20年に五輪のサッカー1次リーグの試合が行われるのを前に、今回、既存の照明設備の規模を1500ルクスから2000ルクスに変更したり、2面の大型ビジョンを設置したりと基準に沿うよう拡充する。国内外から詰め掛けることが予想されるテレビ局や新聞社などのメディア関係者を収容するための仮設メディアセンターも設置する予定だ。

 施設整備にかかる費用負担は現在、東京都や大会組織委員会、関係自治体らが協議している。試合終了後に解体する仮設施設は主に大会組織委員会が整備する。県は7月中にも芝の改修設計を委託することにしている。来年度以降に芝の張り替え工事や、他の設備改修を行うための設計などを委託する予定だ。

2017年6月15日木曜日

【まちへの愛着・誇り、首位は福岡市民】三菱UFJリサーチ、「市民のプライド・ランキング」公表

自分の暮らしているまちに最も愛着や誇りを感じているのは福岡市民―。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングは政令指定都市と東京都区部の住民を対象に実施した「市民のプライド・ランキング」調査の結果を集計・分析し、まちに対して感じている愛着や誇り、イメージなどを順位付けした。

 調査対象は政令指定都市20市と東京都区部21団体で、各都市200サンプルを抽出して「都市対する愛着と誇り」「おすすめ度合い」「最も魅力的に感じる都市」などを聞いた。調査対象に片寄りが出ないよう、男女別、年代別(20~60代)に10カテゴリーで20サンプルずつ情報を集めている。

 愛着ランキングは福岡市が1位。次いで札幌市、京都市、仙台市、北九州市の順となった。福岡市は誇りランキングでも1位。友人や知人へのおすすめ度合いも「全体的によいまち」「住む」「働く」など10項目中9項目で首位となっている。

 都市に対するイメージの1位は、「伝統的」が京都市、「近代的」が横浜市、「保守的」が静岡市、「カオス」が大阪市、「おしゃれ」が神戸市。多くの都市で「ほどほど」や「便利」、「ゆったりした」などが選択されており、これらが上位3項目になった都市は札幌、仙台、さいたま、千葉、相模原の5市となっている。

 最も魅力的に感じる都市は、「今住んでいる市区」がほとんどの都市で1位だった。ただ相模原市と北九州市は県庁所在地の横浜市と福岡市を選択する割合が「今住んでいる市区」を上回った。東海よりも東側では横浜市、近畿では神戸市、広島以西は福岡市がそれぞれ上位に入り、魅力的な都市として高い評価を得ていた。

【賃上げ実施率は約8割】東京商工リサーチ、2017年「賃上げアンケート調査」結果

民間信用調査会社の東京商工リサーチが実施した2017年「賃上げアンケート調査」の結果によると、アンケートに回答した5913社の82・6%、4890社が「4月に賃上げを実施した」と答えた。

 実施内容は「定期昇給」が1752社(29・6%)でトップとなり、「定期昇給+ベースアップ」が914社(15・5%)、「定期昇給+賞与増額」が831社(14・0%)の順だった。

 資本金1億円以上の872社は755社、率にして86・6%が「何らかの賃を実施した」と答え、1億円未満の5041社中4135社(82・0%)と4・6ポイントの差があった。ベースアップ実施企業(1619社)に聞いた上げ幅(月額)は平均6679円。「5000円以上1000万円未満」が21・0%となり、回答の中央値は3000円だった。

 賃上げの実施理由は「従業員を定着させるため」が52・8%と過半数を占めた。大企業よりも中小企業の方が従業員定着を理由に賃上げに踏み切った割合が多かった。2013年以降の賃上げ回数は「毎年」との回答が64・2%(3490社中2240社)となった。大企業、中小企業とも「実施なし」は少数派となり、多くの企業で賃上げが定例化している。

 一方、賃上げによって人材不足が解消できたかどうかの質問では、3490社中1885社が「分からない、どちらとも言えない」と回答。「解消できた」は642社にとどまり、賃上げが必ずしも人材不足解消につながっていないことが分かった。

 賃上げによる社員一人当たりの経費負担増額は、年間で「10万円以上20万円未満」が25・3%(2247社中568社)、「5万円以上10万円未満」が25・1%(564社)、「5万円未満」が23・6%(531社)。平均値は52万7052円だが、この金額は一部企業が大幅な賃上げを実施した影響が大きく、回答の中央値は10万円となっている。

 この調査は5月12~23日にインターネットを活用して実施。有効回答5913社のデータを集計・分析した。定期昇給、ベースアップ、賞与増額を賃上げと定義している。

【回転窓】「パンダ外交」の今

東京・上野動物園のジャイアントパンダの雌シンシンが赤ちゃん1頭を出産したとのニュースに、各地で喜びの声が上がった。繁殖が難しいパンダの赤ちゃん誕生に、無事に育って園舎で見られる日を心待ちにしている人も多かろう▼中国大陸を生息地とするパンダの初来日は1972年10月。日中国交正常化を記念して中国政府からつがいのパンダが贈られ、関係改善の使者として友好ムードを盛り上げた▼上野動物園ではリンリン(92年来園)が2008年4月に死亡後、パンダの姿が一時消えた。「パンダ復活を」の声に押され、シンシンと雄のリーリーの2頭を有償で中国から借り受け、東日本大震災後の11年3月22日から一般公開している▼白黒のツートンカラーで愛くるしいパンダは、中国の外交カードとしても重宝される。友好の証しとしてパンダを貸す「パンダ外交」。今春にフィンランド、デンマークと中国の首脳が会談し、年内に両国につがい2頭を貸し出すことが決まった▼国同士の絆を深める役割も担うパンダ。地政学リスクが高まる中、平和の懸け橋としてさらに世界中を飛び回ることになりそうだ。

【建設産業図書館で展示会】東保証の東海道五十三次浮世絵うちわが好評

 東日本建設業保証は、歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」をデザインしたうちわの展示を東京・築地の建設産業図書館で始めた。

 うちわは、サービスの一環で顧客や発注機関、建設関係団体などに約2.5万セット配布している。1994年に配布を始め、東海道はじめ五街道の起点である東京の日本橋と、53カ所の宿場町、終点の京都・三条大橋の計55枚ある。

 毎年2~3枚をセットで提供しており、今夏用で三条大橋まで到達したことから、すべてを展示することにした。次は葛飾北斎の「諸国明橋奇覧」を採用。今夏用は五十三次の三条大橋と、明橋奇覧の「亀戸天神太鼓橋」のセットになっている。

 図書館のうちわの展示コーナーは8月末まで設ける。展示に合わせて『絵本 東海道その一 日本橋~興津』(おちあいけいこ著、ポトス出版)など関連書籍の展示・貸し出しも行う。

 図書館の利用は無料。インターネットで蔵書の検索などが行える。

【座席数1・5万以上をクリア】野津田公園陸上競技場観客席増設、17年度に基本設計着手

観客席増設後の完成イメージ
東京都町田市は、サッカーJリーグ・FC町田ゼルビアが本拠地として使用している野津田公園内にある市立陸上競技場の観客席増設(約5000席)に向け、17年度に基本設計に着手する。18年度に実施設計や造成工事、19~20年度に増設工事を進める。事業手法は検討中で、近く固める見通しだ。
現在の野津田公園陸上競技場
(提供:東京都町田市)
陸上競技場の所在地は野津田町2035。観客席はメインスタンド(SRC造7階建て延べ9663平方メートル)が2492席、バック・サイドスタンドが7840席で、計1万0332席を備える。将来的なFC町田ゼルビアのJ1昇格を見据え、1万5000席以上に設定されている施設基準がクリアできるスタジアムへと整備する。

 市が16年10月にまとめた「(仮称)町田市立陸上競技場将来構想」(作成支援業務は梓設計が担当)によると、メイン・サイドスタンドは現状を維持し、増設する5090席はバックスタンドを2層構造にして確保する。総観客席数は1万5422席となる。工期は16・5カ月、概算工事費は58・8億円を見込む。

2017年6月14日水曜日

【三井不が新プロジェクト始動】仙台市泉区にスポーツ複合施設誕生へ

施設の完成イメージ
 三井不動産が仙台市泉区で「SPORTS LINK CITY FUN-TE!」プロジェクトを始動させる。スポーツの力を活用したまちづくりによって、東北エリアのスポーツ振興や震災復興、地域活性化に貢献するのが狙い。
施設の配置イメージ
プロジェクトでは仙台泉ショッピングセンターのスポーツ棟を大規模リニューアルすると同時に、隣接地にフットボールパークを新設する。スポーツ棟にはフィギュアスケート五輪金メダリストの荒川静香さんや羽生結弦選手ら、数多くのトップスケーターを輩出してきた「アイスリンク仙台」が含まれ、リニューアルを機に内外装を刷新するとともに、更衣室やレッスン室、ラウンジ、展示スペースなどを新設する。
スポーツ棟㊤とスケートリンクの改修イメージ
フットボールパークは、ミュージシャンの桜井和寿さんとGAKU-MCさんのユニット「ウカスカジー」が所属する団体・MIFAが運営する。「MIFA Football Park 仙台(仮称)」には、本田圭祐選手がプロデュースするサッカースクール「SOLTILO」を開校。40m×60mのジュニアサイズコート1面あるいはフットサルコート3面がとれ、レンタルコートや音楽関連イベントも行う。「音楽とフットボールによるコミュニケーションの創造」がコンセプトという。
フットボールパーク・クラブハウスの完成イメージ
スポーツ棟は6~11月に、三井住友建設の設計・施工でリニューアル工事を実施。フットボールパークは10月にコスモスモアの設計・施工で工事に入り18年春の開業を目指す。三井不動産はスポーツ棟の改修とフットボールパークの新設に合わせて施設全体の名称を「SPORTS LINK CITY FUN-TE!」に変更。カフェやバーベキューなどが楽しめるアウトドア複合施設「WILD BEACH 仙台(仮称)」も開業させる。

 スポーツ棟の改修に当たり、羽生選手は「アイスリンク仙台は4歳のときから通ったとても思い入れのある施設。今回、施設リニューアルの話をお聞きし、とても嬉しく思います。楽しみにしています」とコメント。桜井さんらは「MIFA Football Park 仙台でフットボールを通して笑顔が生まれ、そのパワーが連鎖して、ハッピーなコミュニケーションがたくさん生まれる場所になれば嬉しいです。僕たちもとても楽しみにしています」とコメントしている。

【回転窓】『流星ひとつ』の装画

海外で戸惑うことがあった時に身近で適切なアドバイスをくれる同胞がいたらどんなに頼もしく感じるだろう。この人もかつて同じ境遇だったかもしれないと勝手に想像させていただいている▼作家の沢木耕太郎さんがその人。20代前半の頃に建築家の磯崎新さんとハワイで1週間ほど一緒に仕事をした時、旅先で必要な言葉の知識や食事のマナーを教えてくれたのが、磯崎さんの夫人で海外経験豊富な画家の宮脇愛子さんだったという。JR東日本発行『トランヴェール』6月号のエッセーに書いている▼例えばレストランでうまく注文できない場面では「HAVE」を使えばよいことなどを学んだとか。以降も夫妻との親交は続き、宮脇さんからは海外のさまざまな芸術家について「夢のような話を多くうかがうことになった」と沢木さんは振り返る▼2014年8月、宮脇さんは他界した。沢木さんは一番好きな宮脇さんの絵を、昨年8月に新潮文庫で出した『流星ひとつ』の表紙カバーに使った▼新幹線の車内でエッセーを読み、その足で沢木さんの文庫本を購入した。本の内容と趣のある装画がよく合った一冊である。

【全国9地区で240人以上参加】けんせつ小町、日建連意見交換会後の懇親会で積極交流

 日本建設業連合会(日建連)が全国9カ所で国土交通省などの公共発注機関と開いた「公共工事の諸課題に関する意見交換会」と、各支部の総会の後に開かれる懇親会に、「けんせつ小町」の愛称で呼ばれる会員企業の女性職員が240人以上参加した。

 最多は6月6日の東北地区の72人。所属企業だけでなく他社の現場や支店・支社などで活躍する職員とそれぞれが活発に交流した。懇親会には国交省の各地方整備局や自治体、高速道路会社などの幹部が出席しており、名刺交換をしながら女性の活躍を促す取り組みをアピールする姿が目立った。

 日建連の宮本洋一土木本部長や則久芳行けんせつ小町委員長も各社のけんせつ小町と積極的に交流した。宮本本部長は「女性が働きやすい環境を整えることが建設業の就労環境の改善に欠かせない」というのが持論で、けんせつ小町の活動に対する後押しを約束。則久委員長は「大勢来ていただいてありがたい」と感謝を述べ、12日の九州地区の懇親会では、幼い頃から橋梁に親しんできたという女性職員らと、けんせつ小町の活動や建設業の魅力、はやりの食材などについて情報交換した=写真

【疲れ改善にはふじ色が効果的】日建設計ら、オフィスでカラー照明のリフレッシュ効果確認

 日建設計は千葉大学、パナソニックエコソリューションズ社と共同で実施した職場の照明環境が働く人の心や体に与える影響を検証する実験の結果を発表した。

 視野の一部に彩色光や色温度の異なる白色光を導入する被験者実験で、若草色や赤紫色が「活気」に、ふじ色や彩度の高い色などが「快適性」に、「眠気や疲れの改善」にはふじ色やあやめ色などが効果があることが分かった。

 今回の実験は、ワークスペースで最適な照明環境を提供する「ヒューマン・セントリック・ライティング(HCL)」を検証する目的で、東京都港区のパナソニック東京汐留ビルをフィールドに行われた。オフィスの共用空間を対象に、短期的なカラーライティングによる心理効果や疲れ、眠気の改善効果を確認した。

 ワークスペースの活性化に効果があるとされた光色は、若草色や赤紫色。居心地の良い照明環境の形成には、ふじ色やレモン色、肌色、だいだい色、桃色、あやめ色などパステルカラーが役立つとされた。眠気や疲れの改善には、ふじ色、あやめ色、若草色、青色、青竹色、レモン色、だいだい色の評価が高く、集中して作業した後のリフレッシュ効果があると考えられるとしている。

 実験方法や結果の詳細は、電気設備学会の全国大会(8月)、照明学会の全国大会(9月)で発表する予定。

 今後は、個人の作業空間にカラーライティングを導入する実験を行い、目的別の適切な光色を検証していく予定だ。ディスプレー作業、ディスカッションなど作業別に適切な光色を抽出することで、快適な執務環境を提供する光環境の実現を目指す。

 HCLは、欧米で広がる照明の概念の一つ。照明の明るさや色などの調整により、人の集中力を高めたり、生活リズムを改善したりするのが狙いで、オフィス空間だけでなく、商業施設、住宅、病院、教育施設のほか、地下街、駅舎など公共空間での活用も期待されている。