2017年1月11日水曜日

【墨付けや刻みができる職人に】技能教育最前線-東京建築高等職業訓練校

全建総連加盟組合の約半数が認定職業訓練校の運営に携わっている。東京建築高等職業訓練校(片桐勝校長)もその一つ。

 プレカットが普及する中でも、「墨付け」で木材に目印を付け、「刻み」作業で加工するのは大工職人の基本。同校では、ベテラン職人の手ほどきでこれらを2年がかりでみっちり学び、独立に必要な資格を取得できるようにする。

 同校では、学科を東京・高田馬場にある全建総連会館内、実技訓練を東京都立多摩職業能力開発センター府中校(東京都府中市)で行う。普通課程の訓練期間は2年間で、1年次が47日、2年次が52日。毎週土曜日が集合訓練日となり、午前9時から午後5時まで、木造建築の伝統技術・技能を学ぶ。

 1958年の設立以来、60年近い歴史の中で1600人超を輩出した普通課程に現在通うのは、1年生が42人、2年生が37人。大工、工務店に所属する若い人材に加え、大手ハウスメーカーも若手に基礎を学ばせようと社員を通わせている。

 仕事の中で技能を学ぶOJTと、それを補完するOFF-JTを組み合わせることで、スキルアップを図れるようにする。建築設計や設備工事の会社に所属しながら同校へ大工の仕事を学びに来ているケースもある。

 実技指導に当たるのは、片桐校長以下、現場の第一線で働くベテラン職人だ。プレカットの普及で現場での木材加工は少なくなっている。新築はそれでもよいが、物件ごとに内容が異なるリフォームでは、墨付けや差し金を使いこなし、刻み作業ができる職人の存在が重要になる。

 その意味でも、正しい技能と知識を習得できるようにする同校の意義は今後ますます高まっていくとみられる。

 学科では、建築概論、計画、製図、仕様・積算などを教え込み、木造住宅の全体像を把握し、図面を読み解く力も備えられるようにする。2年の課程を修了する際の技能照査に合格すると建築大工2級技能検定の学科試験が免除される。実務経験を重ねれば、2級建築士や職業訓練指導員の免許を取得する道も開ける。

 若手講師も育てながら、職人の技を次の世代、次の次の世代へと「つなぐ」存在として同校は、その活動を続けていく構えだ。

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