2017年1月4日水曜日

【回転窓】心理的距離を縮める一年に

心理学の概念である「パーソナル・スペース」は、1960年代に米国の文化人類学者エドワード・ホールが提唱した。心理的な縄張りのことで、その距離帯を四つに分類している▼家族や恋人など親しい人に許せるのは「45センチ以内」。これが友人で「45~120センチ」、仕事関係の人で「120~350センチ」となり、公共の場で対面する人とは「350センチ以上」に広がる▼当然、個人差はあるが、損をする人はこうした距離を意識しない人だという。例えば、さほど親しくもないのに近づき過ぎて話すと、相手に不快感を与えてしまう。車塚元章氏の著書『伝え方で「成果を出す人」と「損をする人」の習慣』(明日香出版社)から引いた▼どんな関係にも適当な距離感はあろう。では将来の担い手不足が懸念される産業界と若者との距離はどうか。華やかなイメージアップ作戦だけでは魅力は伝わらず、若者の入職、育成、定着にはやはり息の長い地道な取り組みが欠かせない▼元日発行の本紙新春企画特集は「伝える力」がテーマ。2017年を受け入れ側の努力が実り、少しでも距離を縮められたと実感できる一年にしたい。

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