2017年1月11日水曜日

【現場を担う】工事監理者×施工管理者 丸の内3-2計画新築工事(東京都千代田区)

 ◇何でも話せる関係が大切◇

 「うまく機能している現場は施工上のトラブルがほとんどない」。東京都千代田区で進む「(仮称)丸の内3-2計画新築工事」で、工事監理を担う三菱地所設計の北島宏治総括監理所長(50)と間瀬功一監理所長(43)の言葉に対し、施工する大成建設の愛甲寿朗作業所長(49)は「現場の関係者がいがみ合っては良いものはできない。何でも正直に包み隠さず話す関係が大事」と即答した。現場の最上流部で判断を下す3人がこだわる責任者の役割とは-。

 日本有数のオフィス街である丸の内・有楽町エリアでオフィスや商業施設、バンケット、会議室などが入る地下4階地上30階建ての複合ビルを建設する工事で、北島氏は工事監理の総責任者、間瀬氏は現場に常駐する工事監理責任者、愛甲氏は現場の技術者と作業員を束ねる施工管理の統括責任者を任されている。

 計画当初、三菱地所設計が設定した標準工期は33~36カ月。一方の大成建設は全面逆打ち工法で38カ月、全面順打ち工法で40カ月の工期を見込んでいた。この溝をどう埋めるのか。大成建設の提案は、地下部分の敷地の中央部に順打ち工法、その周辺部に逆打ち工法を併用するハイブリッド工法の採用だった。

 施工者の選定に関与した北島氏は「所長となる人と話をすれば資質は分かる。大成建設は実績がある企業で、信頼していた」と当時を振り返る。間瀬氏は「コスト低減と工期短縮を図る両工法の長所を生かした提案だ。誠実にやってくれている」と今の仕事ぶりに信頼を寄せる。

 15年11月に始まった地下工事(16年11月時点の進捗率約11%)は100人程度が昼夜3交代制で働く。歩行者やイベントが多い丸の内仲通りに接し、現場脇の地下には地下鉄が通る難工事だけに、現場と周辺との調整役となる北島氏は「通常物件以上に周辺に与える影響には口を出す」、愛甲氏も「安全には特にこだわる。近隣ビルに入るテナントに配慮し、騒音や振動も極力出ないようにする」と常に慎重を期した工事を心掛ける。

 建て方工事が本格化する最盛期は1000人程度の職人が現場に入り、作業に従事する。「監理者の仕事は将棋のように何手先を読めるかが問われる」と北島氏。多くの作業が同時並行で進行しても「現場の動きを読み、リスクを回避する。ものを早く決めることが責務。ここが監理者の腕の見せ所だ」と言い切る。

 作業員に指示を出す愛甲氏は「机上では分からないところも多い。オンザジョブでやって見せ、導き、教えて軌道修正する」、間瀬氏は「工事に携わる関係者には、何のためにやるのか、その目的を明確に伝える。効率や工夫が目に見えて違う」と円滑に工程を進めるこつを明かす。

 この工事は、大成建設の外国人技能実習生受け入れモデル現場としてベトナムなどから人材を受け入れている。建築の仕事をしていた父の影響でこの道に入った愛甲氏は学生時代から現場で働き、専門工事業者の下で図面も引いた。下請仕事の苦労もよく分かるだけに、「ここで育った人材を無事に送り返し、ベトナムで成果を挙げてほしい」と話す。

 間瀬氏は元ゼネコン勤務。「事業者により近いスタンスから建築技術をより幅広く使える仕事がしたかったから」と転職のきっかけを語る。今はいろいろな角度からものを決められるこの仕事を気に入っている。「これまで手掛けた現場で一番大きい」と気合いも十分。「事業者と施工者と共に笑顔で良いものができたといえる瞬間を迎えたい」。

 北島氏は、三菱地所設計の監理専任部門で新入社員の時から働くベテランだ。若手の技術者らには「引き出しを多く持つこと、先輩から知識を得ることが大事だ」と教えている。

 4年前から大手設計事務所6社で始めた監理者の交流会はこれまでに17回開かれた。監理のやり方で各社の考え方や対処方法について交換し、技術の底上げにつなげている。「監理者の役割を若い人に伝え、世界に発信したい」と夢を語る。

 《工事概要》

 □工事名=(仮称)丸の内3-2計画新築工事
 □発注者=三菱地所、東京商工会議所、東京会館
 □設計・監理=三菱地所設計
 □施工=大成建設首都圏建築支店
 □工事場所=東京都千代田区丸の内3丁目
 □構造・規模=SRC一部S造(地下)、S造(地上、制震構造)地下4階地上30階塔屋2階建て延べ17万3000m2
 □工期=2015年11月16日~18年10月15日

三菱地所設計・北島宏治氏
三菱地所設計・間瀬功一氏

大成建設・愛甲寿朗氏

0 コメント :

コメントを投稿