2017年1月4日水曜日

【業界展望2017】建設投資と建設産業行政-注目は建設業法改正の行方

建設経済研究所が昨年10月に発表した建設投資見通しによると、16年度の建設投資額は前年度比1・9%増の51兆9400億円、17年度は同1・4%減の51兆2000億円となる。今後、12月22日に閣議決定した災害対策を中心とする国の16年度第3次補正予算案と17年度当初予算案を加味した再度の予測が行われる。

 公共投資については、「地域の守り手」である建設業界の活動が維持できるよう、引き続き安定的で継続的な予算が確保されるよう求める声が上がっている。

 こうした投資動向とともに今年の建設産業行政で注目されるのが、国土交通省が設置した有識者会議「建設産業政策会議」の議論の行方だ。昨年10月に設置された会議は、法制度をはじめとする建設業関連制度の基本的な枠組みについて検討し、6月をめどにその成果を取りまとめる。

 建設業法は1949年の制定から今年で68年が経過する。建設投資は、右肩上がりで推移した昭和の時代を経て、平成に入って92年をピークに減少し続けたが、ここ数年は安定軌道に乗っている。そうした中での建設産業の課題は、確実に到来する労働力人口の減少だ。そして、i-Constructionに代表される生産性向上策や、劇的な進展を遂げる人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などのイノベーションと相まって建設現場がどう変化していくのか。

 建設産業政策会議は、10年後を見据え、建設産業が生産性を高めながら現場力を維持するための方策を探っていくことになる。昨年12月22日の第2回会合を経て、新年は6月まで1~2カ月に1回のペースで議論が進められる予定だ。

 その成果を踏まえて国交省が建設業法を改正する場合、ターゲットとなるのは早くても18年の通常国会になるとみられる。

 政策議論に加え、建設産業の社会保険未加入対策は、17年度まで残り3カ月となり、目標達成へラストスパートをかけることになる。17年度以降、未加入の下請企業が現場に入場できなくなった場合、どのような影響が生じるのか。こうした課題を含めて継続的な対策の実施が求められる。

 17年度は、建設キャリアアップシステムの運用も始まる。キャリアパス最上位に位置付ける登録基幹技能者から始まり、導入範囲を順次拡大していく。業界の統一ルールで能力と経験の情報を蓄積し、技能労働者が適正な評価と処遇を受けられる環境整備が進むことが期待される。

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